ロシアNIS調査月報2007年9-10月号特集◆グローバル化のなかの |
|
特集◆グローバル化のなかのロシアの貿易 |
|
直言 |
グローバル化とカリーニングラード問題 ―せめぎ合うEUとロシアの価値規範 |
調査レポート |
2006年のロシアの貿易統計 |
ビジネス最前線 |
ロシアビジネスにおける総合商社の役割 |
データバンク |
2006年のロシア極東の貿易 |
ご案内 |
「ロシア貿易統計データベース」開設のお知らせ |
ユーラシア巡見 |
アゼルバイジャンとGUAM+日本 ―アジモフ外務次官との懇談より |
ロシア産業の迷宮 |
好景気の波に乗れないロシア造船産業 |
クレムリン・ウォッチ |
次期政権のための「建て売り住宅」 |
RUSSIAN STYLE |
憧れのリゾート・ソチ |
日ソ・日ロ経済関係の 舞台裏 |
世界を動かした為政者と「千の風」になった先輩・同僚 |
日本センター所長 リレーエッセイ |
ビシケク編 「キルギスは中央アジアのスイスになれるか」 |
商流を読む |
ロシア広告市場の規模とトレンド |
エネルギー産業の話題 |
実効性が疑われるロシアのエネルギー戦略 |
自動車産業時評 |
サンクトペテルブルグの乗用車市場 |
メタルワールド |
ノリリスクがライオンオアを巨額買収 |
月刊エレクトロニクスNews |
脚光を浴びるバルトミクスト社 |
ノーヴォスチ・レビュー |
投資プロジェクトとしてのソチ五輪 |
ドーム・クニーギ |
嵐田浩吉著『オデッサ ―黒海に現れたコスモポリス』 |
業界トピックス
|
2007年6月の動き 2007年1〜5月の通関統計 |
新刊案内 |
2007年発行の特別報告書のご案内 |
直言
グローバル化とカリーニングラード問題
―せめぎ合うEUとロシアの価値規範―
ロシア科学アカデミー経済研究所成長センター
N.スモロジンスカヤ
はじめに
ハンザ同盟の都市として栄えたケーニヒスベルグ。今、この地は、リトアニアとポーランドに挟まれたEUの中のロシアの飛び地カリーニングラードである。ここがロシアの家電センターに変貌しつつあることは周知のとおりである。カリーニングラードもまたグローバル・ビジネスの場を提供しているというわけだ。
ロシアとEU諸国との認識には依然として大きな隔たりがある。それは、米国のミサイル防衛計画に対して、カリーニングラード州へのミサイル配備を示唆したイワノフ第一副首相の発言からも窺い知ることができる。
だが、経済のグローバル化に適応しながら飛び地を維持するために、ロシアは否応なしにEUと協力しなければならない。つまり、カリーニングラードをめぐる動きは、ロシアの「ヨーロッパ化」の先行指標なのである。
そこで今回は、カリーニングラード経済研究の第一人者スモロジンスカヤ氏に寄稿していただいた。氏の直言によれば、北欧諸国との協力とクラスター(イノベーションを醸成する産業の地理的集積)の育成に基づいた地域協力の発展(バルト経済圏の形成)の中で、初めてカリーニングラードに長期的な発展の展望が開けるのであり、そのためにはロシアがEUを理解し、歩み寄らなければならない。
なお、著者の許可を得て訳者の責任において、副題を追加し、意訳した箇所がある。
解説・翻訳:蓮見雄(立正大学経済学部教授)
2006年のロシアの貿易統計
はじめに
データ解説
表1 ロシアの貿易高の推移(国際収支ベース)
表2 ロシアの貿易高の推移(通関統計ベース)
表3 ロシアの輸出商品構成の推移
表4 ロシアの輸入商品構成の推移
表5 ロシアの主要経済圏との貿易高
表6 2006年のロシアの相手国別貿易高(上位40カ国)
表7 2006年のロシアの相手国別貿易高(大陸別、五十音順)
表8 2006年のロシアの地域別貿易高
表9 2005〜2006年の主要貿易相手国との商品グループ別輸出入高
表10 2006年の主要品目の相手国別輸出高
表11 2006年の主要品目の相手国別輸入高
はじめに
ロシア連邦関税局が発行する通関統計集の2006年年報が刊行され、2006年の同国の貿易動向に関する詳しいデータが明らかになった。すでに、当会『ロシアNIS経済速報』2007年7月15日号(No.1402)においてその概要を紹介済みだが、本月報では恒例により、さらに詳細なデータと解説をお届けすることにする。
