ロシア東欧貿易調査月報

1995年10月号

 

T.再編下のロシアの通信事情

U.ロシアの対外経済管理制度改革の動向

  ―1995年上半期の動向と展望―

V.極東ザバイカル協会の組織機構

W.ハンガリーの新しい対外経済戦略

X.ロシア産業・貿易情報

Y.ロシア経済法令速報

Z.データバンク

◇◇◇

旧ソ連・東欧貿易月間商況1995年9月分)

旧ソ連・東欧諸国関係日誌1995年9月分)

CIS・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績(1995年6月および1〜6月累計)

 

 


 

再編下のロシアの通信事情

 

1.  ロシアの通信業界のガリバー「ロステレコム」

2.  「通信投資(SVIAZINVEST)社について

3.  50×50」プロジェクトと「ロステレコム」、そして「通信投資」社

4.  ロシアの携帯電話通信について

5.  ロシアのポケベル(無線呼び出し、ページングサービス)市場について

6. 外国企業のロシア通信市場での活動状況

 

はじめに

 最近、ロシアでは「通信投資(SVIAZINVEST)」という、90の地域電気通信会社を統括する会社が設立された。

この会社は、日本でいえばNTTに相当する会社であり、この会社の設立がロシア通信業界の活性化につながることが期待されている。今回のレポートの前半部では、「ロステレコム」および「通信投資」の関係、あるいは「50×50」プロジェクトをめぐる動きなどに焦点をあてながら、ロシアの公衆通信分野の全般的状況をご紹介する。後半部では、現在、ロシアの通信分野でもっとも活発な動きを示している移動体通信部門をご紹介すると同時に、レアの通信部門に進出している外国企業の動きについても可能な限りご紹介した。

 執筆は、当会ロシア東欧経済研究所調査役の坂口泉である。

 


 

ロシアの対外経済管理制度改革の動向

1995年上半期の動向と展望―

 

1.  1995年上半期のロシアの貿易・投資動向

2.  対外経済活動規制の動向

3.  現行の対外経済活動管理制度の問題点と矛盾点

4.  今後の貿易管理システムの課題とロシアのWTOの加盟問題

 

 本誌ではX・A・オレシキン・ロシア景気研究所所長に執筆を依頼し、半年ごとにロシアの対外経済活動の管理制度改革の動きを紹介している。

 本号で紹介するのは、1995年上半期の動向であるが、この期間口シアでは対外経済活動の規制に関する多くの重大な変更がなされた。なかでもとくに重要と思われるのは、1995年3月6日に公布された2つの大統領令により、「特別輸出業者制度」が廃止され、各種団体に供与されていた対外経済活動を行う際の特典が廃止されたことである。また、7月1日からは新輸入関税率表が導入され、とくに食品の関税率が引き上げられた。

 ロシアでは現在対外経済活動を規制するいくつかの基本的な法案を審議中である(本誌1995年4月号参照)。本稿では、とくに「貿易活動の国家規制に関する法律」と「生産物分与協定に関する法律」について解説を行っているが、本稿が執筆されたのが1995年8月であるため、この2つの法律をめぐるその後の動きについてはふれられていない。「貿易活動の国家規制に関する法律」は、10月13日にエリツィン大統領が署名を行い、年末から1996年7月にかけて段階的に施行される。

「生産物分与協定に関する法律」については、10月3日に連邦会議において否決され、日本を含む西側関係者に衝撃を与えた。

 また、輸出関税率については、8月31日付の大統領令および政府決定によって9月1日から大幅な引き下げが行われた。

 


 

極東ザバイカル協会の組織機構

 

1.  極東ザバイカル協会の概略

2.  極東ザバイカル協会理事会構成員

3.  極東ザバイカル協会事務局の主要専門家

4.  極東ザバイカル協会が中心になって設立あるいは設立中の団体

 

資料紹介

 当会が事務局を務める環日本海地域協力連絡協議会は、この8月20〜26日にロシア極東に官民合同ミッションを派遣した。その際、ロシアの極東およびザバイカル地域の自治体で組織する極東ザバイカル地域間経済相互関係協会(略称:極東ザバイカル協会)を訪問し、環日本海地域協力連絡協議会と極東ザバイカル協会の事務局同士での協力を進めるためのメモランダムをとりかわした。訪問時に、同協会より組織概要を入手したので、それをまとめた形で紹介する。なお、同協会については本年(1995年)の『調査月報』2月号の「ロシア極東の経済状況と地域間経済」にも内容面での紹介がされているので、参照されたい。本号では、概略と名簿、組織図を紹介する。

 


 

ハンガリーの新しい対外経済戦略

 

はじめに

総括

行動プログラム

 

資料紹介

 本誌9月号(1995年)に掲載したハンガリーの「経済安定化プログラム」(1995年4月財務省作成)に続き、今回はハンガリー工商省が作成したハンガリーの「対外経済戦略」を紹介する。この文書は1995年8月に公表されたものであって、以下の目次にしたがった内容で全文103ページからなっている。今回の翻訳に当たっては、「はじめに」と「総括」、および「課題別実施スケジュール(行動プログラム)」のみを訳出した、「経済安定化プログラム」でも示唆されていたように、ハンガリー政府は、今後におけるハンガリー経済の発展を輸出主導の成長に賭けている。したがって対外経済戦略は、経済発展戦略の中心に位置するものと言える。今回の翻訳に際しては割愛したが、目次からも明らかなように、この文書では直接投資や観光産業の果たすべき役割についても別個に検討がなされており、これら個別課題についてのより詳細な情報を求める読者は、これらも併せて読まれる方がよい。

 


 

ロシア経済法令速報

 

ロシア経済法令速報の掲載にあたって

 ロシアの法律はあまりにも修正、変更が多く、現時点で、どのような法律が有効なのか不明な点が多い。ロシアでは、法律にそった政策運営がなされているとは言いがたい側面がある。しかしながら、法律を無視しての経済活動はあってはならないし、ロシアの税務当局、税関等の国家機関は法律や通達によって運営がなされなければならない。1993年末にはロシアで憲法が施行され、1995年には民法が施行され、新たな国家体制の基本的法基盤が整備されつつあることは間違いのないところである。

 本号から開始する「ロシア経済法令速報」は、ロシアの『経済と生活』紙(週刊)の「ロシア法規新情報」というページのなかから経済関連法令をピックアップして紹介するものである。分類は『経済新聞』に従い、概要説明についても同紙に基づくが、さらに省略している。本号は『経済新聞』(1995年No.37〜38)のなかから紹介する。

 


 

データバンク

 

「データバンク」コーナーの新設について

 本月報では、ロシア・東欧諸国のマクロ経済や貿易などに関する各種のデータを、適宜紹介してまいりました。そしてこのほど、これらのデータをより迅速かつ確実にお届けし、また内容の多様化を図るべく、新たに「データバンク」と題するコーナーを新設する運びとなりました。

 新コーナーでは、ロシアをはじめとする各国の経済パフォーマンスに関する最新の統計データを常時掲載していくほか、各種の市況や企業ランキングといったトピックスも取り上げていきたいと存じます。どうぞご期待ください。