2001年

1181 1月15日号  ニース条約とEUの東方拡大(1)
1182 1月25日号  ニース条約とEUの東方拡大(2)
1183 2月5日号  ロシア石油大型プロジェクト(1)
1184 2月15日号  ロシア石油大型プロジェクト(2)
1185 2月25日号  ロシア石油大型プロジェクト(3)
1186 3月5日号  プーチン政権下のロシア極東経済
1187 3月15日号  2000年の日ロ貿易
1188 3月25日号  2000年の中・東欧諸国の経済
1189 4月5日号  ロシアの消費財関連産業の現状(1)
1190 4月15日号  ロシアの消費財関連産業の現状(2)
1191 4月25日号  2000年のCIS経済
1192 5月15日号  2003年ロシア危機説をどう見るか
1193 5月25日号  EBRDロシア貿易投資セミナー速報
1194 6月5日号  カザフスタン、キルギスで経済合同会議開催
1195 6月15日号  対ロシア経済使節団極東の部に参加して
1196 6月25日号  ウクライナ、10年目の迷走?
1197 7月5日号  社長交替でガスプロムはどうなる
1198 7月15日号  ロシア外国貿易銀行プレゼンテーション
1199 7月25日号  ロシア向け制度金融の現状と課題
1200 8月5日号  今後のロシアとのビジネス・チャンスの拡大について
1201 8月15日号  ロシアの銀行業は今(上) ―ロシア金融危機3周年に寄せて―
1202 8月25日号  ロシアの銀行業は今(下) ―ロシア金融危機3周年に寄せて―
1203 9月5日号  最近の米ロ経済関係の動向
1204 9月15日号  2001年1〜6月の日ロ貿易
1205 9月25日号  ロシア極東マイクロ・ビジネス支援(続報) ―ウラジオストクを訪問して―
1206 10月5日号   大手3社の寡占が鮮明化するロシアの鉄鋼業
1207 10月15日号   急転するアフガニスタン情勢と中央アジア ―禍の中の益―
1208 10月25日号
   「第24回日ロ経済専門家会議」代表団報告会(1)−ルーブル危機3年後のロシア
1209 11月5日号   「第24回日ロ経済専門家会議」代表団報告会(2)−好調が続くロシア経済
1210 11月15日号   日本企業の対ロシア進出状況  ―当会独自データでみる対ロ投資の動向―
1211 11月25日号   再編の気運高まるロシアの自動車産業(上)
1212 12月5日号   再編の気運高まるロシアの自動車産業(下)
1213 12月15日号   2001年1〜9月の日ロ貿易
1214 12月25日号
   CIS経済統合の成果と課題

No.1181 1月15日号

ニース条約とEUの東方拡大(1)

立正大学経済学部助教授
蓮見雄

はじめに  

 2000年12月7日からEU史上初の5日間に及ぶ協議の末、合意に達したニース閣僚理事会について、CNNは「拡大への道を整えた」と報じた[1]。確かに、拡大後の閣僚理事会における票配分等の機構改革をヘルシンキ会議が定めた2000年末までに達成したという点において、EUの東方拡大は前進した。しかし、それは同時に拡大EUの将来像と関わる課題を改めて浮き彫りにする結果となった。そこで、本稿では、東方拡大とのかかわりに焦点をあてながら、ニース会議の成果と残された問題点について考察する。  

  No.1182 1月25日号

ニース条約とEUの東方拡大(2)

立正大学経済学部助教授
蓮見雄

はじめに

 前回に引き続き、今回は「ニース条約とEUの東方拡大」というレポートの後半部分をご紹介する。

  No.1183 2月5日号

ロシア石油大型プロジェクト(1)

