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ロシアNIS調査月報2025年8月号特集◆「友好国」シフトが加速する |
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特集◆「友好国」シフトが加速するロシア貿易 |
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調査レポート |
2024年のロシアの貿易 |
調査レポート |
2024年のロシアと中国の貿易 |
調査レポート |
2024年のロシアとインドの貿易 ―南北の連携強化が向かう先― |
調査レポート |
2024年のロシアとカザフスタンの貿易 |
調査レポート |
2024年のロシアと韓国の貿易 |
調査レポート |
2024年のロシアとウズベキスタンの貿易 |
調査レポート |
2024年のロシアとキルギスの貿易 ―迂回取引の実態― |
INSIDE RUSSIA |
イラン情勢で不透明化する南北輸送回廊 |
ロシア極東羅針盤 |
中国車ではダメですか? |
報告 |
令和7年度定時総会報告 |
ミニレポート |
SPIEFのビジネス対話にみる風向きの変化 |
データリテラシー |
制裁下ロシアで高まるシステミック・リスク? |
エネルギー産業の話題 |
OPECプラス内部分裂の兆し ―サウジアラビアの苛立ち― |
シベリア・北極圏便り |
シベリアでの石炭生産動向と続く苦境 |
ロシアメディア最新事情 |
どうなる、ロシアとアゼルバイジャン? |
中央アジア情報バザール |
第2回「中央アジア+中国」サミット開催 |
ウクライナ情報交差点 |
昨夏不作の影響が出たウクライナの穀物輸出 |
シネマで見るユーラシア |
『ソルト』 |
ロシア音楽の世界 |
ラフマニノフ『交響曲第2番ホ短調』 |
業界トピックス |
2025年6月の動き |
通関統計 |
2025年1〜5月の対ロシア・NIS諸国出入通関実績 |
おいしい生活 |
歴史あるワイナリーが造るアルメニア・ワイン |
記者の「取写選択」 |
米ロ国境地帯を飛ぶ |
調査レポート
2024年のロシアの貿易
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 部長
齋藤大輔
ロシアがウクライナに侵攻してから3年以上が経過する。米欧の制裁強化にもかかわらず、ロシア経済はプラス成長を堅持し、プーチン政権は戦争継続の強気の姿勢を示している。侵攻の長期化と制裁の強化は、ロシアの貿易にどのような変化を引き起こし、貿易相手国・地域にどのような変化をもたらしたのか。2024年のロシアの商品別輸出入について、ロシア連邦税関局からは2025年7月時点で、商品大分類の輸出入の金額が発表されただけである。大雑把となってしまうが、この情報をもとに、昨年1年間にロシアがどのような商品を輸出入したかを分析する。
調査レポート
2024年のロシアと中国の貿易
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 部長
齋藤大輔
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化と米欧との対立激化の中で、ロシアと中国は連携を強めてきた。それは、ロシアは制裁下で生き抜くために、中国は米欧との対立の影響を回避するために、自ら望んだことでもあった。そしていま、両国は「史上最高の時代」を迎えている。習近平国家主席は2025年5月、対独戦勝80年の記念式典に出席するため訪問したモスクワで、プーチン大統領と会談し、ウクライナ情勢や米国のトランプ政権を念頭に、両国の一層の連携強化を確認するとともに、世界の多極化と経済のグローバル化を推進していくことで一致した。昨年の両国の貿易額は2,450億ドルと過去最高を更新した。そこで、2024年のロシアと中国の貿易を振り返るとともに、今後を展望してみたい。
調査レポート
2024年のロシアとインドの貿易
―南北の連携強化が向かう先―
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 主任
中馬瑞貴
ウクライナ侵攻以降、ロシアは「非友好国」と称される日欧米など西側諸国との経済関係が悪化の一途を辿る一方で、欧米による経済制裁などには加わらない「友好国」との関係を深化させている。そんなロシアにとっての「友好国」の代表格がインドだ。特に、インドとロシアの貿易高は2022年以降、毎年、過去最高を更新しており、2024年もそれに続いた。今やインドは、ロシアの貿易相手国として中国に次ぐ第2位を占める。そして2024年7月にモスクワで行われたモディ首相とプーチン大統領の首脳会談では「両国の貿易額を2030年までに1,000億ドルの大台を達成する」ことで合意しており、さらなる貿易関係の拡大が続くとみられる。そこで本稿では、2024年のロシアとインドの貿易について、主にインド商工省の発表する貿易統計を基に振り返るとともに、今後を展望する。
