2002年
1月 |
15日 |
号 |
ロシアの経済成長は今後も続くか ―2002〜2003年を占う― | |
1月 |
25日 |
号 |
ロシア鉄道改革の焦点 | |
2月 |
5日 |
号 |
ダリキン沿海地方知事プレゼンテーション | |
2月 |
15日 |
号 |
ベラルーシ経済の刷新は可能か | |
2月 |
25日 |
号 |
急成長が続くロシアの携帯電話市場 | |
3月 |
5日 |
号 |
2001年の日ロ貿易 | |
3月 |
15日 |
号 |
『経済速報』のメール配信化について | |
3月 |
25日 |
号 |
活況に沸くロシアのIT産業 | |
4月 |
5日 |
号 |
アゼルバイジャン経済改革支援セミナーへの参加報告 | |
4月 |
15日 |
号 |
2001年のCIS諸国の経済(上) | |
4月 |
25日 |
号 |
2001年のCIS諸国の経済(下) | |
5月 |
15日 |
号 |
『ヴラースチ』誌のロシア業界シリーズを読む | |
5月 |
25日 |
号 |
ロシアのWTO加盟交渉の焦点と見通し | |
6月 |
5日 |
号 |
朝鮮半島〜欧州部を結ぶ国際輸送回廊 | |
6月 |
15日 |
号 |
ロシア経済の潮流を読む | |
6月 |
25日 |
号 |
EUの対ロシア経済政策の変容 | |
7月 |
5日 |
号 |
9月11日以降の米国の政策とユーラシア地域 | |
7月 |
15日 |
号 |
最新データで見るロシア極東経済 | |
7月 |
25日 |
号 |
ロシア極東訪問団出張報告 | |
8月 |
5日 |
号 |
ウズベキスタン・日本関係の発展のために | |
8月 |
15日 |
号 |
南コーカサス地域の現状と日本の対応 | |
8月 |
25日 |
号 |
EBRDロシア貿易・投資セミナー | |
9月 |
5日 |
号 |
数字でみるロシア広告業界 | |
9月 |
15日 |
号 |
2002年上半期の日ロ貿易 | |
9月 |
25日 |
号 |
2002年上半期のCIS諸国の経済 | |
10月 |
5日 |
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カザフスタンにおける外資参加企業の活動状況 | |
10月 |
15日 |
号 |
資料紹介 ウズベキスタンの最新経済状況 | |
10月 |
25日 |
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議会選挙後のウクライナの政治・経済情勢 | |
11月 |
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号 |
ロシア石油・ガス分野への視座 | |
11月 |
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号 |
サハリン鉄道の近代化とモスト計画 | |
11月 |
25日 |
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輸出促進に向けたロシアの新政策 | |
12月 |
5日 |
号 |
2002年1〜9月の日ロ貿易 | |
12月 |
15日 |
号 |
成長を模索するロシア医薬品業界 | |
12月 |
25日 |
号 |
No.1215 2002年1月15日
ロシアの経済成長は今後も続くか
―2002〜2003年を占う―
ロシア東欧経済研究所 研究開発部次長
高橋浩
はじめに
ロシア経済は1998年8月の金融経済危機の後、1999年は5.4%、2000年は8.3%、ソ連解体後のマイナス成長が基調となっていた時代と比べると高い成長を記録している。2000年の8%をこえる成長というのは、ソ連時代を含めても希にみる高い成長である。2001年も5.5%程度の成長となる見込みであり、工業生産も5%強の伸びとなりそうであり、3年続けて5%以上の成長を記録している(第1図参照。2001年は推定あるいは1〜11月の実績を援用、農業生産は省略)。5%成長というのは、2000年に策定された現在の経済発展貿易省の大臣であるグレフ氏を中心とするグループが策定したロシア経済の長期プログラムに合致した数字である。
その他の記事
◎プリマコフ氏がロシア商工会議所会頭に就任
No.1216 2002年1月25日
ロシア鉄道改革の焦点
ロシア東欧経済研究所 研究員
齋藤大輔
はじめに
ロシアのプーチン大統領は2001年5月、ロシア鉄道を抜本的に改革するプログラムを採択し、ロシア版国鉄改革をスタートさせた。ロシアの鉄道事業は構造的な欠陥を抱えており、事業別の分割・民営化を柱とする抜本的な改革措置を講じることにより、交通市場での競争に耐えうる組織に変革し、輸送の安定性と安全性、サービスの向上、効率的で便利な輸送システムの形成等を通じて、国民の輸送ニーズに対応しうるよう鉄道事業を再生することを目的とする。
