ロシア東欧貿易調査月報

1995年9月号

 

T.迷走するロシアの鉄道運輸

U.ロシア連邦国家会議(下院)委員会一覧

V.ハンガリー経済安定化プログラム

W.ロシア産業・貿易情報

◇◇◇

旧ソ連・東欧貿易月間商況1995年8月分)

旧ソ連・東欧諸国関係日誌1995年8月分)

CIS・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績(1995年6月および1〜6月累計)

 

 


 

迷走するロシアの鉄道運輸

 

1. 現在のロシアの鉄道運輸

2. モスクワ〜ハバロフスク電化完成

3. 資金不足のバム鉄道とアヤム鉄道建設

4. 高速新幹線の建設問題

 

はじめに

 ソ連邦が消滅してCIS(独立国家共同体)が成立するとともにソ連邦交通省が廃止され、15共和国の広大な地域にあった鉄道網を統一して管理していた機構が消滅した。だが鉄道網はそのまま存続し、活動していたので、各独立国もこれを保持し、経営しなければならない。そこで各独立国では交通運輸を担当する省を設置したものの単独では経営することができず、どうしてもソ連邦時代のように統合、管理して相互関係を保ちながら自国の利益と発展をはかるよう向かうようになった。これがCISおよびバルト三国の旧ソ連邦諸国における交通運輸の現状である。

 市場経済への移行の過渡期にあるロシア連邦の鉄道運輸は、経営を安定化させるために経済を優先する政策をとり、「すべてを収入増、そして支出減」が基本となっている。その反面、ロシア経済の困難を反映して、交通省や各鉄道局の財政も赤字経営で、負債も増加する一方である。このため従業員の定員削減、労働賃金の上昇を抑制し、投資も減らすなどして、従業員の不満を招いている。

 列車の安全運行、幹部人員の確保、各種施設や車両、機関車の更新、外国からの投資の導入など、ロシアの鉄道運輸がこれから解決すべき問題は多い。

 ロシア連邦を中心として、ソ連邦崩壊ののち4年目を迎えた鉄道運輸の様相と問題点、そして建設を予定している高速新幹線について概観してみる。

 執筆者は、ロシアの鉄道の専門家である岡田安彦氏である。

 


 

ロシア連邦国家会議(下院)委員会一覧

 

はじめに

 当会モスクワ事務所でこの度、ロシア科学アカデミー東洋学研究所のアンドレイ・マクシーモフ氏が作成した”MAXIMOV’S COMPANION Who Governs the Russian Federation”(Summer1995).を入手したので、ここにその資科を元に当会研究所が作成したロシア連邦国家会議(ドゥーマ)(下院)の委員会名簿を紹介する。

 


 

ハンガリー経済安定化プログラム

 

1.  経済情勢、安定化措置の必要性

2.  安定化措置の目的と予想されるマクロ経済的影響

 

資料紹介

  1995年3月12日ハンガリー政府は、新たな経済安定化プログラム(経済政策パッケージ)を発表した。2月に就任したばかりの新蔵相ボクロシュ氏が中心になって策定したプログラムであったため「ボクロシュ・プログラム」とも称されているが、基本的には前蔵相、ペーケシの路線を継承するものであって、1993年後半に開始され、1994年に鮮明となった実体経済の回復傾向と従来からの直接投資導入のダイナミズムを維持しつつ、マクロ経済的諸指標、とりわけ国際収支と財政収支を抜本的に改善すること、さらにその過程で社会福祉制度の貧困者に限定するシステムへの移行、公共部門の人員削減や賃上げ抑制、大学教育の有料化などをもくろんでいた。そのための手段として、年初来法人税率が半減化(36%から18%へ)されていたが、3月以降は、フォリント(ハンガリー通貨)の大幅切り下げや8%の輸入課徴金(エネルギーと投資財を除く)の導入(3月20日施行、2年間実施予定)、企業による外貨保有の承認(3月31日施行)、大学授業料の導入(9月新学期以降実施)などが、矢継ぎ早やに実施された。

 政府の見込みとしては、全部で45項目に及ぶとされるこれらの措置により、1995年について、@経常収支赤字を25億ドル以内に(前年比12億ドル減)抑え、A直接投資導入額を25億ドルに引き上げ(前年実績は11億4,600万ドル)、B財政赤字額を2,000億フォリント(前年は3,220億フォリント)に圧縮し、C1995年度後半にはインフレ率を大幅に引き下げることができるはずである。

 以下に訳出したのは、1995年4月7日付で財務省から発表された「経済安定化のための政府施策と法律改正の理由、目的、マクロ経済的影響について」と題するドキュメントである。この文書と同時に、政府を代表しボクロシュ蔵相名で第817号法案「経済安定化のための法律改正法」も発表されている。この法案は、合計21個の既存法律の改正を網属した、改正の趣旨説明も含め109ペ−ジに及ぶ文書であるが、今回の翻訳に当たっては割愛した。