調査レポート
2024年のロシアとのカザフスタンの貿易
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 主任
中馬瑞貴
ロシアよるウクライナ侵攻以降、カザフスタンは制裁下でロシアが入手困難に陥った様々な製品の迂回貿易ルートの1つとして注目される。そこで、侵攻前後で大きく拡大している品目などにも注意しながら、2024年のカザフスタンとロシアの貿易を概観してみたい。
調査レポート
2024年のロシアとの韓国の貿易
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 研究員
大隅優香
2024年、韓国はロシアとの間でどのような貿易を展開してきたのか。制裁を強化する西側諸国とロシアとの経済関係が一段と縮小する中で、両国間の貿易はどのような変化を遂げたのか。2024年の動向を振り返るとともに、今後の韓ロ貿易について展望してみたい。
調査レポート
2024年のロシアとのウズベキスタンの貿易
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 研究員
齋藤竜太
本稿ではロシアとウズベキスタンの貿易動向を取り上げる。なおウズベキスタン統計委員会は、各貿易相手国との品目別の貿易統計など詳細な情報を公開していない。そこで本稿では他の統計資料や報道情報なども活用しつつ、分析や考察を試みる。
調査レポート
2024年のロシアとのキルギスの貿易
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 研究員
齋藤竜太
本稿ではロシア・キルギス間の貿易動向を取り上げる。特にウクライナ侵攻後のキルギスの対ロ輸出の活発化について考察・分析することを試みる。ロシアによるウクライナ侵攻後、中央アジアやコーカサス地域を経由した迂回貿易が活発化したことは周知の通りである。アルメニアを経由する携帯電話や、中央アジアを経由する電化製品や自動車など、様々な物品が、西側諸国の制裁を迂回し、ロシア市場に流入しているとされている。本稿ではそのハブの1つとされ、詳細な貿易統計が公開されているキルギスを中心に扱う。その上で、迂回貿易において重要な商品供給源とされている中国等との貿易動向にも注目し、適宜それらの国々の統計資料も参照する。これにより、ロシア・キルギス間の貿易動向を俯瞰し、迂回貿易のありようについて明らかにすることを目指す。
INSIDE RUSSIA
イラン情勢で不透明化する南北輸送回廊
ロシアが売り出そうとしている国際的な輸送路の1つに、「南北輸送回廊」がある。そのルートは、要するにサンクトペテルブルグおよびモスクワというヨーロッパ・ロシアの中枢部から、ロシア南部を経由して、カスピ海周辺を通過し、イラン領を通って、インド洋方面に抜けるというものである。(服部倫卓)
ロシア極東羅針盤
中国車ではダメですか?
中国は、ウクライナに侵攻したロシアを非難するより政治経済関係の強化を優先する姿勢を強める。中国はこの3年間で、自動車や家電、衣類など多くの分野でロシア市場を席巻することに成功する一方、西側諸国との関係悪化でエネルギー資源の調達が厳しくなるとみるや、ロシアからの輸入を増やし、ウィンウィンの関係を確立した。中ロの貿易高は2023年に2,000億ドルを突破した。一方、市場を席巻する中国製品を制限する動きも起きている。(齋藤大輔)
報告
令和7年度定時総会報告
一般社団法人ROTOBOは東京の如水会館にて、6月16日に令和7年度定時総会を開催いたしました。定時総会では「令和6年度事業報告」および「主たる事務所移転の件」の報告、第1号議案「令和6年度計算書類」、第2号議案「会費に関する会員規程一部改正の件」、第3号議案「定款の一部変更」、第4号議案「役員選任の件」の承認がなされました。以下では定時総会において報告された令和6年度事業報告の内容を掲載するとともに、定時総会における来賓の辻阪高子経済産業省通商政策局審議官(通商戦略担当)のご挨拶、また、飯島会長の挨拶を掲載いたします。
ミニレポート
SPIEFのビジネス対話にみる風向きの変化
2025年6月18〜21日、ロシア最大の経済イベントであるサンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(略称SPIEF)が開催された。今回のSPIEFでは、数年ぶりに米ロ、仏ロのビジネス対話が開催されるなど、ウクライナ侵攻後の3年間とは趣が異なるところがあった。
データリテラシー
制裁下ロシアで高まるシステミック・リスク?
