2005年

 

No.1317 1月15日号 本格的に動き出した日ロ経済関係

No.1318 1月25日号 ロシアのセキュリティ機器市場

No.1319 2月5日号 素顔のロシア・ミドルクラス

No.1320 2月15日号 好調さと脆弱さが交錯するロシア経済

No.1321 2月25日号 ロシアのチョコレート・アイスクリーム業界

No.1322 3月5日号 2004年のロシアの外国投資受入状況(速報)

No.1323 3月15日号 プーチンの知事任命制 ―施行から2カ月―

No.1324 3月25日号 2004年の日ロ貿易 ―最高額を大幅に更新―

No.1325 4月5日号 モスクワ食品産業見本市視察報告

No.1326 4月15日号 2004年のCIS諸国の経済(上)

No.1327 4月25日号 2004年のCIS諸国の経済(下)

No.1328 5月15日号 外国車の現地生産が加速するロシアの乗用車分野

No.1329 5月25日号 ロシア人はどんなブランドがお好き?

No.1330 6月5日号 ロシアの携帯端末市場と日本メーカーの商機

No.1331 6月15日号 流動化する中央アジア情勢

No.1332 6月25日号 モスクワ大停電の背景を探る

No.1333 7月5日号 2004年のロシアの貿易動向

No.1334 7月15日号 2004年のロシア極東経済

No.1335 7月25日号 拡大するロシアのアルコール飲料市場

No.1336 8月5日号 カザフスタンの経済発展と日本との協力(アフメトフ・カザフスタン首相スピーチ)

No.1337 8月15日号 国家VS国営企業 ―ロシア石油産業のパラドクス―

No.1338 8月25日号 リャザン州の最新経済事情(リャザン州プレゼンテーション)

No.1339 9月5日号 プーチン第二期政権の実相と米ロ関係

No.1340 9月15日号 2005年上半期のロシアの乗用車市場 ―外国車優勢の流れが加速―

No.1341 9月25日号 2005年上半期の日ロ貿易 ―自動車輸出以外は伸び悩む―

No.1342 10月5日号 ロシア極東100大企業ランキング

No.1343 10月15日号 ロシアにおける通関の実態 ―携帯端末大量没収事件から浮かび上がるもの―

No.1344 10月25日号 ロ東貿ウクライナ訪問団の結果概要

No.1345 11月5日号 キルギス最新事情 ―ミニ国家における独自戦略の困難さ―

No.1346 11月15日号 ロシア事務用機器市場の問題点 ―通関正常化のために―

No.1347 11月25日号 ロシアにおける現地職員の雇用・労働事情

No.1348 12月5日号 ロシアで経済特区6箇所が内定

No.1349 12月15日号 2005年秋モスクワ見聞録 ―レストラン、スーパーマーケット、レイド―

No.1350 12月25日号 2005年1〜9月の日ロ貿易 ―年間100億ドル超えの期待膨らむ―

 


 

No.1317 2005年1月15日

本格的に動き出した日ロ経済関係

(社)ロシア東欧貿易会 顧問

三菱商事(株)国際戦略研究所 顧問

遠藤寿一

はじめに

 世界経済の中で今後大きく発展するであろう国々に、ブラジル・ロシア・インド・中国の4カ国を挙げて注意を喚起したのは、200310月1日に発行されたゴールドマン・サックスの「投資家レポート」であった。レポートでは、これらの国々で経済が適正に運営されるなら、2039年までにG6(米国・日本・ドイツ・英国・フランス・イタリア)の経済規模を上回ることが出来るであろうと述べている。さらに2050年の予測によると、GDP国別ランキングでは、ロシアは5兆9,000億ドルで、中国・米国・インド・日本・ブラジルに次いで第6位、一人当たりGDPランキングでは、ロシアは4万9,646ドルで、米国・日本・英国・フランスに次いで第5位となり、ドイツ・イタリアを抜くことになる。これら4カ国の頭文字を取ったBRICsは、2004年世界中を駆け巡った。

 ゴールドマン・サックスのレポートは、投資家誘致のため書かれたレポートに過ぎないと一蹴されるかもしれない。しかし、ロシア経済に対する世界的関心がかつてなく高まっていることは、紛れもない事実である。そして、日本とロシアの関係においても、ここに来てようやく経済関係が本格的に動き出す機運が高まってきた。本稿では年頭に当たり、以上のような情勢を踏まえつつ、大きく揺れ動いた2004年のロシアと日ロ関係を回顧し、今後の課題と併せ検討してみたい。

 

 その他の記事

◎ウクライナ大統領選、ユーシチェンコ氏が勝利

『ロシア技術ニュースレター』2004年No.2の発行

 


 

No.1318 2005年1月25日号

ロシアのセキュリティ機器市場

ロシア東欧経済研究所 次長

高橋浩

はじめに

 2004年末、モスクワおよびサンクトペテルブルグのセキュリティ機器関連企業を訪問する機会があり、予想以上にこの業界が活況を呈している状態を見聞することができた。業界のほんの一端を垣間見たということには過ぎないが、皆様の参考になる情報もあると考えるので以下、報告をしてみたい。

 

 その他の記事

『調査月報』2005年2月号のご案内

「日本−中央アジア文化・観光交流促進シンポジウム」

◎ヘリテージ財団の発表による経済自由度指数

 


 

No.1319 2005年2月5日号

素顔のロシア・ミドルクラス

 

はじめに

 ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』は、世論調査機関ROMIRと共同で、ロシアの中流階級の消費行動とライフスタイルに関する調査を継続的に実施している。今般我々は、このプロジェクトの最新の調査結果をまとめた報告書を入手した。

 ミドルクラスは、日本企業を含む外国企業がロシア消費市場に売り込みをかけようとする際に主要なターゲットになるが、ロシアでは所得などに関する公式統計の信頼性に難があり、その生活振りの実態を具体的に把握するのは容易でない。エクスペルト社による本報告書は、ロシア・ミドルクラスの素顔について、公式統計とは違った手がかりを与えてくれる有益な資料なので、今回の速報ではこれを抜粋して紹介することにする。

