ロシア東欧貿易調査月報

2003年4月号

 

T.ロシア乗用車市場における明と暗

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モスクワ直送情報

 インタビュー 相沢俊行さん(パナソニックCIS(株)モスクワ事務所所長)

データバンク

 特集 2002年のCIS経済統計

CIS・中東欧ビジネストレンド(2003年2月分)

CIS・中東欧諸国関係日誌(2003年2月分)

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統計特集(U)日本の対中東欧貿易統計

 1.ポーランド

 2.チェコ

 3.スロバキア

 4.ハンガリー

 


 

ロシア乗用車市場における明と暗

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

1.ロシア乗用車市場の特性と市場規模

2.国産中古車市場

3.国産新車市場

4.輸入中古車市場

5.輸入新車市場

6.国内メーカーの動き

7.外国メーカーによる国内生産の動き

まとめにかえて

 

はじめに 

 最近、ロシアの乗用車市場が非常に好調だという話をよく耳にする。実際、日本車の売行きは極めて好調で、2003年1〜3月期のトヨタのロシアにおける新車販売台数は前年同期比で実に136%も伸びた。また、三菱自動車の販売台数も前年同期比で83%増加している。

 さらに、2002年夏以降、フォードが現地生産を開始し、非常に好調な指標を示しているという事実も好景気感をあおる格好となっている。

 しかし、一方で、2002年秋から2003年2月にかけAvtoVAZ(ヴォルガ自動車工場)をはじめとする純国産メーカーの生産量が激減したという事実や、2003年に入り欧州メーカーの新車販売台数が伸び悩む傾向にあるという事実も存在する。現在のロシアの乗用車市場が全般的に明るいトーンに彩られているという認識で間違いないが、暗の部分も明確に存在するのである。

 本稿では、明の部分のみならず暗の部分にもスポットをあて、ロシアの乗用車市場の現状を多面的に紹介することを試みる。