日本自転車振興会補助事業(平成18年度)

2007年7月

平成18年度 ロシア・CIS諸国との貿易経済交流補助事業

1.補助事業の概要

()事業の目的

 当該補助事業においては、特別報告書等の媒体を通じた情報提供活動を政府関係者および企業関係者に行うとともに、セミナー開催を行うことにより、日本とロシア・CIS諸国との貿易経済交流活発化に資する活動を行うことを目的とする。特に、平成18年度においては、ロシア・CIS諸国の政治経済の安定化および世界経済への統合化の過程が進み、日本からの貿易・投資の機会が増していることを踏まえ、機械産業を中心とする具体的な日本企業のビジネスチャンスの拡大を見越した情報の収集および提供、ビジネスチャンスの機会拡大を行うことを最も重要な課題のひとつとしている。

 本事業は、貿易関係者は言うに及ばず、政府諸官庁および調査機関、大学等に非常に高く評価されており、更に事業の継続と一層の発展を期待されている。事業対象国の経済ビジネス情報の総合的な提供元としては日本で唯一の組織であり、特にロシアとの関係では、2003年末に日露貿易投資促進機構の設立が決定されたこともあり、ロシア・CIS諸国との貿易投資関係がこれまで薄かった企業の当該諸国との貿易投資関係を強化することを促し、機械工業関係等の日本企業の市場拡大に貢献することが期待され、事業の存在意義は大きい。

 

()実施内容

ア.ロシア・CIS諸国のグローバル経済化における機械産業の貿易投資可能性調査

()ロシア関係

 ロシアは200611月に、最難関といわれていた米国との二国間交渉の妥結に成功した。これで、ロシアのWTO加盟の可能性も現実的なものとなってきたといえる。ロシアのWTO加盟後は、自動車やコンピューター等の輸入関税が引き下げられる可能性が高く、日本企業によるロシア市場への機械輸出のポテンシャルはさらに高まるものと予測される。

 以上のような状況の中、WTO加盟後の、ロシアへの機械輸出あるいは同国での機械の現地生産をめぐる環境の変化の可能性を調査することは、日本の機械産業にとって非常に大きな意義がある。本事業では、日本の機械産業にとって最も重要な意味を持つと判断される自動車産業の環境の変化に特に焦点を当てた上で、報告書「ロシアのWTO加盟と機械産業動向」を作成した。

 

()その他CIS関係

 経済規模が小さくかつ構造的後進性を残す中央アジア諸国と日本の間の経済関係は、ロシア・東欧等、他の移行期諸国に比して発展が遅れがちである。しかし、機械輸出は例外的に順調な伸びを見せており、これはカザフスタン・トルクメニスタン等のエネルギー産出国が近年、日本の乗用車・建機等の市場として成長しつつあることと、インフラ整備関連の支援事業向けに一定の機械需要が維持されていることによる。今後、特に産油国においては経済発展の加速が予想されており、現時点において中央アジア諸国の貿易・投資に関わる法制度を調査・整理することは、将来的な機械輸出の振興に資するものとなることが期待される。

 こうした認識に鑑み、本調査では、中央アジアの地域大国であり、日本との関係も深いカザフスタン、ウズベキスタン両国の貿易・投資制度、ならびに実際の貿易・投資動向に関わる情報を広く収集・分析し、報告書「中央アジア諸国の外国貿易・投資環境と日本の機械輸出の可能性」を作成、日本企業の同地域への進出、ビジネスチャンス拡大に貢献した。

 

イ.対ロシア・CISのインフラ整備と機械設備需要調査

()ロシア関係

 ロシアでは、設備投資不足、杜撰な電源立地計画、好景気を背景とする電力需要の予想以上の伸び、ガス不足等の要因を背景に、最近、電力不足が顕在化してきており、早急な対応を迫られている。そして、これまで電力分野への設備投資に消極的であったロシア政府もようやく本腰を入れて、電力分野の設備更新という課題に真剣に取り組む姿勢を見せ始めている。さらに、石油ガス会社に代表される資金力を豊富に有するロシア企業は、電力不足が生産に否定的影響を及ぼすことを恐れ、国家に先んじて、自家発電設備の拡充のための具体的努力をすでに開始している。電力不足の深刻さを勘案すると、今後、ロシアの電力分野における設備投資額が急増する可能性が存在する。また、ロシアでは電力不足や化石燃料の消費抑制を目的に原子力発電所の新規建設が見込まれており、原子力発電設備への需要も予想される。日本企業にとっても、大きなビジネスチャンスが生じつつあるといえる。

 以上のような状況を踏まえ、ロシアの電力分野の全般的状況、石油ガス会社による自家発電設備建設の動き、および、ロシア原子力発電の全般的状況をまとめた報告書「ロシアの電力産業」を作成した。

 ロシアでは、電力産業向け設備投資資金の市場調達が活発化している中、ロシアの電力業界の現状を明らかにした本報告書は関連ビジネスチャンスの拡大に大きく貢献した。

 

()その他CIS関係

 ソ連解体後、中国をはじめとする周辺諸国との国境が開放されたことにより、中央アジア地域は、アジア〜欧州間の中継ルートとして注目を集めている。また、近年は急速な経済成長にともない、移出入や貿易が活発化し、中央アジア地域では物資輸送に対する需要も増大している。こうした中、さらなる経済発展と高まる需要の充足のために、中央アジア地域では、輸送インフラの整備が不可欠の課題となっており、各国政府も積極的なインフラ整備政策を策定している。こうした状況を鑑み、本調査では、平成1810月末〜11月初めにかけて調査員を現地に派遣し、中央アジア諸国の輸送インフラの現状とインフラ整備政策に関する情報を収集し、その結果を報告書「中央アジア諸国の輸送インフラの発展と機械設備需要」をまとめることにより、日本の機械産業の対中央アジアインフラ整備事業へのビジネスチャンス拡大に貢献した。

