ジエンベコフ外国投資誘致大統領特別代表プレゼンテーション

 

尊敬するご出席の皆様。

「キルギス ビジネス チャンス」というテーマでプレゼンテーションを行います。主な内容をご紹介いたしますと、我が国について簡単に紹介した後、マーケットアクセスの問題、経済改革の問題、そして投資促進政策について述べ、なぜキルギスタンが皆様の投資先として魅力的なのか、我が国でビジネスを行うことの長所・利点をお話ししたいと思います。また、重点分野についてお話しいたします。

基本的なデータは、面積は20万㎢、人口は500万人、国語はキルギス語、首都はビシュケク、通貨はスム、その為替レートは過去一年間の平均で1ドル43スムとなっています。

キルギスタンは山国のため、しばしば中央アジアのスイスと呼ばれています。原生林があり、大変美しく魅力的な山、谷、川があります。外国からのお客様は豊かな自然、豊かな文化、歴史を知ることができます。

有名なイシククリ湖もあり、中央アジアの真珠とも呼ばれています。この湖畔には中央アジアで有名なリゾート地が広がっています。

ビシュケクは首都で国際都市です。80以上の民族が住み、日本人も住んでいます。1995年の国勢調査では13名の日系または日本人が登録されました。

産業について。我が国で現在行われている産業政策の特徴は、重点分野を発展させること、輸出促進、そして外資を導入して競争力豊かな企業を作ることです。重点分野とは、水力発電、採掘鉱業、農産物加工、そしてITです。まさに日本企業が得意とする分野ではないかと我々は考えています。現在、我が国の経済活動は安定軌道に乗っています。ビシュケクに自由経済特区があり、ここでは外資は完全に免税となっています。自由経済特区では航空機の組み立てが行われています。これはA27という航空機で、機体はキルギスタン、機器はロシア、エンジンはオーストリアで作られています。また、米国の縫製企業「ヴォラールアパレル社」があり製品は100%米国に輸出されています。

皆様の関心は我が国へ具体的にどのような投資が行われているか、どういう経済協力が行われているかにあると思いますので、具体例ご説明いたします。積極的に活動しているのはガラス製造会社「インターグラス」で、品質の良い窓ガラスを作っています。インターグラス社は100%ドイツ資本の会社です。

有力な輸出企業として電球会社があります。これはロシアとの合弁企業です。また、キルギスタン特有の清涼飲料水を製造している「ショロ」という新しい会社があります。

 

次に、地理的戦略的位置について説明します。我が国はアジア・ヨーロッパ大陸の中心に位置しており経済的にも有利な位置にあります。交通ルート、商品の流れ、金の流れ、情報の流れ等様々な最短ルートの交差点にあります。

中国、インド、ロシアといった合計で30億の人口を持つ巨大マーケットへのアクセスが3〜4時間の飛行で実現します。大きな経済発展のポテンシャルがあると言えます。

 

自動車道路網は非常に発達しています。中央アジアからロシアへ、そして欧州へつながるわけです。また中国ともダイレクトにアクセスしています。現在鉄道がありますが、鉄道の出口は2つあります。北からはカザフスタンを通ってロシアの西へも東へも行くことが可能で、南からはウズベキスタンを通ってカザフスタンの都市へとつながっています。

現在検討中のプランには、ウズベキスタン、キルギスタン、中国という新しい鉄道が考えられています。欧州と中国の大きな二大鉄道網がつながることになり、パリ〜上海間の最短ルートができ上がるはずです。

上の表は巨大マーケットへ向かうためにかかる時間を示しています。なお、2003年にナホトカ〜アルマトィ間の急行コンテナルートができ、現在9日間で結ばれています。また下の表では、ハンブルグや東京への輸送費が書かれています。東京へはイランのバンダレアッバース港からコンテナ輸送した場合4,300ドルとリーズナブルな金額となっています。

次に、経済改革について申し上げます。1990年代の始めにキルギスタンは市場経済へ向けて経済改革を始め、まず最初に民営化を進めました。1993年には新しい通貨スムが制定されました。1998年にはWTOに加盟し、同時に土地私有制度が導入されました。2000年には様々な面でマクロ経済の指標を安定化させることができました。現在、マクロ経済の面でも安定した成長を見せています。

