ロシア東欧貿易調査月報 1999年1月号 |
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ロシア経済の現状と見通し
当会ロシア東欧経済研究所 所長
小川和男
1.1999年と2000年は政治の年
(1)最大の課題は政治的安定
(2)存在感増すプリマコフ首相
2.経済情勢と見通し
(1)実績と見通し
(2)通貨金融危機は「信用」危機
(3)物価
(4)地下経済の活力と庶民生活の落ち着き
(5)経済政策は生産重視・産業政策重視へ転換
(6)1998年10〜12月の鉱工業生産は3.1%増
(7)外国の支援は必要
3.対ロシア交流の問題点
(1)橋本・エリツィン3原則
(2)必要な交流チャンネルの多角化
1999年3月2日、当会では「ロシア経済の現状と見通し」と題した小川和男ロシア東欧経済研究所所長の講演会を開催した(於:東京証券会館)。ここでは、この講演会の内容を紹介する。
ロシア金融危機以降の金融産業グループの現状(2)
―アルファグループについて―
当会ロシア東欧経済研究所調査部 次長
坂口泉
1.アルファ・グループの概要
2.チュメニ石油会社について
(1)設立の経緯
(2)資本関係
(3)メインバンク
(4)チュメニ石油会社躍進の原動力といわれるクーケス社長について
(5)上流の状況
(6)製油部門
(7)チュメニ石油会社がからむ業界再編の噂
はじめに
前回は、金融危機の後遺症に苦しむインターロスとロスプロムという2つの新興財閥ならびにその傘下の石油会社の状況を紹介した。
だが、ロシアの新興財閥の中には従来の勢力をそれなりに維持しているものも存在する。アルファ・グループも金融危機によりかなりの打撃を受けたが、それほど深刻な打撃は受けなかったとの印象が強い。さらに、1998年に入り、今や同グループの代名詞的存在になりつつある傘下企業「チュメニ石油会社」の実績の改ざんが顕著なのも、同グループのイメージをアップさせる一因となっている。
本稿では、アルファ・グループの概要をごく簡単に紹介した後、最近業績好調が伝えられ、今後、ロシア石油業界再編のキーを握る企業のひとつになるのではないかとの声すら聞かれるようになったチュメニ石油会社の概要および現状を紹介することにする。
ロシア金融危機と極東経済
1.ロシア金融危機と極東経済
パーヴェル・ミナキル ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所 所長
(1)1998年のロシア極東経済
(2)極東地域の主要産業の動向
(3)ロシア金融危機と極東経済への影響
(4)危機克服に向けて
2.ロシア極東における銀行業の現状
オレグ・レンジン ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所主任研究員
(1)金融危機の原因
(2)極東地域における金融危機
(3)銀行制度の再編
(4)地方独自の銀行制度
(5)新しい銀行制度創設に向けて
当会では、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所のP.A.ミナキル所長およびレンジン主任研究員をお招きし、1999年1月20日に「ロシア金融危機と極東経済」、「ロシア極東における銀行業の現状」と題して講演会を開催した。本稿では、その内容をご紹介する。
ベラルーシの対ロシア経済関係の実相(1)
―秘められたコメコン再興の野望―
在ベラルーシ共和国日本大使館専門調査員
服部倫卓
1.序論
2.ベラルーシの対ロシア経済関係のコメコン的性格
(1)ロシアの地方をパートナーに貿易を拡大
(2)市場統合に背を向けるベラルーシ
カザフスタンにおける経済改革1991〜1998年
―成果と問題―
カザフスタン共和国科学アカデミー・科学省次官アカデミー会員 コシャノフA.K.
カザフスタン共和国科学アカデミー・科学省経済研究所経済学修士 フサイノフB.D.
1.マクロの経済改革プロセスの進化
2.民営化
3.外国貿易
4.投資状況
むすびにかえて
20世紀の最後の10年間は多くの国々、まず中国、東欧、旧ソ連諸国での特筆すべき経済改革実施の年だった。その際、行政・指令的経済を市場経済に転換するプロセスは、大多数のCIS諸国で国際金融機関―国際通貨基金(IMF)と世界銀行のスタンダードな各種の勧告に従って実施されている。CIS諸国でのシステマチックな改革は、これらの国の大多数で多くの点で似通ったもので、実際同時に始まった。それとともに、これらの国の中ではそれぞれにその国独自の経済改革の特徴があったし、また現にある。