ロシア東欧貿易調査月報 1998年3月号 |
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八尋ロシア東欧貿易会会長のロシア訪問
去る3月3日より7日まで、当会八尋会長がモスクワを訪問した。会長の訪ロは2年ぶりで、今回は御子柴副会長、橋本副会長、横山副会長、岡野副会長ならびに理事会社からも10名の参加者を得て19名の大型代表団となった。
今回の訪ロの目的は、クラスノヤルスク日ロ首脳会談後急速に緊密化しつつある両国関係を受けて、貿易・経済関係が抱える問題点、今後発展させるべき方向性を模索することにあったが、都甲大使をはじめ日本大使館員の皆様のご協力により、多くのロシア側の有力者と会談することができた。
代表団訪問の成果を、小川和男理事・ロシア東欧経済研究所長の解説とともに報告する。
外資との提携に生き残りをかける旧ソ連の自動車産業
当会ロシア東欧経済研究所調査部次長
坂口泉
1.ロシアの自動車産業の全般的状況
2.ロシアの各主要自動車メーカーの状況
3.外国自動車メーカーの動き
はじめに
筆者は1997年春にロシアの自動車産業に関するレポート(「塗り替えられるロシア自動車産業地図」、本誌1997年5月号)を執筆したが、今回のレポートは、それ以降のロシアおよび旧ソ連諸国の自動車産業をめぐる動きをまとめたものである。
前回のレポートでも述べたが、現在、ロシアを初めとする旧ソ連諸国の自動車産業分野では外資との提携を軸とする国内自動車メーカーの建て直し、および、農機等自動車以外の製品を生産していた工場での外国車のアセンブリー(ドライバー・アセンブリー)という2つの大きな潮流が存在する。筆者の受ける印象では、ここ1年の間に、少なくとも、ロシアやウクライナでは、第1の潮流、すなわち外資との提携を軸とする国内自動車メーカーの建て直しという潮流が勢いを増したように思われる。ウクライナに続き、ロシアでも、政府レベルでこの第1の潮流の勢いを加速させようとする動きが出てきており、特定の外資に依存した、自動車産業の再建が始まる可能性が出てきている。
一方、第2の潮流は、少なくともウクライナでは、先行きが不透明となりつつある。たとえば、GAZのクリミアでのアセンブリー・プロジェクトは苦境に陥っている。ロシアにおいても、今後、第1の潮流がさらに勢いを増すようなことがあれば、第2の潮流がいわゆるドライバー・アセンブリーの粋を超えることは困難となり、最終的には立ち消えになる可能性もでてくるであろう。
本来なら、第1の潮流と第2の潮流は共存しうるはずなのだが、特定の外資、およびそれを支持する政治勢力の思惑が絡み、片方の潮流がその勢いをそがれるという現象が起こりそうな気配が出てきている。
以下では、以上の2つの潮流の存在を念頭に置きながら、ロシアおよび旧ソ連の自動車産業の現状を紹介する。
1997年のロシア極東経済とシベリア鉄道の復興問題
1. 1997年のロシア極東の経済情勢:P.A.ミナキル・ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所長
2. シベリア鉄道の復興問題:S.M.ゴンチャルク・ハバロフスク国立鉄道大学副学長
質疑応答
当会では、P.A.ミナキル・ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所長、S.M.ゴンチャルク・ハバロフスク国立鉄道大学副学長が来日したのを機に、2月19日、東京証券会館で講演会を開催した。ここではその内容を紹介する。