 

 その他の記事

◎沿海地方のダリキン氏が初の任命知事に

◎グルジア「バラ革命」の立役者ジュヴァニア首相が事故死

◎在トルクメニスタン日本大使館が開設される

 


 

No.1320 2005年2月15日号

好調さと脆弱さが交錯するロシア経済

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

 2004年のロシア経済は、対前年比でGDP(国内総生産)が7.1%増となり、1999年以来6年連続してプラス成長を記録するとともに、2年連続して7%台の高い成長を示した。第3四半期には明確な減速傾向が見られたものの、第4四半期からは再び増勢に転じ、最終的には政府予測を上回る成長を達成した。引き続き好調な外需に支えられつつも、初めて、内需の伸びが外需の伸びを上回るなど、構造的な変化が生まれている。とはいえ、原油をはじめとする鉱物資源の世界価格の高水準に支えられた構図は変わらず、鉱物資源依存体質からの脱却が喫緊の課題となっている。

 本号では、2004年の経済実績に関するロシア側の公表資料を基に、2004年ロシア経済を概観してみる。

 

 その他の記事

◎ウクライナでティモシェンコ内閣が発足

『調査月報』2005年3月号のご案内

『ロシア技術ニュースレター』2004年度No.3の発行

セミナー「EBRD Transition Report 2004:インフラストラクチャー」

◎極東税関内の日本担当部署の住所・電話番号変更

 


 

No.1321 2005年2月25日号

ロシアのチョコレート・アイスクリーム業界

ロシア東欧経済研究所 調査役

芳地隆之

はじめに

 先日、モスクワとサンクトペテルブルグにおいて、チョコレートおよびアイスクリーム関連のメーカー、ならびに業界団体を訪問する機会を得た。主な目的はロシアにおける当該市場の現状、そしてアイスクリームやケーキのチョコレートコーティングに使う植物性油脂の拡販の可能性に関する調査である。しかしながら、ロシアの製菓市場には早くから多くの外国企業が進出しており、今回の訪問をアレンジする段階では、訪問希望先から「(市場へ)来るのが遅い」との声も聞かれた。とりわけ油脂の市場においては、サプライヤーとメーカーとの関係を含めた業界の構造がある程度、固定されている感がある。とはいえ、所得の上昇とともにロシアの消費者の品質に対する要求も高くなり、食品素材の見本市などもモスクワ市で開かれている。付加価値の高い油脂に対する菓子メーカーやトレーダーの関心は低くない。そこで今号では、最近のロシアのチョコレートおよびアイスクリーム市場の概要を紹介するとともに、それらの業界の現状について報告する。

 

 その他の記事

◎2004年の日本とロシア極東地域の貿易高

◎ウズベキスタンの政権人事

◎グルジア首相にノガイデリ氏

ロシアITセミナー参加者募集のご案内

極東ロシア・エネルギー輸送視察団参加募集のご案内

 


 

No.1322 2005年3月5日号

2004年のロシアの外国投資受入状況(速報)

 

はじめに

 今般ロシア連邦国家統計局のウェブサイトにおいて、2004年のロシアの外国投資受入状況に関するデータが発表された。そこで本号では、2003年までの数字も補足しつつ、早速このデータを図表にまとめてお届けすることにする。

 2004年にロシアは、前年を36.4%上回る405億ドルの外国投資を受け入れた。405億ドルという数字は、1994年に統計をとり始めてからの最高額である。うち、直接投資は94億ドルで、これも過去最高であった。2004年末現在の外国投資受入残高は820億ドルとなり、1年間で43.8%増大した。以下の図表では、第1表、第1図、第2表、第4表が各年の外国投資受入額を示しているのに対し、第3表、第2図、第3図は2004年末現在の受入残高であるので、ご注意願いたい(入ってくる投資もあれば、引き揚げられる投資もあるので、各年の投資受入額を単純に合計しても残高にはならない)。

 さて、厄介なことに、ロシア統計局は主要投資国を10カ国までしか掲載しないという方針をとっているようで、どうやら2004年に日本はベスト10から消えてしまったらしく、今回の資料には日本が登場しない(第2、3表参照)。ロシア東欧貿易会では近く、ロシア統計局に本件につき照会し、その結果を別の機会に改めて報告したいと考えている。

 

 その他の記事

セミナー「拡大するロシアのセキュリティ機器市場」のご案内

サハ共和国石炭産業プレゼンテーションのご案内

 


 

No.1323 2005年3月15日号

プーチンの知事任命制

―施行から2カ月―

 

はじめに

ロシアで現在、昨年9月のテロ事件を受けてプーチン大統領が導入した知事任命制による地方首長が続々と誕生している。2月4日に沿海地方のダリキン氏が初の任命知事になったのに続き、チュメニ州やウラジーミル州でそれぞれ現職知事が再任され、3月10日現在、89の連邦構成主体のうち9つの構成主体で任命知事が誕生した。そこで本号では、上記9知事の任命プロセスをみながら、知事任命制の具体的な選定プロセスについて報告する。プーチン政権の地方統制政策については、本誌20041015日号(No.1309)「プーチンの『9月革命』」で報告しているので、参照願いたい。

 

 その他の記事

『調査月報』2005年4月号のご案内

ヴォルガ川ビジネスミーティングに関する案内

 


 

No.1324 2005年3月25日号

2004年の日ロ貿易

最高額を大幅に更新― 

 

はじめに

 当会では、日本財務省発表の貿易統計にもとづいて、2004年の日本とロシアの貿易に関し、輸出入商品構成をまとめた。今回の速報では、早速この資料をお届けする。統計速報のコーナーでは、2004年の日本の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入額の一覧表を掲載しているので、あわせてご利用いただきたいと思う。

