ロシアNIS調査月報2008年2月号特集◆ロシア・NIS諸国の |
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特集◆ロシア・NIS諸国の機械産業 |
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調査レポート
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ロシアにおける重電機器の需給動向 |
調査レポート |
ロシアの軍産複合体の現状 |
ビジネス最前線
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ロシア工作機械市場をいかに開拓するか |
ミニ・レポート
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ロシア民間航空機産業の現状 |
ミニ・レポート
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復活をめざすロシアの農業機械産業 |
ミニ・レポート
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ウクライナの工作機械に未来はあるか |
ロシア産業の迷宮
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航空機エンジン持ち株会社狂想曲 |
データバンク
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数字で見るCIS諸国の機械産業 |
データバンク
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ロシアの50大機械メーカー |
データバンク
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2007年1〜9月の日本の対CIS主要国貿易統計 |
データバンク
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2006年のCIS諸国の貿易統計 |
データバンク
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2007年1〜9月のロシア・NIS経済 |
データバンク
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2007年1〜9月のロシアの乗用車市場 |
ユーラシア巡見
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タジキスタンにおける水力エネルギー資源開発 |
日本センター所長 リレーエッセイ |
ユジノサハリンスク編 日露交流の一端を担って |
エネルギー産業の話題
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ロスネフチの動きに異変? |
自動車産業時評
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ロシアのデトロイトことペテルブルグの近況 |
メタルワールド |
入り乱れるニッケル・アルミ・金の利権 |
ロジスティクス・ナビ
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ロシアの主要ロジスティクス業者 |
月刊エレクトロニクスNews
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ロシアの新消費者保護法と家電販売 |
商流を読む |
ロシアの衣料品市場の概況 |
ドーム・クニーギ
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辻久子編『シベリア・ランドブリッジ ―日ロビジネスの大動脈』 |
ロシアビジネスQ&A
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◎認証書の取得方法 |
業界トピックス
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2007年11月の動き ◆レアメタルのAMJが沿海地方で合弁設立 2007年1〜10月の通関統計 |
ロシアにおける重電機器の需給動向
ロシアNIS経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
1.一般電力分野の需給予測
2.原子力分野の需給予測
3.主要国産メーカーの概要
4.主要メーカーによる最近の大口受注
5.外資にとってのビジネスチャンス
はじめに
