ロシア東欧貿易調査月報

1992年7月号

 

T.1992年日ロ経済専門家会議日本側代表団報告

   ―金森団長、小川副団長報告―

U.CIS諸国の貿易・投資動向と問題点

   ―国連欧州経済委員会スコット貿易部長の講演会より

V.1992年1月〜6月のロシア経済

W.ロシアの新たな貿易・外資管理体制

X.ロシア中央政府および地方自治体の機構と人事

Y.欧州復興開発銀行(EBRD)の概要と1991年の活動

◇◇◇

旧ソ連・東欧貿易月間商況1992年6月分)

旧ソ連・東欧諸国関係日誌1992年6月分)

CIS・グルジア・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績(1992年5月および1〜5月累計)

 

 


 

1992年日ロ経済専門家会議日本側代表団報告

―金森団長、小川副団長報告―

 

1.  ロシア経済改革のゆくえ :金森久雄(日本経済研究センター会長、ロシア東欧経済研究所所長)

2.  CIS対外貿易の近況:小川和男(当会常務理事、ロシア東欧経済研究所副所長)

 

はじめに

 当会は1992年6月9日〜7月7日に「第15回日ロ経済専門家会議」代表団をロシアおよび欧州各地に派遣し、政府関係機関、研究所などにおいて旧ソ連・東欧経済、東西交流に関する意見交換を行った。それに基づき、7月10日に如水会館において帰国報告会を開催した。以下、金森久雄団長(日本経済研究センター会長、ロシア東欧経済研究所所長)の「ロシア経済改革のゆくえ」、小川和男副団長(当会常務理事、ロシア東欧経済研究所副所長)の「CIS対外貿易の近況」の両報告を紹介する。

 


 

CIS諸国の貿易・投資動向と問題点

―国連欧州経済委員会スコット貿易部長の講演会より

 

1.  旧ソ連・東欧の変革と先進諸国による投資の重要性

2.  CIS経済の見通しと対外経済関係

 

はじめに

 当会ではこのほど、国連欧州経済委員会ノーマン・スコット貿易部長が来日された機会に7月14日、如水会館において「CIS諸国の貿易・投資同行と問題点」と題する講演会を開催したので、個々にその内容を紹介する。

 スコット氏は、今回の講演で、CIS諸国の経済改革を成功させるためには、両側の支援が不可欠だとし、とりわけ民間投資と貿易の強化を提案している。

 


 

1992年1月〜6月のロシア経済

 

1.  概況

2.  財政・貨幣流通

3.  物価・料金

4.  就業状況

5.  消費財市場

6.  工業

7.  農工コンプレクス

8.  基本建設

9.  輸送・通信

10対外経済関係

 

はじめに

 このほど『経済と生活』紙(1992年7月No.30)に、ロシア統計国会委員会の公表した1992年上半期(1〜6月)のロシア連邦の経済実績が掲載されたので、その概要を紹介する。

 


 

ロシアの新たな貿易・外資管理体制

 

解説

1.  ロシア連邦大統領令第628号「政略的に重要な原料商品の輸出手続について」

2.  ロシア連邦大統領令第629号「外資収入の一部の義務的売却および輸出関税徴収の方式の一部変更について」

3.  ロシア連邦大統領令第630号「ロシア連邦の暫定輸入関税率について」

ロシア連邦暫定輸入関税率表

ロシア連邦対外経済関係省登録企業および組織が輸出を行う戦略的に重要な原料商品リスト

 

はじめに

 このほど1992年6月14日付で3つのロシア大統領令が発令され、対外経済関係管理制度が大幅に改正されたので、 ここではこれに関するロシアの専門家の解説とともに翻訳して紹介する。紹介する大統領令は以下のとおりである。

  1.第628号「戦略に重要な原料商品の輸出手続について」

  2.第629号「外資収入の一部の義務的売却および輸出関税徴収の方式の一部変更について」

  3.第630号「ロシア連邦の暫定輸入関税率について」

なお、同630号により承認された「ロシア連邦暫定輸入関税率表」、6月26日付政府決定第434号の付属文書「ロシア連邦対外経済関係省登録企業および組織が輸出を行う戦略的に重要な原料商品リスト」もあわせて紹介する。

 


 

ロシア中央政府および地方自治体の機構と人事

 

1.  省庁と内閣

2.  地方自治体の行政長官と大統領代表

 

はじめに

 ここではロシア連邦の中央政府の 省庁の一覧と内閣の顔ぶれ、また、主要地方自治体におかれている「行政長官」および「大統領代表」の一覧を紹介する。

 現在ロシアの国家行政の体制は、省・国家委員会およびその付属委員会、大統領付属委員会、政府付属委員会、その他各種の官庁からなっている。機関の種類により権限等がどのように違うのか、大統領個人、大統領府・執行府(「政府」)がどのような相互関係にあるのかなど明確でない点も多く、懸案の「政府法」の制定が待たれる。それと同時に、やむをえない側面もあるが、行政機構が再び肥大化する様相を見せている点は否めない。

 なお、以下の省庁のリストは、そのトップが閣僚として内閣を構成する、いわゆる「省」、「国家委員会」およびその付属委員会に限定しており、大統領および政府に付属する委員会などは、今回は省略した。このリストは、ロシア当局から入手したものを、『ロシア連邦人民代議員大会・最高会議決定集』(各号)を用いて当研究所が1992年6月末時点までアップデイトしたものである。

 行政長官の制度は、エリツィン大統領が地方政治改革の柱として導入したもので、同長官は、自治体の首長であり、行政府を率いる。当初は住民により選出される方向であったが、経済改革を乗り切る目的で結局はエリツィン大統領が任命することとなり、8月政変後に選出が進められている。中央に任命された行政長官が地方の利害を代弁しうるか、議会との間に緊張が生じないかなど懸念ももたれるが、エリツィン大統領の地方掌握の意欲の表れに見られるだけに注目すべき制度である。

 「大統領代表」は、中央政策を地方に浸透させるため、地方機関に対して大統領の立場を代弁すべく各自治体に置かれるものである。これは行政長官と異なりロシア連邦内の民族共和国にも任命されるが、逆に市町村のレベルにはおかれない。

 行政長官および大統領代表の一覧は、やはり『ロシア連邦人民代議員大会・最高会議決定集』(各号)により当研究所が作成した(1992年6月末現在)。

 


 

欧州復興開発銀行(EBRD)の概要と1991年の活動

 

.EBRDの組織と資金(1992年4月現在)

.EBRD民間金融部門の活動状況

.1991年のEBRDの活動状況(年次報告書”a Changing Europe”より部分訳)

 

はじめに

 欧州開発復興銀行(EBRD)が1991年4月にロンドンに設置されて以来、約1年半が経過した。1992年4月、第1回年次総会が開かれ、1991年の年次教書”a Changing Europe”が発表されたので、そのなかから旧ソ連・東欧地域における同行の活動振りを紹介する。

 なお、「A.EBRDの組織と資金」「B.EBRD民間金融部門の活動状況」の項は、民間金融部門のシニア・バンカーである泉泰雄氏の執筆によるものである。同氏は、EBRD民間金融部門のなかで、現在、旧ユーゴスラビアおよびアルバニア担当カントリーオフィサーとして、また一方、日本担当マーケティングオフィサーとして、活躍中である。EBRDはこれまでにも日本の銀行、証券、商社、メーカー、加えて経済諸団体との接触を深めてきたが、今後されに旧ソ連・東欧地域への投資に当たり、その資金の活用されることが期待されている。