ロシア東欧貿易調査月報

1998年9月号

 

T.ロシアの電気通信分野で活動する主要企業について

U.ロシアにおける住宅市場の形成と住宅公共事業改革

V.ロシアの貿易における経済的利益保護法

◇◇◇

ロシア貿易・産業情報

 燃料・エネルギー

 自動車

 通信

 金融

 その他

論調と分析

 E・ガイダル”混乱はおそらく多いだろう“

 外資を歓迎しながら、債務は支払わず ―ポタニン・インタビュー―

 ルーブル切り下げの産業への影響

データバンク

 1998年の1月〜8月のロシアのマーケット

 ロシアの経済統計

旧ソ連・東欧貿易月間商況1998年8月分)

旧ソ連・東欧諸国関係日誌1998年8月分)

CIS・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績(1998年1〜6月累計)

 

 


 

ロシアの電気通信分野で活動する主要企業について

当会ロシア東欧経済研究所調査部次長

坂口泉

第1部スヴャジインベストおよびその傘下の企業群(一般電気通信分野で活動する企業)

第2部ロシアの新電気通信分野で活動する企業

 

はじめに

最近の経済危機の影響を受け、その発展テンポにやや翳りがみえているが、電気通信分野は、ここ数年、ロシアの産業の中で最もダイナミックな成長をみせた分野のひとつである。たとえば、1991年には同分野への外国投資額は約600万ドルにすぎなかったが、1997年には8億2,000万ドルにまで達した(EX、1998.6.29)。同様に同分野への国内投資額も、1991年の10億ドル強から、1997年には15億ドル強にまで増加した(上掲EX)。

 注目度が非常に高いこともあり、本誌では1996年以降、年一度のペースでロシアの電気通信分野の現状をレポートしているが、今回はロシアの電気通信分野の核を形成する企業(あるいは、ロシアの電気通信分野における新しい波を代表する企業)の特性や動向に焦点をあてながら、最近のロシア通信分野の状況を紹介することとする。

 


 

ロシアにおける住宅市場の形成と住宅公共事業改革

当会モスクワ事務所 副所長

D.ウォロンツォフ

1.旧ソ連邦の住宅フォンドのしくみ

2.住宅市場形成のテンポと特殊性

3.都市、郊外および農村の住宅市場

4.家賃か、それとも住宅公共サービス料金か?

5.ネムツォフ流住宅公共事業改革案の成功の可能性

 


 

ロシアの貿易における経済的利益保護法

  

1998年4月14日、ロシアでは貿易における経済的利益を保護する法律(ロシア連邦法「外国貿易実施に際してのロシア連邦の経済的利益の保護に関する措置について」)が発効した。同法は事実上のロシアの不公正貿易防止法であり、その目的は、ロシアのWTO加盟を睨んで、GATT/WTOの基本ルールに反しない形で外国の不当な対ロ輸入から国内生産者を関税によって保護することである。同法をめぐっては、1996年7月〜11月の間に下院採択、上院承認、大統領署名拒否、下院再採択、上院否決、廃案という経緯があり、その行方が注目されていた。

 出典は『ロシア連邦法規集』(1998.No.16)である。