2004年

 

No.1283 1月15日号 2004年の年頭に当たっての所感 −カシヤノフ首相来日後の日ロ経済関係の展望−

No.1284 1月25日号 外資を呼ぶロシアの製菓市場

No.1285 2月5日号 ロシア下院の新勢力図と陣容

No.1286 2月15日号 初めて刊行されたロシアの犯罪統計集

No.1287 2月25日号 データで見るロシア沿海地方の観光

No.1288 3月5日号 原燃料資源への依存を強めるロシア財政

No.1289 3月15日号 ロシアの行政機構再編と新内閣

No.1290 3月25日号 2003年の日ロ貿易 −ソ連解体後の最高額を記録−

No.1291 4月5日号 ロシア・CIS諸国の自動車分野の基礎データ

No.1292 4月15日号 2003年のCIS諸国の経済(上)

No.1293 4月25日号 2003年のCIS諸国の経済(下)

No.1294 5月15日号 ロシア極東の外国投資受入に関する最新データ

No.1295 5月25日号 ロシアにおける企業幹部の肩書きに関する考察

No.1296 6月5日号 ロシア極東の最新の外国貿易統計

No.1297 6月15日号 CIS諸国のエネルギー生産・輸出入量

No.1298 6月25日号 ロシアの新為替管理法のポイント

No.1299 7月5日号 ユコス事件の周辺 −ロシアの石油最大手はどこへ行くのか−

No.1300 7月15日号 2003年のロシアの貿易動向

No.1301 7月25日号 ロシアにおけるM&A法制の現状と課題

No.1302 8月5日号 ロシア極東経済の戦略と現実

No.1303 8月15日号 最近の対ロ中古車ビジネス事情

No.1304 8月25日号 活況が続く2004年上半期のロシアの乗用車市場

No.1305 9月5日号 ロシアにおける知的所有権保護の現状

No.1306 9月15日号 プーチン政権下のロシア・エネルギー戦略

No.1307 9月25日号 2004年上半期の日ロ貿易 −拡大傾向が加速−

No.1308 10月5日号 ビジネス環境に関する国際比較

No.1309 10月15日号 プーチンの「9月革命」 −ロシアにおける中央・地方関係の新展開−

No.1310 10月25日号 2004年1〜9月期のロシア乗用車市場 ―外資の動きが活発化―

No.1311 11月5日号 ハバロフスク地方の林業の現状と展望

No.1312 11月15日号 ロシア大企業ランキングから見えてくるもの

No.1313 11月25日号 ウクライナを動かす新興財閥

No.1314 12月5日号 ロシアの関税をめぐる最近の動き

No.1315 12月15日号 ウクライナ大統領選挙 ―誤解を解く幾つかの視角―

No.1316 12月25日号 ウズベキスタン・アゼルバイジャン経済の現状 ―企業支援事業の現場から―

 


 

No.1283 2004年1月15日

2004年の年頭に当たっての所感

−カシヤノフ首相来日後の日ロ経済関係の展望−

社団法人 ロシア東欧貿易会

会長 高垣佑

はじめに

 2003年の日ロ関係は、1月の小泉首相の訪ロ、プーチン大統領との首脳会談、ハバロフスク訪問に始まり、12月のカシヤノフ首相の来日で締めくくられた。その間にはサンクトペテルブルグなどでの首脳会談や、川口外相のウラジオトストク訪問もあった。

 1月にモスクワで採択された「日露行動計画」には、「日露貿易投資促進機構」の早期設立にかかわる検討作業を活発化させる、との一文が盛りこまれ、12月に東京で交わされた「日露貿易投資促進機構の設立に関する覚書」では、その日本側機構の事務局を社団法人ロシア東欧貿易会に置くことが明記された。カシヤノフ首相の来日の際には、当会の主催で首相ご一行をお招きして昼食懇談会を開催し、40年近いロ東貿の歴史に特筆すべき1ページを記することができた。

 経済速報の2004年年頭号を会員のみなさまにお届けするにあたり、昨年1216日(火)にホテルニューオータニの桂の間で開催されたカシヤノフ・ロシア連邦首相との昼食懇談会の模様をご紹介し、合わせて会長として本年の抱負を申し述べることにしたい。

 

 その他の記事

◎グルジア大統領選でサアカシヴィリ氏が圧勝

◎ロシア下院の議長人事

◎サハリン州知事選などの結果

◎ベラルーシで新首相をようやく選任

◎ウクライナでエネルギー担当副首相が交替

◎セミナー「EBRD移行経済報告2003:統合と地域協力」

 


 