 2004年の日ロ貿易は、輸出入とも大幅な伸びを記録した結果、往復で前年比47.2%増の88446万ドルに達した。これは、ソ連解体後の日ロ貿易の最高額であるだけでなく、ソ連時代の日ソ貿易の最高記録(1989年の608,620万ドル)も凌ぐ数字である。

 なかでも、輸出の伸びが目覚しい。2004年の日本の対ロシア輸出は前年比76.3%増大し、311,061万ドルに上った。一番底だった1999年の数字と比べると、5年間で約6.5倍に増えた計算になる。それをもたらしているのが、本誌でも再三お伝えしているとおり、自動車輸出の急増である。第2表に見るように、2004年に自動車の対ロ輸出は前年からほぼ倍増しており、ついに輸出全体の6割を占めるに至った。

 ロシアからの輸入も、主要品目がまんべんなく伸びており(第3表)、2004年には前年比35.0%増の569,385万ドルに及んだ。これも、日ソ/日ロの時代を通じた過去最高額である。

 なお、当会では、『ロシア東欧貿易調査月報』の5月号(4月15日発行)において、ロシア経済と日ロ貿易の最新の動向を特集の形で詳しくお届けすることになっているので、そちらの方もぜひご期待いただきたい。

 

 その他の記事

◎2004年の日本の対CIS・中東欧諸国輸出入通関実績

『ロシア技術ニュースレター』2004年度No.4の発行

 


 

No.1325 2005年4月5日号

モスクワ食品産業見本市視察報告

ロシア東欧経済研究所 調査役

服部倫卓

はじめに

 本年2月14日から18日にかけて、モスクワのエクスポセンターで食品産業の国際見本市「Prodexpo-2005」が開催された。筆者はこの時モスクワに居合わせ、最終日の18日にこの見本市を視察する機会に恵まれた。久し振りに見本市というものの現場を訪れてみて、ロシア経済や対ロシア・ビジネスについて、色んなことを考えさせられた。そこで今回の速報では、見本市の会場で収集した資料なども利用しつつ、食品産業見本市の視察報告をお届けすることにする。

 

 

 その他の記事

◎アカエフ・キルギス大統領が辞任

新刊案内『現代ロシア政治を動かす50人』

 


 

No.1326 2005年4月15日号

2004年のCIS諸国の経済(上)

 

はじめに

 CIS諸国の2004年の経済データが出揃ったので、本誌では今回と次回の2回に分けて、CIS統計委員会発表の統計データを紹介しつつ、それを踏まえながら各国の最新の経済情勢についてレビューすることにする。本号では、全12カ国の主要経済指標を表にまとめて掲載するとともに、CIS全般、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバについての解説をお届けする。中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン)および南コーカサス諸国(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)のレビューは次号で扱う予定である。

CIS全般:持続的成長に向けた正念場の時期の到来

ロシア:高成長に潜む強さと弱さ

ウクライナ:政変をよそに経済は急成長

ベラルーシ:政悪経良? 存外に堅調な経済パフォーマンス

モルドバ:対ロ関係の悪化は経済的なマイナス要因

 その他の記事

『調査月報』2005年5月号のご案内

新刊案内『中央ユーラシアを知る事典』

 


 

No.1327 2005年4月25日号

2004年のCIS諸国の経済(下)

はじめに

 前回に引き続き、CIS統計委員会発表の統計データにもとづき、同諸国の最新の経済情勢についてのレビューを行う。本号では中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン)および南コーカサス諸国(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)を扱う。

カザフスタン:CIS優等生の地位は揺るがず

キルギス:政変を読む鍵も経済の根本問題も貧困にあり

ウズベキスタン:IMFが「独立以来最大の経済成長」を評価? 不透明感増す漸進改革

トルクメニスタン:天然ガス輸出は高原状態に達するも、驚異の20%成長は続く

タジキスタン:遠のく民主化とロシアの影響力の拡大

アゼルバイジャン:BTC開通もあり石油による発展は続くが、貧困対策が安定の鍵

アルメニア:経済に深く浸透する外国資本、貧困削減が最重要課題

グルジア:経済浮沈の鍵を握るBTCパイプライン

 その他の記事

日露貿易投資促進機構のロシア側機構が活動を開始

 


 

No.1328 2005年5月15日号

外国車の現地生産が加速するロシアの乗用車分野

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 2004年のロシアの乗用車市場については先日、『調査月報』で詳しいレポートをお届けしたが(2005年5月号参照)、2005年に入ってもロシアの乗用車分野では純国産車の衰退と外国車の勢力拡大を軸に、構造的な変容が進展している。

 たとえば、販売価格の大幅値上げが原因で、2004年後半から多くの中堅純国産メーカーが極度の販売不振に陥っていたが、2005年に入り、ロシアの乗用車生産量の約7割を占める純国産最大手のAvtoVAZも、やはり値上げが災いしての販売不振に見舞われた。一方、現地生産されている外国車や輸入新車の販売は好調で、とくに1万5,000ドル未満の低価格外国車の売れ行きの伸びが目立った。純国産車は、極言すればもっぱら価格の安さを武器に市場でのプレゼンスを確保してきたのだが、度重なる値上げでその魅力が薄れ、「縄張り」の一部を低価格外国車に侵食され始めたといえる。

 そして、今年に入って、純国産メーカーの危機感を喚起する事件がもうひとつあった。2005年3月末に、ロシア政府が外国車の現地生産を促進するための優遇制度の導入を決定したのである。この決定のすぐ後に、日本のトヨタが現地生産の意向を正式に発表したが、今後も現地生産を決断する外国メーカーが複数出現する可能性がある。

 本稿では、2005年第1四半期の国産車の生産・販売状況、外国車の販売状況および3〜4月に導入が決定した優遇措置の概要等に焦点を当てながら、ロシア乗用車市場の最新の動きをご報告する。

 

 その他の記事

『調査月報』2005年6月号のご案内

シャリホフ副首相によるアゼルバイジャン・プレゼンテーション

南東欧投資セミナー開催のご案内

 


 

No.1329 2005年5月25日号

ロシア人はどんなブランドがお好き?

