「中央アジア+日本」行動計画

2006年6月8日

 

 6月5日に東京で「中央アジア+日本」対話外相会合が開催され、「『中央アジア+日本』対話・行動計画」が採択されました。以下で、そのテキストを紹介いたします。なお、このなかで当会の事業についても2ヵ所言及されております。

 


 

「中央アジア+日本」対話

行動計画

 

 日本国、キルギス共和国、タジキスタン共和国及びウズベキスタン共和国の外務大臣並びにカザフスタン共和国政府特使(以下「各国代表」という。)は、2006年6月5日に東京において「中央アジア+日本」対話第2回外相会合を開催し、2004年8月の第1回外相会合で立ち上げられた新たな枠組みの下での協力の進捗を振り返るとともに、今後の協力、特に地域内協力の推進について討議した。

 各国代表は、中央アジア地域の安定及び発展が、ユーラシア大陸、ひいては国際社会全体の平和及び繁栄にとって重要であるとの認識で一致した。

 各国代表は、中央アジア諸国が社会の民主化及び市場経済化の推進、生活水準の向上、テロ及び貧困の撲滅、人権擁護に向けた努力を継続・強化することが極めて重要であることを確認した。日本国外務大臣は、これらの面での中央アジア諸国の一層の努力への期待を表明すると共に、このようなプロセスを引き続き支援する意向を再確認した。

 各国代表は、「多様性の尊重」、「競争と協調」及び「開かれた協力」が「中央アジア+日本」対話の基本原則とされていることを想起しつつ、「多様性の尊重」との関連で、文化・文明の相互理解強化の重要性を強調した。

 各国代表は、国際社会における相互依存及びグローバル化の進展の中で、中央アジア諸国が共同して、地域共通の課題に対処し、共同市場の形成に向けて、地域内協力を進めることの重要性が一層高まっていることを踏まえ、「中央アジア+日本」対話の枠組みにおける協力は、地域内協力に向けた中央アジア諸国の自主的な努力を促進させ、地域の安定及び持続的な発展に大きく寄与し得るとの認識を共有した。その関連で、各国代表は、中央アジアの隣人であるアフガニスタン・イスラム共和国の適切な関与を得ることが、地域内協力の効果を高めうるとの共通の認識の下、今回の外相会合にアフガニスタン・イスラム共和国外務大臣がゲストとして参加したことを歓迎した。

 各国代表は、高級実務者会合での議論の結果を踏まえ、政治対話、地域内協力、ビジネス振興、知的対話及び文化交流・人的交流を本対話の枠組みにおける協力の柱とすることで一致した。また、各国代表は、この5つの柱について、「行動計画」を以下のとおり採択した。「中央アジア+日本」対話の下での協力を持続可能なものとするため、「行動計画」の進捗状況は、高級実務者会合他の場を通じ定期的に検討される。

1.政治対話

1)「中央アジア+日本」対話の枠組みにおける対話

·  中央アジア諸国は、今回の外相会合開催に係る日本のイニシアティヴを評価した。日本と中央アジア諸国とは、今後とも「中央アジア+日本」対話の枠組で外相級の対話を定期的に実施する。

·  日本及び中央アジア諸国は、将来、「中央アジア+日本」対話の枠組みでの首脳会合を開催する可能性を追求する。

2)国際場裡での協力

·  日本及び中央アジア諸国は、国連システムの諸機関その他の国際機関の枠組みでの協力を更に強化するため全力を尽くす。

·  日本及び中央アジア諸国は、21世紀の国際社会が直面する様々な脅威に効果的に対処するためには、国連システムを改革することが喫緊の課題であると強調した。特に、平和及び安全の維持において主要な役割を担う安保理を改革するために、ともに作業する必要がある。また、国連改革、特に安保理改革の核心は常任・非常任双方の議席数の拡大である。中央アジア各国は、日本が国際社会において更に政治的な役割を強化することへの期待を表明し、日本の常任理事国入りを一致して支持することを確認した。

·  日本及び中央アジア諸国は、国際的な大量破壊兵器の軍縮不拡散体制の維持・強化に向けたパートナーとして、2010年NPT運用検討会議プロセスを含めた協力を行うとともに、IAEA追加議定書の普遍化、核セキュリティー及び原子力安全の確保に向けて協力する。

