2003年

 

 

No.1249 1月15日号 2003年日露経済協力の拡大へ向けて

No.1250 1月25日号 ロシア・オリガルヒ最新事情  ―『オリガルヒ』を上梓した中澤孝之さんに聞く―

No.1251 2月5日号 カスピ海地域における投資リスク

No.1252 2月15日号 なぜロスネフチは石炭開発事業への参入を決断したのか

No.1253 2月25日号 スラヴネフチの民営化の背後にあるもの

No.1254 3月5日号 「サハリン・プロジェクト」を取り巻く環境及び補償問題

No.1255 3月15日号 TNKとBPによる新会社設立をどう見るか

No.1256 3月25日号 2002年の日ロ貿易 ―総額の縮小は不振を意味せず―

No.1257 4月5日号 「中央アジア貿易・投資データベース」事始め

No.1258 4月15日号 2002年のCIS諸国の経済(上)

No.1259 4月25日号 2002年のCIS諸国の経済(下)

No.1260 5月15日号 中央銀行HPで見るCIS各国の国際収支

No.1261 5月25日号 驚異的な伸びをみせるロシアの携帯電話市場

No.1262 6月5日号 ウクライナの直接投資受入に関する最新データ

No.1263 6月15日号 サハリンUからのLNG購入に関する基本合意

No.1264 6月25日号 ロシア極東の詳細な外国投資受入データ

No.1265 7月5日号 経済自由化の決断を求められるウズベキスタン

No.1266 7月15日号 ロシアのビール業界最新事情

No.1267 7月25日号 それからのベラルーシ −劣化する経済と対ロシア関係−

No.1268 8月5日号 ロシアにおけるビジネス交渉心得

No.1269 8月15日号 レベジェフ事件の経緯とその背景 −なぜメナテップ幹部は逮捕されたのか−

No.1270 8月25日号 2003年夏ロシアの政治情勢

No.1271 9月5日号 好調を持続するロシアの乗用車市場 −2003年上半期のデータを中心に−

No.1272 9月15日号 2003年上半期の日ロ貿易 −自動車輸出が強力に牽引−

No.1273 9月25日号 2003年上半期のCIS諸国の経済 −成長の減速傾向に歯止め−

No.1274 10月5日号 ロシア・エネルギー戦略が描く長期的な生産見通し

No.1275 10月15日号 ロシア極東の玄関口、ウラジオストクとナホトカの現状

No.1276 10月25日号 CIS諸国における外資参加企業の設立・活動状況

No.1277 11月5日号 21世紀ロシアの使命 −自由主義の帝国?−

No.1278 11月15日号 アゼルバイジャン大統領選と内政・外交の行方

No.1279 11月25日号 ロシアおよび極東ロシアの林業・木材加工業

No.1280 12月5日号 ロシア下院選挙における主要な政策課題

No.1281 12月15日号 2003年1〜9月の日ロ貿易 −早くも昨年の貿易総額を突破−

No.1282 12月25日号 下院選挙とロシア国内対立の構図

 


 

 No.1249 2003年1月15日

2003年日露経済協力の拡大へ向けて

ロシア東欧貿易会顧問・三菱商事国際戦略研究所顧問

遠藤寿一

はじめに

 1月9日訪ロした小泉総理は、翌10日プーチン大統領との日露首脳会談に臨み、今閉塞感の漂う日露関係を打開し、全体として前進させるために、6分野を同時並行的に進める指針として「日露行動計画」に署名した。

 さらに、小泉総理は日本歴代の総理としては初めて、1月12日ロシア極東地域の中心であるハバロフスクへ立寄り、シベリア極東のエネルギー資源開発への日本の協力を表明している。

 これに対しプーチン大統領は、今般の首脳会談を「日露外交は、ようやく原則から現実へ」第一歩を踏み出したと評している。

 従来の日露外交は「領土問題の解決」−「平和条約の締結」−「経済協力」となっていたが、今回の「日露行動計画」により、経済もフロントランナーとして認知されたことになる。

 本稿では年頭に当たり、ロシア経済、日ロ経済関係の現状を検討するとともに、今後の課題について吟味することとする。

 

 その他の記事

◎新刊案内『ロシア 森林大国の内実』

 


 

No.1250 2003年1月25日

ロシア・オリガルヒ最新事情

―『オリガルヒ』を上梓した中澤孝之さんに聞く―

はじめに

 ロシアの「オリガルヒ」が内外で話題に上るようになって久しい。オリガルヒは我が国では政商、新興財閥などとも訳されるが、エリツィン政権の晩年から、ロシアの政治・経済を動かす隠然たる影響力をもった存在として注目を集めるようになった。プーチン政権下でそのありようは変質を迫られているものの、「オリガルヒ」は依然として現代のロシアを読み解く重要なキーワードとなっている。

 先ごろ、我が国を代表するロシア政治研究家である中澤孝之・長岡大学産業経営学部教授が、『オリガルヒ(政商)―ロシアを牛耳る163人―』と題する著作を上梓された。本書は、最新の情報を綿密に調べ上げ、それを一冊にまとめ上げた「オリガルヒ名鑑」であり、現代ロシアを知るための資料としての利用価値が非常に高いと思われる。

 そこで本誌では、中澤教授に著者インタビューを申し込み、本書のエッセンスを紹介していただくとともに、オリガルヒの最近の動向や未来予想図、プーチン政権についての評価などについてもあわせて語っていただいた。以下、そのインタビューをお届けする。

 

 その他の記事

◎調査月報最新号のお知らせ

◎ロシアにおける外国人の就労許可証の新制度

 


 

No.1251 2003年2月5日

特別寄稿 カスピ海地域における投資リスク

アセスメント・リスク・グループ代表

D.サトパエフ

はじめに

 このほど、当研究所と交流のある「アセスメント・リスク・グループ」のドスィム・サトパエフ代表に、カスピ海地域における投資リスクに関するレポートを寄稿してもらったので、今回の速報では同レポートを抜粋してお届けする。

 「アセスメント・リスク・グループ(ARG)」はカザフスタンのアルマトィを拠点とした非政府の分析専門組織で、中央アジアおよびカスピ海地域諸国の政治・経済分析、カントリーリスク評価、その関連のコンサルティングなどを手がけている。Kazakhstan:Risks Reviewという月刊の分析レポートを英文で発行しており、これはこの種の刊行物としては中央アジア諸国で初のものであるという。

 

 その他の記事

◎モスクワ・メルマガNo.12(消費・流通特集)発行のお知らせ

◎キルギスに日本大使館オープン

◎ロシアのハイテク産業に関するセミナー

 


 