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 このところ、ロシアの石油会社に関する問い合わせが増えている。実際、最近、ロシアの各石油会社の投資意欲が高まっているのは事実であるし、ロシア政府の政策の中に一定の肯定的キーワード(たとえばカスピ海沖開発での失地挽回に向けての動きの活発化、エネルギー供給面での中国との関係強化の意向等)を見いだすことが可能になりつつあるのも事実である。まだ微風ではあるが、追い風が吹き始めたと考えてよいのではなかろうか。
 そこで、本稿では、ロシアで最近注目されている石油関連のプロジェクトを、できるだけ多く紹介したいと考える。拙い記述ではあるが、ロシアへの投資を検討する上で何らかの参考になれば幸いである。
 なお、紙面の都合があり、本稿では、上流部門およびパイプライン関連のプロジェクトについてのみ紹介する。製油所改修計画については、当会調査月報の貿易産業情報の枠内で紹介する予定なので、そちらの方を御参照願いたい。

  No.1184 2月15日号

ロシア石油大型プロジェクト(2)

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 前回に引き続き、今回は「ロシア石油大型プロジェクト」というレポートの2回目をご紹介する。

  No.1185 2月25日号

ロシア石油大型プロジェクト(3)

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 前回に引き続き、「ロシア石油大型プロジェクト」の3回目をご紹介する。

  No.1186 3月5日号

プーチン政権下のロシア極東経済

ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所 所長
P.A.ミナキル
同主任研究員
A.S.シェインガウス

はじめに

当会では、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所のP.A.ミナキル所長およびA.S.シェインガウス主任研究員をお招きし、2月1日に「プーチン政権下のロシア極東経済」、「ロシア極東の林業・木材加工業の現状」と題して講演会を開催した。本稿では、ミナキル所長の講演内容をご紹介する。なお、シェインガウス主任研究員の講演内容については、後日、ミナキル所長の講演とともに当会『調査月報』に掲載する予定である。

  No.1187 3月15日号

2000年の日ロ貿易

はじめに

 今回の速報では、財務省発表の通関実績にもとづき、2000年の日本とロシアの貿易データをお伝えする(第1〜5表円建て、第6〜10表ドル建て)。
 プーチン政権となって最初の日ロ貿易は、輸出入とも二ケタ台の伸びを示し、貿易額は3年ぶりに50億ドル台を回復した。これは、為替レートが平均で前年比7円近くの円高となったことで、貿易額のおよそ9割を占める輸入が伸びたことが大きく、輸入額は日ロ貿易発足以来最も多かった1995年の次ぐ高い数字を記録した。一方、昨年、年間5億ドルを割るという日ロ貿易発足以来の最低水準を記録した輸出は、1年で5億ドル台に戻った。

  No.1188 3月25日号

2000年の中・東欧諸国の経済

はじめに

 今回の速報では、2000年の中・東欧諸国の経済状況を概観する。

  No.1189 4月5日号

ロシアの消費財関連産業の現状(1)

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 これまで、本誌では何度かロシアの消費財関連のレポートを掲載してきたが、それらは、いずれも、どちらかといえば、「狭く深く」という視点からの報告であった。今回のレポートでは、従来とは異なり、「広く浅く」という視点から、ロシアの様々な消費財関連産業を取り上げる。本レポートが、ロシア経済のミクロ・レベルでの景気動向を把握する上で、何らかの参考となれば幸いである。

  No.1190 4月15日号

ロシアの消費財関連産業の現状(2)

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 今回は、ロシアの消費財関連産業の現状(2)とし、ロシアの携帯電話市場、家電部門等の状況を紹介する。

  No.1191 4月25日号

2000年のCIS経済

はじめに

 今回の速報では、CIS統計委員会『統計通報』にもとづき、2000年のCIS諸国の経済指標を紹介するとともに、CIS諸国の最新の経済事情を概観する。

  No.1192 5月15日号

2003年ロシア危機説をどう見るか

ロシア東欧経済研究所 研究開発部次長 高橋浩
ロシア東欧経済研究所 調査部次長 坂口泉

はじめに

 昨今、「2003年ロシア危機説」と称する議論が同国の内外で持ち上がっている。この危機説なるものの正体は何か。今ロシア経済の何が問題なのか。当研究所の坂口泉調査部次長と高橋浩研究開発部次長が話し合った。

