ロシア東欧貿易調査月報 2003年10月号 |
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日ロ経済関係をどう見るか
(「ロシア・デー」における高垣佑会長のスピーチ)
はじめに
先日(9月11日)、バイエリッシェ・ヒポ・フェラインス銀行東京支店と在日ロシア大使館の主催、ロシア東欧貿易会の後援により、「ロシア・デー」と題するセミナーが開催されました。この席で、当会の高垣佑会長が、日ロ経済関係をどう見るかというテーマで、スピーチを行いました。以下その内容をご紹介いたします。
変貌するロシアの石炭分野
―資本関係の変化を中心に―
ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
1.石炭埋蔵量
2.生産の状況
3.国内消費
4.輸出の状況
5.輸入の状況
6.主要な石炭企業グループ
まとめにかえて
付属資料:「2020年までの期間のロシアのエネルギー戦略」における石炭分野に関する記述
はじめに
最近、ロシア東欧貿易会の会員の方々からのロシアの石炭分野に関する質問が増えてきている。生産指標を見る限りでは、ロシアの石炭分野の状況は、最近、とくに良好というわけでもなく、むしろ停滞傾向のほうが目立つにもかかわらず、日本企業のロシアの石炭分野への関心度が高まっているのはなぜだろうか。この点について、質問をされた方々に根掘り葉掘りお聞きすることは躊躇されるので推測するしかないが、ひとつ思い当たるのは、ロシアの石炭分野では、このところ、資本関係の変化が非常に激しくなっていたという点である。大げさではなく、半年程度の単位で資本関係(オーナー)が変化していた大手石炭会社も珍しくない。その結果、ロシアの石炭会社側の商談の窓口に混乱が生じ(どこが商談の窓口なのか特定するのが困難となり)、当会への問い合わせが増加している可能性が高い。
また、資本関係の変化の動きをウォッチしていると、MDMグループやセヴェルスターリ・グループといった、大手資本が石炭会社を買収するケースが目立っているという点も見逃せない。石炭会社を買収したこれら大手資本が、今後、石炭分野への直接投資を活発化させるのではないかとの読みが、日本企業側にあるのかもしれない。
さらに、数年前より、ロシアではガス不足の懸念が出始め、その代替としての石炭への関心が高まっているが、その点に着目している日本企業が存在する可能性も否定できない。
本稿では、以上のような状況を踏まえ、資本関係の変化に焦点をあてつつ、ロシアの石炭分野の現状を詳細に紹介する。
なお、付属資料として、本年8月にロシア政府が採択した「2020年までの期間のロシアのエネルギー戦略」における石炭分野に関する部分を翻訳して掲載するので、あわせて参照していただきたい。
ロシア観光業の概況とトレンド
ロシア東欧貿易会 モスクワ事務所
D.スホルコワ
はじめに
1.ロシアにおける観光業の全般的状況
2.観光業の事業者
3.海外旅行のトレンド
4.国内旅行の状況
5.ロシアにおけるホテル業
6.ロシア人旅行者の新たな志向
はじめに
ソ連解体後、かつての規制が撤廃され、ロシア国民は財力さえあれば自由に外国に旅行に出かけられるようになった。ロシア人の人気を集めているのは海岸リゾートであり、とりわけトルコや地中海沿岸諸国に人気が集中している。他方、国民は国内観光にはあまり目を向けず、観光インフラの整備も立ち遅れている。
本稿では、新時代のロシア観光業を概観するとともに、最新のトレンドを紹介する。
ロシア企業クローズアップ
1.マグニトゴルスク冶金コンビナート
ロシア鉄鋼ビッグ3の一角。高付加価値製品に活路を見出し、とくに自動車用鋼板の輸出の増強を計画。国内販売の体制も再構築中。生産の質・量両面の向上、自家発電の拡大に向けた設備投資も引き続き進める。
2.イリムパルプ・グループ
林業・紙パ部門でロシア最大の企業グループで、サンクトペテルブルグが拠点。2002年のウスチイリム木材コンプレクスの吸収が寄与し、同年のグループ全体の生産実績は前年比60%増を記録した。グループ企業の合併を実施中。