このスライドではGDPの傾向を示しています。我が国の経済改革が順調であることを示しています。GDPは右肩上がりとなっています。

こうした状況をさらに維持していくために、アカエフ大統領の提唱により、また世銀や日本政府等の協力により、2010年までの発展計画が策定されました。これは相互フレームワークと呼ばれていますが、その内容はガバナンスの効果と透明性を上げること、公正な市民社会を作ること、そして経済の安定成長です。この目標を達成するために、我々はシステマティックに改革を行っていきたいと考えています。総合的に行い様々な課題を解決していきます。

 

 

様々な課題とは、行政改革、法制度の改革、財政改革、福祉制度の改革、また市民社会の強化、そして新しい経済政策を実現していきます。

この経済政策の中で、2010年までに貧困のレベルを2分の一にすること、GDPは5〜7%の成長を維持すること、GDPの20%を経済の投資に向けること、輸出の拡大を年10%にすること、そして何よりもダイレクトの民間外資の導入を図っていくことが挙げられています。

 

 

 

 

貿易に話を移しますと、現在キルギスタンはすでに世界97ヵ国と貿易を行っています。我が国は1998年にWTOに加盟し世界の145ヵ国と最恵国待遇で貿易できるようになりました。我が国の貿易制度は大変リベラルなものです。現在は自由貿易圏を8ヵ国(カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、アルメニア、モルドヴァ)と作っています。数量制限は貿易にありません。また、我が国の法制度は国際標準に完全に見合っています。2003年に我が国は法律面でも信頼できる貿易パートナーとなったと考えます。

上の表が示すように、我が国はCIS諸国とばかり貿易しているわけではなく、CIS諸国以外の国との貿易が増加しています。これはすなわち貿易パートナーとしての我が国の評価が上がっていることの証明と考えます。

過去2年間の貿易の中で輸出入とも増加していますが、特に輸入が増えています。しかし分析によると主に生産設備の輸入が行われているため、数年後にはこれが輸出に向かうであろうと思われます。

貿易品目の内訳は、輸出は非鉄金属、電力、農産物、電気機器、繊維製品等で、輸入は燃料エネルギー、設備、機械、化学製品、消費物資等です。

 

 

 

 

上の表は外資導入に関するもので、すでに我が国には3,500の合弁企業が設立し、2,500の100%外資企業があります。そのうち、キルギスと日本の合弁会社は14社、100%日本資本の会社は6社登録されています。

直接海外投資では改革が順調に進んでいることを示しています。ここ数年は特に外国からの投資が増えてきています。

 

 

 

 

 

なぜ他の国ではなくキルギスタンが良いのか、という問いに対する答えとしてまず先に述べましたように巨大な市場、つまり中国、インド、ロシアへのよいアクセスがあることで、日本人および日本の企業家に対してはビザなし滞在制度が作られています。また生産コストが非常に安いということがあります。

賃金はCISの他の諸国と比べてもかなり低く、アジアの途上国と比べても低いかあるいは同等です。高い生産性を持つ企業を日本の資本で設立することができると考えます。OECDの調査によると、我が国の識字率は大変高く、工学系、化学系の大卒者が多いため、安くて質の良い労働力の確保が容易です。こういう状況では、いわゆるハイテク産業を発展させる可能性が我が国にあるといえましょう。

現在、様々な投資環境の改善が行われています。マーケット経済への改革を一貫して進めており、通信エネルギー分野での民営化を進め、非常にリベラルな貿易体制、為替体制を持っており、全てのセクターが外資にオープンになっており国家の介入がなく国家が不法な行為をすることはありません。またWTOに加盟しEUとも良い関係を持っていることも長所であり、インフレ率が低く政治的に安定していることも長所として挙げることができます。

日本企業にとってキルギスタンとは、という質問に対して日本の専門家の研究では、今後CISや西中国、インド、アフガニスタンへ進出していくための拠点にキルギスタンがなる、というものがあります。我々は実際に、加工業、製造業の拠点となること、ビジネスセンターになること、銀行やファイナンス、企業ファンド等をマネージメントする中心になれるよう様々な政策をとっています。

 

では、個々の産業分野について見てみましょう。軽工業では、原料の生産から最終製品の製造まで全てのサイクルが整っています。この分野では150の大企業、700の中小企業があり、縫製企業ではオーバー、ワンピース、靴下、スーツ等の工場があります。また、革靴工場、毛皮工場、ウール、綿、生糸を作る工場もあり、極めて競争力の高い企業も中にはあります。