  No.1193 5月25日号

EBRDロシア貿易投資セミナー速報

はじめに

 当会では5月23日、欧州復興開発銀行(EBRD)から3名のロシア担当官を招聘し、日本貿易振興会(JETRO)およびEBRDとの共催で「ロシア貿易投資セミナー」を開催した(開催概要は下記のとおり)。ロシア・ビジネスの最大のネックであるファイナンスの問題に直結したテーマとあって、セミナーには80以上の企業・組織から、100名を超える参加者があった。
 セミナーでは、EBRD側のプレゼンテーションを踏まえ、日本側パネリストとの間で議論が交わされ、さらにはフロアも交えて活発な質疑応答が行われた。EBRDの対ロシア事業の基本方針から、具体的な投融資のスキームまで、幅広い討議が行われた。
 今回のセミナーの詳しい内容は、当会『ロシア東欧貿易調査月報』に掲載する予定である。今回の速報ではそれにさきがけ、EBRDのP.レイニガー、J.ハーフィールド両氏が冒頭に行った報告の要旨を紹介する。

  No.1194 6月5日号

カザフスタン、キルギスで経済合同会議開催

(社)ロシア東欧貿易会 専務理事
宮崎恒信

はじめに

 このほど、日本カザフスタン経済合同会議、日本キルギス経済合同会議が、それぞれアスタナとビシケクで相次いで開催された。今回の速報では、両会議の開催概要を紹介するとともに、会合で特に印象に残った点をお伝えすることとする。

  No.1195 6月15日号

対ロシア経済使節団極東の部に参加して

ロシア東欧経済研究所 所長
小川和男

はじめに

 このほど、対ロシア政府派遣経済使節団の極東シベリア・グループの一員として、ロシア極東を訪問してきた。5月30日にサハリンに入り、その後、沿海地方、ハバロフスク地方と回って、中国のハルビンを経由して6月6日に帰国した。
 日ロ貿易は冬の時代が続いているが、経団連の尽力で実現した今回の使節団は「今井ミッション」の通称で日本でも大きな話題になった。今回の速報では、本ミッションの意義についての私見と、極東セクションに参加した感想を述べることにする。  

  No.1196 6月25日号

ウクライナ、10年目の迷走?

ロシア東欧経済研究所 調査役
服部倫卓

はじめに

  ウクライナ経済が好調である。2000年のGDPは前年比5.8%増となり、独立以来はじめてプラス成長を達成した。2001年に入っても勢いは衰えず、1〜4月のGDPが前年同期比で8.5%の成長を記録している。その反面、政治では重苦しい話題が多い。昨年9月のジャーナリスト失踪事件に端を発して、クチマ大統領の退陣を要求する国民的な運動が広がり、政権側と衝突する事態となったことは記憶に新しい。その思わぬ余波を受け、改革派のエースとして内外の期待を一身に集めていたユシチェンコ首相が、この4月に退陣を余儀なくされた。今般キナフ新内閣の布陣がようやく固まったが、新首相は前任者と比べ見劣りする感が否めず、今後はたして市場改革路線が維持されるのか、不安視する声が多い。そして、経済の“明”にも、政治の“暗”にも、ロシアの影がちらつく。独立から10年目を迎えようとしている今、ウクライナに何が起こっているのか、同国はどこに行こうとしているのか、考察を試みる。  

  No.1197 7月5日号

社長交替でガスプロムはどうなる

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 2001年5月末、ガスプロムの社長が交替した。長年社長を務め、ガスプロムの代名詞的存在であったビャヒレフが退陣し、ミレルという業界では全く無名の人物が新社長に選ばれたのである。ミレルは、プーチン大統領のかつての部下であり、この人事にプーチン大統領が深く関与したことは間違いない。
 本稿では、ビャヒレフ退陣の背景、ミレル新社長に課せられた今後の課題等についての筆者の見解を述べてみたい。

