ソ連東欧貿易調査月報 1990年12月号 |
◇◇◇
|
ゴルバチョフ大統領来日と日ソ経済関係
1.広がる対ソ経済支援の輪
2.期待の大きいソ連極東地域との経済交流
はじめに
ゴルバチョフ大統領が1991年4月、初めて日本を訪問する予定である。彼に対する期待は大きい。ソ連側も訪日を控えて集中的にその準備を行っていると伝えられる。大統領来日時には環境問題をはじめ11文書が締結される見込みであることが報道されており、日ソ双方の意欲も並々ならぬものがある。しかし、日ソ経済関係をみればその拡大を必ずしも楽観視できず、とりわけソ連経済の混乱と外貨の極度の不足とが日本産業界に大きな危惧を与えている。しかし、一方ではソ連の市場経済化が進めは将来的にはビジネスチャンスもそれだけ拡大することになり、とくに日本と隣接するソ連極東地域には大きな関心がもたれてくるのである。
本稿は、このような情勢から極東に焦点をあてて日ソ経済関係の拡大可能性を検討したもので、当研究所村上隆調査部長が執筆した。
ソ連・東欧の経済改革と西側経済援助
―国連欧州経済委員会報告より―
東側における経済改革―西側援助を受けるための枠組み―
1.序論
2.東側諸国の経済実績の長期的悪化
3.転換の問題と西欧における戦後調整
4.マーシャル・プラン
5.新しい「マーシャル・プラン」が東ヨーロッパにも必要か
6.東側の改革と環境
7.東側諸国の改革と国際貿易
8.東側諸国における改革のペース
9.総括と結論
資料紹介
本稿は、国連欧州経済委員会書記局編”Economic Survey of Europe in1989−1990”に掲載された報告のうち、”Economic Reform in the East:A Framework for Western Support”を翻訳紹介するものである(報告は1990年3〜4月にかけて作成された)。
この報告は、西側が現在ソ連・東欧で進行中の市場経済移行を支援する場合の基本原則を考える際、戦後ヨーロッパの復興に大きな役割を果たしたといわれているマーシャル・プランから教訓を引きだそうという意図のもとに書かれたものである。今後、日本を含め西側がソ連・東欧の経済改革を支援する場合に、避けて通ることのできない問題を提起しており、きわめて示唆に富むものとなっている。
なお、本文にいう東側7カ国とは、ブルガリア、チェコスロバキア、東ドイツ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニアとソ連である。また「東欧」とはソ連を除くこの6カ国である。
ソ連の対外経済関係改善の課題
―ソ連対外経済研究所エルショフ副所長講演会より―
1.ソ連経済再建に必要な改革の断行
2.経済開放化の促進
3.輸出力強化と輸出構造の転換
4.貿易における改革
5.外資導入への期待
はじめに
このほどソ連国家対外経済委員会付属対外経済研究所Yu.A.エルショフ副所長が来日された機会に、当会では1990年11月30日、講演会を開催したので、その記録を紹介する。
ソ連の対外経済関係を効率化し、ソ連経済の再建に役立てる上で、とくに輸出商品構造を改善し、積極的に外資導入を図る必要性が強調されている。
チェコスロバキアの経済改革シナリオ
1.経済改革におけるマクロ経済的枠組
2.経済の所有関係の変化
3.価格の自由化
4.チェコスロバキア通貨の対内交換性
5.経済改革の社会的側面と意味
6.構造改革
7.農業・食品工業コンプレクスの特徴
資料紹介
チェコスロバキアは、1990年6月の自由選挙により、新政権が発足後、経済改革プログラムを策定していたが、1990年9月4日にようやく「経済改革シナリオ」という形で連邦議会で採択された。そこで、ここでは、本文(付録を除く)の全訳を英語版に基づき紹介する。