ロシア東欧貿易調査月報

2004年5月号

 

T.シベリア鉄道の国際コンテナ輸送の現状

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ロシア企業クローズアップ

 ルクオイル

 

データバンク

 2003年のCIS諸国の経済

 

CIS・中東欧ビジネストレンド(2004年3月分)

CIS・中東欧諸国関係日誌(2004年3月分)

◇◇◇

統計特集(U):日本の対CIS貿易統計

 1.ウクライナ

 2.ベラルーシ

 3.モルドバ

 4.カザフスタン

 5.キルギス

 6.ウズベキスタン

 7.トルクメニスタン

 8.タジキスタン

 9.アゼルバイジャン

 10.アルメニア

 11.グルジア

 


 

シベリア鉄道の国際コンテナ輸送の現状

 

ロシア東欧経済研究所

 

はじめに

1.シベリア鉄道の国際コンテナ輸送

2.シベリア鉄道のトランジットコンテナ輸送

3.国際コンテナの輸送環境

4.国際コンテナ輸送の所要時間

5.朝鮮半島縦断鉄道との連結構想

おわりに

 

はじめに

シベリア鉄道を利用した国際コンテナ輸送が伸びている。1980年代、シベリア鉄道を利用した国際コンテナ輸送は、「シベリア・ランドブリッジ」ともてはやされ、日本から多くのコンテナがシベリア鉄道を経由して輸送された。しかし、ソ連解体後は、コンテナが輸送途中で破損したり盗まれたりする事故が多発、さらに通関制度が複雑化し、目的地までの定時運行ができなくなったことで、サービスの質が低下。一方、競争相手である海上輸送に大型船が登場し、運賃が大幅に引き下げられたことで、海上輸送へのシフトが起こり、シベリア鉄道を利用した国際コンテナの輸送は大幅に減少した。とくに金融危機の発生した1998年のトランジットコンテナの輸送量は全盛期の9分の1以下に減少した。

ただ、輸送日数と輸送力だけをみれば、シベリア鉄道は海上輸送に対して十分な優位性を持っている。例えば、韓国からフィンランドまで輸送する場合、海上輸送では約1ヵ月かかるのに対し、シベリア鉄道だと約2分の1の約17日間で輸送することができる。輸送力についても、シベリア鉄道の輸送量は輸送能力の4050%と低く、余裕がある。

ロシア側も近年、簡易通関手続きの導入、通関時間の短縮化、貨物追跡システム導入等を通じて、輸送改善を図っており、コンテナが輸送途中で破損したり盗まれたりすることもなくなり、輸送の定時性と安全性が向上している。シベリア鉄道の全線電化に象徴される輸送日数の短縮化と列車のスピードアップも図られており、そうした企業努力が輸送量増大という形で表れ始めている。

ロシア東欧経済研究所では、最新のデータに基づき、急拡大するシベリア鉄道による国際コンテナ輸送の動向について取りまとめた。以下、報告する。

 


 

ロシア企業クローズアップ

 

ルクオイル

 ロシア最大の石油会社。積極的な企業買収や鉱床開発プロジェクトへの積極的な参加を通じて、会社規模を拡大。近年では、カスピ海北部にある一部油田の権益を日本企業に売却したことや、イラクに持っていた油田権益を失ったことなどで何かと話題に。