ロシア東欧貿易調査月報

1996年4月号

 

T.1995年の日ロ貿易

U.Japanese-Russian Trade in 1995 (Summary in English)

V.ロシア下院選の全記録(1993年および1995年)

   ―地方別選挙結果の詳報―

W.ロシアの株式会社法(仮訳)

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統計特集(U):CIS・東欧諸国・モンゴル輸出入通関実績(1995年1〜12月累計)

 

 


 

1995年の日ロ貿易

 

1.  1995年の日ロ貿易一般動向

2.  輸出の主要動向(1)

3.  輸出の主要動向(2)

4.  輸入の主要動向(1)

5.  輸入の主要動向(2)

 

はじめに

 1995年で日ソ貿易が日ロ貿易に変わって4年を経過した。日ロ間の輸出入実績は、ソ連最後の年の1991年の54億ドルから1992年には34億8,000万ドルに急落したが、その後は1993年42億7,000万ドル、1994年46億6,000万ドルと上昇、1995年には59億3,000万ドルにまで回復した。一方、ロシアの経済はハイパーインフレは収まったものの鉱工業生産は下降が続き、1995年は底を打ち、1996年は横ばい、1997年から回復に向かうとの観測はあるものの、まだ数字で実証されたわけではない。このような状況下で日口貿易が伸びたことは逆説的だとの見方も成り立つ。

以下に大蔵省の通関統計に基づき、判明した限りで1995年の日ロ貿易の実態の分析を試みた。

 


 

ロシア下院選の全記録(1993年および1995年)

―地方別選挙結果の詳報―

 

 このほど入手した資料(Andrei Maximov, Maximov’s Companion to the 1995 Russian Parliamentary Elections,Maximov Publications,1996)により、昨年12月17日に実施されたロシア下院選の連邦構成体(共和国、地方、州など)別の詳細な結果が明らかになった。そこで、この地方別のデータを、前回(1993年12月12日)の選挙結果と対比しつつ紹介することとする。

 ロシアでは、6月16日の大統領選を控え、様々な予測が飛び交っている。しかし、選挙の経験が浅く、政治学が発達していないロシアでは、稚拙な予想が横行しがちである。こうしたことから、これから来る大統領選を予想することもさることながら、すでに確定した下院選挙の結果を分析し、そこから教訓をくみ取ることの重要性が浮かび上がる。

 しかし、現地専門家の関心は、下院選が終わるとただちに大統領選に移ってしまった。ジャーナリストや学者たちは、選挙直後に総論的な分析を示しただけで、その後は、現地主要紙をみる限り、より深層に踏み込んだ議論はほとんど登場していない。そして、掘り下げてもいない下院選のデータをつぎはぎしながら、得意顔で大統領選を占っているのである。いかに下院選よりも大統領選の方が重要であるとはいえ、ロシアの論壇はあまりにも先走っていると指摘せざるをえない。

 本資料は、以上のような認識にもとづき、あえて過去の選挙結果を詳細に紹介するものである。きたる大統領選をはじめ、ロシアの政治情勢を的確に判断するための基礎資料と位置づけたい。

 なお、本誌ではすでに、「ロシア下院選の結果とそのインプリケーション」(1996年1月号)において、昨年12月の選挙結果を紹介・分析している。また、同3月号では、下院選当選者の名簿を掲載しているので、あわせて参照していただきたい。

 


 

ロシアの株式会社法(仮訳)

 

はじめに

 ここに紹介するロシア株式会社法は、1995年12月に制定されたもので、今後のロシアの市場経済化の制度的枠組を整備するうえで、きわめて重要と考えられる。

 従来ロシアでは、株式会社に関する法規としては、1989年の株式会社規程、1990年の企業・企業活動法、1995年のロシア民法典第1部が存在したが、急速に進む国有企業の株式会社化の流れのなかで、次第に旧い法規が実情に合わず、また現実の動きに対応しきれなかったため、新たな法律が待ち望まれていた。

 全部で10章94条から成るロシア株式会社法の最大の特徴は、国有企業が民営化されても、企業形態は変わっても経営スタイルは相変わらずという問題に対し、所有と経営の分離をはかることによって、経営をより効果的なものにしようとする意図がうかがえることである。しかし、周知のとおり、現在のロシアの株式会社は内容的には株式の従業員と国家の共同所有というのが実態であり、旧来の経営・管理スタイルが新しい外部の経営者を迎え入れたことによって大きく変化するとは考えがたい(内部からの抵抗が予想される)。

 もうひとつの特徴は、昨今の企業の合併・買収の動きを想定した特別の項目が含まれていることであり、ロシアの政策当局がこの問題をきわめて重視していることがわかる。

 この株式会社法は、内容的には、ロシアの特殊性と法作成者の理解不足による多くの不明な点、前後での論理矛盾など多くの問題を残しているが。それも過渡期ゆえの混乱であり、ロシアでも株式会社が実生活に根づくにつれて、今後さらに改善されていくものと考えられる。

 今年に入って、証券取引法も制定されており、ロシアでも経済の基本法の整備が形のうえでは徐々に進みつつあるようである。