ロシア東欧貿易調査月報

2004年11月号

 

T. 希望と不安が交錯するロシア生産財分野

 

U.ハバロフスク地方のエネルギー部門の課題と展望

◇◇◇

ロシア企業クローズアップ

 1.ボル・ガラス工場

 2.ミクロン

データバンク

 2004年1〜6月のロシア経済

CIS・中東欧ビジネストレンド(2004年8月分)

CIS・中東欧諸国関係日誌(2004年8月分)

 

◇◇◇

 

2004年上半期の日本の対CIS貿易統計

 1.ロシア

 2.ウクライナ

 3.カザフスタン

 4.ウズベキスタン

 5.アゼルバイジャン

 


 

希望と不安が交錯するロシア生産財分野

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

 

はじめに

1.鉄鋼分野

 (1)鉄鉱石

 (2)コークス

 (3)銑鉄

 (4)粗鋼

 (5)完成鋼材

 (6)ロシアの鉄鋼業界の全般的特徴

 (7)ロシア鉄鋼分野において特に顕著な最近の傾向

 (8)主要メーカーの状況

2.鋼管分野

 (1)生産状況

 (2)輸出状況

 (3)輸入状況

 (4)国内需要の状況

 (5)主要メーカーのプロフィール

3.プラスチック管分野

 (1)主なプラスチック管の種類

 (2)生産の状況

 (3)輸出の状況

 (4)主要生産企業の概要

4.商用車分野

 (1)バス市場

 (2)トラック市場

付属資料:関連企業のURL

  

はじめに

1999年後半より石油価格の上昇が始まり、それに歩調を合わせるような形で、ロシアの多くの産業分野が活況を呈し始めている。ところが、石油分野や消費財分野の活況ぶりを紹介する情報は比較的数多く存在するものの、燃料エネルギー分野以外の生産財分野の現状を具体的に紹介する情報は数少ない。そこで、本稿では、いくつかの生産財分野をピックアップし、その現状と今後の問題点等を鳥瞰図的に紹介することを試みた。具体的には、鉄鋼、鋼管、プラスチック管、商用車の4分野を取り上げたが、その選択を行うにあたってのキーワードは、「希望と不安の交錯」であった。たとえば、鉄鋼分野は現在、中国特需に牽引される形で非常な好景気に沸いており、設備投資意欲も高まっている。しかし、反面、鋼材の国際価格が低迷し始めた時に耐えうるだけの力があるのかという不安は拭いきれない。

また、鋼管分野も内需の好調さに支えられ2003年は非常に好調な指標を示し、大手各社の設備投資意欲も高まっている。しかし、原材料である鋼板の値上がりが否定的な影響を及ぼし始めており、また、内需の先行きも不透明となっている。その他、プラスチック管分野や商用車分野においても、形は異なるが、希望と不安が交錯するような状況が生じている。

本稿が、ロシア・ビジネスにおける「希望と不安」の具体像をイメージする上で何らかの手助けになれば幸いである。

 


 

ハバロフスク地方のエネルギー部門の課題と展望

 

ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所 エネルギー供給・輸送部門主任

V. カラシニコフ

 

はじめに

1.エネルギー部門の現状と問題点

2.戦略的な方向性はどうあるべきか

 

はじめに

 本稿では、ロシア・ハバロフスク地方の燃料・エネルギー部門の諸問題を検討する。まず第1節において、同地方のエネルギー需給全般を概観し、電力・熱供給部門、石炭産業、石油精製部門について個別に触れ、そのうえでハバロフスク地方がエネルギー分野で直面している問題点を整理する。第2節では、それを踏まえて、ハバロフスク地方のあるべきエネルギー戦略の方向性について論じることとする。

 


 

ロシア企業クローズアップ

 

1.ボル・ガラス工場

 ロシアにおける3大ガラス製造企業の一角。現在は欧州最大のガラスメーカーである「グラバーベル」社の傘下にあり、自動車用加工ガラスの生産では国内ナンバー1。近年は日本からの視察も活発。

 

2.ミクロン

 ロシアの軍事用エレクトロニクス企業で、その詳細は謎に包まれている。近年は民生用の集積回路の生産に乗り出し、販路の拡大を目指す。ロシアのハイテク企業としては最初に社債を発行。