·  中央アジア非核兵器地帯条約案及び議定書案について、日本は、すべての関係国の同意等を条件に中央アジア地域の安定及び安全保障に資する本非核兵器地帯創設を支持しており、本非核兵器地帯条約起草支援のため42万ドルを国連事務局に拠出するといった財政支援等を実施している。中央アジア諸国は、本条約の早期署名に向け核兵器国を含む関係国間の協議を実施する。

·  日本及び中央アジア諸国は、国際連合、アジア信頼醸成措置会議、アジア協力対話の枠組みによるものも含めて、アジアにおける平和と安定を推進する諸問題に係る協力を継続する。

2.地域内協力

 効果的な地域内協力を実現するためには、中央アジア諸国の主体的な取組と相互信頼関係の構築が不可欠である。中央アジア諸国は、地域全体及び各国の持続的な社会経済発展のため様々な困難を乗り越え協力を一層進める決意である。日本は、このような中央アジア諸国の主体的な努力を補完し、同諸国の相互協力を促進するため、地域内協力に対して支援を行っていく意図を再確認した。

1)テロ・麻薬対策

·  中央アジア諸国は、テロ、麻薬を効果的に取り締まるため、域内での情報交換及び国境管理の強化を含む広域的な取組を強化する。

·  また、中央アジア諸国は、特に青年の間に宗教的過激主義思想が拡散しないよう協調して取り組むと共に、対策の効率性の向上に努める。

·  各国は、国境の管理及びその確実な保全の重要性を指摘する。特にこの問題は、アフガニスタンと長い国境を接するタジキスタン共和国にとって喫緊の問題である。日本は、要請があれば、タジキスタン及びアフガニスタンの国境管理能力の向上のための支援を検討する用意がある。

·  日本は、要請があれば、関心を有する他の中央アジア諸国に対しても、国境管理能力の向上のための機材の供与を含む必要な援助及び技術支援を検討する用意がある。

·  中央アジア諸国家間の協力とこれら諸国及びアフガニスタンに対する日本の支援を結合することによって、この分野における取組は、その効果を倍加することとなる。

·  日本は、2005年に中央アジア諸国及びアフガニスタンを対象として実施された麻薬探知犬セミナーや中央アジア諸国の専門家の受入研修等、中央アジア諸国の国境管理能力強化の一環として、税関職員の能力の構築に関する協力を行ってきており、また、テロ事件捜査、麻薬対策等の研修に中央アジア諸国の非軍人である専門家を受け入れる用意がある。日本は、必要に応じ、大量破壊兵器及び汎用品の不拡散の観点から輸出管理についての協力を検討する用意がある。

·  国際テロ対策は世界共通の課題であり、日本及び中央アジア諸国は、関係当局間の協議を実施する。

2) 対人地雷除去

·  中央アジア諸国は、自助努力及び国際社会の支援を通じ、自国内の地雷除去対策を講じている。

·  日本は、中央アジア諸国における対人地雷禁止条約の普遍化の重要性に関する自らの立場を再度確認する。

·  日本は、これまでにも、タジキスタンに対する地雷敷設場所の標識設置支援等を実施しており、今後とも地雷対策分野における支援を継続していく用意がある。

·  日本は、キルギス及びタジキスタンにおいて要請があれば、地雷被害者支援に資する草の根・人間の安全保障無償資金協力及び地雷除去機関への技術支援の実施を検討する用意がある。

3)貧困削減

·  中央アジア諸国は、各国の実情に即した貧困削減戦略文書(PRSP)又は福祉改善戦略文書(WISP)の策定若しくは改訂及びその実施に取り組み、地域間格差の是正の必要性に留意しながら、国民の生活水準の向上に努める。

·  中央アジア諸国は、日本が中央アジア各地において実施してきた、学校の修復、病院への機材供与等の草の根・人間の安全保障無償資金協力(2004〜2005年度の累計113件)を高く評価した。日本は、要請があれば、今後とも農村等貧困地域に対し同様の支援を行っていく用意がある。

·  日本は、この問題の重要性を認識し、世銀の日本特別基金である開発政策・人材育成基金からの拠出により、雇用促進にもつながるフェルガナ盆地のタジキスタン領内における灌漑用治水事業を支援している。また、日本は、キルギス及びウズベキスタンの日本センターを通じた、同盆地の主要都市における小規模起業セミナーの実施を検討する。

·  日本は、アラル海周辺地域(ウズベキスタン共和国のカラカルパクスタン)の保健改善面を含む地域開発計画を策定するための調査を実施する。また、日本は、中央アジア諸国側より要請があれば、他のアラル海周辺地域において同様な調査を実施する可能性につき検討する用意がある。