 

はじめに

 ロシア国民のブランドに関する嗜好を知る手がかりとなる興味深い資料が最近相次いで発表されたので、今回の速報ではその要旨をお伝えすることにしよう。

 まず、「ナロードナヤ・マルカ(国民ブランド)」というプロジェクトの最新結果である(ウェブサイトはhttp://narodnayamarka.ru)。これは、1998年からロシア全国で実施されている調査であり、毎年20種類の消費財および消費者向けサービスをピックアップ、それぞれについて最良と思われるブランドを回答者に問い、それを集計してロシアにおける各商品のトップブランドを制定しているものだ。2004年分は、2005年1月から一般消費者を対象としたアンケート調査が始まり、約11万人が回答を寄せた。2月15日に調査結果が発表され、4月9日にはクレムリンの大会宮殿で盛大な受賞式典が催されている。こうして決まった2004年度のロシアの「国民ブランド」を、第1表に示すことにする。

 もう一つの資料は、現地の経済週刊誌『カンパーニア』の4月11日号に掲載された特集企画「ロシアにおけるベストブランド」である。こちらの方は、マーケティングや広告などのプロ30人が「ロシア市場で最も有力なブランドは何か?」という基準で選定したものであり、一般消費者の声を集めたものではない。したがって、「国民ブランド」の調査よりは高級志向が感じられ、またモスクワ中心的かつ男性寄りの価値観が反映されている。特徴的なのは、この調査が業種の垣根を越えたものであり、あらゆる分野のブランドを同じ土俵で比較していることである。第2表に示したように、この調査によれば、ロシアで最強のブランドはコカコーラということになっている。なお、一部の業界については個別ランキングも示されているので、第3表にそれをまとめておく。日本勢は総じて押され気味だが、トヨタ、ソニー、パナソニックが面目を保ってくれた。

 

 その他の記事

◎ラヴレンチェフ・ロシア通商代表部首席の経歴

メンバーズ・ブリーフ「流動化する中央アジア情勢」のご案内

第1回極東国際経済会議の開催

 


 

No.1330 2005年6月5日号

ロシアの携帯端末市場と日本メーカーの商機

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 ロシアでは携帯電話加入者数が急増しており、それに呼応する形で携帯電話端末の販売台数も急激に伸びている。また、2004年以降、販売される端末の単価も上昇傾向にある。日本企業にとっても非常に注目すべき市場になりつつあるといえよう。ただ、2004年を例にとれば、同年中に携帯電話加入者数が約3,800万人増加したのに対し端末の販売台数は3,000万台強にすぎなかった(しかも、その40%がいわゆる買い替え需要だったといわれている)といった、日本人の常識から見れば不可解な現象が少なからず見聞される市場でもある。本稿では、そうしたことの背景にある事情なども含め、急成長するロシアの携帯電話端末市場の概況をご紹介する。

 

 その他の記事

『ロシア技術ニュースレター』「特集:ロシアの冶金工業における新技術開発」

 


 

No.1331 2005年6月15日

流動化する中央アジア情勢

(2005年6月2日ROTOBOメンバーズ・ブリーフより)

ロシア東欧経済研究所 調査役

輪島実樹

はじめに

 ロシア東欧貿易会では6月2日、「流動化する中央アジア情勢」と題し、会員の皆様向けのメンバーズ・ブリーフを開催した。

 中央アジア諸国では、多くの国で政権が長期化し、政治的には変化に乏しい状況が続いてきた。しかし、今年に入って4月にキルギスのアカエフ大統領が辞任に追い込まれたのに続き、5月にはウズベキスタンでも暴動が起こり、地域情勢はにわかに流動化する様相を呈してきている。

 こうした状況を受け、今回のメンバーズ・ブリーフでは、中央アジア地域の専門家である当会研究所の輪島実樹調査役が、5月のウズベキスタンの事件を中心に、揺れ動く中央アジア諸国の最新事情について報告した。本速報では、その報告要旨をお届けする。

 

 その他の記事

アルメニアとの円卓会議のご案内

 


 

No.1332 2005年6月25日

モスクワ大停電の背景を探る

技術評論家 藤井晴雄

ロシア東欧経済研究所 調査部次長 坂口泉

 

はじめに

 ロシアの首都モスクワで5月25日に大規模な停電が発生し、市内は大きな混乱に見舞われた。停電により証券取引所が取引を停止したほか、交通が乱れ、さらに通信にも障害が生じた。チェチェン独立派がテロの犯行声明を出す一幕もあったが、当局はすぐにそれを否定しており、変電所の火災と爆発によって起きた技術的な事故であったことが確認されている。石油高による好景気に沸くロシアであるが、今回の大停電により図らずも経済のアキレス腱を露呈する形となった。

 そこで本誌では、技術評論家でロシアの電力事情に詳しい藤井晴雄氏(元()海外電力調査会)をお招きし、ロシアの電力設備の老朽化問題と更新の課題についてお話をうかがい、あわせてロシア向けの電力設備輸出の可能性などについてもご意見をお聞きした。以下、その模様をお届けする。聞き手は、ロシア東欧経済研究所の坂口泉次長である。

 

 その他の記事

『調査月報』2005年7月号のご案内

ロシア・ノーヴォスチ通信提供 経済・ビジネスレビュー

 


 

No.1333 2005年7月5日号

2004年のロシアの貿易動向

 

はじめに

 ロシア連邦関税局が発行する通関統計集の2004年年報がこのほど刊行され、これにより2004年の同国の貿易動向に関する詳しいデータが明らかになった。そこで今回の速報では、他の情報源からも適宜数字を補いつつ、ロシアの最新の貿易データを図表にまとめてお伝えすることにする。

