ロシア東欧貿易調査月報 1993年9月号 |
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ロシア極東ザルビノ港の拡充計画
ザルビノ港の計画について
1. 極東の輸送力拡充の重要性
2. 極東の港湾状況
3. 大ウラジオストク1992〜1993年のカザフスタン共和国の外国貿易
4. 中国吉林省、モンゴルからの視点
5. ザルビノ港計画
6. 結びにかえて
付図 : ザルビノ港計画周辺の運輸・交通について
はじめに
ロシアでは、極東の港湾の重要性が高まっている。旧ソ連のほかの港の代替能力として、また地方の直接取引増大にともない、極東の港湾利用度が高まった。さらに北東アジアの国際協力が進展しつつあることで、ロシアの港が中国東北三省およびモンゴルの貿易貨物の中継点として注目されるようになった。
こうした動きに対応して、ロシア極東の港湾は、沿岸航路や新設される日本海航路の拠点として、貨物取扱能力の拡充と近代化が必要となってきた。なかでもザルビノ港はすでに拡張工事が進められている。
本稿はこうした極東の港湾事情とザルビノの拡張計画を紹介するもので、執筆者は国会同大学スラブ研究センター望月喜市教授と、日本港湾学会神代方雅理事である。
1993年上半期のCISの経済実績
1. 1993年上半期のCIS経済の概況
2. 工業
3. 農業
4. 住宅と公共施設、公共輸送手段の状況
5. 投資
6. 財政・金融
7. 国民生活
8. 商業
9. 環境・衛生問題
10.犯罪
はじめに
ロシア『実業界』紙(1993年8月11日)にCIS国家統計委員会が発表した1993年上半期のCISの経済実績が掲載されたので、その概要をここに紹介する。
CIS国家統計委員会は委員会自体が調査を行うのではなく、年2回CIS諸国の統計関連機関と会議を開いて打合せを行い、各国統計機関から提出されたデータをまとめている。ウクライナ、トルクメニスタンなどの一部のデータの提出が遅れた国もあるが、1992年にCIS各国でみられた統計作成上の混乱も収束し、1993年は概ねデータはそろっており、新聞や統計通報等に順次発表されている。また、CIS諸国の統計も徐々に国際的な手法に合わせてきており、過去のデータの時系列的比較は困難になったが、世界との比較や各国の実情を知る上では、大変有意義なことであるといえよう。
旧コメコン域内貿易の現状と展望
1. コメコンと東欧における地域経済協力
2. コメコン崩壊後の経済協力動向
3. 経済関係縮小の原因と結果
4. 東欧地域における経済協力の展望
はじめに
周知のように、かつてのソ連ブロックの国際経済機関として機能してきた経済相互援助会議(コメコン)は、1980年代後半以降の各国の脱社会主義化の試みにより存在意義を失い、1991年6月28日に解体についての議定書が調印され、その90日後に正式に消滅した。長らく世界市場から事実上遮断され、独自の分業関係を形作ってきたコメコン諸国が、従来のメカニズムを失ったことで、これまでの生産を維持できなくなり、これが各国の経済難の主要因になっていることは今さら指摘するまでも無かろう。これに対して各国の対応は、ECへの正式加盟をめざすものから、旧来のコメコンの領域で何らかの経済協力を築こうとするものまで、様々である。
そこで当研究所では、ロシア科学アカデミー国際経済・政治研究所に対して、旧コメコン諸国間の貿易関係の現状及び展望を、中東欧諸国に関する分析を衷心にまとめるよう依頼した。監修者は、A.D.ネキペロワ(経済学博士)で、他数名が執筆にあたっている。