ロシア東欧貿易調査月報 2002年3月号 |
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2001年の日ロ貿易
当会ロシア東欧経済研究所
研究開発部次長
高橋浩
1.2001年の日ロ貿易
2.Trade
between Japan and Russia in 2001
ロシア新興財閥の「現実」
元朝日新聞モスクワ特派員
塩原俊彦
はじめに
1.6人の「新興財閥」
2.1996年の大統領選をめぐって
3.金融危機からプーチン登場まで
結びにかえて
はじめに
現代ロシアの政治経済分析において、いわゆる「新興財閥」がきわめて重要な役割を果たしてきたことは間違いない。しかし、その「現実」に肉迫するのは困難な作業といわなければならない。権力者のなかに分け入って、その「現実」を知るためには、取材する側にも権力が必要だからである。筆者は朝日新聞のモスクワ特派員として、ベレゾフスキー、スモレンスキー、グシンスキーといった財閥の領袖に直接、単独インタビューした経験をもつが、繰り返し取材をするのは困難であり、「現実」を知るところまでは至らなかった。遍在する権力関係にあって、より強大なメディアとしての権力を備えていなければ、ロシアの権力者に迫ること自体、不可能なのかもしれない。
その不可能を、強力なメディアであるワシントン・ポストの記者David E. Hoffmanは可能にし、みごとに「現実」に迫ってくれた。本稿は、2002年に上梓された、かれの著書The Oligarchs(Public Affairs, New York)に依拠しながら、これまでベールに包まれてきたロシアの「現実」に一歩でも近づくことを目的にしている。わが国の報道は断片的なものが多く、必ずしもロシアの「現実」に肉迫しているとはいえない。ロシアの「現実」を知らなければ、外交も貿易もうまくいかないかもしれない。本稿が少しでも読者のロシアに対する「現実」理解に資することを願ってやまない。