食品加工業では現在有力な企業ができてきています。特に輸出力のある企業は、タバコ、食肉、蜂蜜、アルコール、ミネラルウォーター、ワイン、お菓子等の企業です。86%の製品がCIS諸国へ輸出されています。さらに遠くまで輸出されているのはタバコと砂糖です。タバコが国際的に輸出できるようになったのはドイツ企業のReemstmaが工場を造り年70億本のタバコを製造するようになったからです。

次に鉱業、冶金業、製鉄業ですが、我が国の鉄鉱石の埋蔵量は130億tと予想されています。さらに安い電力、コークス炭、タングステン、希土類があるため、製鉄業、精鉱業を創設するために有利なポテンシャルを持っていると思います。金については1,000以上の金山があり、中でもクムトール金山はCISの中で第3位の埋蔵量を誇り717tの金が埋蔵されていると推定されています。現在カナダ企業のカメコが開発を行っており年間20tの金が採掘されています。タングステンと錫のトゥルダヴォイ鉱山があり、その他にアンチモン、水銀の鉱山もあります。

機械産業、電子産業では126の企業があり、このうち32は大企業です。金銀も原材料もエネルギーも水も全ての資源が安いため、この分野でも発展の可能性が見込まれます。

水力発電について、キルギスタンは水力に恵まれており専門家の予想では1,400億kW時の生産が可能ということです。ただ現在はその10%しか使用されていません。現在、20の発電所があり、18が水力発電所、2箇所が火力発電所です。現在の高圧送電線は1万km以上に伸びています。さらに中国、パキスタンへの高圧送電線の建設を計画しています

 

 

ITソフトウェア分野は国の将来的な発展のための重要な分野として重点的な発展を考えています。何よりも行政のIT化を考えており、全体としていわゆるE-エコノミーを作ろうと考えています。そのために何よりも人材の育成が重要です。現在はどこからでもインターネットへのアクセスができるようになっており、アクセスは爆発的に増えています。

次に、観光業について触れたいと思います。我々はもちろん日本を含む多くの国の多くの観光客に来てほしいと望みます。誰がどういう目的でキルギスタンを訪れるか分析したところ、欧州からは主にアウトドア、登山等に関心を持つ人々が訪れ、中国や東南アジアからの観光客は自然を見る、保養する、名所旧跡を観光するという目的でやってきます。

上のスライドには皆様のパートナーとなる主な旅行代理店が記されています。

流通、運輸、金融セクターにおいても我々はリーズナブルなビジネスセンターになること、トランスヨーロッパの中心になること、そして生産基地になることを狙っています。

 

 

 

 

 

輸送業は国際的なクーリエ企業、有名な運輸会社、輸送会社、宅配会社の支店がすでにビシュケクにあります。また、流通・物流の面では倉庫会社、物流センターの大きなものがビシュケクに30もできています。

ここで皆様に特にご紹介したいのは、キルギス・日本インダストリアルパーク(KJIP)です。日本政府の支援により、そのコンセプトはすでにできています。その目的は日本からの資金を誘致するというものです。インフラは皆様に便利なように考えられています。KJIPでは、生産のためのインフラを発展させ、営業、活動コストを低く抑える、税金を低く抑え優先権等を与える、流通センターを作る、マーケティングサービスを行う、通訳等のビジネスサポートをする、トレーニングセンターを作る、情報センターを作る、といったことが考えられています。また、キルギスタンはこのKJIPを作るにあたって、日本政府と協定を結ぼうと考えています。きちんとどういう優遇措置があるのかを協定に書きたいと思います。これは国際協定になるため、キルギスタンの国内法よりも優位性を持つしっかりとした協定を結びたいと考えています。

 

現在、こうした地区が決まっており、様々な配置も計画されています。230haがすでに割り当てられており、コンピューターグラフィックスで示したインダストリアルパークは上の図のようになっています。

KJIPに参加する以外にも様々な投資の可能性はあります。例えば、水力発電所の建設・改修事業、国営企業の民営化への参加、鉱物資源の開発、農産物の加工等についても協力、投資は可能と考えます。

 

 

 

 

 

具体的に我が国企業からも投資に対するオファーがあります。

 

 

 

 

 

 

最後に、我が国は中央アジアのハイテク産業の工場、有数な観光地、様々な取引が行われる物流・ファイナンスのセンターとなることを目指しています。

キルギスタンは日本の皆様にとって、今後、中央アジア、中国、アフガニスタン、インドへ進出していくための信頼できるパートナーとなることでしょう。