  No.1198 7月15日号

ロシア外国貿易銀行プレゼンテーション

はじめに

 当会では、ロシア外国貿易銀行のポノマリョフ総裁が来日したのを機に、7月10日に都内で同総裁による日本企業向けプレゼンテーションを開催した。プレゼンテーションには当会の会員企業などから約60名が参加、ポノマリョフ総裁の報告を踏まえ、質疑応答が行われた。
 本号では、このプレゼンテーションにおけるポノマリョフ総裁の発言要旨を紹介することとする。なお、外国貿易銀行の基礎情報については、同行のウェッブページ(http://www.vtb.ru、英語ページあり)をご参照いただきたい。

  No.1199 7月25日号

インタビュー

ロシア向け制度金融の現状と課題

国際協力銀行国際金融第2部部長
隈部兼作

はじめに

 ロシア金融危機から3年が経過し、同国ではプーチン大統領のもと構造改革の努力が続けられており、経済パフォーマンスも現時点では好調に推移している。しかし、ロシア向けの輸出については、やはりまだ公的信用に依存するところが大きいのが実情であろう。こうしたなか、かつて日本輸出入銀行(現国際協力銀行、JBIC)が表明した対ロ12億ドル輸出信用枠を利用したプロジェクトのうち、長らく宙に浮いていたヤロスラヴリ製油所の案件がようやく全面解決をみたというニュースが最近報じられた。
  ロシア向け融資の問題は何か。JBICはロシア向けの融資にどのような方針で臨んでいるのか。昨年までJBICのモスクワ駐在員事務所首席を務められ、この6月に国際金融第2部の部長に就任された隈部兼作さんにお話をうかがった(2001年7月18日、都内にて)。
 なお、当研究所発行の『ロシア東欧貿易調査月報』では「ロシア経済危機から3年」と題する特集号の刊行を予定している。特集号の主な内容については、次頁の告知を参照されたい。今回のインタビューの模様もこの特集号でより詳しくお伝えする予定である。

 No.1200 8月5日号

特別寄稿
今後のロシアとのビジネス・チャンスの拡大について
―ロシア極東マイクロ・ビジネス支援―

経済産業省通商政策局ロシア・NIS室長
市川雅一

 今回の速報では、ロシアとのビジネス交流拡大のために経済産業省が打ち出した「ロシア極東マイクロ・ビジネス支援」について、同省ロシア・NIS室の市川雅一室長にご寄稿いただいた。市川室長へのインタビューも収録している。  

  No.1201 8月15日号

ロシアの銀行業は今(上)
―ロシア金融危機3周年に寄せて―

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 1998年8月の経済・金融危機以降、ロシアの銀行をめぐる外的環境はかなり大きく変化した。たとえば、主要な投資先のひとつであった短期国債市場が事実上崩壊し、各行とも代替の資金運用先を見いだすことを余儀なくされている。また、最近では、民営化がかなり公正な形で行われるようになっていることに加え、ほとんどの優良企業において支配権が確立してきたこともあり、企業の買収や転売を派手に行うことが困難になってきている。さらに、経済危機前の1997年頃と比較すれば、外国からの資金調達が困難となっている。
 このような外的環境の変化に応じ、ロシアの各銀行もそれなりに変化してきているが、本質的な部分はあまり変化していないように思われる。
 本稿では、この「変化していない本質的な部分」を中心に、経済危機以降のロシア銀行業の状況につき考察を試み、2回に分けてお送りする。本号ではまず、ロシアの大手銀行に全般的に見受けられる特徴について述べることとする。次号では、主要銀行をピックアップして、それぞれの特性や最新の動向を紹介する。
 なお、本誌でもすでに予告しているとおり、当研究所発行の『ロシア東欧貿易調査月報』では「ロシア経済危機から3年」と題する特集号の刊行を予定している(次頁参照)。この特集号で筆者は、銀行の問題に加え、経済危機後のロシアの産業構造、企業グループの問題についても論じているので、そちらの方もあわせてご参照いただきたい。