ロシアの鉄道改革はこれまでも自然独占分野の改革として何度か計画されてきたものの、いずれも具体的な計画の作成に至らないまま、今日に至っている。鉄道事業を再生するという大改革の成否は時の政権のリーダーシップに多くを負っている。プーチン政権は就任1年目にして権力基盤を固め、国民から高い支持を得ている。こうした追い風を武器にプーチン政権は改革を断行する強い意志を示しており、その実現性は高いと考える。そこで本稿では、ロシア国鉄の現状と構造的な欠陥について述べるとともに、改革の内容を紹介する。
その他の記事
◎『ロシア東欧貿易調査月報』最新号のお知らせ
◎PR◆『ロシア語慣用句辞典』(東洋書店)
◎速報の電子化(メール配信化)についてのお知らせ
No.1217 2002年2月5日
ダリキン沿海地方知事プレゼンテーション
はじめに
ロシア沿海地方のダリキン知事が日本政府の招聘で来日されたのを機に、当会では1月17日、経済産業省において同知事によるプレゼンテーションを開催した。本号では、その報告内容を紹介する。
ダリキン知事は、2001年6月、前任のナズドラチェンコ知事辞任にともなう新知事選挙で選出された。多くの有力候補が立ち並ぶなか、当時無名のダリキン氏が当選したことは大きな話題になった。
ダリキン知事は、1963年沿海地方ボリショイ・カーメニ市生まれの38歳、極東高等技術海運専門学校の大学院修了後、ウラジオストク商業港に就職。その後、1989年に現在の株式会社「ダリリージング」の副社長に起用され、1991年には水産会社「ロリズ」を自ら創設した。1998年からはウスリースク市に所在する油脂加工コンビナート(現プリモルスカヤ・ソーヤ)の経営に役員として参画し、当時倒産に瀕していた同コンビナートの経営再建に取り組むなど、若いながらもすでにビジネス分野で多くの経験を積んでいる。その若さと企業家としての手腕が行政でどう活かされるか、今後の活躍が期待されている。
その他の記事
◎カザフスタンで首相交代
No.1218 2002年2月15日
インタビュー
ベラルーシ経済の刷新は可能か
L.ザイコ
分析センター「戦略」所長
はじめに
ベラルーシでは昨年の9月9日に大統領選の投票が実施され、ルカシェンコ大統領が圧倒的大差で勝利をものにし、再選を果たした。ルカシェンコ大統領は9月20日に就任式を挙行し、すでに二期目の政権をスタートさせている。
周知のように、ベラルーシでは1994年に政権に就いたルカシェンコ大統領が強権的支配体制を確立しており、市場化・民主化に逆行する路線がとられてきた。今回のルカシェンコ大統領の再選で、独立後の失われた10年に続き、ベラルーシがさらに5年を失うのではないかという懸念が国際的に強まっている。
しかし、最近のベラルーシの経済的舵取りには、従来にはなかった注目すべき動きも見られる。経済の自由化や民営化が緒に就いたり、ロシア資本がベラルーシに進出したりといった具合である。
そこで、ベラルーシを代表する民間エコノミストとして知られるL.ザイコ氏(分析センター「戦略」所長)にこのほどミンスクで話を聞いた。ザイコ氏は対ロシア関係をテコとするベラルーシ経済の刷新の可能性について、率直な意見を述べてくれた。以下はその主なやりとりである。
その他の記事
◎カザフスタン新内閣の顔ぶれ
No.1219 2002年2月25日
急成長が続くロシアの携帯電話市場
ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
ロシアの消費市場では、油価高騰の余韻がまだ残っており、好調な状態が続いている。とくに、携帯電話市場の活況ぶりには、驚くべきものがある。多くのアナリストの予測を上回るテンポで加入者数が増加しており、モスクワでは2001年末で加入者数が400万人を超えた。また、今後は地方でも普及率が伸びることが予測されており、モスクワもしくはサンクトペテルブルグを拠点とする大手事業者の中には、全国展開を目指すものも出始めている。
本稿では非常にダイナミックな動きを見せるロシアの携帯電話市場の状況を紹介する。
その他の記事
◎ロシアに対する貿易保険引受方針について((独)日本貿易保険からのお知らせ)
No.1220 2002年3月5日
2001年の日ロ貿易
はじめに
財務省発表の貿易統計の暫定値にもとづき、2001年の日本とロシアの貿易データをお伝えする。
2001年の日ロ貿易は、輸出(確報値)が7億2,000万ドルで前年比25.6%増加、輸入(速報値)が38億7,000万ドルで、前年比で15.7%減少した。輸出が大幅に伸び、輸入が減少した結果、貿易収支は2000年の約40億ドルから約32億ドルに減少したが、依然として輸出額は輸入額の5分の1以下にすぎず、日本の輸出全体に占める対ロ輸出のシェアは、わずかに0.2%にとどまる。2000年と2001年を比較すると、円安が大幅に進んだために、円建てでみると輸出の伸びは41.7%とドル建てよりも大きくなし、輸入については減少幅が5.2%と小さくなる。
その他の記事
