ロシア東欧貿易調査月報 1999年4月号 |
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1998年の日ロ貿易
1.1998年の日ロ貿易一般動向
2.輸出の主要動向(1)
3.輸出の主要動向(2)
4.輸入の主要動向(1)
5.輸入の主要動向(2)
はじめに
1998年の日ロ貿易は、大方の期待に反して前年比大幅縮小という結果になった。同年8月17日のルーブル切り下げによるロシアの金融危機がその主要原因のひとつとなったことは論を待たないが、物資の輸出入の面では一向に回復しない日本経済の不況によって輸入が落ち込んだことが決定的だった。1997年のクラスノヤルスク日ロ首脳会談以降、小渕首相訪ロまで進められてきたロシア支援の『橋本・エリツィン・プラン』は少なくとも昨年は何一つ実行をあげることができなかった。この厳しい情勢は今年にも持ち越されており、回復への方向を見出すのは容易ではないというのが現実といえよう。
なお、本稿の資料は日ロ貿易が契約、決済ともドル建てとなっているところから大蔵省の通関統計をドル換算して使用、必要に応じて円建ての統計を使っている。円・ドル換算レートは日本貿易振興会(ジェトロ)の発表によった。
ミクロ経済の視点から見たロシア経済の特殊性
当会ロシア東欧経済研究所調査部次長
坂口泉
第1部 ロシアにまん延する非現金決済
1.非現金決済の種類
2.非現金決済の実態
3.非現金決済がもたらしたもの
4.非現金決済(および相互未払い)のまん延を生んだ原因
第2部 ロシアにおける倒産措置の不思議
1.ロシアにおける倒産手続きの順序
2.倒産措置適用の状況
第3部 キャピタル・フライトと対外債務
1.キャピタル・フライト
2.ロシアの対外業務
はじめに
筆者がミクロ経済の調査を開始してから数年がたつ。その間、ロシア経済の特殊性を痛感させられることが多々あった。筆者にはソ連時代のことは良くわからないが、ロシアは制度面や産業構造だけでなく、メンタリティー面でも最も社会主義が浸透していた国のように思える。そして、国民それぞれの意識下に、社会主義思想が深く根付いている国に、自由思想と市場経済を急激に導入しようとした結果、他の国の経済には見られない特殊な事象が多数生まれているような気がしてならないのである。
筆者は最近、それらの特殊な事象をより正確に把握しないと、ロシアのミクロ経済を論じることは不可能であると痛感しており、今回、「ミクロ経済の視点から見たロシア経済の特殊性」と称する連作レポートを作成することにした。本号では、そのレポートの第1部「ロシアにまん延する非現金決済」と第2部「ロシアにおける倒産法の不思議」 、および、第3部「キャピタルフライトと対外債務」を紹介する。
ロシア貿易・産業情報
ガスプロムという企業について(その1)
当会ロシア東欧経済研究所調査部次長
坂口泉
1.ガスプロムの構成
2.幹部会メンバー
3.株主
4.ガスプロムの保有埋蔵量
5.天然ガスの生産動向
6.天然ガスの国内市場
7.天然ガスの輸出動向
8.輸出戦略(および、各国市場におけるガスプロムのプレゼンス)