2025年6月18〜21日に実施されたサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムでは、ロシアの経済閣僚などから経済の冷え込みを懸念する発言が多く発信されました。「2025年が経済の調整局面となる」との認識は2024年末からロシア国内のエコノミストの間では広く共有されており、政府当局者の発言からも確認できるようになったということでしょう。ただし、ロシアの経済官庁や中央銀行、また産業界の間では、高金利政策の評価とその継続をめぐって激しい政策論争が行われており、関連する発言には各所のポジショントークも含まれていますので注意が必要です。(長谷直哉)
エネルギー産業の話題
OPECプラスの内部分裂の兆し
―サウジアラビアの苛立ち―
油価の低迷による国家財政の悪化に強い危機感を抱き始めたOPEC加盟国は2016年11月末になり減産合意に達し、2017年初頭より日産量をそれまでより120万バレル少ない3,250万バレルにまで減少させる意向を表明しました。そのOPEC加盟国の合意を受け、ロシアをはじめとするOPECに加盟していない約10の産油国も、2017年の年初から6月末までの間に合計で56万バレル/日の減産を実施することになりました。このOPEC加盟国と非加盟国が参加する石油の需給調整システムはOPECプラスと呼ばれています。今回はOPECプラスに参加する8カ国による自主減産解消の動きの周辺をご紹介します。(坂口泉)
シベリア・北極圏便り
シベリアでの石炭生産動向と続く苦境
今回はシベリアにおける石炭産業動向をデータとともに紹介しておきます。戦時下ロシアにおいて石炭産業は苦境が伝えられており、その中でも主要産炭地を抱えるシベリアでは特に影響が大きいことをこれまでの連載でも説明してきました。(長谷直哉)
ロシアメディア最新事情
どうなる、ロシアとアゼルバイジャン?
6月下旬、ロシアとアゼルバイジャンの関係が先鋭化し、アゼルバイジャンの話題がメディアに連日登場するようになりました。多くのロシア人にとって、アゼルバイジャンは身近で友好的な国であり、特に悪いイメージはありませんでした。しかし関係悪化の兆候は半年以上前から現れていました。本コラムでは、ロシアとアゼルバイジャンの間に何が起きたのか、ロシアメディア(政府系・反政府系)、アゼルバイジャンメディア、BBC、カザフスタンメディアの全てを情報ソースとし、両国関係に影響を及ぼした出来事について時系列で振り返っていきます。(徳山あすか)
中央アジア情報バザール
第2回「中央アジア+中国」サミット開催
2025年6月17日、カザフスタンの首都アスタナで第2回「中央アジア+中国」サミットが開催された。同時期にカナダのカナナスキスでG7サミットが行われているタイミングということで、中国によるけん制と報道されているが、2023年5月にG7広島サミットと同時期に中国・西安で開催された第1回サミットの時にも同じような評価があったことを思い出した。(中馬瑞貴)
ウクライナ情報交差点
昨夏不作の影響が出たウクライナの穀物輸出
ウクライナは、2024年の夏季に少雨と熱波に見舞われ、穀物は全般に不作となった。農業政策・食料省によると、トウモロコシの収量は2,300万〜2,400万t(前年比20%減)、小麦2,230万t(2%減)、大麦550万tとされている。特に、南部や東部の諸州で、収量が大きく落ち込んだ。(服部倫卓)
シネマで見るユーラシア
『ソルト』
いきなり北朝鮮、しかも拷問シーンだ。コンクリートに囲まれた部屋で、スパイの容疑で拘束されたイヴリン・ソルトは腕と足を縛られ、全身血まみれの状態で、じょうごによって口に水を流し込まれる。イヴリンが気を失うと、スクリーンは暗転。南北朝鮮の38度線に。捕虜交換で釈放された彼女は、勤め先のリンク石油の同僚、テッド・ウィンターに付き添われて韓国側へ歩いていく。そこにはイヴリンの開放を米国政府に懸命に働きかけた夫のマイケルが待っていた。(芳地隆之)
ロシア音楽の世界
ラフマニノフ『交響曲第2番ホ短調』
セルゲイ・ラフマニノフ(1873〜1943)はロシアの古都ノヴゴロド出身の作曲家。彼については、このコラムでも4年前から取り上げて、世界で一番大きな手をしていた驚異のピアニストとして紹介した。名ピアニストとして一世を風靡したラフマニノフは、身長198cmの大男で、大きな手を広げて、長い指でもって鍵盤の上で縦横無尽に超絶技巧を披露した、誰にも真似のできない世紀のヴィルトゥオーゾ・ピアニストであった。今回取り上げるのは、忘れてならない彼の傑作、交響曲第2番ホ短調である。(ヒロ・ミヒャエル小倉)
記者の「取写選択」
米ロ国境地帯を飛ぶ
雲が晴れたのは10数分だろうか。私は旅客機の窓に額を付けて興奮していた。雪に覆われたいくつもの低山を載せた陸地が海の向こうに現れたのだ(写真)。海は米ロを分かつベーリング海峡、陸はロシア東端のチュコト半島。2025年6月5日、羽田発ロンドン行き全日空211便でのことだ。米ロの領土がわずか3.7km隔てて向き合うディオミード諸島がこの先にあるはず。私はさらに目を凝らした。(小熊宏尚)