 2004年のロシアの商品輸出総額は1,835億ドル(前年比35.0%増)、輸入総額は963億ドル(同26.6%増)で、収支は871億ドルの黒字であった。これらの数字はすべて過去最高額であり、原油高に支えられた経済の活況を裏付けている。

 輸出に占める「鉱物製品」の割合が年々高まっており、2004年には過去最高の57.8%に達した。ロシアの場合、「鉱物製品」とは燃料・エネルギーにほぼ等しく、57.8%のうち実に57.1%が燃料・エネルギー商品によって占められている。一方、輸入商品構成では、2004年に機械・設備・輸送手段の割合が過去数年で初めて4割を超えたことが注目されるが、ロシアの場合、乗用車や家電といった耐久消費財の割合が大きいので、必ずしも設備投資の活発化を意味するわけではない。

 以前から、ロシアにとっての最大の貿易相手地域は、EUであった。それが、2004年5月のEU拡大により、その重要性がさらに決定的なものになりつつある。2004年通年では、ロシアの輸出入の45.1%がEUとの取引によって占められており、とくに輸出では46.0%がEU向けである。

 一方、2004年の実績では、日本はロシアの貿易相手国として第15位であり、そのシェアは2.86%であった。2003年は16位で2.25%であったから、前年よりは幾分上昇したと言えようか。

 もっとも、ロシアの通関統計には魚介類の対日輸出が一部しか反映されておらず、それによる漏れだけでも10億ドル近くに上ると見られる。その他諸々の要因を考慮すれば、日本の実際の順位はもう少し上であると考えられよう。

 

 その他の記事

◎リニューアルされたロシア統計局のウェブサイト

 


 

No.1334 2005年7月15日号

特別寄稿

2004年のロシア極東経済

ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所 主任研究員

O.プロカパロ

はじめに

 ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所より、同研究所のO.プロカパロ主任研究員が執筆した論考「2004年のロシア極東経済」をご提供いただいたので、今回の速報ではこれを紹介することにする。なお、2004年のロシア極東地域の外国投資受入状況については、当会『ロシア東欧貿易調査月報』2005年7月号の3341ページをご参照いただきたい。また、2004年のロシア極東地域の貿易動向については、同じく『調査月報』の20059-10月合併号(8月15日発行予定)でお伝えする予定である。

 プロカパロ氏の論考によれば、2004年のロシア極東地域の地域総生産は、前年比実質3.2%の伸びであった。2003年は6.9%の伸びだったから、成長率が鈍化したことになる。また、2004年の極東の成長率はロシア全体のそれ(7.1%)を下回っており、極東経済の立ち遅れ傾向が鮮明になっている。

 

 その他の記事

◎キルギスの新大統領にバキエフ氏

『調査月報』2005年8月号のご案内

◎グルジアが日本国民へのビザを免除

 


 

No.1335 2005年7月25日号

拡大するロシアのアルコール飲料市場

ロシア東欧経済研究所 調査役

芳地隆之

はじめに

 ロシアの飲み物といえば「ウォッカ」がすぐに思い浮かぶが、市場に様々なアルコール飲料が出回るにつれ、ロシアの消費者の嗜好も多様化している。ビールの伸びが目立つほか、モスクワやサンクトペテルブルグ等の都市部ではカクテルといった低アルコール飲料も好まれている。ロシアではウォッカ・グラスを何度も飲み干して親交を深めるというイメージはステレオタイプになりつつあるようだ。そこで今号では、最近のロシアのアルコール飲料市場について報告する。

 

 その他の記事

◎グルジアで財務相、経済発展相が新たに就任

ロシア東欧貿易会、最新報告書のご案内

 


 

No.1336 2005年8月5日号

カザフスタンの経済発展と日本との協力

(アフメトフ・カザフスタン首相スピーチ)

 

はじめに

 先頃、愛知万博におけるカザフスタン共和国ナショナルデー出席のため、同国からアフメトフ首相一行が来日した。日本カザフスタン経済委員会(事務局:ロシア東欧貿易会)ではこの機会をとらえ、在日カザフスタン大使館と共催で、6月14日に東京の如水会館において、アフメトフ首相歓迎昼食会を開催した。

 今回の速報では、この歓迎昼食会におけるアフメトフ首相のスピーチの模様をお届けすることにする。

 

 その他の記事

◎ウズベキスタンの閣僚人事

ロシア・リャザン州プレゼンテーション開催のご案内

◎ロシアで経済特区法が成立

◎ルーブルおよび外貨の持ち出し・持ち込みで新規則

◎ウクライナが日本人の査証を免除

 


 

No.1337 2005年8月15日号

国家VS国営企業

―ロシア石油産業のパラドクス―

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 ロシア政府が石油分野を資金調達源として位置づけ、同分野への徴税圧力を強めていることは周知のとおりである。一方、ロシア政府が、各石油会社に対し資金面や制度面での支援を行うことはほとんどない。国営の石油会社といえどもその例外ではなく、国家からの資金面での支援はほとんど期待できない(資金調達の仲介はしてくれるようだが)。それどころか、国営企業であるがゆえに、国家からの「搾取」の対象になりやすいという傾向すら見受けられる。ロシアのマスコミでは、ユガンスクネフチェガスを買収した国営石油会社「ロスネフチ」や、太平洋パイプライン建設プロジェクトに取り組む国営石油パイプライン会社「トランスネフチ」が華々しく取り上げられることが多いが、両社とも、冷酷ともいえる国家の金銭面でのシビアさへの対応に苦慮しているとの印象を受ける。

 本稿では、太平洋パイプライン建設計画と、ガスプロムによるロスネフチの合併吸収話破談の経緯等をケーススタディとして、その点を検証してみたい。

 

 その他の記事

◎新しい在ウラジオ総領事に蒲原氏

『調査月報』2005年9-10月合併号のご案内

「西シベリア・トムスク州プレゼンテーション」開催のご案内

メンバーズ・ブリーフ「プーチン第二期政権の実相と米ロ関係」

 


 