 

ウ.対ロシア・CIS産業貿易投資促進

()産業貿易投資促進ビジネスミーティング・セミナー実施事業

 日ロの経済関係発展の機運が高まるなか、これまで、ロシアになじみのない日本の企業もロシアへの関心を高めつつある。しかしながら、そのような日本企業は、ロシア企業との接点もなく、貿易投資のファーストコンタクトをどこに求めてよいのか、戸惑うことが多い。対ロシア産業貿易投資促進事業は、ファーストコンタクトおよび具体的ビジネスミーティングに繋がるように、日本企業とロシア企業の貿易投資の促進を目的に実施された事業である。ロシアから2名の実務に詳しい経済専門家を招聘し、平成19130日に「ロシアビジネス環境セミナー―ソ連解体後15年のロシア経済と極東開発の展望―」を東京で実施し、約50名の参加があり、また、平成1922日に福岡で、同様の「ロシアビジネス環境セミナー(福岡開催)」を実施し約70名の参加があった。

 

()ロシア及びCIS諸国との機械産業ビジネス交流促進事業

 現地で開催されるフォーラム、会議に出席して、ロシア、CIS諸国との人的交流を行い、企業訪問、関係地域への訪問調査等を実施することにより、通常では入手困難な情報を収集し、日本企業のロシアおよびCIS諸国に対する関心に応え、ビジネスチャンスの拡大に貢献した。また、在モスクワに日本企業の責任者(事務所長、現地法人社長等)と頻繁にコンタクトし、業界の現状を把握した。さらに、モスクワ事務所のメールマガジンを11回発行し、会員、関係機関等にロシアの産業、経済、科学技術等に関する情報を提供した。

 

2.予想される事業実施効果

ア.ロシア・CIS諸国のグローバル経済化における機械産業の貿易投資可能性調査

()ロシア関係

 ほとんどすべての日本の自動車メーカー(商用車メーカーも含む)や部品メーカーが、ロシアへの輸出の強化や直接投資の可能性を検討していることもあり、本報告書への関心は高く、本事業の実施により、自動車関連企業を中心とする日本企業のロシアでの事業展開に具体的に貢献することが期待される。

 

()その他CIS関係

 報告書を企業、政府関係者に配布することにより、中央アジア諸国の貿易・投資に関わる制度的現状を関係者に知らしめ、日本企業の進出を支援するとともに、政府関係者に対しては同諸国の貿易・投資制度の現状を問題点を含め知悉させ、その向上へ向けた働きかけの準備に資することが出来るものと期待される。

 

イ.対ロシア・CISのインフラ整備と機械設備需要調査

()ロシア関係

 報告書を企業、政府関係者に配布することにより、国内の電力不足を契機とする電力産業向け設備投資資金の市場調達を背景とする発電設備に対する需要が拡大しつつあるロシアの電力業界の現状を関係者に知らしめることができ、発電設備に関するビジネスの可能性を開拓することができた。

 

()その他CIS関係

 報告書を企業、政府関係者に配布することにより、中央アジア地域の輸送インフラの現状と各国のインフラ整備政策を関係者に知らしめることによって、輸送インフラ整備を中心とするビジネスの可能性を開拓するとともに、政府関係者には中央アジアの輸送インフラの現状とインフラ整備政策を知悉させることができるものと期待される。

 

ウ.対ロシア・CIS産業貿易投資促進

()産業貿易投資促進ビジネスミーティング・セミナー実施事業

 2回のセミナーの実施により、対ロシアビジネスの関心拡大に寄与し、日本の関係業界の対ロシアビジネスの案件拡大が期待される。

 

()ロシア及びCIS諸国との機械産業ビジネス交流促進事業

 ロシアおよびCIS諸国の動向は予断を許さないので、的確な情報源を発掘し、接触することが緊要である。特に、市場経済化が進み、政府関係以外の民間部門の動向が重要な役割を占め、他方、日本側のこれら諸国への関心も高まっており、ビジネスチャンスを逃さないためにも、ロシアおよびCIS諸国に関する各種情報の収集並びに人的交流の必要性はますます重視されることになると期待される。

 

3.本事業により作成した印刷物等

ア.ロシア・CIS諸国のグローバル経済化における機械産業の貿易投資可能性調査

()ロシア関係

 報告書「ロシアのWTO加盟と機械産業動向」  

()その他CIS関係

 報告書「中央アジア諸国の外国貿易・投資環境と日本の機械輸出の可能性」

 

イ.対ロシア・CISのインフラ整備と機械設備需要調査

()ロシア関係

 報告書「ロシアの電力産業」

()その他CIS関係

 報告書「中央アジア諸国の輸送インフラの発展と機械設備需要」

 

ウ.対ロシア・CIS産業貿易投資促進

()産業貿易投資促進ビジネスミーティング・セミナー実施事業

 該当なし

()ロシア及びCIS諸国との機械産業ビジネス交流促進事業

 報告書「ビジネスディレクトリー 2007

 

4.事業内容についての問い合わせ先

団 体 名: 社団法人 ロシアNIS貿易会(ロシアエヌアイエスボウエキカイ)
住  所:  104-0033  東京都中央区新川1-2-12 金山ビル
代 表 者:  会長 西岡 喬(ニシオカ タカシ)
担当部署:  総務部(ソウムブ)
担当者名:  調査役 井上 美佐子(イノウエ ミサコ)
電話番号:  03-3551-6215
FAX 番号:  03-3555-1052
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