ロシア東欧貿易調査月報 1997年12月号 |
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ロシアの運輸業の現状と構造改革
1.ロシア連邦の運輸(鉄道以外)
2.瀕死の運輸省
3.ロシア連邦の鉄道輸送
はじめに
ソ連邦が崩壊して、ソ連共産党の専制的な体制がなくなり、ロシアなど旧ソ連構成諸国は市場経済への移行とともに、各面における構造改革に取り組まざるをえなくなった。
鉄道などの運輸もそのひとつだが、運輸の各部門は支出を減らして収入を増やし、同時にサービスの向上をはかって顧客の獲得によって生き残りをはかっている。輸送の質とサービスを良くして市場経済に移行するため、他の輸送品目や外国の輸送業と競争が生じるのも当然である。
こうしたロシアにおける運輸業の変化の過程をとらえ、民営化など将来への変化の形勢を展望する。
なお、文中の鉄道省は直訳すれば交通省となるが、内容から判断してこの訳とした。
執筆者は、ロシア交通の専門家である岡田安彦氏である。
シベリア鉄道の現状と復興の課題
1.シベリア鉄道の現状
2.鉄道運賃の高騰と極東経済への影響
3.シベリア鉄道復興の課題と方策
おわりに
はじめに
本稿は、シベリア鉄道の東部区間の現状、鉄道運賃高騰のロシア極東経済への影響を明らかにする目的で、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所に調査を依頼したもので、執筆者は同研究所太平洋経済研究センターのA.セルゲーエフ研究員およびL.ヴィノクール研究員である。
本稿でも再三指摘されているように、現在、シベリア鉄道では運賃の高騰などにより国内貨物および国際トランジット貨物が大幅に減少し、物資を他地域からの移入に依存しているロシア極東地域に多大な悪影響を及ぼしている。また、アジア太平洋地域との経済交流における輸送拠点としての極東地域の地位も低下している。
こうした事態の改善に向けて、1997年来、ロシア政府は沿海地方行政府、ナホトカ自由経済地域執行委員会とともに「シベリア鉄道トランジット輸送支援の国家政策のコンセプト」をまとめるなど抜本的な解決策の策定に着手している。また、ロシア政府はシベリア鉄道経由の国際トランジット貨物輸送の利用国にも協力を働きかけており、たとえば、1997年6月に日ロ貿易経済政府間委員会出席のために来日したネムツォフ第一副首相は、日本側にシベリア・ランドブリッジの利用拡大とその復興への協力を要請した。周知のとおり、1997年11月の橋本・エリツィン会談で日本政府はロシア側の要請に応えて、シベリア鉄道輸送網復興への支援を打ち出している。
ガスプロム像の再検証(2)
第2部 ガスプロム像の内側
1.ガスプロムの構成
2.株の流通の特色と現状
3.天然ガスの生産動向
4.天然ガスの国内消費
5.天然ガスの輸出動向
6.輸出戦略(および、各市場におけるガスプロムのプレゼンス)
7.埋蔵量
8.パイプライン
結びにかえて
はじめに
周知のとおり、現在、イランのガス産地開発へのガスプロムの参加をめぐり、同社と米国政府の関係が複雑化している。つい最近も、ガスプロムは、米国輸出入銀行が同社のために開設していたタイド・クレジット・ラインをキャンセルすることを表明している(Se,1997.12.18)。これは、見方によれば、米国側からの圧力が続く限り、同国からの製品の購入は差し控えるというガスプロム側の意思表示ともとれる。あまりにも短絡的すぎる見方かもしれないが、これは、米国以外の国の企業がガスプロムに食い込むチャンスが大きくなったことを意味するのではなかろうか。
そのような状況もあり、第2部を作成するにあたっては、ビジネスの参考となる情報を極力多く盛り込むことに留意した。ガスプロムとは直接関係のないウクライナやロシアの鋼管メーカーの動向を紹介したのも、そのためである。
なお、今回のレポートは、情報収集的色彩の強いものであり(ガスプロムの構成、株の流通の状況、輸出戦略、生産状況、産地の状況、輸出インフラの状況等を第2部では紹介している)。最初から順序立って読み進めなければならないという性質のものではない。読者の皆様の関心のあるアイテムから読み始めていただければと思う。
今回紹介する情報が、ガスプロムに融資する際、製品を売り込む際、あるいは、共同事業を行おうとする際に、少しでも役に立てば幸いである。
執筆者は、当会ロシア東欧経済研究所調査部次長坂口泉である。