ロシア東欧貿易調査月報

1993年1月号

 

T.ナホトカ経済特区の活動状況

U.カザフスタンの人口問題

 ―イスカコフ・カザフスタン統計調査研究所所長講演会より―

V.キルギスタンの社会と経済

W.ハンガリーのEC加盟と農業への影響

X.ルーマニアの市場経済移行への取り組み

Y.ウズベキスタン対外経済活動、企業活動関連法

◇◇◇

旧ソ連・東欧貿易月間商況1992年12月分)

旧ソ連・東欧諸国関係日誌1992年12月分)

CIS・グルジア・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績(1992年11月および1〜11月累計)

 

 


 

ナホトカ経済特区の活動状況

 

1. 概況

2. ナホトカ経済特区の創設の諸段階

3. ナホトカ経済特区の形成

4. 経済特区における外国投資

5. 経済特区発展におけるロシア投資家の地位と役割

〔付属資料〕ナホトカ経済特区の外資系企業設立状況

 

資料紹介

 ロシアにおける経済特区の実情は非常にわかりにくい。ゴルバチョフ書記長が1998年、クラスノヤルスクで、共同事業地帯という表現を使って、ソ連で始めて経済特区に言及してから年が過ぎた。その後、特区としての指定を受けたところは多数あるが、その具体的内容は不明確であった。そもそも、現時点での特別区としての優遇策があるのかどうかについても定かではない。そこで、このほど、極東科学アカデミー経済研究所を通じて、ナホトカ経済特区の現状についてまとめられた資料を入手したので、ここに翻訳して紹介する。

 この資料についても、ナホトカ経済特区のロシア国内におけるステータスは不明瞭であるが、1992年9月1日現在、外資系企業が100社を超え、外資の集中傾向が見られるということは特記に値する(たとえば1992年6月現在のロシア極東に於ける外資系企業の数は400件強である。)

 


 

カザフスタンの人口問題

―イスカコフ・カザフスタン統計調査研究所所長講演会より―

 

1. カザフスタン共和国の概要

2. 特徴的な人口構成

3. 「ロシア人人口の流出」は事実か

4. カザフ人人口の分布と環境問題

5. カザフスタンにおける人口の将来見通し

6. 産業発展の見通し

〔参考資料〕カザフスタン共和国人口統計

 

はじめに

 当会ではイスカコフ・カザフスタン統計調査研究所所長の来日を機に、1992年12月11日、東京証券会館において講演会を開催した。本月報ではその内容を紹介する。

 同氏はカザフスタンを代表する統計学者であるとともに、人口問題の権威である。カザフスタンは、人口学的にみてロシアとカザフの2大民族が拮抗する、旧ソ連諸国の中でも非常に特殊なケースであるが、同氏はこの特殊性について明快に解説するとともに、経済に与える影響を鋭く指摘している。

 なお、講演会の記録とともに、参考資料として、カザフスタンの人口統計を付した。

 


 

キルギスタンの社会と経済

 

1. 自然と社会

2. 経済の概要

3. 経済改革と1991〜1992年の経済動向

 

はじめに

 キルギスタンは中央アジアで、中国と国境を接する山国で、人口は442万、国土面積は日本の半分余という小規模な国である。人工の52%をキルギス人が占めるほか、ロシア人、ウズベク人が多い。

 連邦が崩壊に向かう動きの中で、キルギスタンでも1990年6〜7月、民族衝突が生じ、犠牲者が出たが、同年10月、大統領に選出されたアカエフのもとで、自体は安定に向かった。独立宣言を行ったのは1991年8月末である。

 連邦の崩壊はキルギスタン経済を深刻な状況に追いやっている。こうした中で同時に、経済改革を進めており、市民生活は大幅に後退している。1992年1〜9月の生産国民所得は前年同期比25%減となり、小売価格は9.4倍に跳ね上がった。一方、住民の現金収入は3.3倍にしかなっていない。

 キルギスタン経済の建て直しには、まずロシアと周辺の中央アジア諸国との経済関係再構築が不可欠である。キルギスタンの旧ソ連との取引の6割はロシア、2割は中央アジアが相手だからである。