  No.1202 8月25日号

ロシアの銀行業は今(下)
―ロシア金融危機3周年に寄せて―

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 前回に引き続き、ロシア銀行業の最新事情に関するレポートの後編をお届けする。今回は銀行ランキング上位の主要銀行をピックアップし、それぞれの特徴と最近の動きを紹介する。

  No.1203 9月5日号

最近の米ロ経済関係の動向

ロシア東欧経済研究所 所長
小川和男

はじめに

 米国は過去10年ほどで、ロシアの主要貿易相手国の座に躍り出ており、対ロ貿易の不振が続くわが国と好対照をなしている。本稿では最新のデータと情報にもとづき、米ロ経済関係の動向をレビューする。
 なお、筆者による関連レポートとして、「独ロ経済関係の近況と展望」(当会『ロシア東欧貿易調査月報』2001年2月号)があるので、あわせてご参照いただきたい。

  No.1204 9月15日号

2001年1〜6月の日ロ貿易

はじめに

 今回の速報では、財務省発表の通関実績にもとづき、2001年1〜6月期の日本とロシアの貿易データをお伝えする。
 財務省発表の貿易統計を当会でドルに換算したところ、2001年1〜6月期の日ロ貿易は往復で23億6,583万ドルで、前年同期比3.6%の伸びであった。うち、日本の輸出が2億9,804万ドル(前年同期比7.0%増)、輸入が20億6,780万ドル(同3.1%増)であった。
 なお、2001年に入ってから円安基調となっている関係で、円建てで見ると日ロ貿易の伸び率はより大きくなる。2001年1〜6月期の日ロ貿易は往復で2,833億円(前年同期比16.2%増)、うち輸出が358億円(同20.0%増)、輸入が2,476億円(同15.7%増)であった。
 このように、全体として日ロ貿易に復調の兆しが見え始めたことは間違いないものの、今のところ回復は力強さを欠いている。とくに気がかりなのは輸出の回復テンポが遅いことであり、現状では2001年に10億ドルの大台を回復することは難しそうである(ロシア経済危機前の1997年までは日本の輸出は10億ドル台だった)。輸出品目構成(第2表)を見ても、ロシア国内で設備投資が盛り上がり、それが日本の対ロ輸出増につながるといった流れは、まだ看取できない。  

  No.1205 9月25日号

特別寄稿
ロシア極東マイクロ・ビジネス支援(続報)
―ウラジオストクを訪問して―

経済産業省通商政策局ロシア・NIS室 係長
木村欣央

はじめに

 「ロシア極東マイクロ・ビジネス支援」の概要については本誌(2001年8月5日号、No.1200)で紹介したが、すでに本事業実施の第一弾として、ロシア市場に関心はあるが、ロシアと直接取引の経験がない園芸・建築資材、水産、畜産の輸入・販売会社とともに小さなグループを形成し、平成13年7月15日〜19日、ウラジオストクを訪問している。
 その結果、ロシアの業者と取引を行う上で商談・契約に至るまでに生じる問題点の一般的な傾向が判明したので、紹介する。
 ただし、以下は、あくまで今回の調査における私個人の見解であること、また、今後の日露間の経済交流の拡大、ロシア極東における日本企業のビジネス・チャンスの拡大を願い、敢えて問題点のみを抽出し、簡略化したことを予めお断りしておく。
 まずは、ロシア側の抱えている点を具体例を挙げながら説明する。