No.1252 2003年2月15日

なぜロスネフチは石炭開発事業への参入を決断したのか

ロシア東欧貿易会 総務部

村部興

はじめに

筆者は約3年にわたり在ユジノ・サハリンスク日本国総領事館に専門調査員として勤務した立場上、明らかに読者の方々の関心を引くであろう「サハリン・プロジェクト」のような本邦内外での利害関係者が多岐にわたる現在進行中の案件については、その及ぼす影響の大きさ等を考慮して今回はあえてこれに触れることは避けた。そのようなわけで、本邦における利害関係者が少なく、かつ、多少時間的に古くとも今日でも十分に読むに耐える内容を有するテーマとして選んだのが本稿である。情報が氾濫する中で、取り立てて注目されることもなく人々の記憶の中から消え去ったと思われるロシア辺境の地サハリンでのひとつの出来事を、彼の地での実体験を織り交ぜつつご紹介したい。筆者のサハリン在勤中のひとつのエピソードとして、また、ひとつの物の見方として御理解、御一読たまわれば幸いである。

2001年4月16日、ロシア国営石油会社ロスネフチは、サハリンでの石炭開発事業への参入を正式に発表した。当然のことながら、本来異業種であるはずの石炭開発事業へのロスネフチの参入はサハリンでも様々な憶測を招いたが、サハリンの有識者の多くはロスネフチの石炭開発事業への参入の動機を明確に理由付けすることができなかった。このあたりの事情は、ロスネフチの動きを論評した次のようなサハリン主要マスコミの報道振りに集約されているものと思われる。すなわち、ロスネフチの正式発表を受けたサハリンの主要マスコミは、ロスネフチの石炭開発事業への参入決定の裏に隠された真意を図りかねたのか、ロスネフチがサハリンでの石炭開発事業への参入を正式に発表した当日がたまたまファルフジノフ・サハリン州知事の誕生日と重なったこともあって、「サハリンの原油・天然ガス開発で収益をあげているロスネフチが、かねてより石炭産業を州の基幹産業のひとつに育成したいと望むファルフジノフ知事に大きな誕生日プレゼントを贈った」と報じたのである。言うまでもなく、このようなサハリンの主要報道機関の報道振りは論外としても、それではなぜ、ロスネフチは本来事業分野外であるはずの石炭産業への参入を正式に決定するに至ったのであろうか。

 

 その他の記事

◎メンバーズ・ブリーフ「キルギスの外資導入とインダストリアルパーク」

◎アゼルバイジャンに関するお得情報2本

 


 

No.1253 2003年2月25日

スラヴネフチの民営化の背後にあるもの

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 2002年末にロシアの国営石油会社「スラヴネフチ」の民営化が実施され、株式の約76%が18億6,000万ドルで落札された。これは、スヴャジインベストに次ぐ大規模民営化であり、これで2003年の対外債務返済の目処がたったとの見解をロシア政府サイドは示している。

 正直に告白すれば、筆者はこの民営化には全く関心がなく、ほとんどトレースをしていなかった。スラヴネフチにおいては、従来よりアブラモビッチ率いるシブネフチの影響力が強く、シブネフチが落札するのは確実だと考えていたからである(実際は、シブネフチとチュメニ石油会社が共同で落札したのだが)。ただ、ある必要に迫られて当該の民営化の経緯を少し調べたところ、その背景は筆者が考えていたほど単純なものではないことがわかった。興味本位に流されやすいテーマなのでレポートにすることは躊躇されたが、ロシアのビジネス環境を評価する上で看過することができない問題も内包しているように思われたので、敢えてレポートとしてまとめてみた。

 なお、同社の民営化に関しては謎の部分も多く、本レポートの記述の中には筆者の憶測が数多く含まれていることを予めお断りしておく。

(スラヴネフチのHPは→http://www.slavneft.ru

 

 その他の記事

◎『調査月報』最新号のお知らせ

◎モスクワ・メルマガNo.13のお知らせ

◎日本カザフスタン合同会議の報告書

 


 

No.1254 2003年3月5日

「サハリン・プロジェクト」を取り巻く環境及び補償問題

ロシア東欧貿易会 総務部

村部興

はじめに

 1999年7月に原油の先行生産を開始したサハリンUプロジェクトに引き続き、サハリンTプロジェクトも2005年第4四半期からの原油の商業生産開始を目指してチャイボ鉱区での沿岸からの水平掘りによる油井掘削作業の開始を本2003年前半に予定している。しかしながら他方では、サハリンT、Uプロジェクト開発の進展に伴い、ロシア国内外の環境NGOは、これらプロジェクト開発が進むサハリン北東沿岸地域は自然が手付かずのまま残されている貴重な地域であるとして、環境保護を盾に活発な開発反対運動を展開している。このような中、2002年9月18日には、サハリンTプロジェクトが開発の第2段階(ガスの全面開発・生産)で計画する海底パイプライン敷設構想がサハリン州の漁業活動に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、環境への悪影響を防止するためのあらゆる措置を講じるべきとするファルフジノフ・サハリン州知事宛のサハリン漁業者連盟アピールがサハリン地元紙に掲載された。また、2002年9月4日付の『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、「シェル(サハリンUプロジェクトのオペレーター会社)及びエクソン(サハリンTプロジェクトのオペレーター会社)がコククジラの生息海域付近で繰り返し地震探鉱等を実施した結果、これらクジラが絶滅の危機に瀕している」として、「これら両社はサハリン大陸棚開発においてもアラスカでのそれと同程度の厳しい環境保護基準の下で原油・ガス開発を進める必要がある」旨の記事を掲載する等、「サハリン・プロジェクト」に対する環境保護面での内外の批判記事は増加する傾向にある。特に、コククジラの保護を巡る問題については、本年2月にロシアの環境保護団体がインターネット上での反サハリンUプロジェクト・キャンペーンを展開する等、従来にも増してその活動を活発化させる動きを見せ始めている。このような中、サハリンUプロジェクト側もコククジラの生態系調査のために約500万ドルの資金を拠出する意向を固めた由であるが、今のところ事態を完全に沈静化するには至っていない。

それでは、サハリンT、Uプロジェクトは上記のコククジラの保護問題以外に、現時点でどのような環境及び補償問題を抱えているのであろうか。また、環境及び補償問題に隠れてこれまでほとんど触れられることがなかったサハリン北部に居住する北方少数民族の問題は今後これらのプロジェクトの進展にいかなる影響を及ぼすのであろうか。

そこで本稿では、これらの諸点につき以下に考察を試みたい。

 

 その他の記事

◎世界銀行リン副総裁との懇談会のご案内

◎ブルガリア経済・ビジネスセミナー開催のご案内

◎イルクーツク技術フォーラムの報告書

 


 