◎ロシアに対する貿易保険引受方針について((独)日本貿易保険からのお知らせ)
No.1221 2002年3月15日号
『経済速報』のメール配信化について
はじめに
1月25日号(No.1216)でお知らせしたとおり、私どもでは読者の皆様のご意見・ご要望を踏まえ、本誌『ロシア東欧経済速報』をeメールで配信する電子ニュースレターに切り換えていく予定でおります。その手始めとして、4月5日号からメールによる試験配信を開始することになりました。つきましては、下記の要領で送付先のメール・アドレスをお寄せいただきたく、ご案内申し上げます。
No.1222 2002年3月25日
活況に沸くロシアのIT産業
ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
世界的にIT産業の不況が伝えられる中、ロシアでは、2001年にパソコンの販売台数が急増した。その結果、ロシア国内でのパソコンの生産を開始する外国企業も出現してきている。また、ソフト関連企業の業績も好調であった。2001年のロシアは、ITブームに沸いたと言っても過言ではない。本稿では、活気に満ちたロシアのIT産業の現状を紹介する。
その他の記事
◎PR◆ロシアにおけるハイテク技術動向調査団参加のご案内
No.1223 2002年4月5日
特別寄稿
アゼルバイジャン経済改革支援セミナーへの参加報告
日本・アゼルバイジャン経済委員会顧問
(株)東芝 常勤顧問
政策研究大学院 客員教授
田中哲二
はじめに
去る3月11日から14日にわたり、経済産業省・ロシア東欧貿易会共催の「アゼルバイジャン経済改革支援セミナー」に参加した。このセミナーは「産業政策セミナー」の名称で平成10年度から中央アジア・コーカサス諸国に対して実施しているもので、今回4回目でコーカサス地域では初めてのものである(これまで、平成10年度カザフスタン、平成11年度ウズベキスタン、平成12年度キルギスにおいて実施)。
以下、本レポートでは同セミナーの概要および関連イベントについて報告する。なお、本レポートに、現在バクーで話題となっている幾つかのテーマについて加筆したものを、『ロシア東欧貿易調査月報』で発表する予定なので、そちらの方もあわせて参照していただきたい。
その他の記事
◎2001年のロシアの国際収支
No.1224 2002年4月15日
2001年のCIS諸国の経済(上)
はじめに
2001年のCIS諸国の経済実績データがほぼ出揃ったので、これにもとづいて同諸国の最新の経済状況についてレビューする。データの出典は基本的にCIS統計委員会である(ウズベキスタンとトルクメニスタンは独自発表)。今回と次回の2回に分けてお届けし、まず今回はCIS全般、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバまでお伝えする。中央アジアおよびコーカサス諸国については次号で扱う。
CIS全般:格差広がるCIS経済
ロシア:成長の減速傾向に歯止めがかかるかが焦点
ウクライナ:内需主導の成長に転換
ベラルーシ:経済にのしかかるルカシェンコ再選の代償
モルドバ:経済指標は良好ながら先行きは不透明化
その他の記事
◎2001年のウクライナの国際収支
No.1225 2002年4月25日
2001年のCIS諸国の経済(下)
はじめに
前回に引き続き、CIS統計委員会等の発表したデータにもとづき、同諸国の最新の経済状況についてレビューする。前回は欧州部の国々を取り上げたが、今回は中央アジアおよびコーカサス諸国を扱う。
カザフスタン:CPC開通、石油による安定を受け、次なる課題は社会政策
キルギス:まだ見えぬ持続的成長の道筋
ウズベキスタン:漸進改革主義からの転向? IMFとの和解は本物か
トルクメニスタン:堅調な天然ガス輸出、ニヤゾフ王国の繁栄
タジキスタン:期待されるアフガン復興効果
アゼルバイジャン:さらに深まる石油への依存
アルメニア:成長続くも根本的な好転はなし
グルジア:低空飛行から脱却できず
その他の記事
◎2001年のカザフスタンの国際収支
No.1226 2002年5月15日
資料紹介
『ヴラースチ』誌のロシア業界シリーズを読む
ロシア東欧経済研究所 調査役
服部倫卓
はじめに
日刊紙『コメルサント』で知られるロシアのコメルサント出版は、『ヴラースチ』、『ジェーニギ』という同国を代表する高級週刊誌を発行している。政治的テーマを扱うのが『ヴラースチ』であり、『ジェーニギ』は経済誌という住み分けになっている。ところが、政治誌である『ヴラースチ』誌の方に今般、ロシアの産業に関する大変興味深い連載が掲載された。「ロシアは誰のものか:ロシアにおける資本主義の10年」と題するこのシリーズは、2001年9月11日号の化学工業に始まり、半年にわたって各号ごとにひとつの業界を特集し、2002年3月5日号をもって堂々完結した。
そこで今回の速報では、この興味尽きない連載の概要を紹介することにする。なお、原文はむろんロシア語だが、比較的読みやすい文章である。ロシアの特定の業界にご関心をおもちの向きは、ぜひ当該号を参照していただければ幸いである。
