ロシア東欧貿易調査月報 2006年9-10月号 8月20日発行
|
|
一枚の写真
誰が買うのか? モスクワの億ション
モスクワのミリューリン大通りの新築物件
モスクワはまさに不動産バブルの真っ最中だ。一般向けの新築分譲マンションの値段が、1uあたり3,000ドルが相場とのことで(こういう時、単位は必ずドルだ)、一般的な住宅の広さが70uとすると21万ドルになる。円に換算すると2,415万円。日本の東京近郊の分譲マンションと同じくらいだ。でも、モスクワの分譲マンションは、一般的にスケルトンの状態、つまり内装工事をしないまま引き渡される。つまり、床も壁もキッチンも風呂も入居者が追加負担で工事を依頼するのだ。この費用に数百万円はかかる。
写真のエリートクラスと呼ばれる高級マンションになると、販売価格は1uあたり15,000ドルから20,000ドルが相場だそうで、1戸の面積が100uとすると、堂々億ションの仲間入りだ。
一般向けも高級マンションも大人気で常時品薄で発売即完売だそうだ。ここで疑問が生じる。誰が買っているのだろう。高級マンションは政治家、企業経営者、芸能人、スポーツ選手などのロシアン・セレブが購入しているとしても、一般向けはどうだろう。モスクワの労働者の平均月給は500ドル程度のはずだ。それにロシアでは住宅ローンは未だ普及しておらず、マンション購入者の1割程度しかローンを利用していないという。タンス預金をそんなに貯め込んでいるのか?
なんてったって金余りなんだろう。ロシアは今や世界第2位の産油国。原油の高騰で国にもモスクワ市のような有力自治体にも企業にも資金は潤沢にある。潤沢な資金が個人消費と不動産投資に向かう。役所も企業も銀行も個人もオイルマネーを不動産に投資する。マンションは放っておいても1年後には2倍近くには値段が上がるので、今が買いということか。
ルーブル高、金余り、不動産の買い漁り。どこかの国のいつかの状況となんだか似ているぞ。
(写真:D.ヴォロンツォフ、文:原 真澄)
2005年のロシアの貿易統計
はじめに
データ解説
(第1表)ロシアの貿易高の推移(国際収支ベース)
(第2表)ロシアの貿易高の推移(通関統計ベース)
(第3表)ロシアの輸出商品構成の推移
(第4表)ロシアの輸入商品構成の推移
(第5表)ロシアの主要経済圏との貿易高
(第6表)2005年のロシアの相手国別貿易高(上位40カ国)
(第7表)2005年のロシアの相手国別貿易高(大陸別、五十音順)
(第8表)2005年のロシアの地域別貿易高
(第9表)2004〜2005年の主要貿易相手国との商品グループ別輸出入高
(第10表)2005年の主要品目の相手国別輸出高
(第11表)2005年の主要品目の相手国別輸入高
はじめに
ロシア連邦関税局が発行する通関統計集の2005年年報が刊行され、これにより2005年の同国の貿易動向に関する詳しいデータが明らかになった。すでに、当会『ロシア東欧経済速報』2006年6月25日号(No.1366)においてその概要を紹介済みだが、本月報では恒例により、さらに詳細なデータと解説をお届けすることにする。
2005年のロシア極東の貿易
はじめに
1.ロシア極東管区全体
2.サハ共和国
3.沿海地方
4.ハバロフスク地方
5.アムール州
6.カムチャッカ州
7.マガダン州
8.サハリン州
はじめに
例年どおり、2005年のロシア極東地域の貿易データを、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所(P.ミナキル所長)よりご提供いただいたので、ここにご紹介する。なお、関連するレポートとして、極東の外国投資受入については本誌2006年7月号11〜19頁をご参照いただきたい。さらに詳しい情報として、『ロシア地域要覧 2006〜2007』もご利用いただければ幸いである。
市場化過程におけるロシア極東地域の貿易構造の変化
日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター
平泉秀樹
はじめに
1.計画経済期における域外経済関係
2.「市場化」過程における域外経済関係
おわりに
はじめに
ロシアでは1990年代の初めに、ソ連邦の解体とともに長年にわたって経済運営の方法として採用されてきた「計画」システムから「市場」システムへと急進的に経済体制の転換(「市場化」)が行われた。この過程で、ロシア極東地域(以下、極東地域)経済は、全体として急激かつ大規模な生産の低下に見舞われる一方で、外国貿易の果たす役割に大きな変化が生じた。本稿では、ロシア東欧貿易会が発表している極東地域の貿易統計に基づいて、システム転換後の極東地域における貿易構造の変化を分析する。
ビジネス最前線
Interview ロシアでの建設プロジェクト始動に向けて
大成建設株式会社 国際事業本部 モスクワ連絡所 所長
山川建一さん
はじめに
休暇で一時帰国されている大成建設モスクワ連絡所所長の山川さんにお話を伺いました。2004年11月にモスクワに赴任されてから、正式な事務所開設までに4カ月、その後は建設業ライセンスの取得に9カ月を費やされ、2005年12月にようやくロシアで建設事業を行うための体制ができあがったということです。ロシア特有の煩雑な書類手続きにはずいぶんご苦労があったそうですが、だからこそ、今日のロシアの建設事情や今後の展望について、より現実的な視点から語ってくださいました。ロシアで大成建設による日本の工場建設プロジェクトが一日も早くスタートするよう期待しております。