ビジネス最前線
ロシアビジネスにおける総合商社の役割
丸紅梶@市場業務部 欧州・CISチーム
課長 常原豪さん
はじめに
今回は、特集企画の一環として、「ロシアビジネスにおける総合商社の役割」と題し、丸紅の常原豪さんにお話をうかがいました。ロシアビジネスに取り組む丸紅社内の体制、丸紅が設立した「フジフィルムロシア」および建設機械販売会社の概要、商社とメーカーの役割分担、そしてサンクトペテルブルグにおける都市インフラ・プロジェクトなどが話題の中心となっています。
データバンク
2006年のロシア極東の貿易
はじめに
1.ロシア極東管区全体
2.サハ共和国
3.沿海地方
4.ハバロフスク地方
5.アムール州
6.カムチャッカ州
7.マガダン州
8.サハリン州
はじめに
例年どおり、2006年のロシア極東地域の貿易データを、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所(P.ミナキル所長)よりご提供いただいたので、ここに紹介する。関連するレポートとして、極東の外国投資受入については本誌2007年7月号9〜17頁をご参照いただきたい。
以下では、ロシア極東管区全体と各州の最新の貿易動向について、(1)主要相手国との輸出入高、(2)輸出商品構成、(3)輸入商品構成をそれぞれ表にまとめてお届けする。なお、ユダヤ自治州、チュクチ自治管区、コリャーク自治管区は重要度が低いので割愛した。
「ロシア貿易統計データベース」開設のお知らせ
はじめに
このほど、私どもロシアNIS貿易会では、ロシア連邦関税局より入手したデータにもとづき、「ロシア貿易統計データベース」を開設、ホームページ上での提供を開始いたしました。既存の「CEEDSデータベース」(CIS各国の経済統計・人事データベース/当会正会員限定)とは異なり、当面は、画面でユーザ登録いただいたすべての皆様にご利用いただけます。
以下では、同データベースの内容と、ご利用の方法についてご紹介申し上げます(『ロシアNIS経済速報』2007年6月5日号より転載)。
ユーラシア巡見
アゼルバイジャンとGUAM+日本
―アジモフ外務次官との懇談より―
ロシアNIS貿易会経済交流部
はじめに
さる6月24日から28日の間、アジモフ・アゼルバイジャン共和国外務次官一行が、日本外務省との政策協議のために来日した。
日本アゼルバイジャン経済委員会(会長:横田 昭・伊藤忠商事椛纒\取締役副社長)、事務局:ロシアNIS貿易会)では、6月27日にアジモフ外務次官一行ならびに駐日アゼルバイジャン共和国大使館よりフセイン特命全権大使他をお招きし、懇談会を開催した。
懇談会では、アジモフ外務次官より、アゼルバイジャンの安全保障政策、主としてGUAMにおけるアゼルバイジャンの立場と「GUAM+日本」会合についてのお考えについてお話しいただいた。以下、懇談会でのアジモフ外務次官の発言の要旨を記す。
ロシア産業の迷宮
好景気の波に乗れないロシア造船産業
はじめに
最近、斜陽産業といわれていたロシアの機械製造分野にも明るい兆しが見え始めている。たとえば、鉄道車両製造分野では、大手資本の参入、ロシア鉄道社や民間の鉄道輸送会社からの需要の高まりといった好条件が重なり、最近、生産量が大幅に増加している。また、今後、重電機器製造分野でも需要の急激な高まりに伴う状況の好転が予測されている。さらに、建設機械や農業機械の生産量も増加傾向にある。
そのような状況の中、造船分野では、相変わらず危機的な状況が続いている。政府も様々な改善策を打ち出してはいるが、危機打開につながるかは微妙である。
今回は、苦悩するロシアの造船分野の現状を紹介する。
クレムリン・ウォッチ
次期政権のための「建て売り住宅」
はじめに
例年7〜8月、ロシア政界は夏休み。議会が休会で立法活動がないから政治が止まるというわけなのですが、舞台裏での動きは常にも増して活発という時期です。下院総選挙と大統領選挙がすぐ先に控えている今年は、なおのことです。