No.1255 2003年3月15日

TNKとBPによる新会社設立をどう見るか

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 2003年2月半ば、ロシア石油業界にビッグ・ニュースが流れた。TNKインターナショナルのオーナー・グループ(以下、アルファ・RENOVA連合と称する)とBPが、対等出資で新石油会社を設立することで基本合意に達した事実が明らかになったのである。新会社は、アルファ・RENOVA連合とBPが、それぞれロシアおよびウクライナに保有する石油関連資産を拠出する形で設立される。その際、アルファ・RENOVA連合保有の資産のほうが価値が高いので、BP側は差額分約68億ドルを現金および有価証券で支払うことになるとされている。すなわち、見方を変えれば、BPがアルファ・RENOVA連合が保有する石油関連資産の約半分を購入する決断を下したとの解釈も可能である。

 まだメモランダムの段階なので流動的な部分も存在するが、本稿では、取引が正式に成立することを想定した上で、その概要および背景について筆者なりの見解を述べることにする。

 

 その他の記事

2002年のCIS諸国の主要経済指標

◎新刊案内 岩下明裕『中・ロ国境4000キロ』(角川選書)

◎ロシア技術ニュースレターNo.6のお知らせ

 


 

No.1256 2003年3月25日

2002年の日ロ貿易

―総額の縮小は不振を意味せず―

はじめに

 当会では、財務省発表の貿易統計にもとづいて、2002年の日本・ロシア貿易の輸出入商品構成をまとめたので、今回の速報ではこの資料をお届けする。なお、統計速報のコーナーでは、2002年の日本の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入額の一覧表を掲載しているので、あわせて参照していただきたい。

 財務省発表の貿易統計を当会で独自にドル換算したところ、2002年の日ロ貿易は総額で42億1,915万ドルにとどまり、前年比8.1%低下した。うち、日本の輸出が9億4,250万ドル(前年比31.4%増)、輸入が32億7,666万ドル(前年比15.4%減)であった。収支はマイナス23億3,416万ドルであり、これでソ連末期から13年連続して日本側の入超となった。より規模の大きい輸入の低下が総額にも響いた形だが、以下に述べるように、これは必ずしも、2002年になって日ロ貿易が不振に陥ったということを意味するわけではない。

 なお、円建てで見ると、2002年の日ロ貿易は総額が5,280億円(前年比4.9%減)、うち日本の輸出が1,182億円(同35.8%増)、輸入が4,098億円(同12.5%減)であった。

 

 その他の記事

2002年の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入通関実績

◎モスクワ・メルマガNo.14発行のお知らせ

◎『調査月報』最新号のお知らせ

◎新刊案内 宇山智彦編著『中央アジアを知るための60章』(明石書店)

◎東洋トランスの引越サービス

 


 

No.1257 2003年4月5日

「中央アジア貿易・投資データベース」事始め

ロシア東欧経済研究所 研究員

輪島実樹

はじめに

 この度、当会研究所では平成14年度事業の一環として「中央アジア貿易・投資データベース」を開設し、ホームページ上で公開するはこびとなった。当会会員及び日本・中央アジアをはじめとする二国間経済委員会会員に対する情報サービスとして、無料で提供される。本稿では担当者の所感を交えつつ、その内容をご紹介したい。

 なお本データベースのご利用にはパスワードの取得が必要となる。お申し込みおよび詳しい操作方法については、当会ホームページ(http://www.rotobo.or.jp)を参照されたい。

 

 その他の記事

2002年のロシアの石油会社別原油生産量

◎メンバーズ・ブリーフ「ロシア経済の最新事情」のご案内

◎新刊案内 村上隆編著『サハリン大陸棚石油・ガス開発と環境保全』

◎ロシア出入国時の税関申告手続きの変更

◎キエフ溶接関連技術国際展示会のご案内

◎『ロシア東欧経済速報 Online』利用規約について

 


 

No.1258 2003年4月15日

2002年のCIS諸国の経済(上)

はじめに

 CIS諸国の2002年の経済データがほぼ出揃ったので、本誌では今回と次回の2回に分けて、CIS統計委員会発表の統計データをまとめて紹介するとともに、これらのデータを踏まえながら各国の最新の経済情勢についてレビューを行うこととする。本号では、全12カ国の主要経済指標を表にまとめて掲載するとともに、CIS全般、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバについての解説を行う。中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン)および南コーカサス諸国(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)のレビューは次号で扱う予定である。

 2002年のCIS諸国の経済は、全体として安定化、成長の傾向が確実になり、キルギスのマイナス成長を除くと各国とも4%以上の成長を達成した。CIS全体のGDP伸び率は、4.8%増であり、2000年の8.3%増、2001年の6.1%増からすると伸び率が減少し、ロシア、ウクライナ、カザフスタンなど主要国を中心とした伸び率の漸減傾向が反映した。ただし、カザフスタンは成長鈍化といっても、9.5%の高い成長を維持し、石油産業の活況が経済を牽引している。その他、産油国のアゼルバイジャンも引き続き、10.6%の高い成長を維持した。一方、非資源国であるが、加工貿易によりアルメニア経済は12.9%とCISで最も高い成長(トルクメニスタンを除く)を記録した。モルドバは、CISのなかで、回復が遅れていた国のひとつであるが、2000年以降、3年続けてプラス成長、伸び率も増しており、経済回復基調が定着してきた。

 CIS全般:成長余力に限界が見えつつも安定化は進展

 ロシア:不透明感のなかでの好調さ

 ウクライナ:高度成長の期待はやや遠のく

 ベラルーシ:惰性と失望の1年

 モルドバ:国家としての安定性が今後の発展の鍵

 

 その他の記事

◎モスクワ・メルマガNo.15(IT・エレクトロニクス特集)のお知らせ

◎ソフト開発企業「ノボソフト」社プレゼンテーションのご案内

 


 

No.1259 2003年4月25日

2002年のCIS諸国の経済(下)

はじめに

 前回に引き続き、CIS統計委員会発表の統計データにもとづき、同諸国の最新の経済情勢についてのレビューを行う。本号では中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン)および南コーカサス諸国(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)を扱う。

 カザフスタン:CISの優等生の悩み

 キルギス:クムトール金鉱依存が裏目に

 ウズベキスタン:為替自由化への「延長戦」はいつまで続くか

 トルクメニスタン:不透明感の増す経済情勢、ただし天然ガス輸出は堅調

 タジキスタン:いまだ復興途上のCIS最貧国

 アゼルバイジャン:石油一辺倒の高成長続く

 アルメニア:不安定の中の安定 ―斑模様の政治・経済情勢―

 グルジア:望まれる国内政治情勢の安定

 

 その他の記事

◎ユコスとシブネフチが合併で基本合意

◎モスクワ・メルマガNo.16(クルマ特集)のお知らせ

◎『調査月報』最新号のお知らせ

 


 