ロシアの電力分野では、今後、積極的な設備投資が行われる可能性が高くなっている。産業エネルギー省が作成した長期電源立地計画(ゼネラルプラン)どおりに投資が行われるかどうかは微妙だが、すでにある程度の設備投資用資金の確保ができており、少なくとも短期的には、かなり大規模な投資が行われるのはほぼ確実となっている。
本稿では、ロシアにおける重電機器の需給予測を筆者なりに行い、それをベースにロシア重電機器市場における日本企業のプレゼンス拡大の可能性についての考察を試みる。
ロシアの軍産複合体の現状
高知大学 准教授
塩原俊彦
1.軍産複合体の定義
2.軍産複合体の推移
3.軍産複合体の改革
4.個別軍産複合体の売上高ランキング
むすびに代えて
はじめに
今号ではロシア・NIS諸国の機械産業を特集しているが、言うまでもなくロシアの機械産業を軍需部門抜きに語ることはできない。そこで、この分野の第一人者である高知大学の塩原俊彦氏に、「ロシアの軍産複合体の現状」と題する総論的な論文をお寄せいただいた。(編集部)
ビジネス最前線
ロシア工作機械市場をいかに開拓するか
竃q野フライス製作所 海外ソフトウェア販売グループ長
福田成志さん
はじめに
精密加工と生産性の向上を絶えず目指している工作機械メーカー、牧野フライス製作所のロシアビジネスの歴史は半世紀を数えます。ソ連時代の公団貿易からココム事件による取引の激減、さらにはソ連解体からロシア経済の混乱を経て、ようやくここ数年、ビジネスが動き始めました。とはいえ、この間、ロシアの機械産業の環境は大きく変わっており、牧野フライス製作所のロシア市場での本格的な活動はこれからです。そこで今回は、同社のロシアビジネスの歴史と並走されている福田さんより、同国の工作機械産業の過去と現在を中心にお話をしていただきました。
ミニ・レポート
ロシア民間航空機産業の現状
はじめに
ソ連解体後、ロシアの民間航空機の生産は減少傾向にある。ソ連時代の1990年には約100機生産されていたものが、1999年には4機にまで落ち込んだ。その後、ロシア経済の活性化およびリースシステムの普及といった追い風を背景に需要がやや上向き、生産量も回復傾向にあるが、2006年時点で30機強と、ソ連時代には遠く及ばない。不振の背景には、以下のような問題が潜んでいると考えられる。
第1に、ソ連解体後、アエロフロートから分離独立する形で、数多くの航空会社が誕生したが、その多くが弱小企業で、新しい航空機を買う資金力を有していない。
第2に、資金力のある航空会社は、外国製の航空機を優先的に購入する傾向が強い。
第3に、R&D費が不足しており、ロシアの民間航空機製造部門には、市場のニーズに応える航空機を開発・生産する余力がない。
外国の技術を大幅に採用した国産の新型リージョナル・ジェット「スホイ・スーパージェット100(以下、SSJ100)」は、一定の評価を得ており、2007年秋時点で約100機の受注に成功しているが、ロシアの民間航空機製造部門には、今のところそれ以外の強力な目玉商品はなく、今後国家からの支援が強化されたとしても、同部門が危機的な状況から脱却するにはしばらく時間がかかりそうである。
ミニ・レポート
復活をめざすロシアの農業機械産業
はじめに
ソ連解体後、ロシアの農業分野は危機的な状況に陥り、農業機械に対する有効需要も激減した。その結果、安価ではあるが技術の後進性が著しく輸出競争力が低い(国内市場への依存度が高い)国産農業機械の生産量は激減することとなった。
ロシア製の農業機械の輸出先はカザフスタン、ウクライナ、ウズベキスタン等の旧ソ連諸国にほぼ限定されている。しかも、最近は輸出額が減少傾向にある。現在も国産農業機械の技術の後進性は克服されておらず、ソ連時代に開発された旧式の農業機械を生産しているメーカーが大半である。
ここ数年は、ロシアの農業分野には大手資本が参入しつつあり、収益性の高い農産物を中心に収穫量も増加傾向にある。それに伴い、農業機械に対する需要も増加している。
ただ、大手資本傘下の農業企業は性能の良い輸入農業機械を優先的に購入する傾向が強いため、市場の拡大が国産農業機械の増産にはつながっていない。生産は低迷したままで、一部の機械については減産傾向すら見られる。
一方、農業機械の輸入量は年々増加傾向にあり、2006年の金額ベースの数字は前年比53%増の13.9億ドルに達した。
ミニ・レポート
ウクライナの工作機械に未来はあるか
はじめに
『エクスペルト・ウクライナ』誌の2007年12月3日号(No.47)に、ウクライナの工作機械産業についてのレポートが掲載されているので、以下でその要旨を紹介する。
ロシア産業の迷宮
航空機エンジン持ち株会社狂想曲
はじめに
2007年12月号の本誌に掲載された塩原俊彦氏の論文「国家コーポレーションとロシアテクノロジー」に詳しく紹介されているが、現在、ロシアでは国営武器輸出入会社「ロスアバロンエクスポルト」が中心となり、「ロシアテクノロジー」と呼ばれる巨大な国家コーポレーションが設立されようとしている。航空機用エンジン製造部門もその国家コーポレーション設立構想の対象となっており、ロスアバロンエクスポルトの子会社のアバロンプロム主導で(国家主導で、とほぼ同義だと考えてよい)、航空機用エンジン製造部門の企業を統括する国営持ち株会社の設立プロセスが開始されている(その国営持ち株会社は、将来的に「ロシアテクノロジー」の傘下に入ることになっている)。
