ソ連東欧貿易調査月報

1990年6月号

 

T.極東産ソ連材の産地事情

U.ルーブルの交換性付与の条件

V.ソ連・東欧の貿易と金融状況 OECD報告より―

W.ソ連の共産党・政府人事

X.1989年度ソ連東欧貿易会事業報告

Y.東欧諸国経済資料

◇◇◇

日ソ・東欧貿易月間商況1990年月分)

ソ連・東欧諸国関係日誌1990年月分)

対ソ・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績

1990年月および1〜月累計)

 

 


 

極東産ソ連材の産地事情

 

1.極東の森林資源

2.極東木材資源の利用

3.極東の木材産業

4.極東からの木材商品輸出

付属資料

 

はじめに

 ソ連の対日輸出品目のなかで歴史的に長く、かつ日本市場に広く深く浸透している商品といえばソ連材である。その主要産地である極東地域の木材産業がどんな状況にあるのかは、日本にとっても関心事であり、ここではできるだけ新しい統計、データを取り入れて、その産地としてまとめてみた。特に重要な資料としてはヤクーニン・A・G他著『極東の木材工業』およびソ連極東林業研究所Dr.シェインガウスの講演資料『ソ連極東の林業』を利用した。執筆者は島津朝美氏である。

 


 

ルーブルの交換性付与の条件

 

はじめに

 ソ連の通貨、ルーブルは外貨との交換は厳しく制限されている。外国企業の立場から見ると、出資するソ連国内の合弁企業が、いくらルーブルを稼いでも、それを外貨に交換する手立てはなく、得たルーブルは外国からの資材の購入には使えないということである。これが、合弁企業経営の大きな問題点のひとつであった。しかし、ルーブルへの交換性付与については、その前に、様々な解決すべき問題点が多々ある。それらの点について、ソ連科学アカデミー世界経済国際関係研究所のA・G・アニキン財政問題部長がこの問題および交換性付与の条件を論じた資料「ルーブルの交換性:その時期、方法と条件」当会研究所が入手したので、ここにそれを翻訳、紹介する。

 


 

ソ連・東欧の貿易と金融状況 ―OECD報告より―

 

1.序文および要約

2.国内経済状況と改革

3.対外債務

4.国際的信用供与者との関係

 

資料紹介

 本稿はOECD”Financial Market Trends”誌(1989年2月)に掲載された報告The International Trade and Financial Situation of Eastern Europe in1988-89を、翻訳紹介するものである。

 それによると、1989年の東欧諸国(ソ連と欧州コメコン6カ国)の歴史的変革によって、東西経済関係は大きく変化しようとしている。現在、東欧諸国は国際分業システムへの積極的な参加を目指しており、そのために市場メカニズムの導入、国際経済機関への急接近などの条件整備を進めている。

 しかし、このような努力にもかかわらず、東欧諸国の貿易収支は返って悪化し、また対外債務も増大を続けている。

 東欧市場は長期的に見れば大きな可能性を秘めているが、当面は経済の悪化状況が続くものと見られる。

 このため、東欧諸国の経済改革を側面から支援するための西側からの様々な便宜が供与されている。

 


 

ソ連の共産党・政府人事

 

はじめに

 ソ連の共産党・政府人事は、ソ連がペレストロイカ政策を推し進める中、大幅な札新がなされてきた。1990年7月2日からはソ連共産党大会が開催され、大幅な人事の交代も予想されるが、1990年5月末現在の問う・政府人事をまとめ、あわせて略歴を付したので参照されたい。

 


 

1989年度ソ連東欧貿易会事業報告

 

1.ソ連関係事項

2.モンゴル関係事項

3.東欧関係事項

4.ソ連東欧経済研究所関係事項

 

はじめに

 ソ連東欧貿易会は1990年5月23日、年次総会を開催し、会の事業報告を行った。ここにその内容を紹介する。

 1989年の日ソ貿易は往復で60億8,600万ドルを記録し、史上初めて60億ドル大台に達した。

 日本の対ソ輸出は前年比1.6%減の30億8,100万ドル、日本の対ソ輸入は前年比8.6%増の30億400万ドルとなり、日本の出超は7,700万ドルにとどまり、1975年以来続いた日本の大幅な出超による日ソ貿易のインバランスは大きな改善を見ることになった。

 1989年の対モンゴル貿易は、対前年比50%増大し、日本の輸出が727万ドル(対前年比74%増)、輸入が3,836万ドル(同46.2%増)、往復で4,563万ドル(同50.0%増)であった。

 1989年の対東欧諸国貿易概況は、日本の輸出が7億8,752万ドル、(対前年比12.3%減)、輸入が8億855万ドル(同5.3%減)であった。往復では15億9,607万ドル(同8.9%減)であった。日本の輸出、輸入とも史上最高を記録した1988年を下回った。日本の対東欧諸国では初めて日本の輸入が輸出を上回り、貿易収支は2,103万ドルの赤字であった。

 往復貿易額で見た相手国の順位は、1位ポーランド(前年と同じ)、2位ハンガリー(前年は3位)、3位ルーマニア(前年は6位)、4位チェコスロバキア(前年は7位)、5位ブルガリア(前年と同じ)、6位東ドイツ(前年は4位)、7位ユーゴスラビア(前年は2位)、8位アルバニア(前年と同じ)であった。

 日本の輸出が増大した相手国は、チェコスロバキア、ハンガリー、ブルガリアで、減少した相手国は、東ドイツ、ポーランド、ルーマニア、アルバニアである。輸入ではルーマニアからの輸入が423%増と著増した。

 周知の通り、これら対象諸国は、現在大掛かりな社会改革が進行中であり、わが国との貿易関係もかなり流動的な様相を示している。当会では、今後の動向の的確な把握と迅速な情報的今日の必要性を重視し、見本市事業、東欧諸国およびモンゴルとの二国間経済委員会の事務局運営、人的交流、対象諸国の国内経済と対外経済関係についての調査、研究を進めていくものである。