その他の記事
◎旧ソ連向け未払い貿易債権の最終処理について
No.1227 2002年5月25日
特別寄稿
ロシアのWTO加盟交渉の焦点と見通し
(株)富士総合研究所 調査研究部 主事研究員
金野雄五
はじめに
ロシアのプーチン大統領は、4月の年次教書演説において、世界貿易機関(WTO)加盟がロシアにとって「きわめて有益なこと」であると発言するなど、最近、機会あるごとにWTO加盟の重要性を指摘している。また、欧米諸国も、とりわけ米国の同時多発テロ発生以降、ロシアの早期WTO加盟を支持する姿勢を明確にしており、1993年6月のGATT加盟申請から約9年を経て、ロシアのWTO加盟に向けたモメンタムは、かつてない高まりを見せている。
旧ソ連諸国のなかでは、すでに6カ国(加盟順に:キルギス、ラトビア、エストニア、グルジア、リトアニア、モルドバ)がWTO加盟を実現している。ロシアがこれらに続いてWTOへの加盟を実現できるかどうか、本稿では、1.WTO加盟手続きの概要、2.ロシアの加盟交渉の現状、3.WTO加盟に伴い予想されるロシア経済への影響について、その基本的な枠組みを整理する。
その他の記事
◎2002年1〜3月のCIS諸国の経済
◎サハリンにおける合弁事業に関するセミナーのご案内
No.1228 2002年6月5日
朝鮮半島〜欧州部を結ぶ国際輸送回廊
ロシア東欧経済研究所 研究員
齋藤大輔
はじめに
朝鮮半島と欧州を鉄道で結ぶ「鉄のシルクロード」構想が実現に向け動き出した。4月には南北和解の象徴的な事業である京義線の再連結のうち、軍事境界線前までの韓国側部分が完成し、定期運行を開始した。一方、北朝鮮側も、シベリア鉄道と南北縦断鉄道を連結するロシアとの合意を受け、技術者をロシアから受入れるなどの動きをみせる。
その実現は、南北対話の進展に左右される。実際、対話の中断から、北朝鮮は京義線の自国部分の連結工事を中止しており、軍事境界線内の連結作業については合意のメドすら立っていない。さらに輸送ルートをめぐっては、南北、周辺国であるロシア、中国それぞれの思惑も絡む。
しかし実現すれば、海運・航空輸送主体の現在のアジア・欧州間の貨物の流れが大きく変わることが考えられる。大量輸送が可能となり、船舶輸送よりも到着時分、コストともに低減することができ、運賃やサービスの設定次第では海運から鉄道への相当なシフトが期待できる。さらにロシアにとっては、シベリア鉄道の国際貨物輸送が減少している中で、朝鮮半島と欧州間でのシベリア鉄道利用を促進することが、南北にとっては朝鮮半島が将来的に北東アジアの物流拠点になることが期待できる。北朝鮮の経済復興やシベリア・極東開発の呼び水になる可能性もあり、沿線周辺への経済効果の期待も大きい。
本稿では、南北と、ロシアと北朝鮮の鉄道連結計画について述べるとともに、「鉄のシルクロード」の実現の可能性とその将来性について論じる。
その他の記事
◎キルギスで首相交代
◎カザフ、アゼルバイジャンに新大使
◎WTO加盟がロシア経済に与える影響についてのレポート
No.1229 2002年6月15日
ロシア経済の潮流を読む
(第1回ROTOBOメンバーズ・ブリーフから)
はじめに
当会ではこのほど、会員向けの新サービスとして「ROTOBOメンバーズ・ブリーフ」と題する企画を開始いたしました。
当会がこれまで手がけてきた会員サービスの柱のひとつに、当会スタッフや外部専門家による講演会やセミナー等の開催があります。もちろん、こうした講演会やセミナーにはこれからも力を入れていくつもりです。それと同時に、会員の皆さんのご関心が多様化していることなどから、より柔軟かつ機動的な情報提供の努力が求められていることも痛感しています。また、講演者が一方的に見解を述べることにとどまらず、会員の皆さんのご意見や評価をも取り込んで当会の事業に活かしていけるような双方向的なコミュニケーションの場をつくりたいと考えていたところであります。
新企画「ROTOBOメンバーズ・ブリーフ」は、このような問題意識にもとづいて立ち上げられたものです。メンバーズ・ブリーフでは、主に当会のスタッフが、最新のトピックや現地出張の成果などについて、会員の皆様にホットな情報をご提供します。そのうえで、出席者の皆さんと闊達な意見交換ができれば幸いと存じます。格式ばった講演会という形ではなく、ざっくばらんな意見交換の場にしたいと考えております。
第1回のメンバーズ・ブリーフが、6月6日に当会会議室にて開催されました。テーマは「ロシア経済の潮流を読む」というもので、高橋浩(当会ロシア東欧経済研究所 研究開発部次長)と坂口泉(同 調査部次長)の両名が報告を行いました。プーチン政権の成立から2年を経て、明と暗が微妙に交錯するロシア経済を、マクロとミクロの両面から取り上げたものです。というわけで、今回の速報では、第1回メンバーズ・ブリーフにおける両報告者の報告要旨をご紹介いたします。
その他の記事
◎当会モスクワ事務所でもメルマガ創刊
