ロシア東欧貿易調査月報 1994年8月号 |
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ロシアにおける企業家の生成
1. 企業活動の誕生と成長
2. 企業活動の諸形態―企業家と「国有企業」―
3. 「新しいロシア人」は、どこでどのようにして投資するのか
4. ロシアにおける企業家の発展とその社会・経済への影響
はじめに
今日ロシアでは、市場経済化に向けた改革が試行錯誤をともなって進行している。改革が進むにつれ、市場経済の実質的担い手たる企業家(起業家)も徐々に生成されつつあるが。ロシア国内における正常などビジネス環境の未整備のために、本来期待された社会的役割を果たすことができないでいる。
本稿は、ロシアにおける企業家(起業家)の起源を探るとともに、限られた資料のなかで現状を描写し、市場経済に移行しつつあるロシア社会における企業活動の特徴を考察している。
本稿執筆者は当会モスクワ事務所の D.ヴォロンツォフ研究員である。
ロシアにおける外国投資活動の法的基盤の形成
1. ロシアにおける外国投資の現状
2. ロシアにおける外資参加企業の活動
3. 外国投資をめぐる法制度上の問題点
4. 外国投資活動の保証問題と今後の課題
はじめに
ロシアにおける直接投資は、1991年のソ連崩壊後投資環境がきわめて悪化したためロシア側が当初期待したほどの実績をあげていない。旧ソ連時代に合弁企業法が導入されて以来日本とソ連(ロシア)との間に設立された合弁企業の多くが、決して順調とはいえない活動を行っている。
現存の合弁企業を含む外資参加企業と、これから投資を行おうとする外国の投資家にとって大きな障害となっているのは、対外経済活動に対する規制を含めた外国投資に関連した法制度の度重なる変更である。初期の法令で外国投資家に約束されていたはずの特典が、その後の変更で姿を消し、税制および外貨管理の面での特典はないに等しい。また、外資参加企業に与えられる特典や活動を規制する法令が個別に発表され、お互いに矛盾していることもあり、それぞれの外資参加企業に適応される条件を把握することが非常に難しい状況である。以前からの問題に加え、外国銀行のロシア国内での活動、民営化への参加の問題など外国投資家が無関心ではいられない状況も新たに生まれている。
本稿はロシア対外経済関係省付属景気研究所のS.V.ノズドレフ上級研究員・経済学博士候補が執筆したもので、外国投資をめぐる各分野の法的制度上の現状および問題点ならびにこれからの課題について解説したものである。
なお、本稿は本年5月に執筆されたものである。