ロシア東欧貿易調査月報 1993年4月号 |
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1992年の日ロ貿易
1. 1992年の日ロ貿易一般動向
2. 輸出の主要動向(1)
3. 輸出の主要動向(2)
4. 輸入の主要動向(1)
5. 輸入の主要動向(2)
はじめに
日ロ貿易は1991年にソ連が解体したので1992年が初年度であり、厳密に言えば過去の実績と対比することはできない。しかし、日本の場合、旧ソ連との貿易といってもそのほとんどはロシアとの貿易であったことは周知の事実で、1992年の通関統計によると旧ソ連12カ国(バルト3国を除く)との貿易36億9,551万4,000ドルのうち、ロシアとの貿易が94.2%を占めている。旧ソ連諸国は独立後、社会体制も変わり貿易構造も旧ソ連時代から一変しているので単純比較には慎重でなければならないが、現実の問題として1992年の日ロ貿易は1991年以前の旧ソ連との貿易と比較するほかに方法がなく、次善の策として本稿ではこの方式を採用した。
コメコン解体の東欧経済へのインパクト
1. 厳冬続く東欧・旧ソ連経済
2. 東欧・旧ソ連の経済不振の要因
3. コメコン解体の東欧経済へのインパクト
4. 東欧諸国の市場転換をめざしての努力
はじめに
東欧諸国と旧ソ連では激しい経済状況が続き、政情も極めて不安定である。
1992年にも生産が減少し、1990年以来3年連続の減産が記録され、インフレは激化、失業者は急増、貿易は大幅に減少した。1993年の見通しも概して厳しいものである。
本稿は、そうした経済不振深刻化の要因を検証し、改善策を探るものであるが、生産の減少については旧コメコン体制の解体が重大な要因であったことを明らかにし、東欧諸国にとっては旧ソ連市場の復活が生産回生のカギのひとつであることを強調するものである。
執筆者は当研究所 小川和男である。
ロシアにおける銀行制度と外貨管理
1. 銀行改革の推移
2. 銀行制度の概要
3. 将来の問題
〔付属資料1〕ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国における銀行および銀行活動について
〔付属資料2〕ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国中央銀行(ロシア銀行)について
〔付属資料3〕ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国中央銀行(ロシア銀行)定款
資料紹介
本稿は、現行のロシアの銀行関連法(後掲)を紹介するあたり、ロシアの銀行制度の現状と問題点を明らかにする目的で、ロシア科学アカデミー経済研究所に執筆を依頼したもので、執筆者は次の3氏である。
―V.I.マエフスキー経済学博士(同研究所 経済成長の効率化・循環性研究部長、教授)
―O.L.ロゴワ経済学博士(同研究所 財政・金融研究部長、教授)
―A.V.スミルノフ経済学博士候補(同研究所 経済成長の効率化・循環性研究部主任研究員)
ロシア経済と米国クリントン新政権の対応
―ロシア経済研究日米シンポジウムより―
基調講演1:ジョン・ハート
基調講演2:ジェームズ・ミラー
質疑応答
はじめに
当会では、ジョン・ハート米国議会図書館調査部次長、およびジェームズ・ミラージョージ・ワシントン大学ヨーロッパ・ロシア・ユーラシア系救助所長を招聘し、2月23日、如水会館において「ロシア経済と米国クリントン新政権の対応」と題するロシア経済研究日米シンポジウムを開催した。本月報ではこのシンポジウムでの基調講演と質疑応答を紹介する。
ハート博士は長年にわたり、米国議会報告書の編集責任者という要職にあり、すでに過去7回あまり、当会主催の講演会でご講演いただいている。今回の主なテーマは、クリントン新政権における対ロ支援の行方であるが、本稿に示されるものは白紙の個人的見解であり、かならずしも議会図書館調査局の意見を代表するものではない。また、ミラー博士も第一線で活躍中の著名な旧ソ連経済専門家であり、基調講演ではショック療法の失敗を主に、現在ロシアが陥っている経済破綻の現況について、鋭い分析を加えている。
ルーマニアの産業再建
1. 経済発展の基本動向
2. 西側頼みの産業再編
3. 燃料・エネルギー
4. 工業
5. 運輸・通信
はじめに
旧ソ連・東欧の国々では、市場経済への移行を目指した努力が積み重ねられているが、マクロ面に偏重した製作が経済活動の大幅な縮小をもたらしていることもあって、体制転換の戦略を修正することを求める声が高まっている。こうしたなかで、イデオロギー職の濃い経済の自由放任主義を改め、国が「産業政策」を積極的に展開することを唱える議論は有力なものとなっている。とりわけ、市場経済の経験に乏しく、自由化後の経済混乱が激しい旧ソ連の国々や東欧の改革後進国の経済再建に関してこのような主張がなされることが多く、本稿で取り上げるルーマニアもそうした国のひとつである。
だが、一口に産業政策といっても、それだけマジカルな解決を約束するものではなく、真に問われるのはそのフィージビリティーであることはいうまでもない。産業政策の議論を空論に終わらせないためにも、既存産業の実態把握が不可欠であろう。
本稿はこうした観点に立って、ルーマニアのこれまでの経済発展を概観した後に、社会主義時代における主要産業の形成と疲弊の模様、また新体制でのそれらの行き詰まりと再建の試みを整理するものである。その才徳に、西側の資本・技術の導入の動向に注目することとしたい。
本稿執筆者は、当会ロシア東欧経済研究所研究員 服部倫卓である。なお、本稿は先日当会から刊行された『日本・東欧貿易要覧ルーマニア・ブルガリア編(1993年改訂版)』の第T部第3章「ルーマニアの経済力と主要産業」を再編集し加筆したものである。また、ルーマニアの産業再建に密接に関連する経済改革、対外経済関係などの問題には今回触れられなかったため、これらについては同書を参照していただきたい。
1992年のCIS経済
はじめに
1992年のCIS(独立国家共同体)の経済は、旧ソ連邦において形成されていた共和国間経済連関の崩壊、共通の経済政策の欠除、統一ルーブル圏の維持の困難、各構成諸国における経済改革の混乱などによって、危機的状況がさらに深まった。特に生産活動の低落は深刻で、1992年の国民所得は1978年の水準にまで後退した。以下は、CIS統計委員会発表の1992年のCIS経済実績(『CIS統計通報』1993, No.2)の抄訳である。