◎ジェトロセンサーが中央アジア・コーカサスを特集
◎2002年1〜3月の日本の対CIS・中東欧諸国輸出入通関実績
No.1230 2002年6月25日
特別寄稿
EUの対ロシア経済政策の変容
−第9回ロシア・EUサミットの成果と問題点−
立正大学経済学部助教授
蓮見雄
はじめに
2002年5月29日、第9回ロシア・EUサミットが開催され、モスクワでプーチン大統領とプロディEU委員長が会談した。だが、今回のサミットに対するロシア 内外からの関心はあまり高いものではなかった。当日の『イズベスチヤ』紙は、ロシア高官の発言として「サミットに革命を期待してはいけない。せいぜい・・・・・・単一の経済空間設立へ向けた一歩を踏み出すことができれば成功だ」と報じている。確かに今回のサミットは、2001年10月にブリュッセルで行われた 前回のサミットでの合意事項を再確認するに留まり、今秋のアフィナでのサミットに向けた中間報告的色彩が強い。新機軸が打ち出されたというわけではなく、その意味では目立った成果に乏しかったといえるかもしれない。
しかし、ここ数年のEUの対ロシア政策の変化を考慮すれば、今回、EUの東方拡大と並行して、ロシアとの戦略的パートナーシップ関係を強化しようとするEUの姿勢が改めて明確に示されたことは評価されてよいだろう。この点は、2002年末までに10カ国がEUに加盟する可能性を示唆したラーケン宣言においても強調されていたことであるが、その直後2001年12月27日付で「2002〜2006年のTACIS地域協力戦略ペーパー」および同各国別協力戦略ペーパーが公表されていることを見落としてはならない。
本稿は、EUの東方拡大の具体化にともなって変化してきたEUの対ロシア政策を検討することによって、今回のロシア・EUサミットが、多くの未解決問題を先送りにしながらも、EU東方拡大政策に比べて立ち遅れていたロシア・EU間の経済協力が本格始動するターニングポイントに位置するものであることを示す。
その他の記事
◎プロムテックがロシア語版日本ガイドを発行
◎充実するロシア政府のインターネット広報
◎キルギスの新内閣
No.1231 2002年7月5日
9月11日以降の米国の政策とユーラシア地域
はじめに
当会では、米国の対旧ソ連諸国外交政策の著名な専門家であるイアン・ブレマー博士が来日したのを機に、6月25日に当会会議室においてブレマー博士と当会会員企業との懇談会を開催した。ブレマー博士は、EastWest Institute、Harriman Institute等を経て、現在はWorld Policy Instituteの主任研究員を務めるかたわら、コンサルタント会社の「ユーラシア・グループ」を主宰している。今回の速報では、6月25日の懇談会におけるブレマー博士の報告要旨を紹介する。
このなかでブレマー博士は、米ロ関係が全体として改善されていることは間違いないものの、内実を見てみると成果に乏しいという認識を示している。また、米ロ関係およびロシア国内情勢を見るうえで、「慎重な楽観主義」の立場を唱えている。
その他の記事
◎アゼルバイジャンの国際収支動向
◎ウクライナ経済に関する有益な情報源
No.1232 2002年7月15日
最新データで見るロシア極東経済
はじめに
当会ではこれまで、ロシアのなかでも日本とのつながりの深いロシア極東地域の経済データの提供に力を入れてきた。最近のものでは、『調査月報』の2001年10月号の極東特集号の 際に、「数字で見るロシア極東(2001年版)」を収録している。
今回の速報では、2001年の経済実績を中心に、ロシア極東の最新の経済データをピックアップして紹介する。なお、当会ではロシア統計国家委員会の出版物を系統的に収集しているが、最近ロシアでは地方別の統計データが顕著に充実してきており、今回もなるべくそうしたものを盛り込むことに努めたつもりである。しかしながら、本誌では紙幅に限りがあるので、いずれまた別の機会に極東の経済データを集大成してお届けしたいと考えている。
今回掲載している表は以下のとおり。
(第1表)人口動態
(第2表)2001年の主要経済指標
(第3表)マクロ経済指標等
(第4表)企業活動・小企業
(第5表)鉱工業部門
(第6表)投資
(第7表)社会情勢・生活水準
(第8表)対外経済関係
No.1233 2002年7月25日
ロシア極東訪問団出張報告
ロシア東欧貿易会 経済協力部長
佐藤隆保
はじめに
去る6月30日(日)から7月5日(金)の間、ロシア極東のウラジオストクおよびハバロフスクを訪問した(社)ロシア東欧貿易会の高垣会長を団長とするロシア極東訪問団(総勢10名)に事務局員として参加した。この訪問団はウラジオストクおよびハバロフスクにおいて各行政府知事、日本国総領事への表敬、ロシア企業の訪問・視察、対日関心ロシア企業との個別面談、懇談等を行った。以下、本稿では訪問団の概要と小職の所感を報告させていただく。
その他の記事
◎ウズベキスタン・ビジネスのお勧めサイト
◎訃報
No.1234 2002年8月5日
