ロシア東欧貿易調査月報 2004年7月号 |
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存在感を強めるスルグトネフチェガス
−謎多きロシア石油大手の実像に迫る−
ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉
はじめに
1.会社の構成
2.資本関係
3.社長のボグダノフ氏
4.財務状況
5.保有する鉱床
6.石油生産
7.随伴ガス生産
8.石油精製部門
9.随伴ガス処理部門
10.主要プロジェクト
まとめにかえて
はじめに
ロシアでは、ユコス事件の勃発後、ユコスの衰退ぶりと反比例するような形で、一部の石油会社のプレゼンスが高まりつつある。民間企業ではあるが、国家への忠誠心が強い企業として従来から有名であったスルグトネフチェガスも、そのような石油会社のひとつである。たとえば、スルグトネフチェガスは、2003年秋に、それまでユコスの孫会社が開発に従事していたタラカン鉱床(ヤクーチヤ)の短期開発ライセンスを取得している(後に長期開発ライセンスも獲得)。また、2003年末には、ロスネフチ、ガスプロムとコンソシアムを結成し東シベリアの新鉱床の開発を共同で行うという構想が発表された。このようなロシア国内でのプレゼンスの高まりに歩調をあわせるような形で、日本のビジネス界においても、スルグトネフチェガスに対する関心度が高まりつつある。
しかるに、これまで非常に地味な存在だったということもあり、スルグトネフチェガスに関する基礎情報は豊富とは言い難い。そこで、本稿では、同社に関する基本的な情報を極力網羅的に紹介することを試みる。
ロシア企業クローズアップ
カリーナ
ロシアの伝統的な香水・化粧品および各種ハウスホールド・パーソナルケア製品メーカーで、スキンケア用品、練り歯磨きで国内のメーカーとしてはロシア最大のシェアを占める。マスコミを通して旺盛なPR作戦を展開、“カリーナ”ブランドを浸透させる。最近は、オランダ、ドイツにも進出し、今後もロシアにおける化粧品ブームの波に乗り、さらなる成長が見込まれている。