ロシア東欧貿易調査月報

2004年4月号

 

特集◆プーチン再選とロシア経済

T.ロシア権力構造の変化

  −第2期プーチン政権の政治学的特長−

 

U.2期目のプーチン政権の経済課題

 

V.プーチン政権下のロシア石油産業

  −強まる課税圧力−

 

W.2003年の日ロ貿易

   Trade between Japan and Russia in 2003

◇◇◇

データバンク

 1.2003年のロシア経済

 2.2003年のロシアの石油会社別生産状況

CIS・中東欧ビジネストレンド(2004年2月分)

CIS・中東欧諸国関係日誌(2004年2月分)

◇◇◇

統計特集(T)日本の対ロシア貿易統計

 


 

ロシア権力構造の変化

−第2期プーチン政権の政治学的特徴−

県立新潟女子短期大学国際教養学科教授

月出皎司

はじめに:プーチン政権4年目の変化

1.ユコス事件

2.ユコス事件の政治的影響

3.プーチン政権の変化

4.第2期プーチン政権の問題点

 

はじめに:プーチン政権4年目の変化

 ロシアの内政情況は、2003年の夏から年末にかけて大きく変化した。大統領権力の内部構造(諸グループ間の力関係)が変わり、それと並行して、政党を中心とする政界の状況も大きく動いた。エリツィン時代から政界の主流を占めてきた「改革派・民主派」勢力が壊滅状態に陥った。ポスト・ソ連時代ではじめて大統領は下院で絶対多数を手に入れた。エリツィン時代いらいロシア社会でもっとも強い影響力をもっていた、いわゆるオリガキーの勢力の政治的、社会的影響力が大きく後退した。自由主義的な価値観から国家主義的、ロシア主義的な価値観への転換が明白になった。この変化を革命的なものとみるのは不適切だが、政治と社会が全体としてパラダイムを変えた事実は見のがすことができない。

 


 

2期目のプーチン政権の経済課題

ロシア東欧経済研究所 次長

高橋浩

はじめに

1.政府の優先課題 −市場経済の堅持

2.経済政策の司令塔は経済発展貿易省および財務省 −高い成長に期待

3.社会経済インフラの老朽化の問題は大きい −産業政策はないのか

4.極東へのプーチン政権のまなざし −実行力と日ロの期待感の一致

 

はじめに

 2004年3月14日の大統領選挙にて、圧倒的支持のもと再選されたプーチン大統領は、選挙前の首相更迭、内閣改造に引き続き、3月25日には大統領府の人事を実行し、2期目の組織体制固めを着々と実行しつつある。ここでは、2期目のプーチン大統領の政府の経済課題を概観する。

 


 

プーチン政権下のロシア石油産業

−強まる課税圧力−

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

1.石油分野で現在適用されている主要な税金

2.税制改革の背後にある事情

3.ユコス事件が税制改革に及ぼした影響

4.改訂の概要

5.石油分野の税制改革がもたらす可能性のある弊害

 

はじめに

 ロシアでは、石油分野への課税圧力強化の動きは以前から存在したが、最近になり、それがにわかに具体化してきている。その背景には、2000年以降の石油価格の高値傾向によりロシアの石油分野が獲得した「過剰利益」を没収しようという国家サイドの意図が存在する。本稿では、石油分野の現行税制の特徴、課税圧力強化の背景、課税圧力の強化が石油分野に及ぼす影響等についての考察を試みる。

 


 

2003年の日ロ貿易

Trade between Japan and Russia in 2003

ロシア東欧経済研究所 調査役

服部倫卓

はじめに

1.2003年の日ロ貿易のデータ分析

2.Trade between Japan and Russia in 2003A Summary in English

3.図解で読み解く日ロ貿易のトレンド(Japan-Russian Trade in Figures

 

はじめに

 当会では毎年、財務省発表の貿易統計にもとづいて、日本とロシア間の貿易の輸出入商品構成をまとめて発表している。2003年の日ロ貿易に関する詳しいデータも、本号の巻末に採録されている(「統計特集」の第1〜8表)。本稿は、これらの統計資料にもとづき、日ロ貿易の最新の動向に、データ面から若干の分析を加えることを試みるものである。

 生産拠点の海外移転に代表される日本企業の活動の国際化に伴い、第三国の介在する取引が増大しており、日ロ貿易も二国間の通関統計だけからは評価できない時代に入っている。しかし、同統計が日ロ経済関係の動向をフォローするうえで最も重要なバロメーターである事実に変わりはなく、それを分析する意義も依然として大きいと言えよう。

 なお、以下は『ロシア東欧経済速報』(2004年3月25日号、No.1290)で発表した拙文に若干加筆を施し、いくつかの図解を加えたものである。例年どおり、英文の要約も作成した。

 


 

データバンク

 

1.データで見るロシアの鉄鋼業

(第1表)ロシアの主要経済指標

(第2表)ロシアの月別経済データ

(第3表)ロシアの鉱工業部門別生産増減率

(第4表)ロシアの鉱工業部門別月別生産増減率

(第5表)ロシアの主要工業製品の生産動向

(第6表)ロシアの外国投資受入額の推移

(第7表)2003年のロシアへの主要投資国別外国投資受入額

(第8表)2003年末現在のロシアへの主要投資国別外資受入累計額

(第9表)2003年のロシアへの連邦管区別外国投資受入状況

(第10表)2003年のロシアの部門別外国投資受入状況

(第11表)ロシアの貿易動向(国際収支ベース)

(第12表)2003年のロシアの主要相手国との貿易高(通関統計ベース)

(第13表)ロシアの国際収支

 

2.2003年のロシア の石油会社別生産状況

[第1図]2003年のロシアの石油会社別原油生産量

(第1表)2003年のロシアの石油会社別原油生産量

(第2表)2003年のロシアの石油会社別石油精製量