ウズベキスタン・日本関係の発展のために
(カリモフ・ウズベキスタン大統領スピーチ)
はじめに
ウズベキスタン共和国のイスラム・カリモフ大統領が7月28日から31日までの日程で訪日したのを機に、当会を含む関係5団体は7月30日、都内において大統領訪日歓迎夕食会を開催した。この夕食会においてカリモフ大統領は、ウズベキスタン・日本関係の発展を唱え、特に日本企業にウズベキスタンへの投資拡大を呼びかけるスピーチを行った。そこで今回の速報では、このカリモフ大統領のスピーチの内容を紹介することにする。
その他の記事
◎ウズベキスタンに新大使
No.1235 2002年8月15日
南コーカサス地域の現状と日本の対応
(ROTOBOメンバーズ・ブリーフから)
はじめに
2000年5月から2002年6月初めまで駐アゼルバイジャン特命全権大使(グルジアを兼轄)を務めてこられた廣瀬徹也大使が、このほど帰朝された。当会ではこの機会に廣瀬大使をお招きし、「南コーカサス地域の現状と日本の対応」と題して、当会会員向けのメンバーズ・ブリーフを開催した。今回の速報では、7月26日のメンバーズ・ブリーフにおける廣瀬大使の講演内容を抜粋して紹介する。
その他の記事
◎小川和男著『日本・ロシア経済関係の新展開』
No.1236 2002年8月25日号
EBRDロシア貿易・投資セミナー
はじめに
7月12日、「EBRDロシア貿易・投資セミナー」が開催された(当会、EBRD、ジェトロの共催)。昨年に引き続き、EBRD(欧州復興開発銀行)の担当官が日本企業向けに、ロシア市場へのアプローチ、EBRDの役割・機能についてプレゼンテーションを行ったものである(昨年のセミナーの模様は当会『ロシア東欧貿易調査月報』2001年6月号参照)。
今回の速報では、7月12日のセミナーにおけるJ.ハーフィールド氏(EBRDロシア部副部長)によるプレゼンテーションの総論部分を抜粋して紹介することにする。
その他の記事
◎『ロシア技術ニュースレター』発行のお知らせ
◎シンポジウム「9.11から1年 −中央アジアから世界と歴史を読み解く−」
No.1237 2002年9月5日
数字でみるロシア広告業界
ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
ロシアでは大都市部を中心に消費市場が活況を呈しているが、それにともない、1998年夏の経済危機以降停滞気味であった広告業界にも活気が戻ってきている。以下では、数字を中心に、ロシアの広告業界の現状を紹介する。
その他の記事
◎カザフスタンで政府機構改革と経済閣僚人事
◎『ロシア産業ハンドブック2002』完成
No.1238 2002年9月15日
2002年上半期の日ロ貿易
はじめに
当会では、財務省発表の貿易統計にもとづいて、2002年上半期の日本・ロシア貿易の輸出入商品構成をまとめたので、今回はこの資料を紹介する。
財務省発表の貿易統計を当会で独自にドル換算したところ、2002年1〜6月期の日ロ貿易の総額は18億6,063万ドルで、前年同期比21.4%低下した。うち、日本の輸出が4億3,884万ドルで前年同期比47.3%増、輸入が14億2,179万ドルで同31.3%減であった。より規模の大きい輸入の減少が響いて、総額も低下を余儀なくされた形だが、内容的に見ると、日ロ貿易全体としては決して悲観すべきパフォーマンスではない。
その他の記事
◎2002年1〜6月の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入通関実績
◎野村ドイツ大使を新ロシア大使に起用
◎新刊のご案内
◎ウズベキスタン国営航空、成田就航
No.1239 2002年9月25日
2002年上半期のCIS諸国の経済
はじめに
今回の速報では、CIS統計委員会発表の統計データにもとづき、CIS諸国の2002年上半期(1〜6月期)の経済動向についてお伝えする。
2002年上半期のCIS経済は、一部例外はあるが、全体としてみると1999年から始まる経済の安定傾向が続いている。つまり、生産および投資、消費の伸び、落ち着いた物価上昇が2002年上半期にも続いている。CIS統計委員会の評価では、失業率の減少、財政の健全化、為替の安定も進んでいる。しかし、同委員会は、依然として支払遅延が現実的な問題であり、金融システムの抜本的な改善がみられず、金融機関の融資は大部分が短期であることを指摘している。
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No.1240 2002年10月5日
カザフスタンにおける外資参加企業の活動状況
はじめに
CIS統計委員会の発行する『CIS統計通報』(2002,No.13)に、カザフスタンにおける外資参加企業(合弁企業および100%外資企業)の最新の活動状況に関するレポートが掲載されているので、今回の速報ではその抜粋をお送りする。