計画ではロシアに約40存在するといわれている航空機用エンジン関連企業を第1段階で4つの持ち株会社に統合し、第2段階でそれらの4つの持ち株会社を1つの持ち株会社に統合することが想定されている。順調に事態が推移すれば、2009年末までには第2段階が終了し、年間売上高20億ドル以上の大規模持ち株会社が誕生することになる。
ただ、予定通りにことが進むか否かは微妙となっている。第1段階で設立されることになっている4つの持ち株会社がそれぞれ固有の問題を抱えており、その統合プロセスが難航する可能性が存在するからだ。
本稿では、4つの持ち株会社のうち、ルィビンスク(ヤロスラヴリ州)の科学生産合同「サターン」を核とする持ち株会社と、モスクワの連邦国家単一会社「サリュート」を核とする持ち株会社の2つを取り上げ、それぞれが抱える問題点を紹介する。(坂口泉)
データバンク
数字で見るCIS諸国の機械産業
はじめに
CIS統計委員会の発行する『CIS統計通報』(2007, No.15)に、同諸国の機械産業に関する特集記事が掲載されているので、ここではその内容を抜粋してお届けする。
データバンク
ロシアの50大機械メーカー
はじめに
ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』は毎年、ロシアの400大企業ランキングを作成して発表している。最新のものは2007年10月1日号(No.36)に掲載され、本月報では2007年12月号においてそれを抜粋して紹介している。今回は、このエクスペルトの最新400大企業ランキングのなかから、機械メーカーのデータを抽出し、「ロシアの50大機械メーカー」という形でクローズアップしてお届けしたい。
データバンク
2006年のCIS諸国の貿易統計
はじめに
CIS統計委員会の統計集『2006年のCIS諸国の外国貿易』(2007年)が、このほどようやく刊行されたので、本誌でもこれにもとづいてCIS諸国の2006年の貿易データをまとめて紹介する。
CIS統計委員会にしかるべく数字を提供しておらず、したがってこの統計集にデータが不十分にしか掲載されていないウズベキスタンとトルクメニスタンについては、別の情報源からデータを補った。
各国の表4は、それぞれの主要貿易相手国トップ40を見たものである(幸い、日本はすべての国の相手国としてトップ40に入っている)。
なお、ロシアについては、より詳細な貿易統計が本誌2007年9-10月号に掲載されているので、ご利用いただきたい。
ユーラシア巡見
タジキスタンにおける水力エネルギー資源開発
筑波大学非常勤講師
島田志津夫
はじめに
タジキスタンのラフモン大統領は、2007年12月3日〜5日の日程で日本を公式訪問した。3度目となる今回の訪日では、5日に天皇陛下と会見、福田総理と会談したほか、3日〜4日に別府市で開催された第1回アジア・太平洋水サミットに出席することも目的の一つであった。ラフモン大統領は、同サミットの副議長にも選出され、数少ない首脳級の出席者の一人としてアラル海枯渇問題について報告を行い、水資源管理の重要性をアピールしつつ、国際社会からの支援を呼びかけた。
また、4日にはラフモン大統領自らが、都内で日本の企業関係者を対象としてタジキスタンへの投資に関するプレゼンテーションを行った。このプレゼンテーションで、ラフモン大統領は、民主主義と市場経済に基づいた国づくりに努力しており、民間セクターおよび市場経済の発展における国家の役割を念頭に置いた政府主導プログラムの実施により近年の国内経済は高成長を続け、投資家への優遇税制を含む世界基準に見合った法制度の整備など投資環境の改善にも努めていると述べ、とくに水力発電と鉱物資源開発の分野への投資を歓迎したいと述べた。
このように、豊富に賦存する水資源を利用した水力発電セクターは、タジキスタン経済における重要な柱の一つであり、ここではタジキスタンにおける水力エネルギー資源開発の概要について紹介したい。
RUSSIAN STYLE
ロシアの大学入試事情
はじめに
日本は大学入試の季節。本誌が出る頃は、センター試験が終わり、私立大学の一般入試が始まった時期だろうか。
ロシアでは、ご存知の通り9月1日に新学期がスタートするため、受験シーズンは、6月下旬〜7月である。
最近は日本もロシアも少子化のため、入試の倍率も低くなり、大学入学も簡単なのではないかと思ってしまうが、やはり希望の大学や学部に入るのは、いつの時代も難しいようだ。そして、教育費が上がっていることも、日ロ両国の親たちにとっては頭の痛い問題だろう。(山本靖子)
エネルギー産業の話題
ロスネフチの動きに異変?