  No.1206 10月5日号

大手3社の寡占が鮮明化するロシアの鉄鋼業

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

ロシアの鉄鋼分野は、ソ連解体後に大幅な減産を回避できた数少ない産業分野のひとつである。これは、ごく簡単にいえば、ソ連解体後、鉄鋼製品の輸出量が急増し、内需の激減による影響を最小限におさえることができたからである。1998年8月の経済危機以降は、さらに状況が好転しており、資金的余裕のできた大手メーカーの中には、他業種への進出を試みるものさえ現れてきている。本レポートでは、ダイナミックな動きをみせるロシアの鉄鋼分野について、全般的状況を紹介する。
 なお、当会発行の『ロシア東欧貿易調査月報』では、近くロシア産業の大特集を組むことを予定している。この特集号では、これまで当会の刊行物で取り上げられることの少なかった分野も含め、できるだけ数多くの産業分野の現状を紹介することにしている。鉄鋼業についても、今回のレポートでは割愛した個別企業の動向、鋼管生産分野、鉄くず分野についての情報を加筆したレポートを掲載する予定なので、ぜひそちらの方もご参照願いたい。

  No.1207 10月15日号

急転するアフガニスタン情勢と中央アジア
―禍の中の益―

ロシア東欧経済研究所 研究員
輪島実樹

はじめに

9月11日に発生した同時多発テロ事件において米国はアフガニスタンに潜伏するオサマ・ビンラディン氏を首謀者と断定、その引き渡しを拒むタリバン政権に対し、10月8日、報復攻撃を開始した。現時点(10月12日現在)では空爆のみが行われているが、今後予想される地上戦の展開においては、中央アジアが攻撃拠点として重要な役割を果たす可能性が高い。武力行使への直接的協力には各国とも慎重な姿勢をとっているものの、国際テロ撲滅という点において、中央アジア諸国はロシアとともに米国の立場に基本的な支持を表明している。ビンラディン氏率いる国際テロ組織は、「イスラム運動ウズベキスタン(以下IMU)」に代表される中央アジア諸国の反政府運動に対する支援でも知られており、同諸国はこの戦争に単なる隣国という以上の関わりがあるのだ。
 今回の事態に対する日本側の対応は政府・民間とも迅速であった。外務省はテロ事件後直ちに(つまり報復攻撃が云々される前段階で既に)当該諸国の危険度を引き上げ、企業は現地事務所からの日本人スタッフの避難を開始した。関係者の間では1999年のキルギス日本人技師拉致事件の記憶がまだ新しく、今後現地の安全が確保されるまで、貿易・投資・支援・交流いずれの面でも新たな展開は望めまい。
 この様に隣国で戦端が開かれることにより中央アジア諸国が一定の被害、ないしは不利益を受けることは確実である。人・モノ・カネの移動の縮小・停滞による経済への打撃は無論のこと、治安悪化、難民流入、誤爆や報復テロ、ひいてはタリバン派の侵入による戦火波及の危険性すら可能性として否定できまい。しかし、長期的視点にたてば、一連の事象は中央アジア諸国にとって、また日本と中央アジア諸国との関係発展という点においても、必ずしもデメリットばかりではない、むしろ総体的には利益となる面が大きいのではないかと筆者は考える。以下、私見を述べたい。

  No.1208 10月25日号

「第24回日ロ経済専門家会議」代表団報告会(1)
ルーブル危機3年後のロシア

(社)ロシア東欧貿易会顧問
(社)日本経済研究センター顧問
金森久雄

はじめに

 本年で第24回を迎えた当会主催の日ロ経済専門家会議は9月16日〜9月22日にかけて代表団をモスクワ市とトヴェーリ州に派遣した。本号では10月12日に東京証券会館で開催された帰国報告会における金森久雄団長(ロシア東欧貿易会顧問、日本経済研究センター顧問)の報告内容を紹介する。なお、小川和男副団長(当会ロシア東欧経済研究所所長)の報告内容は次号で掲載する予定である。