4)保健医療

·  中央アジア諸国は、HIV/AIDS、鳥インフルエンザ、結核等の感染症への対策には、情報交換及び協力体制の構築を含む地域協力が重要であるとの認識を共有し、今後感染症対策のための地域内ネットワークの充実に努める。

·  日本は、既に、ウズベキスタンと共同で、若者及びハイリスクグループを対象とするHIV/AIDS予防対策事業を実施した。今後中央アジア諸国からの要請があれば、日本は、感染症対策のための更なる支援を行っていく用意がある。

5)環境保護

·  中央アジア諸国は、国境を越える環境問題への対処のため相互の協力を強化していく決意を表明した。

·  中央アジア諸国は、日本が中央アジア全域の環境対策の調査を実施し、プロジェクトの形成に取り組んでいることを高く評価した。

·  日本は、2004年度及び2005年度において水質モニタリングに関する研修に中央アジアの専門家を受け入れており、引き続き、同研修を通じて中央アジア各国が共通の手法で国際河川の水質をモニターするための技術協力を実施する。

·  カザフスタン及びウズベキスタンは、地域住民の健康に悪影響を及ぼしているアラル海の環境問題に係る協力を継続する意図を表明した。この関連で、カザフスタンは、日本が世銀の日本特別基金開発政策・人材育成基金から、シルダリア河口及び北部アラル海の環境保護事業に対する拠出を決定したことを評価し、また、この地域における更なる砂漠化、土壌の塩類化作用及び浸食を防止し、このような悪影響から住民を保護することを目的として、アラル海の枯渇・旧湖底露出地区及びその周辺に植林を行う日本のNPOの活動を歓迎した。日本は、この植林プロ ジェクトの効果が確認されれば、規模を拡大して実施する可能性を検討する。

·  各国は、地域の環境改善のため、一国を超えて影響を及ぼす産業施設及び放射性廃棄物貯蔵場を含むその他の施設が周囲の環境や近隣住民の健康に及ぼす悪影響を低減するためのプロジェクトを検討する必要があると考える。

6)防災

·  各国は、カザフスタンが2007年のアジア防災会議を主催する予定であることを歓迎した。

·  中央アジアは、洪水、土石流、地震等の自然災害が頻発する地域である。中央アジア諸国は、効果的な防災対策を構築するために地域内協力を進める重要性を認識し、今後、災害時の相互支援体制等を含めた共通の防災対策を策定する意図を表明した。日本は、このような対策の実現を支援する用意がある。

·  中央アジア諸国は、過去3年間にわたるアジア防災センターにおける防災行政研修及びカザフスタンにおける地震対策支援を初めとして、日本が防災分野で有する豊富な知見に基づき実施してきた支援を高く評価した。日本は、タジキスタン共和国において、ピアンジ河での自然災害予防計画調査を開始した他、今後、アルマティの地震対策や、ウズベキスタンでの地滑り対策支援の実施を予定しており、これらの支援の成果を域内各国が共有するよう奨励する意向である。

·  日本は、中央アジア各国より具体的な要請がなされる場合には、地震や地滑り等の防災面分野において可能な支援を検討する用意がある。

7)エネルギー/水

·  各国は、中央アジア地域の石油及び天然ガス資源の供給ルートの多角化と生産の増加は、国際エネルギー市場への安定供給を確保するために有益であると指摘した。

·  中央アジア諸国は、地域内の水資源及びエネルギー資源の合理的な利用に向けた協力を進める決意を表明した。

·  日本は、中央アジア諸国の間で水資源と電力の最適利用のための基本的な合意がなされることへの期待を表明すると共に、将来、中央アジア諸国間の具体的な協力の方向性が固まる場合には、技術的な助言をはじめとする協力の可能性を検討するとの意図を表明した。

·  水資源利用の節約は重要な地域的課題であり、日本は、水利組合の育成、上水道システムの改善等の既に実施中の研修に加え、2006年度より地方都市給水に関する研修を実施する。

·  日本は、2006年度より中央アジア各国の電力専門家を対象とした研修を実施する。

·  中央アジア諸国は、発電及び域内外への給電能力の向上に努める。

·  日本は、中央アジア側の要請があれば、電力システムの安定性及び信頼性の向上に向けた支援を、中・長期的課題として検討する用意がある。

8)貿易・投資

·  中央アジア諸国は、域内外の貿易及び投資を活性化するために中央アジア地域が人口5700万人の共同市場として統合されることが重要であるとの認識を共有し、中央アジア共同市場の実現に向け、税関手続の標準化、簡素化など地域内協力を進展させる決意を表明した。