No.1260 2003年5月15日

中央銀行HPで見るCIS各国の国際収支

ロシア東欧経済研究所 調査役

服部倫卓

はじめに

 毎年春になると、ロシアをはじめとするCIS各国の前年の国際収支統計が発表される。便利なもので、最近ではほとんどの国の中央銀行が独自のウェッブサイトを開設しており、インターネットを通じて最新の国際収支データを手軽に入手できるようになった。ただし、中央銀行による情報開示の積極性、迅速さ、的確さには、国ごとに大きな開きがある。中銀ホームページを見比べるだけでも、各国の国情や政策担当能力の一端を垣間見ることができるようで、興味が尽きない。

 そこで今回の速報では、やや変則的ながら、CIS各国の中央銀行のホームページを横断的に比較しつつ、そこで得られた最新の国際収支データを紹介・吟味することを試みる。まず、第1表において、CIS12カ国の中央銀行によるウェッブサイトの開設状況、アドレス、使用言語を整理し、筆者による評点も加える。次に、主要国であるロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、アゼルバイジャンの国際収支表を紹介する(第2〜6表)。そのうえで、最新の国際収支データが得られるかどうかという点を中心に、各国中央銀行HPの有用度に関しコメントを行い、あわせて国際収支状況も概観する。

 なお、国際収支表には大別して、「標準表」と「分析表」という2つの作成方法がある。下表のうち、第2〜4表は前者、第5〜6表は後者に属し、形式が異なるので、ご留意いただきたい。

 

 その他の記事

◎「世界ガス博」とロシア関連プレゼンテーションのご案内

◎リトアニア共和国大使館移転のお知らせ

急成長するロシアの美容・健康製品市場

 


 

No.1261 2003年5月25日

驚異的な伸びをみせるロシアの携帯電話市場

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 ロシアの携帯電話市場では非常に好調な状況が続いており、2002年の1年間で加入者数は約1,000万人も増加し、約1,800万人に達した。特に地方(モスクワおよびサンクトペテルブルグ以外の地域)での加入者数の伸びは著しく約3倍の伸びを記録した。

 現在、モスクワやサンクトペテルブルグでは拡大フェーズが最終段階に入ったことを示す兆候が出始めているが、地方部では、まだ拡大フェーズが続く可能性が高い。このような市場の活況ぶりと並行して、モスクワを拠点とする大手事業者による地方の事業者の買収という形での業界の再編も急ピッチで進行している。本稿では、ダイナミックな動きを示すロシアの携帯電話市場の現状を報告する。

 

 その他の記事

◎モスクワ・メルマガNo.17(バイオ特集)発行のお知らせ

◎新刊案内 月出皎司編『ロシア<>になるための常識15章』

 


 

No.1262 2003年6月5日

ウクライナの直接投資受入に関する最新データ

はじめに

 Interfax Statistical Report2003, No.12)に、ウクライナ統計国家委員会が発表した同国の外国直接投資受入状況に関する最新のデータが掲載されている。ウクライナは重要国のわりには意外と統計データをとりにくい国であり、とくに外国投資関係のデータが一般に紹介されることはまれである。そこで今回の速報では、このInterfax Statistical Reportの記事を中心に、統計委のホームページ(http://www.ukrstat.gov.ua/)に掲載されているデータも一部織り交ぜつつ、ウクライナの直接投資受入の概況をお伝えする。

 ウクライナ統計委の発表によれば、2002年にウクライナが外国から受け入れた直接投資は107,480万ドルで、前年の受入額を32.1%上回った。他方、2002年の外資引揚げ等による投資ストックの減少は3億6,883万ドル、為替による評価変動はプラス7,775万ドルであった。これにより、ウクライナにおける外国直接投資の受入残高は、2002年1月1日現在の455,526万ドルから、2003年1月1日現在の533,900万ドルへと、17.2%増加した。国民1人当たりの受入額は、111ドルとなっている。

 

 その他の記事

◎2003年1〜3月のCIS諸国の主要経済指標

◎『調査月報』最新号のお知らせ

◎EBRDセミナー開催のご案内

◎新刊案内 『海外生活の手引き23 ロシア・NIS諸国編』

 


 

No.1263 2003年6月15日

サハリンUからのLNG購入に関する基本合意

 

はじめに

 去る5月12日、東京ガス株式会社が、サハリンUプロジェクトの液化天然ガス(LNG)購入に関する基本合意の締結を発表した。サハリンUから生産されるLNGを、2007年4月から24年間、年間110万t購入するというのがその骨子である(http://www.tokyo-gas.co.jp)。5月19日には東京電力株式会社も、やはりサハリンUからのLNG購入に関する基本合意を発表している。東京電力の場合は、期間が2007年4月から22年、数量は基本数量で年間120万tとされている(http://www.tepco.co.jp)。

 今回の基本合意は、サハリン大陸棚石油・ガス開発プロジェクトで大口の買主が初めて正式に決まったというだけでなく、日本のロシアからの天然ガス、LNG輸入に先鞭をつけたわけであり、日ロ貿易業界、ひいては二国間関係全般にとってきわめて意義深いものである。サハリン・プロジェクトを軸とする両国の経済協力が、また一歩前進したことを意味しよう。サハリンUに参加しているロイヤル・ダッチ・シェルのワッツ会長も先日、「(サハリンUの)LNGの最大顧客は、中国でも韓国でもなく日本」と、わが国への期待の大きさを語っている(6月3日付『日本経済新聞』)。

 そこで本誌では、今回の合意の内容、サハリン・プロジェクトに関する基本的な認識について、東京ガス広報部に質問状をお送りし、このほど文書で回答をいただいた。以下、5月12日付のプレスリリースとともに、同社からの回答内容をお届けする。ご協力いただいた東京ガス広報部に改めて謝意を表する次第である。

 

 その他の記事

◎2003年1〜3月の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入通関実績

◎経済産業省ロシア・NIS室に新室長

 


 

No.1264 2003年6月25日

ロシア極東の詳細な外国投資受入データ

 

はじめに

 当会ではロシアのなかでも日本にとって重要な極東地域に関する情報提供に力を入れ、とくにロシア極東の主要経済指標、対外経済関係データを紹介することに努めている。最近のものでは、『調査月報』の200211月号および2003年2月号に詳しいデータを掲載している。

 今般我々は、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所(P.ミナキル所長)より、極東地域の対外経済関係に関する最新の統計データを入手した。このうち外国投資受入に関するデータは、これまで一般には公開されてこなかった産業部門別および投資国別の内訳にも踏み込んだものであり、非常に貴重なものである。入手できた数字は2001年と2002年の分だけであり、全体に情報量がそれほど豊かとは言えず、疑問や不満も残る。それでも、これまでは総額(極東合計および州別の受入額)しか分からなかったことを考えれば、部門別・国別の概況が明らかになったことは意義深い。以下、今回入手したデータを含め、ロシア極東の外資受入状況を図表にまとめて紹介するとともに、データに関する解説を行うことにする。

