ロシア東欧貿易調査月報 2005年5月号 |
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2004年の日ロ貿易
―過去最高のなかの今後の展望―
Trade between Japan and Russia in 2004
ロシア東欧経済研究所 次長
高橋浩
はじめに
1.過去最高の日ロ貿易の読み方
2.日ロ経済関係の今後 ―明るい展望と懸念事項
3.Trade between Japan and Russia in 2004
4.図解で読み解く日ロ貿易のトレンド(Japan-Russian Trade in Figures)
はじめに
2004年の日ロ貿易は、日ソ貿易時代を含め、過去最高の金額の往復88億ドルに達した。ロシアの経済成長を背景とした内需拡大および日本経済の立ち直り、サハリンの石油ガスプロジェクトに代表される大型プロジェクトが日ロ貿易を増加させている。検討中のエネルギー関係案件もいくつか存在し、今後も輸出入とも伸びが期待できる。
しかし、日本企業の現地法人、合弁企業をめぐるトラブルが、日ロのマスコミで大きく報じられ、増してきたロシア市場への期待が揺らぐ懸念も生じている。ソ連解体直後、極東で合弁企業をめぐりトラブルが発生し、日本経済の不況とも相まって、ロシアへのビジネスの期待が大きくしぼんだという苦い歴史がある。今度こそは、災いを転じて福と成すべく、政府、民間を問わず、性根をすえてこれらのトラブルに潜む根本問題を日ロ共同で検討し、ロシア貿易投資環境改善に取り組むことが必要となってきている。
2004年のロシア乗用車市場
―アジアメーカーの躍進と現地生産化の流れ―
ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
1.生産動向
2.市場動向
3.外国新車の販売状況
4. 制度に関連する動き
おわりに
はじめに
ロシアの乗用車市場は、現地生産される外国車および輸入新車の好調な売行きに牽引される形で、前年に引き続き好調な指標を示した。しかし、一方で、純国産車の売行きは停滞気味となっている。本稿では、過渡期の様相を呈してきたロシア乗用車市場の2004年の状況を、概括的に紹介する。
なお、現在当会ではロシアの乗用車市場を多面的かつ詳細に分析した特別報告書を作成中であるので、ご興味のある方は、是非、そちらの方もご一読願いたい。
ロシアにおけるAV家電・IT機器の市場動向
ロシア東欧経済研究所 調査役
服部 倫卓
はじめに
1.テレビ
2.薄型テレビ
3.DVDとホームシアター
4.ポータブル・オーディオ
5.デジタルカメラ
6.コンピュータ
7.周辺機器
8.携帯電話
おわりに
はじめに
ロシアの家電市場は最近急激に成長しており、パソコン関連も含めれば、2004年の時点で市場規模が150億ドル程度に上ったものと見られる。急成長をもたらしている要因としては、@好景気を受けた国民の購買力の向上、A1990年代の中頃に購入された家電が寿命を迎えつつあり、買い替え需要が生じていること、Bデジタル化の流れと、それに伴う商品サイクルの短縮、C大手小売チェーンの発展、D小売店による分割払いの導入、などが挙げられよう。
本稿では、ロシア家電市場のうち、AV・デジタル家電に焦点を充て、またそれに関連するコンピュータや携帯電話も取り上げて、その市場動向について論じてみたい。主としてネットを利用して情報やデータを収集したが、それらをなるべく詳しく紹介するよう試みる。また、筆者は2月後半にモスクワを訪問して家電販売店等を視察して回る機会があったので、その時のエピソードや写真なども随時披露することとしたい。残念ながら、通関や流通、またソフトの問題に関しては論及する余裕がないので、いずれ稿を改めて論じてみたいと思っている。
◆セミナー記録◆
モスクワ市高層ビル建設プロジェクト
はじめに
1.ルシコフ・モスクワ市長スピーチ
2.レーシン・モスクワ市第一副市長(建設産業担当)スピーチ
3.質疑応答
(参考資料)NEW MOSCOW RING ―効率的な投資プログラム―
はじめに
ロシア東欧貿易会では、モスクワ市高層ビル建設視察団を招聘し、2005年2月3日にモスクワ市高層ビル建設プロジェクトセミナーを開催した。セミナーには、日ロ賢人会議第2回会合に出席のため来日されたルシコフ・モスクワ市長にもご参加いただき、外国からモスクワ市への投資状況、今回のセミナーへの参加理由等について積極的にご発言いただいた。
以下、セミナーの内容をお届けする。
ビジネス最前線
Interview ロシア ・カップめん市場への挑戦
日清食品株式会社 国際部 次長 宮崎好文さん
はじめに
1958年8月に日本で「チキンラーメン」が生まれてもうすぐ半世紀。この間、「ラーメン」は世界共通語となりましたが、世界地図を眺めると、いまだ浸透していない空白の地域がある。そのひとつがロシア。ロシア人にもラーメンに親しんでもらおう――その広大な市場の開拓に乗り出した宮崎さんは、2003年以降、繰り返しロシアへ足を運び、スーパーや青空市場を巡り、ロシア人家庭にお邪魔して試食をしてもらうなど、様々な角度から市場調査をされてきました。そして去年、日清食品は「ラーメン」のテスト販売を開始。その売れ行きが気になるところです。そこで今回は、宮崎さんより、ロシアの店頭にラーメンが並ぶまでのご苦労から今後のビジネス展開まで、興味深いお話を伺いました。