ソ連東欧貿易調査月報

1990年4月号

 

T. 1989年の日ソ貿易

U. 環日本海経済圏における国際経済協力

V.ソ連経済改革と価格・租税制度

W.ソ連における外国企業事務所の設置と活動について

  ―ソ連閣僚会議決定 第1074号―

X.ソ連の消費財の輸出に関する規制措置

  ―ソ連閣僚会議決定 第1104号―

Y.ソ連極東の漁業

Z.ポーランドの化学工業

[.1990年1〜3月のソ連の工業生産実績

\.1990年1〜3月のソ連の畜産実績

].東欧諸国およびモンゴル経済資料

◇◇◇

日ソ・東欧貿易月間商況1990年3月分)

ソ連・東欧諸国関係日誌1990年3月分)

対ソ・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績

 

 


 

 1989年の日ソ貿易

 

1.1989年の日ソ貿易全般

2.輸出の主要動向(1)

3.輸出の主要動向(2)

4.輸入の主要動向(1)

5.輸入の主要動向(2)

 


 

環日本海経済圏における国際経済協力

 

1.陽極の「太平洋」と陰極の「日本海」

2.環日本海経済圏と多国間協力具体化の背景

3.ソ連の対外開放政策と環日本海経済圏協力

4.ソ連のアジア・太平洋経済圏進出策と日本

5.韓国・ソ連経済関係の拡大と環日本海経済圏

6.国際的地域主義の台頭と影響

 

はじめに

 日本海沿岸諸国の日本、韓国、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、中国、ソ連の多国間の経済協力の可能性については、中ソ対立、朝鮮半島の南北対立および韓国とソ連、中国との厳しい対立などのために、以前は現実的なものとして語られることがほとんどなかった。しかしながら、1980年代後半に入って、これらの対立関係は徐々に緩和し、韓ソ国交正常化の動きも加速化し、上京は大きく変化している。そこで、ここでは、これら日本海沿岸地域を「環日本海経済圏」と名づけ、この経済圏の成立上京と関係諸国の協力の可能性を当会ソ連東欧経済研究所副所長 小川和男が論じた。

 本稿は、小川が本年4月9〜11月にソ連・ウラジオストクで開催された「日本海圏諸国経済協力に関する国際研究実務者会議」(略称「日本海―90」)の全体会議での報告を基本にしたものである。この会議は、当会の古いパートナーであるソ連対外経済関係省景気研究所がイニシアチブをとり、プリモリエ(沿海)地方執行委員会、ソ連科学アカデミー極東支部海洋開発経済・国際問題研究所の協力をえてかいさいされたものである。本会議には、日本側から当会ソ連東欧経済研究所の小川が団長を務め、14名(商社、自治体、貿易協同組合、当会研究所)が参加、韓国側からは、大韓貿易振興公社(KOTRA)の特殊地域部ソ連東欧課長の金相寛氏が団長をつとめ、11名(中央官庁、研究所、商社、メーカー、団体)が参加した。ソ連側が参加を要請していた中国、北朝鮮はこの会議には参加しなかった。

 


 

ソ連経済改革と価格・租税制度

 

1.中央統制価格システムの価格動態

2.価格改定の原理

3.部門別限界費用シミュレーション

4.新税制導入の諸問題

5.新価格体系移行による税制構造の変化

 

資料紹介

 今日ソ連は、「計画的市場経済」の名の下に市場メカニズムを大胆に取り入れた本格的な経済改革に踏み出そうとしている。

 ここに紹介するのは、ソ連科学アカデミー経済・科学技術研究所のV.P.ヴォルコンスキー、A.P.ヴァヴィロフ両研究員が先ごろ来日した際、当会が入手した両氏の研究論文の抄訳である。両氏ともゴルバチョフ大統領補佐官N.Yaペトラコフ氏のブレーンである。

 


 

ソ連における外国企業事務所の設置と活動について

―ソ連閣僚会議決定 第1074号―

 

外国企業、銀行、組織のソ連邦における代表部の設置と活動の手続きについての規則の承認について

外国企業、銀行、組織のソ連邦における代表部の設置と活動の手続きについての規則

 

資料紹介

 このほどソ連では、対外経済管理制度改革の一環として、ソ連における外国企業の事務所設置と活動に関する規則が更新されたので、ここにその全訳を紹介する。

 


 

ソ連の消費財の輸出に関する規制措置

―ソ連閣僚会議決定 第1104号―

 

1990年における対外経済活動の国家規制追加設置について

付属書 No.1

 

資料紹介

 このほど、当会は「1990年における対外活動の国家規制追加措置について」のソ連閣僚会議決定を入手したので、ここに紹介する。本決定は、ソ連国内での消費財不足を受けて、海外への消費財の過度な流出の防止を目指したものである。原典は、『ソ連政府決定集』(1990,No.2)による。

 


 

ソ連極東の漁業

 

1.ソ連の漁業の現状

2.ソ連漁業における現状

3.ソ連極東地域の水産部門の日ソ合弁企業

 

はじめに

 水産物は、ソ連経済の中で、石油・金などと同様に、国際流通性を有する数少ない商品のひとつである。1988年度ソ連の魚介類および水産缶詰の輸出額は4億9,350万ルーブル(約8億ドル)、ソ連の輸出全体にとっては0.7%程度でとるに足らぬとしても、独立採算制と自助努力が求められる中で、漁業省は貴重な外貨収入源を持っている点で異彩を放つ。多少とは異なり、魚場確保その他の理由で、すでに多くの国と合弁会社設立の経験があるのも特徴である。なお、上記輸出のうち、対日供給が約1億4,400万ルーブル(約2億4,000万ドル)で、魚介類輸出に占める日本の役割は大きく、外貨獲得の面からも、ソ連漁業の今後にとって、日本の存在は大きい。

 そこで、ここでは、日本に関係の深いソ連極東の漁業資源および日ソ間の水産合弁の展望について概括する。本稿は資料入手の面で、北海道庁水産部、北海道地域総合研究所の多大な協力を仰いだ。3.の「ソ連極東地域の水産部門の日ソ合弁企業」は、荒井信雄・北海道地域総合研究所主任研究員の執筆によるもので、その他の部分は当研究所研究員 高橋浩が執筆した。

 


 

ポーランドの化学工業

 

1.ポーランドの急激な工業化とその頓挫

2.ポーランドの化学工業の原・燃料基盤

3.ポーランドの石油精製・石油化学工業

4.ポーランドの化学品生産動向

5.ポーランドの化学品輸出入動向

6.ポーランドの化学プラント輸入動向

7.化学プラントの建設動向

 

はじめに

 ポーランドでは、1989年に「連帯」主導の非社会主義政権が成立し、これまでの社会主義的計画経済体制から西側なみの市場型経済体制への大改革が進行中である。この大変革がどのような形に落ち着くかは、先行き不透明な部分が大きいが、とにかく、産業の基礎的状況を抑えておくことは重要である。ここでは、ポーランドの化学工業に焦点を当て、現在までの概況をまとめた。

 執筆者は当会ソ連東欧経済研究所研究員高橋浩である。