 なお、当会では5月31日から6月7日にかけて高垣佑会長を団長として「ロシア極東ミッション」を派遣、代表団はウラジオストク、ハバロフスク、ユジノサハリンスクを回り各地で現地事情の視察と意見交換を行った。本ミッションの成果については、近く当会『調査月報』でまとめてお伝えする予定である。

 

 その他の記事

カザフスタン内閣交代の読み方

ヤコヴレフ・サンクトペテルブルグ市長が副首相に転身

ジェトロセンサーがロシアを特集

モスクワ・メルマガNo.18のお知らせ

モスクワ・メルマガ配信の変更について

 


 

No.1265 2003年7月5日

経済自由化の決断を求められるウズベキスタン

ロシア東欧貿易会 モスクワ事務所副所長

D.ヴォロンツォフ

はじめに

 6月上旬、筆者は第7回日本ウズベキスタン経済合同会議の事務局の一員としてウズベキスタンを訪問する機会をもった。ウズベキスタンにはだいたい年に1度訪れており、こうした定期性ゆえに、過去数年間の変化というものを、表面的にではあれ考察しうる立場にある。そこで本稿では、この中央アジアの最重要国の最新事情につき、近隣諸国との関係、比較にも随時触れながら、筆者なりの見方を披露することにする。

 昨今、ウズベキスタン経済を評価するのに決まり文句のように使われるのが、「大きな経済的ポテンシャル」、「この地域におけるウズベキスタンの重要な役割」、「経済変革におけるウズベク・モデルの特殊性」、「経済改革の漸進性」といった言葉である。経済的ポテンシャルが徐々にではあるが現実化し、「漸進的な」改革が若干の成果を生んでいることは事実であろう。それと同時に、国民の生活水準は相変わらずきわめて低く、マクロ経済改革は遅々としている。「漸進的な」変革を思い切って加速する必要があるという見解を聞く機会が増えてきている。

 

 その他の記事

◎カザフスタン新内閣の顔ぶれ

◎最新の特別報告書のご案内

◎新刊案内『ソ連向大径鋼管輸出史 ━1000万トン輸出の軌跡』

◎ロシア極東マイクロ・ビジネス支援の続報

 


 

No.1266 2003年7月15日

ロシアのビール業界最新事情

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 経済危機前後からつい最近まで、ロシアのビールの生産量および消費量は驚異的な伸びを示してきた。ビールは、携帯電話などと並び、ロシアの消費ブームを象徴する商品のひとつだといえる。しかし、2003年に入って、ビールの消費量が低迷し数年ぶりに生産量も減少傾向に転じるという「異変」が生じている。本稿では、この「異変」の背景も含め、ロシアのビール業界の最新事情を紹介する。

 

 その他の記事

◎『調査月報』最新号のお知らせ

◎サンクトペテルブルグの消費市場に関するレポート

 


 

No.1267 2003年7月25日号

それからのベラルーシ

−劣化する経済と対ロシア関係−

ロシア東欧経済研究所 調査役

服部倫卓

はじめに

 6月下旬、筆者は約1年半ぶりにベラルーシを訪れ、現地調査を行う機会をもった。前回同国を訪れたのは大統領選挙(2001年9月)でルカシェンコが再選を果たした直後であり、その時の見聞も踏まえ、二期目のルカシェンコ政権の下で同国の経済と対ロシア関係がどのような方向に進んでいくかを占ったレポートを発表している(「ジレンマに直面する大統領選後のベラルーシ ―経済と対ロシア関係の行方―」『ロシア東欧貿易調査月報』200112月号)。

 それから1年数カ月が経ち、久々に現地に行ってみて、ベラルーシの国情が悪化しつつあるのを改めて実感した。2001年当時取り沙汰されていた経済の自由化、ロシア資本の進出による民営化の進展という期待は、見事に裏切られた。プーチン政権のロシアがベラルーシを文明的な路線に導くというシナリオは、現在までのところ画餅にとどまっている。国民のルカシェンコ大統領への支持率が低下傾向をたどっているにもかかわらず、大統領は三選に道を開く憲法改定の実施を模索しており、国際的な孤立が深まるなか、体制はますます「力」で維持されるようになっている。

 本稿では、6月の現地調査の成果を中心に、ルカシェンコ再選後のベラルーシの最新事情についてお伝えする。

 

 その他の記事

◎日露ビジネス促進セミナー「ロシア・デー」のご案内

◎洋上研修 2003年度「生産性の船」ご案内

◎キルギス貿易産業省が日本語サイトを立ち上げ

 


 

No.1268 2003年8月5日号

ロシアにおけるビジネス交渉心得

ロシア東欧経済研究所 調査役

芳地隆之

はじめに

シンガポールでは名刺は必ず両手で差し出さなくてはならないが、インドでは右手で。なぜなら彼の国では左手は不浄とされているから――2003年に入って、ドイツ『経済週報』誌のホームページ(http://www.wiwo.de)においてシリーズ「外国でのビジネス交渉」が掲載された。執筆者はドイツのビジネスコンサルティング会社、Kienbaum Executive Consultantsのロンドン事務所長、セルゲイ・フランク氏である。そこで同氏は、長年、企業コンサルタントとして活動してきた経験から「ロシアにおけるビジネス交渉」についてのノウハウを記しており、ロシア人を両親にもつ、オーストリア出身の法律家ならではと思わせる分析もあって興味深い。ただし、フランク氏の記事はドイツ人ビジネスマンを念頭に置いたものであり、若干ステレオタイプの点がなきにしもあらず、である。対ロ・ビジネスの第一線で活躍されている方々には「何をいまさら」という印象を与えるかもしれない。しかしながら、現在、法制度の整備が進みつつあるロシアとはいえ、実際のビジネスの現場では不透明な部分が少なくないのが現状である。そこで本号では、変わりつつあるロシアの企業統治の現状をみた上で、フランク氏の上記記事ならびに同氏の「ポーランドにおけるビジネス交渉」を紹介しながら、ロシア市場へ進出する際のノウハウの一端を述べてみたい。

 

 その他の記事

◎国連開発計画発表の最新「人間開発指数」

◎メンバーズ・ブリーフ「ロシアの石油ロビーとPSA法の改定」のご案内

◎ウズベキスタンの貧困問題に関するレポート

 


 

No.1269 2003年8月15日

レベジェフ事件の経緯とその背景

−なぜメナテップ幹部は逮捕されたのか−

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 7月3日、ユコスの大株主の一人で、ユコスの親会社にあたるジブラルタル企業「グループ・メナテップ」の社長でもあるプラトン・レベジェフという人物が、アパチットという企業の株式の20%を横領した嫌疑で、逮捕された。