·  この関連で、日本は、中長期の地域経済協力政府間プログラムの早期策定及び日本からの投資、商品、技術の中央アジアへの流入拡大のための環境整備に向けた中央アジア諸国の取組を支援する用意がある旨を表明した。

·  日本及び中央アジア諸国は、中央アジア諸国のWTOへの加盟を通じた世界経済への統合が、同地域の繁栄の鍵である旨の認識を共有した。地域共同市場の創設もWTOルールと整合的なものとなる必要がある。中央アジア諸国は、早期のWTO加盟を実現するためにも、貿易及び経済活動に関する法制度整備を含め市場経済化に向けた改革努力を倍加する決意を表明した。

·  小泉純一郎日本国総理大臣は、昨年12月にWTO香港閣僚会議を前に貿易を通じた途上国の持続的開発を支援するための「開発イニシャ ティブ」を発表した。このイニシャティブは、貿易を構成する「生産」、「流通・販売」及び「購入」の3つの局面において、様々な支援を組み合わせながら包括的な支援を行うものである。日本は、WTO加盟国のキルギスだけでなく、未加盟の中央アジア諸国においてもこのイニシャティブの下での協力を行う用意がある。

·  日本は、中央アジア諸国のWTO加盟を支持しており、既にカザフスタンからの研修員受け入れ並びにカザフスタン及びウズベキスタンへのWTO加盟交渉に係る専門家派遣を実施してきた。同様の専門家派遣をタジキスタンに対しても実施する用意がある。

·  中央アジア諸国は、日本がADB、WCOと共催で中央アジア諸国等を対象とする税関上級管理者セミナーを実施するなど税関分野の協力を行っていることを評価した。日本は、引き続き、中央アジア諸国の税関システムの改革・近代化を目的として国際機関との協力による支援を検討する。

·  中央アジア諸国は、地域経済協力の先行例であるASEANの経験が中央アジア共同市場創設に向けて参考になり得ると認識する。日本は、中央アジア所在の日本センターにおいて、ASEANの経験を紹介するセミナーを開催することを検討する。

9)輸送

·  中央アジア諸国は、日本がこれまで実施してきた、西カザフスタンの道路、ビシュケク・オシュ間の道路(キルギス)の整備、カザフスタン、キルギス及びウズベキスタンの空港の改修・近代化、さらに実施中のウズベキスタン南部の鉄道建設等、地域の輸送力の向上に資する支援を高く評価した。

·  中央アジア諸国は、中央アジアからアフガニスタンを経由する南方への輸送ルートの整備が、内陸に位置する中央アジア諸国の発展及び繁栄にとり重要であるとの認識を共有する。この関連で、中央アジア諸国は、中央アジア地域経済協力(CAREC)の枠組みでの地域輸送網整備を推進するとともに、国連の枠組みでの地域輸送網の統合の分野における協力を強化する意図を表明した。

·  日本は、南北間の輸送ルートを確立するための一助として、タジキスタンの要請を受け、アフガニスタンとタジキスタンとの国境を結ぶ橋梁に接続するニジノピャンジ・ドゥスティ間の道路整備を実施する予定である。さらに、ドゥスティから北方のクルガンテュベまでの道路整備に対する支援の他、中央アジア各国の道路の維持管理のための協力を検討する。

3.ビジネス振興

·  中央アジア諸国は、カザフスタン、キルギス及びウズベキスタンに所在の日本人材開発センターが、日本の経験に基づく戦略的企業経営、生産・品質管理、企業人材育成、産業政策等に係るビジネスコースを実施し、中央アジアの行政官及び企業人の育成に貢献してきたことを高く評価した。

·  中央アジア諸国は、日本とのビジネスを進展させるためには、貿易及び投資の環境の改善に努めると共に、中央アジア諸国が一体となって市場及び投資先としての魅力をアピールする努力を強化することが必要であるとの認識を共有し、JETRO、日本センター、在京大使館、社団法人ロシア東欧貿易会等を通じた情報発信を強化する。