 ルーブル圏に属するキルギスタン経済の安定ロシア経済の行方にかかっているが、これまでのところロシア経済改善の兆しはない。キルギスタン経済の苦境は1993年も続くと見られ、ルーブル圏離脱が検討されている。

 キルギスタンは、経済活性化のために外国資本の挿入に積極的であり、1992年3月には利権法を採択した。これまでのところ、土地は国家の所有、地下資源の開発や外国からの借款の導入には政府が責任を持っており、社会的安定や外貨の管理の上で、キルギスタン政府は堅実な選択を行っていると評価できよう。

 キルギスタン経済は、短期的には苦痛が大きいものの、中長期的には有望な要素を持っている。明るい要因として挙げられるのは金、非鉄金属、稀土類を産出すること、燃料は外部に依存しているが、発電の主力は水力であること、観光資源が豊かなことなどである。農産物については山国であるため、穀物は一定の対外依存を前提とするのが妥当であろうが、特産物であるタバコ、羊毛、果実、野菜などの科高度を高め、輸出を拡大する余地もある。

 本誌執筆者は、当研究所 研究開発・交流次長 本村和子である。

 


 

ハンガリーのEC加盟と農業への影響

 

1. 農産物輸出拡大の可能性について

2. われわれは可能性を活用できるか?

3. 援助のワナ

4. 販売危機にかわって生産危機?

5. 増大する財政逼迫

6. 連合コストとしての優遇的輸入措置

7. 予想される輸入増加の程度と影響

8. EC農産物貿易の収支(ハンガリー農業は出超産業であり続けるか?)

 

はじめに

 ハンガリーは1991年12月16日に対EC連合(準加盟)条約に調印、1992年3月にはEC諸国との相互貿易に関する暫定協定が発効した。伝統的にハンガリーでは、農産物貿易の黒字が国際収支で大きな役割を果たしてきた。

 本稿は、新しい関係の下で対EC諸国農産物貿易がどのような影響をうけるのか、を検討したものである。

 筆者はハンガリー科学アカデミー付属世界経済研究所のキシュ・ユディット主任研究員で、本論文はハンガリー『対外経済』誌1992年9月号に公表されたものである。

 


 

ルーマニアの市場経済移行への取り組み

 

1. 経済改革プログラム

2. 経済政策

3. 経済構造改革政策

4. 産業政策

 

はじめに

 ルーマニアでは1989年12月の体制変革後、市場経済への移行の道が模索されてきた。1990年5月の総選挙ではイリエスク大統領が選出されたが、大統領府、内閣、議会の改革に対するスタンスには相当な違いがあった。国際金融機関主導の急進路線を疑問視する考えは強く、1992年秋の総選挙、大統領選では、経済移行期の痛みを和らげる社会保障重視型のより斬新的な改革を目指すイリエスク大統領と民主救国戦線が勝利を収めた。そのため今後、ルーマニアの経済改革速度はスローダウンせざるを得ないという見方も出てきている。

 本稿は、これまでにルーマニアが進めてきた経済改革の基本政策と、その実施状況を紹介するもので、執筆者はルーマニアで専門調査員として勤務してこられた神戸大学経済学部の吉井昌彦助教授である。

 


 

ウズベキスタン対外経済活動、企業活動関連法

 

資料紹介

 ここに紹介するのは、1990年末〜1991年にウズベキスタンで採択された同国の対外経済活動及び企業活動に関する法律の英語版である。これらは、1992年8月26日にタシケントで印刷された”REPUBLIC OF UZBEKISTAN―Laws and Decrees”に収録されている。

 内容は以下のとおり

1. ウズベキスタン共和国所有権法

2. ウズベキスタン共和国企業法

3. 脱国有化及び峰以下に関するウズベキスタン共和国法

4. 銀行及び民営化に関するウズベキスタン共和国法

5. 企業、協会、組織に対するウズベキスタン共和国税法

6. ウズベキスタンにおける企業家法

7. ウズベキスタン共和国対外経済活動法

8. ウズベキスタン共和国における外国投資に関する法律

9. 対外経済活動の即死の予備ウズベキスタン共和国における外国投資奨励と保護に関する大統領令

10  ウズベキスタン共和国における外国投資(合弁を含む)企業、国際協会・組織及びそれらの支店の設立、活動、登録手続きに関する閣僚会議決定