 この逮捕劇は、衝撃と同時に、大きな疑問をもたらした。それは、なぜ、この程度のことでレベジェフが逮捕されたのかという疑問であった。

アパチットの株式の20%をめぐり疑わしい動きがあったのは確かであるが、そもそもの発端となったアパチットの民営化(同社の国家保有株20%を対象とする投資義務付き競売)が実施されたのは約10年も前の話であるし、しかも、この件に関してはグループ・メナテップ側とロシア政府側との間で昨年、和解が成立していた。

 何らかの恣意的な力学が作用したとの疑念を抱かざるを得ない不自然な逮捕劇だったといえる。本稿では、今回の逮捕劇の経緯とその背景について、筆者なりの考察を行ってみた。

 

 その他の記事

◎アゼルバイジャンでアリエフJr.が政権継承へ

◎2003年1〜6月のCIS諸国の主要経済指標(速報)

◎『調査月報』最新号のお知らせ

 


 

No.1270 2003年8月25日

2003年夏のロシアの政治情勢

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

2003年夏、ロシアは再び政治の季節に入りつつある。今年12月に予定されている議会・下院選挙は、来年3月に予定されている大統領選挙の前哨戦と位置づけられている。今のところ、プーチン現大統領の再選が有力視されているが、ポスト・プーチンを睨んだ動きも急である。

以下では、最近起きたロシアにおける主要な新興財閥(オリガルヒヤ)のうちのひとつに対する権力側の実力行使を分析し、その意味するものを検討する。

 

 その他の記事

◎ファルフジノフ・サハリン州知事が事故死

◎トルクメニスタンとウズベキスタンの経済合同会議の報告書

◎ロシア極東/ハバロフスクの中小企業に関するレポート

◎新刊案内 塩原俊彦著『ロシアの軍需産業』

 


 

No.1271 2003年9月5日

好調を持続するロシアの乗用車市場

−2003年上半期のデータを中心に−

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 ロシアでは、昨年に引き続き2003年上半期も輸入新車の販売は好調で、日本、韓国、米国のメーカーを中心に、大幅な販売増を記録するメーカーが続出した。また、売れ行き不振で過剰在庫に苦しんでいた国内メーカーでも、7年落ちの中古車の輸入関税引き上げの効果が出始めたのか、若干ではあるが在庫調整が進み始めた。本稿では好景気に沸いた2003年上半期のロシア乗用車部門の状況を、数字を中心に紹介する。

 

 その他の記事

◎サハリン州知事選は12月7日投票

◎日本企業との取引を希望するハバロフスク企業のリスト

◎お薦めサイト“Caspian World”

◎新刊案内『携帯版ロシア語会話とっさのひとこと辞典』

 


 

No.1272 2003年9月15日

2003年上半期の日ロ貿易

−自動車輸出が強力に牽引−

ロシア東欧経済研究所 調査役

服部倫卓

はじめに

 財務省から2003年上半期(1〜6月期)の貿易統計が発表された。当会ではこれにもとづいて、日本・ロシア貿易の輸出入商品構成を表にまとめた。今回の速報では、これらのデータを紹介するとともに、若干のデータ解説を行う。

 なお、ロシア以外のCIS・中東欧諸国およびモンゴルについても、上半期の日本との輸出入額を「統計速報」のコーナーで紹介しているので、あわせて参照していただきたい。注目すべきことに、ほとんどの国との取引が大幅な伸びを記録している。このうち、ウクライナ、カザフスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンについては、当会『調査月報』の10月号で輸出入商品構成をお届けする予定である。

 2003年上半期の日ロ貿易は輸出入合計で268,379万ドルとなり、前年同期比44.1%増という近年にない大幅な伸びを記録した。それをもたらしているのは、自動車輸出の拡大である。

 

 その他の記事

◎2003年1〜6月の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入通関実績

◎ロシアの一連の州知事選結果

◎『調査月報』最新号のお知らせ

◎ロシア政府がエネルギー戦略を策定

 


 

No.1273 2003年9月25日

2003年上半期のCIS諸国の経済

−成長の減速傾向に歯止め−

ロシア東欧経済研究所 研究開発部次長

高橋浩

はじめに

 CIS諸国の2003年上半期(1〜6月期)の経済データがほぼ出揃ったので、本号では、CIS統計委員会発表の統計データを表にまとめて紹介するとともに、これらのデータを踏まえつつ、同諸国の最新の経済情勢について解説を行うこととする。

 2003年上半期のCIS全体の経済は、7%の成長率を記録した(推計値)。昨年上半期の前年同期比4%増を上回る高い成長を記録し、危惧されていた経済成長の減速傾向をひとまず脱し、1999年から続く経済の安定化および成長傾向が継続していることを確認する結果となった。鉱工業生産は8%増(前年上半期の伸び率は4%増)、固定資本投資は14%増(同6%増)となり、固定資本投資が大幅に回復してきたことが成長率を押し上げた。

 

 その他の記事

◎外務省新独立国家室に新室長

◎ロシア・スヴェルドロフスク州ではロッセリ知事が再選

◎『ロシア技術ニュースレター』発行のお知らせ

◎ロシア極東使節団報告書が完成

 


 

No.1274 2003年10月5日

ロシア・エネルギー戦略が描く長期的な生産見通し

 

はじめに

 9月15日号で既報のとおり、ロシア政府は8月28日、かねて検討していた「2020年までの期間のロシアのエネルギー戦略」を正式採択した。むろん、法的拘束力があるわけではなく、社会主義時代の五カ年計画のように国を挙げて実現をめざすような種類の文書ではない。それでも、多分に「希望的観測」に近いものではあれ、ロシアが自国の最大の基幹産業についてどのような青写真を描いているのかを知っておくことは、決して無駄ではないはずだ。

 このエネルギー戦略のなかでも、最も興味をもたれるのが、エネルギー生産量の長期的な見通しに関する具体的データであろう。そこで本号では、エネルギー戦略に掲げられている各種エネルギーの生産見通しを描いたグラフを紹介するとともに、プログラムの記述の関連部分を抜粋してお届けする。掲載するグラフは以下のとおり。@エネルギー全体の生産・消費。Aエネルギー全体の輸出。B石油。C石油精製。D天然ガス。E石炭。F発電。

 なお、今回のエネルギー戦略においては、エネルギーの生産・輸出見通しに関して、@楽観的シナリオ、A平均的シナリオ、B悲観的シナリオの3パターンが作成されている。ただし、実際にグラフに示されているデータは、@とAだけである。Bの悲観的シナリオのデータについても、プログラムで言及されている場合は、文中で随時紹介していくこととする。