No.1338 2005年8月25日号

リャザン州の最新経済事情

(リャザン州プレゼンテーション)

 

はじめに

 8月7〜14日にかけて、ロシア連邦リャザン州よりチフヴィンスキー知事顧問を団長とする官民合同の代表団が来日。この機会をとらえて、リャザン州政府主催、ロシア東欧貿易会ならびに日本貿易振興機構(ジェトロ)の後援によるリャザン州プレゼンテーション(8月8日。於:ホテルニューオータニ東京)が開催された。

 今回の速報では、チフヴィンスキー知事顧問、ソロヴィヨフ・リャザン州行政府経済発展・貿易局長、フォミン・リャザン州シーロヴォ地区長、クズネツォフ・同ミロスラフスコエ地区長による、リャザン州の概要、最新の経済情勢、対外経済関係についての報告を紹介する。

 

 その他の記事

◎ニジェゴロド州知事にルシコフ腹心のシャンツェフ氏

新刊案内『ロシアのことがマンガで3時間でわかる本』

 


 

No.1339 2005年9月5日号

プーチン第二期政権の実相と米ロ関係

米国議会図書館調査局

S.ゴールドマン

はじめに

 当会は8月23日、米国における高名なロシア研究者、スチュワート・ゴールドマン氏(Stuart D. Golman)による会員向けメンバーズ・ブリーフ「プーチン第二期政権の実相と米ロ関係」を開催した。米国議会図書館調査局に勤務するゴールドマン氏は、長年ロシアの外交・内政の調査・研究に携わり、米ロ両国の政治家、財界人、官僚との幅広い人脈、そして豊富な経験に裏打ちされた同氏の分析には定評がある。特に本ブリーフでは、ウクライナの行方や中ロ関係が米国、さらには日本に与えうる影響など、グローバルな視点からの報告がなされた。今号ではその内容を紹介する。

 

 その他の記事

◎イルクーツク州に新知事誕生

◎CIS・中東欧諸国の最新GNP

 


 

No.1340 2005年9月15日号

2005上半期のロシアの乗用車市場

―外国車優勢の流れが加速―

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 ここ数年、ロシアの乗用車市場では外国車(輸入新車+輸入中古車+現地生産の外国車)のプレゼンスが急激に高まっているが、2005年上半期はさらにその傾向が顕著となった。純国産メーカーの中には、専ら製品価格の安さを武器に市場でのプレゼンスを維持するという戦略に限界を感じ、外国車のアセンブリーへの方向転換を図るところもでてきた。恐らく、今春に導入された自動車の「工業センブリー用部品」輸入関税引き下げ措置や、7月に採択された経済特区法も、外国車優勢の流れを加速させることになるだろう。

 本稿では、大きな変化の予兆がより具体的に見え始めた2005年上半期のロシア乗用車市場の状況を紹介する。

 

 その他の記事

◎キルギスでクーロフ氏が首相に就任

◎ウクライナの政治危機が全閣僚解任に発展

◎札幌で「ロシアビジネス環境セミナー」開催

 


 

No.1341 2005年9月25日号

2005年上半期の日ロ貿易

―自動車輸出以外は伸び悩む―

 

はじめに

 当会では、日本財務省発表の貿易統計にもとづいて、2005年上半期(1〜6月期)の日本とロシアの貿易に関し、輸出入商品構成をまとめた。そこで、今回の速報では、早速この資料をお届けする。「統計速報」のコーナーでは、2005年1〜6月の日本の対CIS・中東欧諸国の輸出入額一覧を掲載しているので、あわせてご利用いただきたい。なお、ロシア以外のCIS主要国との輸出入商品構成は、当会『調査月報』200511月号(1015日発行)に掲載する予定である。

 2005年1〜6月の日ロ貿易のパフォーマンスを見ると、輸出入とも伸びを持続しており、合計で前年同期比19.9%増の463,865万ドルに達した。うち、日本側の輸出が184,162万ドル(前年同期比35.2%増)、輸入が279,703万ドル(同11.5%増)で、収支は9億5,541万ドルの日本側の入超であった。このところの輸出の急激な伸びにより、輸出入の不均衡はかなり是正されてきた。

 このように、日ロ貿易は安定した伸びを続けている。2005年通年で過去最高額を記録する勢いであり、100億ドルの大台突破も夢ではないかもしれない。しかし、中身を見てみると、自動車輸出への依存度がますます高まっており、それ以外の取引では若干伸び悩みの傾向が生じつつある。

 

 その他の記事

◎2005年1〜6月の日本の対CIS・中東欧諸国輸出入通関実績

◎2005年1〜6月のロシア経済

◎カリーニングラード州の知事にボース氏

『ロシア技術ニュースレター』「ロシア連邦における排気ガスの法的規制」

 


 

No.1342 2005年10月5日号

ロシア極東100大企業ランキング

 

はじめに

 このほど我々は、ウラジオストクのザラトイ・ログ出版社より発行された『極東の100大企業(第3版)』という出版物を入手した。文字どおり、ロシア極東地域に所在する企業のトップ100社をまとめたものであり、画期的な資料なので、今回の速報ではこれを抜粋してお届けすることにしよう。

 原典では、@売上高、A経営効率、B株式時価総額という3つの指標について、それぞれ上位100社が示されている。ここではそのなかから、@の売上高のランキングを紹介する。売上高は、2003年の数字である。本速報独自の企画として、判明した範囲内で、インターネットのアドレスも付記した。

 ちなみに、2003年の極東100大企業の売上総額(2,709億ルーブル)は、前年比10.9%しか伸びておらず、これは同年のロシアのインフレ率(12.0%)を下回る数字である。その原因は、上位2社であるアルロサとコムソモリスク航空機工場(2社で100社全体の売上高の約3分の1を占める)の不振にあった模様だ。

 なお、ロシア全国の大企業ランキングは、経済週刊誌『エクスペルト』が毎年発表しており、今年度のランキングも近日中に発表されることになっている。当会では本年も、例年どおり、『調査月報』においてこの資料を詳しく取り上げる予定である。

