ロシア東欧貿易調査月報 1997年8月号 |
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ロシアと北東アジア諸国の政治経済関係
―スカラピーノ・カリフォルニア大学東アジア研究所名誉教授講演会より―
1.ロシアの国内情勢
2.ロシアの対北東アジア外交
3.ロシアについて想定されるシナリオ
質疑応答
はじめに
当会では、R.A.スカラピーノ・カリフォルニア大学東アジア研究所名誉教授の来日を機に、7月31日、東京証券会館において講演会を開催した。本稿では、その内容を紹介する。
スカラピーノ教授は長年にわたりカルフォルニア大学バークレー校(1978〜1990年には同校東アジア研究所所長)で教鞭を取る傍ら、アジアの政治問題や米国のアジア政策に関する多数の著作を世に問うてきた、米国有数のアジア問題のスペシャリストである。
また、本講演でも言及されている同教授による「自然経済圏(Natural Economic Territories)」の概念は、わが国を含む北東アジア諸国の学者や研究者による環日本海経済圏構想の理論的構築に大きな影響を与えている。
今回、スカラピーノ教授にはロシア情勢に関する同氏の見解、ロシアと北東アジア諸国(米国を含む)の外交関係についてご講演いただいた。
ロシアにおける銀行資本の生産資本への接近(4)
―オネクシム銀行グループ(インターロス)が関与した[戦い]について―
1.オネクシム銀行グループが勝利した例
2.オネクシム銀行グループが苦戦している例
結びにかえて
はじめに
1997年5月のシブネフチの株51%を対象とする競売で、ロゴバスおよびSBS・アグロ銀行の連合軍と、オネクシム銀行グループが激しく対立した。そして、この対立をきっかけとして、1995年末の担保入札時を彷彿とさせる事態がつぎつぎと生じた。すなわち、スホイ・グループ、チュメニ石油会社ノヴォリペツク製鉄所、スビャジインベストといった有力企業の支配権をめぐる大手銀行資本間の戦いが熾烈化し、疲れを覚えさせるほど激しい中傷合戦がマスコミを通し繰り広げられることとなった。
現時点(1997年9月中旬)では、この熾烈な戦いは小休止状態に入り、大きな動きは見受けられなくなっている。恐らく、ロスネフチの競売あるいはスビャジインベストの株の2回目の競売が実施される今年末もしくは来年前半までは、小休止状態が続く可能性が高い。本稿では、その小休止を利用し、今回の一連の戦いの殆どに「参戦」したオネクシム銀行グループの、これまでの戦いぶりについて総括してみることとする。
執筆者は、当会ロシア東欧経済研究所調査部次長坂口泉である。