 プログラムの原文は→http://www.mte.gov.ru/files/103/1354.strategy.pdf
 

 その他の記事

◎新規発足した「ロシア鉄道」の社長にファデーエフ氏

◎トルクメニスタンで閣僚の異動

◎ロシア・カムチャッカ州に関するレポート

 


 

No.1275 2003年10月15日

ロシア極東の玄関口、ウラジオストクとナホトカの現状

ロシア東欧経済研究所 調査役

芳地隆之

はじめに

本年9月末から10月初めにかけてウラジオストクとナホトカを訪問し、地方行政府、研究機関、港湾センターなどでヒヤリングをする機会を得た。沿海地方の中心、ウラジオストクは同地方の南東部、日本海に突出するムラヴィヨフ=アムールスキー半島に位置するロシア極東最大の都市である。新潟市からの直線距離は800kmと日本から最も近いロシアの都市である同市は、1952年以降、太平洋艦隊の母港という軍事的理由から閉鎖都市になっていた。しかし、1989年にはソ連市民に、1992年には外国人にも開放され、現在はハバロフスク市と並ぶロシア極東ビジネスの拠点になりつつある。また、沿海地方第2の都市であるナホトカは極東最大の貿易港を有し、ここ数年、太平洋石油パイプライン計画の出口候補地として関係各国からの注目を集めている。そこで本リポートでは、両市の現状、ならびに将来の太平洋パイプラインの出口港に関する現地の議論について報告する。なお、今回の訪問では在ウラジオストク日本国総領事館の齋藤大輔専門調査員より、現地の事情について様々な教示をいただいた。ここで紹介するデータの多くは同専門調査員提供の資料に拠っている。

 

 その他の記事

◎ロシア鉄道相にはモロゾフ第一次官が昇格

◎『調査月報』10月号のお知らせ

◎講演会「ロシアおよび極東ロシアにおける林業・木材加工業の現状」

◎ムーディーズがロシアを格上げ

◎政府の汚職度に関する国際比較

◎ウズベキスタンが為替自由化を発表

 


 

No.1276 2003年10月25日

CIS諸国における外資参加企業の設立・活動状況

 

はじめに

 CIS統計委員会の発行する『CIS統計通報』(2003, No.16)に、CIS諸国における外資参加企業(100%外資企業および合弁企業)の設立および活動状況に関する最新データが掲載されているので、今回の速報ではこれを紹介する。

 外資参加企業の設立・活動状況については、登録件数、稼動件数、定款資本、払込資本、生産高、売上高など、様々な統計指標がある。CIS諸国では、発表している指標がまちまちであり、これが各国の外資受入状況を横断的に比較するのを難しくしていた。今回の統計もその点に変わりはないが、すべての国が同じフォームに当てはめられ、横並びで示されているので、どのようなデータが得られるのか、あるいは得られないのかが明確になっており、便利な資料と言える。

 ただし、通例のことながら、本資料にはウズベキスタン、トルクメニスタンは含まれておらず、得られるのは残り10カ国のデータとなっている。単純に件数だけを比較すると、2002年現在で最も外資参加企業の数が多いのはやはりロシアの11,279件であり、以下ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ、グルジア、キルギス、モルドバ、アゼルバイジャン、アルメニアと続き、タジキスタンの101件が最少となっている。

 

 その他の記事

◎アゼルバイジャンでアリエフJr.が大統領に当選

◎サンクト市長には下馬評どおりマトヴィエンコ氏

◎CIS・中東欧諸国の最新GNP

◎メンバーズ・ブリーフ「アゼルバイジャン大統領選と内政・外交の行方」

◎『ロシア技術ニュースレター』No.2発行のお知らせ

◎冬期のフライト・スケジュールのお知らせ

◎ロシア経済省観光局のウェッブサイト

 


 

No.1277 2003年11月5日

21世紀ロシアの使命

−自由主義の帝国?−

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

 12月の議会下院選挙を前にして、ロシアにおける民営化の責任者であり、ロシア電力業界の最高幹部であり、政党「右派勢力連合」の指導者の一人でもあるアナトーリー・チュバイス氏は9月25日、サンクトペテルブルグ工科経済大学で講演、21世紀における「ロシアのイデオロギーは自由主義的帝国主義のイデオロギーである」との注目すべき発言を行った。

 ここでは、その発言の内容と、それに対するロシア国内を中心とした反響を紹介するとともに、発言の経済的背景を検討し、それが単に選挙キャンペーンの一環に終わるものではなく、現実的な要請によるものであることを明らかにする。

 

 その他の記事

◎石油会社ユコスのトップが逮捕・拘留される

◎クレバノフ氏がロシア北西管区代表に

◎『エコノミックトレンド』最新号のお知らせ

◎講演会「ロシア沿海地方における水産業および林業・木材加工業」

◎ロシア税関が極東部の自動車通関拠点を限定

◎ベラルーシ向けの投資に関するウェブサイト

 


 

No.1278 2003年11月15日

アゼルバイジャン大統領選と内政・外交の行方

 

慶應義塾大学 総合政策学部 専任講師

廣瀬陽子

はじめに

 旧ソ連・南コーカサスのカスピ海沿岸に位置するアゼルバイジャンで、10月15日に大統領選挙が行われた。この選挙により、事前の予測どおり、現職のヘイダル・アリエフ大統領が息子のイルハムに政権を委譲し、「旧ソ連初の権力世襲」、「旧ソ連最年少の大統領」が現実のものとなった。

 当会では慶應義塾大学総合政策学部の廣瀬陽子先生を講師にお招きし、10月29日に会員の皆様向けのメンバーズ・ブリーフを開催した。この報告会では、今回のアゼルバイジャン大統領選の背景とその結果について解説していただくとともに、選挙結果を受け、今後アゼルバイジャンの内政・外交がどのように展開していくのかを占っていただいた。今般、その際の報告要旨を廣瀬先生にまとめていただいたので、今回の速報ではこのレポートをお届けする。 

 

 その他の記事

◎アゼルバイジャン政権人事、閣僚は軒並み留任

◎世界競争力比較におけるCIS・中東欧諸国の順位

◎『調査月報』11月号のお知らせ

 


 

No.1279 2003年11月25日号

ロシアおよび極東ロシアの林業・木材加工業

 

ロシア極東工科大学付属中小企業木材加工研修センター所長

Yu.ヤツェンコ

はじめに

 日本政府のロシアに対する中小企業支援事業の一環として、ウラジオストクに開設された6つの研修センターのひとつである木材加工研修センターは、極東ロシア地域の木材加工中小企業のための専門家養成機関であり、開設時より所長を務めているヤツェンコ氏は、沿海地方を中心とした木材技術者、中小企業に対する技術指導・経営指導・操業指導に尽力している。当会では1029日、ヤツェンコ所長を講師にお招きし、ロシアおよび極東ロシアにおける製材・木材加工業の現状に関する講演会を開催した。以下はその講演要旨である。
 