 

 その他の記事

◎2005年1〜6月のCIS諸国の経済

◎ウクライナ新内閣の顔ぶれがほぼ固まる

 


 

No.1343 2005年10月15日号

ロシアにおける通関の実態

―携帯端末大量没収事件から浮かび上がるもの―

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 ロシアでは、不透明な形で通関が行われるケースが多いといわれている。すべての商品の通関が不正というわけではないが、一般に、サイズの小さな商品になればなるほど不正が多くなるといわれている(もちろん、ある程度高価な商品であることが大前提となるが)。たとえば、乗用車や白もの家電(冷蔵庫、洗濯機等)に関しては不正な通関はほとんどないが、AV家電やコピー機(ロシアに輸入されるコピー機はポータブルタイプのものが多い)等では不透明な形での輸入が横行しているといわれている。さらに、今回話題となった携帯電話端末は、そのサイズの小ささや単価の高さ故に最も不正輸入を行いやすい商品のひとつと認識されており、ロシアで販売されている携帯電話端末の約90%は不正な形で輸入されたものだといわれてきた(ちなみに、ロシアで販売されている新品の携帯電話端末はほとんどすべて輸入品である)。ところが、これまでは当局が携帯電話端末の不正輸入を本格的に摘発するケースはほとんどなく、なかば野放しの状態となっていた。だが、2005年8月中旬、内務省が重い腰を上げ、大量の不正輸入携帯電話端末の大規模摘発を行った。

 本稿では、今回の摘発事件を契機にある程度明らかになった携帯電話端末の輸入・流通の特殊性をご紹介すると同時に、その輸入通関の正常化の可能性についての考察を試みる。

 

 その他の記事

『調査月報』2005年11月号のご案内

メンバーズ・ブリーフ「ロシアにおける現地職員の雇用・労働事情」

 


 

No.1344 2005年10月25日号

ロ東貿ウクライナ訪問団の結果概要

ロシア東欧貿易会 経済協力部部長

佐藤隆保

はじめに

 さる10月9日から13日の間、高垣佑・ロシア東欧貿易会会長を団長とする総勢1332名(うち事務局4名)からなるロ東貿訪問団がウクライナの首都キエフ、ドニエプロペトロフスクおよびオデッサを訪問した。

 ロシア東欧貿易会では2001年から毎年ロシア各地に高垣会長を団長とする経済交流を促進するための訪問団を派遣しているが、今回、ロ東貿では初めてロシア以外の事業対象国としてウクライナへの訪問団を派遣することができたことは、参加いただいたウクライナとのビジネスに関心をもつ会員企業の各位にとって、今後日本とウクライナとの経済交流を拡大する上で、大きな意義があったと思う。

 CIS諸国の中でロシアに次ぐ大国であるウクライナは、拡大EUの中で発展しつつあるポーランド、スロバキアおよびルーマニア等との隣接国として地政的重要性を高めてきており、また、日ウ二国間関係では、さる7月ユーシチェンコ大統領が訪日し、とくに小泉首相との首脳会談では、「日本とウクライナの間の21世紀における新たなパートナーシップに関する共同声明」が発表され、その中で経済関係については、ウクライナのWTO加盟、投資環境の改善、日本からのバンクローン、ボリスポリ国際空港拡張計画への円借、ウクライナ日本センターの設置、衛星打ち上げ協力、京都メカニズムの共同実施・グリーン投資スキームの促進、ウクライナ短期滞在査証の免除等の幅広い案件が取り上げられ、日本とウクライナとの経済関係の進展への期待が急激に高まってきている。

 訪問の1カ月前の9月はじめに、ユーシチェンコ大統領がオレジ革命の盟友であったティモシェンコ首相内閣を解散したことで、本訪問団の派遣時期について検討せざるをえなかったが、9月末にはオレジ革命の根幹である透明な民主化を目指すことを踏襲し、経済運営を最優先としたエハヌロフ首相をはじめとする実務派内閣が成立したことを受け、当初の派遣の時期をずらさずに実施することができた。

 結果として、団の訪問時には新首相はじめ大統領府官房長官、経済省、運輸通信省、輸出入銀行幹部とも会い、直接に経済運営について確信を持った話を聞くことができた。また地方行政や企業との会合、視察を通じて最近の貿易投資環境、技術力・産業競争力、協力可能な分野および案件等について知り、貿易投資の拡大の方途を探るための絶好の機会となった。

 本レポートでは、同訪問団に事務局として同行した筆者が取り急ぎまとめた結果概要を紹介し、とくに首相および経済省との会談の概要について参加者以外の会員各位にも共有していただき、当会の事業ならびにウクライナへの関心の目を持っていただければ幸いと考える。

 

 その他の記事

◎ウクライナ、カザフスタンに新大使

◎アゼルバイジャンで5閣僚が解任

◎グルジアで外相交代

◎国連開発計画発表の2005年版「人間開発指数」

 


 

No.1345 2005年11月5日号

特別寄稿

キルギス最新事情

―ミニ国家における独自戦略の困難さ―

大阪市立大学大学院経済学研究科教授

田畑 理一

はじめに 

 筆者は、昨年、中国のウルムチ市にある新彊大学の創立80周年記念シンポジウムに招かれた機会を利用し9月初めの5日間キルギス共和国に滞在したが、本年9月8日から10月6日までの約1ヶ月間再度キルギスに滞在し、政府、中央銀行、経済研究所、大学、国内および外国諸機関(世銀、EBRDInvestment Round TableIBC(International Business Council)JICA)などの様々な人々にヒヤリングを行い、ディスカッションを行ってきた。さらに、今年は南部のオシュ市(キルギス第2の都市)、ジャララバード市をも訪問してきた。本稿では、私が入手した最新の資料をもとに、最近のキルギス事情についてレポートしたい。

 

