ロシア東欧貿易調査月報

1992年8月号

 

T.1991〜1992年の旧ソ連およびCIS諸国の外国貿易動向

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旧ソ連・東欧貿易月間商況(1992年7月分)

旧ソ連・東欧諸国関係日誌(1992年7月分)

CIS・グルジア・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績1992月および月累計)

 

 


 

1991〜1992年の旧ソ連およびCIS諸国の外国貿易動向

 

1.1991年の旧ソ連の外国貿易

2.1991年CIS諸国の外国貿易

3.1992年上半期のロシア連邦の半期の外国貿易

4.1991年の日本の対旧ソ連貿易

5.1992年上半期の日ロ貿易

 

はじめに

 1991年の旧ソ連邦およびCIS諸国の外国貿易データは、ソ連崩壊の影響による混乱のため、詳しいデータはいまだ発表されていない。例年『ソ連外国貿易統計集』がソ連国家統計委員会から出版されていたが、1991年度の統計集はCIS統計委員会から本年末に出版される予定とのことである。したがって、本号では『経済と生活』紙、インタファクス、CIAおよびOECDの統計、当会モスクワ事務所がCISおよびロシア連邦の統計委員会から入手した資料をもとに、1991〜1992年の旧ソ連邦およびCIS諸国の外国貿易動向を紹介する。

 1991年度のデータは旧ソ連のものとCISのものとあるが、今後バルト3国を含んだ旧ソ連全体を対象としたデータは得られない可能性が大きい。また、本号の1992年上半期のデータはロシア連邦のみである。統計の数字も、ルーブル表示とはいえ、1991年はそれ以前の公定レートとは異なる商業レートで換算されており、時系列的な比較が困難となった。さらに、1992年上半期のロシア連邦の外国貿易はドル表示で発表されている。

 1991年の旧ソ連の外国貿易高は商業レートで(当会の算出したところによると、1991年の商業レートの平均値は1ドル=1.7466ルーブル)1,606億ルーブルで対前年比37.6%減、うち輸出は814億ルーブルで32.1%減、輸入は792億ルーブルで42.4%減となり、貿易収支は統計上22億ルーブルの黒字であった。外国貿易の縮小の主要因は、旧コメコン諸国との貿易の崩壊であるが、対先進工業諸国貿易もおよそ24%、対発展途上諸国貿易も32%それぞれ減少している。

 現在、旧ソ連構成諸国はそれぞれ世界市場進出をめざしているが、各共和国間の分業体制や需給関係が破綻し、ハードカレンシィで商品・サービスを買い入れなければならないため、対外経済関係において旧ソ連が直面していた諸問題からどの国も免れることはできない。実際、1991年のCIS各国の輸出入高はいずれも大幅に落ち込んでおり、外国貿易の環境の厳しさを示している。

 本稿執筆者は当会ロシア東欧経済研究所研究員梅本清美である。