  No.1209 11月5日号

「第24回日ロ経済専門家会議」代表団報告会(2)
好調が続くロシア経済

ロシア東欧経済研究所 所長
小川和男

はじめに

 前号の金森久雄団長の報告に続いて、本号では10月12日に開催された第24回日ロ経済専門家会議帰国報告会における小川和男副団長(当会ロシア東欧経済研究所所長)の報告内容を紹介する。

  No.1210 11月15日号

日本企業の対ロシア進出状況
―当会独自データでみる対ロ投資の動向―

ロシア東欧経済研究所 研究員
中居孝文

はじめに

 昨年来、当会ではアンケート他によりロシア・CIS地域への日本企業の進出状況を追跡してきた。本調査は現在も継続中であるが、本稿ではその中間報告として日本企業の対ロ進出動向を紹介する。
 日本企業による国別の直接投資の動向をみる際に、国内で入手できるデータとしては、財務省の発表する「対外直接投資状況」、また会社別にみた国別進出状況では東洋経済新報社の『海外進出企業総覧』が代表的である。
 しかし、財務省の統計は、届け出ベースを基本としているため、投資額が1,000万円以下で届け出を免除されている、あるいは投資受入国での許可・届け出のみで投資を行っているといった、主として中小規模の対外直接投資を補足できないという難点がある。財務省の統計によると、1989〜2000年における対ロ直接投資件数は121件(1989〜1991年はソ連全体を含む)で、これは当会の把握している件数に比べるとかなり少ない。
 また、東洋経済新報社の『海外進出企業総覧』は、約6,000社を対象とするアンケート調査を基礎としているが、未回収率が40%に及び、またやはり未上場の中小企業に関する補足率が低いという点を指摘できる。ちなみに、『海外進出企業総覧2001』では2000年末時点のロシアで稼働中の日系現地法人を43件としているが、十分な補足数とはいえない。
 本稿で紹介するデータは、2000年末に当会が実施したアンケート調査「日本企業の対CISビジネス動向調査」をベースに、それを1987年以降のプレスリリース、各社のホームページなどを洗い上げることによって補足・収集したものを基礎としている。まだ調査途上であるため、資料の未読や統計処理方法など課題も残っているが、現時点においても他の公表されている統計・資料に比べてより実態に近いデータを提供できているのではないかと自負する。ちなみに、当会のデータでは、1989〜2000年のロシアにおける日系現地法人の設立数は176件(ソ連期もロシアのみ)、2000年末時点の稼働件数は73件となっている。  

  No.1211 11月25日号

再編の気運高まるロシアの自動車産業(上)

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 最近、ロシアの自動車産業では、ロシア資本の大手アルミニウム・メーカーや鉄鋼メーカーが、有力乗用車メーカーやバス・メーカーを買収するなど、資本関係の変化が著しい。また、フォードやGMを中心に外資の動きも活発化している。さらに、2001年に入り、外国製の新車の売行きが急激に回復してきている。
 本稿では、これらの注目すべき動きの詳細と、その背後にある事情を紹介すると同時に、ロシアの自動車産業の今後について考察してみたい。まず今回は乗用車部門を取り上げ、次回は商用車部門の動向を紹介することにする。

  No.1212 12月5日号

再編の気運高まるロシアの自動車産業(下)