 その他の記事

日ロICT(情報通信技術)ビジネス・セミナー開催案内

「貿易投資促進寄稿」ロシア側事務局提案の案件リスト

新刊案内『中東欧の日本型経営生産システム』

 


 

No.1346 2005年11月15日号

ロシア事務用機器市場の問題点

―通関正常化のために―

ロシア東欧経済研究所 調査役

芳地隆之

はじめに

 先日、平成17年度国庫事業のひとつであるロシア事務用機器市場の調査のため、モスクワおよびサンクトペテルブルグを訪れ、経済発展貿易省、調査会社、ディーラー等と面談、ヒアリングを行った。ロシアの同市場、とりわけコピー機市場における日本メーカーのプレゼンスは非常に大きく、製品のセグメントも今後は高性能なものにシフトしていくと予測される。そうしたなか、クローズアップされているのがコピー機の不正通関問題である。本速報1015日号「ロシアにおける通関の実態」では、不正に輸入された携帯電話の大量没収事件、ならびに家電の通関正常化の動きについて取り上げたが、今号ではコピー機の通関問題を中心に、同市場発展のために改善すべき点について考えてみたい。

 

 その他の記事

『調査月報』2005年12月号のご案内

『ロシア技術ニュースレター』「ロシア民間航空機産業の問題点」

◎ロシア通商代表部がセミナーを開催

 


 

No.1347 2005年11月25日号

ロシアにおける現地職員の雇用・労働事情

(2005年10月26日ROTOBOメンバーズ・ブリーフより)

ロシア東欧経済研究所 次長

高橋浩

はじめに

 ロシア東欧貿易会では1026日、「ロシアにおける現地職員の雇用・労働事情」と題する会員向けのメンバーズ・ブリーフを開催した。ロシア東欧経済研究所の高橋浩が、9月にモスクワなどで日系の企業、現地事務所を対象に実施したヒアリングを踏まえ、現地職員の雇用・労働にまつわる諸問題について報告したものである。

 今回の速報では、その報告要旨をお伝えする。

 

 その他の記事

◎ロシアで大がかりな政権人事、政権継承への布石か?

講演会「ロシア極東経済とインフラストラクチャー整備」のご案内

 


 

No.1348 2005年12月5日号

ロシアで経済特区6箇所が内定

ロシア東欧経済研究所 調査役

服部倫卓

はじめに

 ロシアでは今年7月27日に連邦法「特別経済区について」が採択され、同連邦法は8月に発効した。これを受け、経済特区の具体的な設立地の選考が進められてきた。そして、11月28日、グレフ大臣の主宰のもと、経済発展貿易省で選考委員会が開催され、経済特区6箇所が選定された。近く、これを正式に規定する政府決定が出て、いよいよ特区が動き出すことになる。

 そこで今回の速報では、経済特区選定をめぐる最新の情報をとりまとめてお伝えすることにする。なお、経済特区のメカニズム等については、『ロシア東欧貿易調査月報』2005年11月号に特区法を全訳して掲載しているので、ご参照いただきたい。

 

 その他の記事

◎ロシア政権幹部の管轄分野を再配分

「第6回日本トルクメニスタン経済合同会議」開催のご案内

新サービス「ウクライナ・モルドバ週報」

 


 

No.1349 2005年12月15日号

2005年秋モスクワ見聞録

―レストラン、スーパーマーケット、レイド―

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 筆者は10月30日から1週間、約2年ぶりにモスクワを訪れた。最近ロシアで活発化しているM&A関連の調査をするのが今回の出張の目的であったが、同行していただいた外部の専門家の方々(京都大学経済研究所の溝端教授と大阪外国語大学の藤原助教授)の的確なアドバイスもあり、非常に実りのある調査ができたことを感謝している。また、オフタイムにも全く予測していなかった興味深い場面や事象に遭遇することができた。M&A調査の成果は年度末の報告書等で紹介するとして、本稿ではオフタイムに見聞した興味深い事象を、筆者なりの分析や感想も交えてご紹介する。

 

 その他の記事

◎駐日アゼルバイジャン大使が信任状奉呈

メンバーズ・ブリーフ「カザフスタン大統領選挙」のご案内

◎『調査月報』発行日変更のお知らせ

◎CIS・中東欧諸国の市場経済移行進展度

 


 

No.1350 2005年12月25日号

2005年1〜9月の日ロ貿易

―年間100億ドル超えの期待膨らむ―

 

はじめに

 当会では、日本財務省発表の貿易統計にもとづいて、2005年1〜9月期の日本とロシアの貿易に関し、輸出入商品構成をまとめた。そこで、今回の速報では、早速この資料をお届けする。「統計速報」のコーナーでは、2005年1〜9月の日本の対CIS・中東欧諸国の輸出入額一覧を掲載しているので、あわせてご利用いただきたい。なお、ロシア以外のCIS主要国との輸出入商品構成は、当会『調査月報』2006年2月号(2006年1月20日発行)に掲載する予定である。

 2005年1〜9月期の日ロ貿易は、往復で766,723万ドルに達し、前年同期比21.9%増大した。このままのペースで行けば、通年で100億ドルの大台を突破することも充分に期待できそうだ。うち、日本側の輸出は314,535万ドル(前年同期比40.9%増)で、これはすでに2004年1年間の輸出額を上回っている。輸入は452,188万ドルで、こちらは前年同期比11.4%増と、やや小幅な伸びにとどまった。

 

 その他の記事

◎2005年1〜9月の日本の対CIS・中東欧諸国輸出入通関実績

◎2005年1〜9月のロシア経済

◎2005年1〜9月のCIS諸国の経済

◎トルクメニスタンでまた閣僚の異動

『調査月報』2006年1月号のご案内

『ロシア技術ニュースレター』「ロシア原子力発電分野における最新技術情報」

◎『ロシア東欧経済速報』2005年(平成17年)掲載記事一覧

 


 

速報 HOME

 

ROTOBO HOME