では、いまロシアの政界はどのような問題に集中しているのか。一言でいうと、ポスト・プーチン政権のための環境づくりということになります。それも政権の構造、政治の方向性、基本政策を、基礎から柱、屋根、内装まで準備しようというのです。新大統領は出来上がった家具付き住宅に入居しさえすれば、生活(政治)はその日から動き出すようにしておきたいという目論見なのでしょう。関連の合意は事前にしておかなければなりません。
RUSSIAN STYLE
憧れのリゾート・ソチ
はじめに
本誌今月号のノーヴォスチ・レビューでも取り上げているとおり、今年7月、ロシアのソチが2014年冬季オリンピック開催地に決定した。日本のテレビ・新聞も、喜びに沸くソチ市民と落選の悲嘆に暮れる韓国・平昌市民の様子を対照的に報じていたので、ご記憶に新しいことと思う。
ソチはロシアや旧ソ連諸国では昔から保養地として有名だが、世界的には、今回の五輪開催決定で一気に知名度が上がった。オリンピックは7年後とまだ先だが、今後は国内外でますます注目を集めるだろう。ちなみに筆者にとっては、ソチといえば夏、そして海岸のイメージが強かったため、冬季五輪が開催されることはやや意外に感じられた。
ノーヴォスチ・レビューでは2014年に向けたソチの開発、インフラ整備と投資の状況について述べているので、ここでは、ロシアの夏のリゾートについて、そしてソチとはどんな所なのか、簡単にご紹介したい。
商流を読む
ロシア広告市場の規模とトレンド
はじめに
ロシア広告代理店協会(RACA)は、ロシアの広告市場の規模を定期的に調査して発表している。今回は、同協会のウェブサイトにもとづき、ロシアの広告市場の概況を紹介する。
エネルギー産業の話題
実効性が疑われるロシアのエネルギー戦略
はじめに
ロシアでは、2003年に承認された長期エネルギー戦略が実情に合わなかったとして、現在、新しい戦略の策定作業が進められています。このように、戦略文書が簡単に改訂されるうえに、文書の実効性自体を疑問視させるような関係者の発言も出ています。以下では、この問題について、最新の情報をお伝えいたします。
また、最近焦点となっているロシア国内のガス料金の値上げの問題について簡単に触れるとともに、前回お伝えしたサハリン5の鉱区についての補足情報もお届けします。
自動車産業時評
サンクトペテルブルグの乗用車市場
はじめに
ロシア第2の都市、サンクトペテルブルグ。外国自動車メーカーが続々と進出を発表し、「ロシアにおける自動車生産の首都」の様相を呈し始めたペテルブルグですが、同市での自動車販売はどうなっているのでしょうか? 以下では、ロシアの調査会社「AVTOSTAT」が2006年11月に発表したレポートを中心に、ペテルブルグの乗用車市場の概況をお伝えします。
メタルワールド
ノリリスクがライオンオアを巨額買収
はじめに
世界のニッケル業界では最近、大きなM&Aが相次いでいます。この3月から6月にかけて、カナダの中堅ニッケル生産企業「ライオンオア」をめぐり、ロシアのノリリスクニッケル社と、スイスのエクストラータ社が、激しいTOB合戦を繰り広げました。結局、ノリリスク側がこの争奪戦に勝利し、6月末までに同社の株式の90%以上を取得するに至っています。ノリリスクはこの取引に64億米ドル(68億カナダドル)を投じたとされており、これはロシア企業による過去最高額の国外投資となりました。ちなみに、資金はBNPパリバとソシエテジェネラルからの借入で賄ったとのこと。
以下では、今回の買収劇に関するノーヴォスチ通信のオレグ・ミチャエフ解説委員による論評(2007年7月11日付)をご紹介いたします。
月刊エレクトロニクスNews
脚光を浴びるバルトミクスト社
はじめに
ロシアのテレビ生産(実際には単純なアセンブルばかり)はますます、バルト海に面した飛び地の経済特区、カリーニングラード州に集中しつつあるようです。2006年には、カリーニングラード州がロシアのテレビ生産の4分の3を占めるに至りました。そのなかでも最近、日系メーカーの薄型テレビを組み立てる拠点として、バルトミクスト社の工場が脚光を浴びています。以下では、関連情報をとりまとめてお伝えいたします。