この資料によれば、カザフスタンでは外資参加企業の増加が続いており、2001年には3,995件に達した。経済における役割はますます拡大しており、2001年には同国で生産された財・サービスの実に53%が外資企業によるものだった。
ただ、このようにカザフスタン経済において外資企業の役割が高まるなかで、日本の影が薄いのは少々気になるところである。統計が現実をどれだけ捕捉しきれているかは不明だが、第1表に日本は登場しない。このデータを信頼する限り、カザフスタンにおける日本企業の現地法人設立数は10件以下で、一連のライバル国に大きく水を開けられていることになる。日本企業の取り組みが大規模資源開発や支援事業に偏重し、ややフットワークが重くなってしまっている感は否めない。
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No.1241 2002年10月15日
資料紹介
ウズベキスタンの最新経済状況
はじめに
このほど当会スタッフが社団法人海外コンサルティング企業協会主催による「中央アジア総合開発調査」に参加した際に、ウズベキスタンのマクロ経済・統計省より同国の2001年の経済情勢に関する資料を入手した。周知のように、ウズベキスタンは過去数年間、経済統計をごく断片的にしか発表せず、同国の経済運営に対する信認の低下につながっていた。それが、IMFとの対話再開という流れのなかで、最近だいぶ様相が変わってきており、今回このような資料を入手できたのも、ウズベキスタンにおける情報公開化のひとつの表れと言える。本資料は、まだまだ不満は残るものの、これまで一般には公表されていなかったような具体的な情報も含んでおり、ウズベク経済の概況を知る有益な手がかりになりそうだ。そこで今回の速報では、このウズベキスタン・マクロ経済・統計省提供の資料を翻訳してお届けすることにする(小見出しは編集部で適宜付けた)。
なお、CIS統計委員会編『CIS統計通報』(2002,No.8)に、2001年のウズベキスタンの貿易に関するデータが掲載されているので、こちらは統計速報のコーナーで紹介する。あわせてご参照いただきたい。
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No.1242 2002年10月25日
議会選挙後のウクライナの政治・経済情勢
ロシア東欧経済研究所 調査役
服部倫卓
はじめに
筆者が前回「ウクライナ、10年目の迷走?」(本誌2001年6月25日号、No.1196)と題するレポートを書いてから、1年あまりが過ぎた。この間、ウクライナにおいては、当初は外需頼みだった経済成長が内需主導型に転換し、予想外に良好な経済パフォーマンスを示している。他方、内政に目を転じると、2002年3月に議会選挙が実施され、これをひとつの契機として現在クチマ政権と野党勢力との対立関係は正念場を迎えている。
本稿では、注目されるポイントをいくつか取り上げつつ、最新のウクライナの政治・経済情勢についてまとめてみたい。なお、付属資料として、ウクライナの貿易と国際収支の動向に関するデータをまとめて紹介するので、あわせてご参照いただきたい。
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◎CIS・中東欧諸国の最新GNP
No.1243 2002年11月5日
ロシア石油・ガス分野への視座
(ROTOBOメンバーズ・ブリーフから)
ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
当会では10月30日、「ロシア石油・ガス分野への視座」と題して、会員向けの報告会を開催した。
ロシアの石油分野では増産が続いているが、その評価については意見が分かれている。他方、ガス分野においては、上流の状況が悪化しており、深刻なガス不足が起きる可能性も指摘されている。今回の報告会では、ロシアの石油・ガス分野の現状をどう評価し、どのような問題に着目すべきかという点を中心に、ロシア東欧経済研究所 調査部次長の坂口泉が報告を行った。本号では、その要旨をご紹介する。
なお、最新の関連レポートとして、以下の2点があるので、あわせてご参照いただければ幸いである。
●坂口泉「ロシア石油分野の現状と今後についての考察」『ロシア東欧貿易調査月報』(2002年8-9月号)。
●坂口泉「岐路にたつロシアのガス分野 ―ガスプロムの状況を中心に―」『ロシア東欧貿易調査月報』(2002年10月号)。
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◎『ロシア東欧貿易調査月報』最新号のお知らせ
No.1244 2002年11月15日
サハリン鉄道の近代化とモスト計画
ロシア東欧経済研究所 研究員
齋藤大輔
はじめに
サハリン鉄道の近代化とサハリン・モスト計画が現在、ロシア鉄道省内で検討されている。近代化計画とは、日本統治下に敷設されたレールを撤去・交換し、ロシアと同じレールの幅に交換すること、モスト計画とは、島と大陸を鉄道で結ぶことである。事業費は近代化計画が数億ドル、モスト計画が数十億ドルで、どちらも日本を含めた諸外国の対ロ投資案件になる可能性のある巨大プロジェクトである。