ロシア東欧経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに

 前回に引き続き、ロシア自動車産業の最新の動きについてのレポートをお届けする。前回の乗用車部門に続き、今回は商用車部門の動向を紹介する。  

  No.1213 12月15日号

2001年1〜9月の日ロ貿易

はじめに

 今回の速報では、財務省発表の通関実績にもとづき、2001年1〜9月期の日本とロシアの貿易データをお伝えする。
 財務省発表の貿易統計を当会でドルに換算したところ、2001年1〜9月期の日ロ貿易は往復34億7,624万ドルで、前年同期比3.9%低下した。輸出が前年同期比19.9%の伸びであったものの、輸入が同7.1%低下したことによるものである。いまや、こと景気に関しては日本はロシアにも水をあけられており、それを受け日ロ貿易でも日本側の輸入が頭打ちとなる一方、輸出が徐々に回復に転じるという傾向が鮮明になりつつある。
 なお、2001年に入ってからの円安により、円建てで見ると日ロ貿易のパフォーマンスはより良好に写る。2001年1〜9月期の日ロ貿易の輸出入総額は4,195億円(前年同期比8.4%増)、うち日本の輸出が613億円(同35.6%増)、輸入が3,582億円(同4.8%増)であった。以下、第2表および第3表は円建てなのでご注意いただきたい。
 いずれにしても、二国間の関係で見る限り、日本側の輸出不振、輸出入の極端なアンバランスという根本問題は、まだ改善にはほど遠い。第2表を見ても、輸出の伸びを支えているのは主に乗用車であり、ロシア企業の設備投資が盛り上がってそれが日本の輸出増につながっているわけではない。ロシア経済の浮沈を握る国際石油価格の先行きが若干弱含みになってきていることから考えても、日ロ貿易が完全に回復軌道に乗ったと判断するのは早計であろう。  

  No.1214 12月25日号

インタビュー
CIS経済統合の成果と課題

CIS執行委員会第一副議長
V.フョードロフ

はじめに

 ソ連邦の解体から、10年が経過しようとしている。1991年12月8日、この時点で連邦を構成していた12共和国のうち、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの3国の首脳がソ連邦の消滅と独立国家共同体(CIS)の結成を電撃的に発表、世界を震撼させた。同21日にはグルジアとバルト3国を除くソ連の全共和国がCISに参加(のちにグルジアも参加)、治める国を失ったゴルバチョフ・ソ連大統領は25日に辞任し、ソ連邦は名実ともに解体したわけである。
 ソ連解体後の広大な空間に忽然と姿を現したCISであったが、その後は求心力の低下が顕著となり、再統合の成果はなかなかあがらなかった。機構面での非効率性が指摘され、合意事項もスムーズに実行されず、形骸化が目に付くようになった。CIS内部のブロック化、一部の国のロシア離れが加速し、グルジアのようにCISからの離脱も辞さない国も出てきた。
 しかし、当初長期的な存続が疑問視もされていたCISは、結局ひとつの脱落国も出さず、今回10周年を迎えた。ロシアでプーチン政権が成立して以降、CISにおいても経済を中心としたプラグマティズムの方向性が強まっており、今般CIS自由貿易地域が基本的に成立を見たことはその表れであろう。11月29〜30日にモスクワで開かれたCIS創設10周年記念サミットでは、かのニヤゾフ・トルクメニスタン大統領を含む全12カ国首脳が集結し、CISの新たな可能性を予感させた。
 CISのこれまでの10年をどのように総括し、さらなる発展には何が必要か。とくに、今後のCIS統合の鍵となるはずの経済分野の実情はどうか。このほど、CIS執行委員会のモスクワ支部を訪ね、V.フョードロフ第一副議長に話を聞いた。CIS執行委員会の本部はベラルーシのミンスクに所在しているが、経済の調整機能はかねてからモスクワに配置されていた経緯があり、現在も「CIS経済評議会」の事務局はこのモスクワ支部に置かれている。フョードロフ氏は、ヤロフ議長に次ぐCISの事務方ナンバー2という位置づけになり(ミンスクに第一副議長がもう一人いるが)、自身はウクライナ市民である。
 なお、当会の『ロシア東欧貿易調査月報』では、「ソ連解体から10年 ―新独立国家の群像―」と題する特集号の発行を近く予定している。CIS諸国の諸問題を多面的に取り上げた特集になるので、そちらの方もぜひご参照いただきたい。

 

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