·  日本及び中央アジア諸国は、地域横断的なプロジェクトの検討などを目的として、官民合同の「中央アジア+日本」対話経済作業部会(WG)を設置する意図を表明した。

·  カザフスタン及びウズベキスタンは、日本企業が抱える諸問題を明らかにするため、それぞれ現地駐在の日本商工会と定期的な協議の枠組みを作る意図を表明した。また、中央アジア諸国は、日本と中央アジアの企業間交流を促進するための、「ビジネス・フォーラム」及び「円卓会議」を開催する予定である。日本、キルギス及びタジキスタンは、これらの諸国において日本のビジネスを促進する問題について協議するメカニズムを構築する可能性を検討する。

·  中央アジア諸国は、日本に自国の商工会議所を設置する問題を検討する意図を表明した。

·  日本は、全ての中央アジア諸国が関心を示す場合には、日本における「中央アジア・ビジネスセミナー」の開催につき支援する用意がある。

·  日本は、中央アジア諸国のビジネス界を支援・強化するため、中央アジア所在の日本センターやロシア東欧貿易会を通じ、引き続き中小企業振興支援を行う。

4.知的対話

·  日本及び中央アジア諸国は、知的交流は政治対話の進展、中央アジア諸国の経済統合の展望に係る立場の摺り合わせと協調した行動、多面的協力の新たな分野の発掘に資すべき重要な要素である旨を強調した。

·  中央アジア諸国は、本年3月30日、日本外務省の主催により中央アジア各国及び日本の有識者による「中央アジア+日本」知的対話(「東京対話」)が成功裡に開催され、政府間対話への提言を行ったことに留意した。

·  各国は、このような「トラック2」としての対話チャネルを維持し、有識者間の交流を促進することは、日本と中央アジア諸国との関係に厚みを与える上で重要であるとの認識を共有した。日本は、今後、知的対話を毎年開催する意図を表明した。

5.文化交流・人的交流

·  日本との相互理解促進のため、中央アジア諸国は日本における文化紹介事業の実施に努め、日本は中央アジア諸国における日本文化紹介事業の実施に努める。カザフスタン及びウズベキスタンは、2006年に日本において文化・芸術祭を開催する。

·  中央アジア諸国は、日本への留学生派遣の拡大に努める。日本は、ウズベキスタンに続きキルギスに対して留学生支援無償資金協力を実施する。

·  中央アジア諸国は、2004年8月の第1回外相会合の際の共同声明で、日本が3年間にわたり中央アジア地域から約1000名の研修員を受け入れる方針が謳われたことを想起し、日本が、2004年度から2005年度にかけて800名以上の研修員を受け入れ、着実に人的交流が活発化していることを評価した。日本は、今後も同地域からの研修員受入れ等を通じた協力を進めていく意思を表明した。

·  日本及び中央アジア諸国は、高等教育機関間の直接的な提携関係の構築を歓迎する。

·  この関連で、中央アジア諸国は、日本の名古屋大学が中央アジア諸国を対象に法整備支援活動を継続し、2005年9月にタシケント国立法科大学内に日本法教育研究センターを開設したことを高く評価した。また、筑波大学がタシケント東洋学大学と協力し、設立の準備を進めている「中央アジア国際連携センター」構想を歓迎し、同センターが中央アジア諸国の各大学とネットワークを構築し、日本語及び日本研究の分野での交流や共同研究の拠点となることへの期待を表明した。

·  中央アジア諸国は、観光振興が国民間の相互理解に資するものと認識し、日本の旅行会社が中央アジアへの旅行企画商品の造成と販売を促進していることを歓迎するとともに、日本からの一層の観光客増加のため、日本旅行業協会主催セミナーでの広報活動、観光広報ミッションの日本派遣、交通手段の利便性の改善、日本人団体観光客に対する査証手続の簡略化等に努める。この関連で日本は、キルギスが日本国民に対する無査証制度を導入したことを歓迎した。

·  日本及び中央アジア諸国は、日本の経験の共有や中央アジア諸国への旅行者数の拡大に係る諸問題について日本及び中央アジア諸国の旅行会社が意見交換を実施することが重要であると考える。

 

 2006年6月5日、東京で、日本語及びロシア語の各1部からなる2部が作成された。

 

麻生 太郎                                                        アリクベク・ジェクシェンクロフ
日本国外務大臣                                                  キルギス共和国外務大臣

タルバク・ナザーロフ                                           エリヤル・ガニーエフ
タジキスタン共和国外務大臣                                   ウズベキスタン共和国外務大臣

カイラト・アブドラフマノフ

カザフスタン共和国政府特使

カザフスタン共和国外務次官

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