ロシア東欧貿易調査月報 1997年3月号 |
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エリツィン・ロシア大統領の1997年年次教書
1. 連邦議会へのエリツィン・ロシア大統領の教書演説(1997年3月6日) ―国を統治しなければならないのは権力であって、状況ではない―
2. ロシア大統領1997年年次教書 ―「権力における秩序――国内の秩序」―
資料紹介
エリツィン・ロシア大統領は3月6日年次教書を発表し、上下両院議員を前に教書演説を行った。大統領教書はこれで4回目になるが。前回3つの教書が、ロシア経済の現状に多くのスペースを割いていたのに対し、今回は国家統治機構のあり方および法秩序の問題がクローズアップされている点が注目される。その背景には、体制転換の混乱に際して形成された新たな特権階層・エリートと一般市民との間の反目・乖離が極限の状態にまで達したという現状認識がある。
以下、1.で教書演説を、2.で教書本体をそれぞれ全文翻訳して紹介する。出典は『ロシア新聞』(1997.3.7)である。
ロシアにおける銀行資本の生産資本への接近(3)
―金融・産業グループ「インターロス」のその後―
1. 順調に進展するONEKSIM銀行とシダンコの関係
2. 複雑化するONEKSIM銀行と生産企業との関係
今日ロシアでは。政府の産業政策が事実上存在せず、国家投資資金も不足するという状況のもとで、銀行資本による主力生産企業の株買い占めを通した、ロシア版金融資本の形成が進行している。ONEKSIM銀行を中核とする金融・産業グループ「インターロス」は、その先駆的存在であり、同グループについては、すでに本誌(1996年10月号)で紹介した。その後、インターロスをめぐっては、かなり大きな変化が生じており、あらためて同グループの現状を紹介する。
第1章では、比較的順調に進んでいるONEKSIM銀行とシダンコの関係について、第2章では、再国有化の動きもみられるノリリスク・ニッケルとONEKSIM銀行との複雑な関係を中心に論じている。
本稿は当会ロシア東欧経済研究所詞査部次長坂口泉の執筆によるものである。
ロシアの対外経済管理制度改革の動向
―1996年下半期の動向と展望―
1. 1996年の貿易実績
2. 外国投資の状況
3. 対外経済活動管理制度の動向
はじめに
本誌で半年ごとに掲載しているV.A.オレシキン・ロシア景気研究所所長による、ロシアの対外経済活動の管理制度故革に関する最新レポートを紹介する。
今回のレポートでは、1996年下半期から1997年はじめにかけてのロシアの対外経済活動にかかわる管理制度の変更について述べられている。1996年上半期には輸出税の廃止というトピックスがあったが、下半期にはロシアの対外経済活動の管理方式の根本に関わるような大きな変更はなかった。比較的大きな変更および新しい規制措置としてあげられるのは、@バーター取り引きに通常の輸出入取り引きの際と同様の「取り引き証明書」が必要になったこと、A通関価格および物品税の算定方式が変わったこと、B国境税の導入が決定したこと、C関税率表に関する法律修正が加えられたこと、D国内産業(テレビ生産)発展のために一部の部品の輸入税が廃止されたことなどである。
前回のレポート(『調査月報』1996年9月号)で審議の状況について解説した外国投資法、自由経済地域法の採択は、結局次年度以降に持ち越された。自由経済地域法の草案は、1997年2月に国家会議の第2読会を通過したが、さらに第3読会での審議を控えている。
1996年のロシア極東経済の回顧と1997年への展望
―ミナキル・ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所長講演会より―
1. 極東経済の全般的状況
2. 未払い問題とその要因
3. 投資および金融
4. 1996年の極東地域の対外経済関係
5. 1997年の極東経済の展望
はじめに
当会では、P.A.ミナキル・ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所所長の来日を機に、1月22日、東京証券会館で講演会を開催した。
1996年を通じて、ロシア極東では相変わらず厳しい経済状況が続いたが、一方で極東ザバイカル長期発展プログラムの承認、サハリン大陸棚開発プロジェクトのPS協定発効など注目すべき動きがみられたのも事実である。
今回、ミナキル所長には上記の点を含めて1996年のロシア極東経済の回顧と1997年に向けてのその展望についてご講演いただいた。