最近、ロシア最大の石油会社「ロスネフチ」に関連するニュースがロシアの新聞紙上を賑わすことが多くなっています。今回は、それらのニュースの中からとくに興味深いと思われるものをピックアップしてご紹介いたします。
自動車産業時評
ロシアのデトロイトことペテルブルグの近況
ロシアのデトロイトと呼ばれるサンクトペテルブルグでは、外資系の自動車メーカーの動きが、以前にも増して活発になっています。日本のトヨタの工場が稼動を開始しましたし、韓国の現代もサンクトペテルブルグに自社工場を建設する計画を発表しました。さらに、まるでそれらの動きに呼応するかのように、フォードの現地工場の労働組合の活動が活発化しています。今回は、活況を呈するペテルブルグ(近隣のレニングラード州も含む)の自動車産業の最新の動きを紹介いたします。
メタルワールド
入り乱れるニッケル・アルミ・金の利権
ロシアの非鉄金属分野では、2007年にノリリスクニッケルの所有権再編をめぐる紛糾が続いてきましたが、11月になってアルミ業界の巨人であるルサールがこれに割って入り、ルサールとノリリスクの統合という壮大な構想に発展しました。さらに、金生産のポリュス・ゾロトをめぐっても動きが慌しくなっています。以下では、ノーヴォスチ通信のオレグ・ミチャエフ記者による解説記事をお届けいたします。
ロジスティクス・ナビ
ロシアの主要ロジスティクス業者
ロシアのロジスティクス関係のコンサルティング会社「KIAセンター」は、「ユーラシア・ロジスティクス協会」と共同で、同国のロジスティクス業者のランキングを制定しており、最新のランキングは2007年6月に発表されています。この番付が、ロシアの業界サイト「www.logistic.ru」に掲載されているので、今回はこれをご紹介いたしましょう。
このランキングは、ロシアで活動している主なロジスティクス業者を対象に、専門家が評点を行い、それを集計して作成されています。評価項目は、@市場のニーズへの対応、Aサービスの質、B国内での知名度、C市場での評価、D市場での潜在的競争力、E市場での主導的地位の6つであり、これらを総合して弾き出されたのが下表に見るベスト25のランキングです。
月刊エレクトロニクスNews
ロシアの新消費者保護法と家電販売
ロシアでは、2007年10月25日に消費者保護法が部分改訂され、自動車販売や家電販売にも影響が出ることが予想されています。そこで、これについて報じた12月10日付『ヴェードモスチ』紙の記事を、家電部門を中心に抜粋して紹介いたします。
商流を読む
ロシア衣料品市場の概況
衣料品は、日ロ間の経済関係ではまったく影の薄いアイテムなので、弊誌でもほとんど取り上げたことがない。ただ、消費部門の重要品目であることは間違いないので、要点だけでも押さえておきたいところだ。そこで今回は、「RBC」と「ディスカバリー・リサーチ・グループ」による2つの調査レポート(我々が利用したのはネットに掲載された簡易版)にもとづいて、ロシア衣料品市場の概況をごく簡単にまとめてみたい。
今月のピックアップ
レアメタルのAMJが沿海地方で合弁設立
本誌2007年5月号のインタビュー(ビジネス最前線「レアメタルを確保せよ」)に登場いただいたAMJ(アドバンスト・マテリアル・ジャパン)の中村繁夫・代表取締役社長は10月25日、沿海地方のプリモルスク鉱山との間で合弁企業設立を含めた複合協力に関する合意書に調印した。著書『レアメタル・パニック』で、技術立国・日本の生命線ともいえるレアメタル(希少金属)が世界中で逼迫する危機を予見した中村社長は、これまで中国に偏重していた調達先をロシア・中央アジアに広げることの重要性を主張しており、合意書調印の翌日、ウラジオストク市で開催された地域間交流分科会の第1回会合(貿易経済日露政府間委員会の下に設置)では「沿海地方における資源開発の提案」と題するプレゼンテーションを行った。そこで今回、AMJの沿海地方でのビジネスを中心に、同社長および西野元樹CIS貿易グループリーダーにお話を伺った。