本稿では、サハリン鉄道の歴史と現状について述べるとともに、近代化計画とサハリン・モスト計画の内容およびその問題点について論じる。なお、「サハリン・モスト」の「モスト」とは「橋」との意であるが、ここでは、島と大陸の間に鉄道線を建設するプロジェクトの総称として、「サハリン・モスト」を用いる。
その他の記事
◎エクスペルト社『ロシア200大生産企業ランキング』を発表
No.1245 2002年11月25日
輸出促進に向けたロシアの新政策
はじめに
ロシア政府はこのほど、経済発展貿易省が中心になって、輸出促進のための一連の新政策を策定した。ロシア政府が9月の末に了承した今回の新政策は、タイド・クレジット、貿易保険、税制の簡素化、為替規制の緩和、情報面でのサポートなどからなっている。今回の速報では、報道をとりまとめる形で、この新政策の骨子を紹介する。
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◎中東欧・モンゴル各国の在日大使館・通商関係者名簿
◎モスクワ・メルマガNo.8(くるま特集)発行のお知らせ
No.1246 2002年12月5日
2002年1〜9月の日ロ貿易
はじめに
当会では、財務省発表の貿易統計にもとづいて、2002年1〜9月の日本・ロシア貿易の輸出入商品構成をまとめたので、今回はこの資料をお届けする。また、統計速報のコーナーでは、1〜9月期の日本の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入額を一覧表にして掲載しているので、あわせて参照願いたい。
財務省発表の貿易統計を当会で独自にドル換算したところ、2002年1〜9月期の日ロ貿易は総額で29億4,047万ドルにとどまり、前年同期比15.5%低下した。うち、日本の輸出が6億7,133万ドル(前年同期比32.5%増)、日本の輸入が22億6,914万ドル(同23.6%減)であった。より規模の大きい輸入の減少が響いて、総額も低下を余儀なくされた格好である。
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No.1247 2002年12月15日号
成長を模索するロシア医薬品業界
はじめに
消費ブームを反映してか、ロシアの医薬品分野でも小売形態が様変わりしている。たとえば、最近、モスクワをはじめとする大都市では、「薬品も売るスーパーマーケット」というコンセプトの薬局が次々と登場し、大きな賑わいを見せている。その一角だけを見ていると、ロシアの薬品分野は新しい環境への適応に成功し本格的な成長軌道にのったとの印象を持ってしまいがちである。しかし、下流部門、すなわち消費市場に近い部分の華やかさとは裏腹に、ロシアの薬品分野の上流部門(研究開発部門、製造部門)の状況は非常に厳しい。本稿では、様々な数字を通し、明暗に彩られたロシアの薬品業界の実態を紹介したい。
その他の記事
◎モスクワ・メルマガNo.10(科学技術特集)発行のお知らせ
◎ロシア人、NIS諸国人の日本入国ビザ申請手続きの変更
No.1248 2002年12月25日号
2002年1〜9月のCIS諸国の経済
はじめに
CIS諸国の2002年1〜9月期の経済データがほぼ出揃ったので、本号ではCIS統計委員会発表の最新の統計データをまとめてお伝えする。
CIS統計委員会の発表によると、2002年1〜9月期のCIS諸国全体のGDPは、前年同期比実質4%成長した(推計値)。CISの経済成長率は2000年の8.3%をピークに、その後は2年連続して減速しているということになる(第2表参照)。もっとも、これは経済規模の大きい(CIS全体のGDPの約7割を占める)ロシアの成長鈍化に起因するものであり、ロシア以外では高成長率を記録している国も少なくない。
ロシアでは、昨年後半以降の原油価格の低下を受け、設備投資の伸びが鈍化している。今年春に油価が持ち直したこともあり、経済の安定は保たれており、現在は旺盛な個人消費が経済を引っ張っている。ウクライナもひとまずは消費主導の成長軌道に乗ったようだ。
中央アジアとコーカサスの国々は、総じて高い成長率を示している(唯一キルギスはクムトール金鉱の事故と在庫調整が重なりマイナス成長)。カザフスタン、アゼルバイジャンでは、原油価格の低下にもかかわらず、活発な投資活動で高成長が維持されている。
こうしたなか、もともと特異な政治・経済体制で知られていたトルクメニスタンとベラルーシが、ここに来てにわかに国情を悪化させている。ニヤゾフ・トルクメニスタン大統領は1〜10月の成長率を「世界で最も良好な経済指標」と誇ってみせたが、この2国の場合は見かけ上の経済指標などにかかわりなく、体制の危機が進行していると見るべきだろう。
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