◎中東欧・モンゴル各国の在日大使館・通商関係者名簿

 2003年11月現在の中東欧・モンゴル各国の在日大使館および通商関係者の名簿を作成しましたので、以下この名簿をお届けいたします。グリーティング・カードの送付等にご活用ください。なお、CIS各国の大使館・通商関係者名簿は次号に掲載する予定です。

 1.ポーランド共和国 2.チェコ共和国 3.スロバキア共和国 4.ハンガリー共和国 5.ルーマニア 6.ブルガリア共和国 7.セルビア・モンテネグロ 8.ボスニア・ヘルツェゴビナ 9.クロアチア共和国 10.スロベニア共和国 11.エストニア共和国 12.リトアニア共和国 13.モンゴル国

 

 その他の記事

◎◆お知らせ◆ 『ビジネスガイド ロシア』についてのご要望受け付け

◎グルジアのシェワルナゼ大統領辞任

◎ロシアの新関税法に関するセミナー

◎『ロシア技術ニュースレター』No.3発行のお知らせ

 


 

No.1280 2003年12月5日号

ロシア下院選挙における主要な政策課題

 

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

12月7日投票のロシア下院選挙の形勢がほぼ判明しつあり、ロシア政治は来年3月の大統領選挙および内閣改造に向けて動き出しつつある。新たなロシア議会・下院では、“プーチン党”を掲げる「統一ロシア」を中心とした与党がほぼ安定的な多数を占める状況で、ロシアが直面している重要課題が、目前の大統領選挙を視野に入れながら審議されることになる。ここでは、テーマを@石油・ガス部門での超過利潤の徴収、A民営化の見直し、B自然独占の管理、C行政改革、Dコラプション(腐敗)に絞り、主要政党の政策(各党の選挙公約および代表者の見解)を紹介し、今日のロシアの内政上の主要な論点がどのあたりにあるかを検討してみる。

 

◎CIS各国の在日大使館・通商関係者名簿

 前回の中東欧・モンゴルに続き、今回は2003年11月末現在のCIS各国の在日大使館および通商関係者の名簿をお送りいたします。

 1.ロシア連邦 2.ウクライナ 3.ベラルーシ共和国 4.カザフスタン共和国 5.ウズベキスタン共和国

 

 その他の記事

◎カザフスタンの新駐日大使が着任

◎トルクメニスタンでまた閣僚人事

◎当会ホームページのリンク集を一新

 


 

No.1281 2003年12月15日号

2003年1〜9月の日ロ貿易

−早くも昨年の貿易総額を突破−

はじめに

 財務省から2003年1〜9月期の貿易統計が発表された。当会ではこれにもとづいて、日ロ貿易の輸出入商品構成を表にまとめたので、今回の速報ではこのデータを紹介する。

 なお、ロシア以外のCIS・中東欧諸国およびモンゴルについても、1〜9月期の日本との輸出入額を「統計速報」のコーナーで紹介しているので、あわせて参照していただきたい。このうち、ウクライナ、カザフスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンについては、当会『調査月報』の2004年1月号で輸出入商品構成をお届けする予定である。

 2003年1〜9月期の日ロ貿易は、前年同期を44.4%も上回り、425,049万ドルとなった。1〜9月期だけで、すでに昨年1年間の貿易総額を上回ったことになる(第1表参照)。うち、日本側の輸出が119,882万ドル(前年同期比78.6%増)、輸入が305,166万ドル(同34.2%増)であった。とくに日本側の輸出の伸びが大きく、第1表に見るように、久々に10億ドルの大台突破を決めた。最終的には、通年で新生ロシアになってからの最高額を記録する公算も強くなってきた。

 第2表に見るように、輸出が全般的に伸びるなかで、何といっても自動車輸出の急増が目を引く。中古車も引き続き拡大しているが、とりわけ目覚しいのは新車の乗用車の輸出増だ。2003年1〜9月の乗用車(新車)の輸出は、台数ベースでは前年同期の2.4倍、円建ての金額ベースでは2.3倍となった。自動車は、もはや日本の対ロ輸出の約半分を占めるまでになっている。

 それに比べると、設備投資関連の一般機械の輸出は、伸びてはいるものの、依然として一進一退といったところだ。一方、本年下半期に入ってから鋼管の輸出額が急増しているので、久々に大口の船積みがあったと見られる。

 輸入の面では、従来それほど規模が大きくなかった原油および石油製品が、今年に入ってから主要品目に躍り出ていることが注目される(第3表)。

 

 その他の記事

◎2003年1〜9月の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入通関実績

◎2003年1〜9月のCIS諸国の主要経済指標

◎モスクワ市長選、その他知事選の結果

◎『調査月報』12月号のお知らせ

◎在日大使館・通商関係者名簿の訂正と補足

 


 

No.1282 2003年12月25日号

下院選挙とロシア国内対立の構図

日本経済新聞 国際部編集委員

江頭 寛

はじめに

 12月7日投票のロシア下院選挙は、プーチン与党を標榜する統一ロシアが、過半数にはわずかに足りないものの、ライバルとみられた共産党を圧倒する形で勝利した。西側にショックだったのは、「右派勢力同盟」と「ヤブロコ」という改革派2政党が、比例区に設けられた5%の壁をクリアできず、比例区での議席獲得に失敗したことだった。また極右政党の自由民主党が共産党に迫る躍進をみせたのも、ロシアの右傾化という側面を如実に示したといえる。

 下院450の最終的な議席配分は「統一ロシア」222、共産党53、自民党38、「祖国」37、人民党19、「ヤブロコ」4、「右派勢力同盟」3といった内訳になった(表参照)。与党系とみられるのが「統一ロシア」、自民、「祖国」、人民の4政党なので、これだけで憲法改正に必要な議席数である議席総数の3分の2の300議席を上回ってしまう。1226日に招集される新下院は官僚や、左翼、国家主義者であふれることになる。

 本稿では、ロシア下院選挙の結果を総括するとともに、「ユコス事件」を中心として、選挙の背景にあったロシア国内の政治的な対立構図について述べることとする。とくに、プーチン政権下のロシアでは、大統領府のみならず政府も、派閥間の勢力均衡のうえに成り立っており、このことが今日のロシア政治を理解するうえできわめて重要なので、それについて詳しく解説することを試みたい。

 

 その他の記事

◎ウズベキスタンで首相が交替

◎アゼルバイジャンのヘイダル・アリエフ前大統領死去

◎ロシア東欧経済速報 2003年(平成15年)掲載記事一覧

 


 

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