No.1284 2004年1月25日号

外資を呼ぶロシアの製菓市場

ロシア東欧経済研究所 調査役

芳地隆之

はじめに

 ロシアの製菓市場は、英国、ドイツ、米国に次ぐ世界第4位の規模である。1人当たりの菓子類の消費量では西側諸国を下回るものの、近年のロシアにおける同分野の発展はめざましく、消費者にも、高級チョコレートや健康に配慮した商品を好む傾向がみられる。そこで本号ではロシアの製菓市場の現状と展望について報告する。

 

 その他の記事

◎カザフスタンで中銀総裁が第一副首相に転身

◎『調査月報』2004年1月号のお知らせ

◎EBRDセミナー「ロシアビジネスと公的金融」

◎新刊案内『新版 ロシアを知る事典』

 


 

No.1285 2004年2月5日号

ロシア下院の新勢力図と陣容

 

はじめに

 既報のとおり、ロシアでは昨年12月7日に連邦議会の国家院(下院)の選挙が行われ、新しい下院はすでに招集され活動を開始している。この1月16日には、委員会の人事も決まった。そこで今回の速報では、発足した新しいロシア下院の勢力図を改めて確認するとともに、下院の幹部人事を整理してお伝えする。

 会派別の勢力図を見ると、結局プーチン与党「統一ロシア」が実に68%もの議席を占めており、憲法改正に必要な300議席を優に上回っている(第1図)。「祖国」や自由民主党も政権寄りの勢力であることを考えれば、新しい下院はかなり翼賛的な性格の強い議会になると予想される。統一ロシア会派は、グルィズロフ議長、2名の第一副議長をはじめ、8名もの幹部を幹部会に送り込むこととなった(第2表)。しかも、29ある委員会の委員長もすべて統一ロシアが独占するという、異例の事態となっている(第3表)。

 プーチン政権と下院との良好な協力関係、スムーズな立法活動が期待できる半面、議会政治・政党政治の発展という観点からは若干後退した感も否めない。
 

 その他の記事

◎2003年の日ロ貿易が前年比で大幅増

◎サイデノフ氏がカザフスタンの中銀総裁に就任

◎トルクメニスタンに新しい石油ガス相

◎ロシア極東部で自動車輸入通関ポストを拡大

◎S&Pがロシアを格上げするも依然慎重な評価

◎ロシア・ウラル連邦管区の経済概況

 


 

No.1286 2004年2月15日号

初めて刊行されたロシアの犯罪統計集

 

はじめに

 当会ではロシア統計国家委員会の発行する統計資料を系統的に収集しているが、このほど、同委員会の『ロシアにおける犯罪と法秩序:統計的側面:2003』と題する統計集を入手した。言うまでもなく、治安や法秩序は投資環境の重要な要素である。新生ロシアになってから、犯罪に関するデータが公開されるようになってはいたものの、1冊の統計集というまとまった形で刊行されたのは今回が初めてである。そこで、本速報では、この犯罪統計集のデータを抜粋してお届けすることにする。経済犯罪に関する数字や、地域別の指標などは、これまで一般の統計集には掲載されていなかったものであり、貴重なデータと言える。

 過去10年あまりのロシアにおける犯罪件数の推移を見ると、1990年代に増大基調にあった件数が、2002年には低下に転じたことが注目される。ただし、内務省発表の速報値によれば、2003年1〜11月期のロシアの犯罪件数は前年同期比10.2%増大したとされているので、プーチン政権の下で犯罪が減少に向かっていると速断するわけにはいかないようだ。ちなみに、2002年の日本の刑法犯の認知件数は、285万件とされている。統計が対比可能かどうか、疑問も残るものの、この数字だけを見れば、日本とロシアの犯罪件数はほぼ同程度ということになろうか。

 ロシアの地域別の状況を見ると、モスクワやサンクトペテルブルグといったメトロポリスの犯罪発生率は意外にもそれほど高くなく、この統計を信頼する限り、日本とかかわりの大きい極東地域の方がむしろ発生率が高い。

 

 その他の記事

◎ウズベキスタンの一連の政権人事

◎高垣会長が日ロ賢人会議のメンバーに

◎『調査月報』2004年2月号のご案内

◎研究所のファックス番号変更のお知らせ

 


 

No.1287 2004年2月25日号

データで見るロシア沿海地方の観光

 

はじめに

ロシア東欧経済研究所ではこの度、ロシア極東の沿海地方行政府観光委員会より、沿海地方の外国人観光客に関するデータを入手した。データは、沿海地方の外国人観光客と沿海地方からのロシア人海外観光客の国別の内訳にも踏み込んだものであり、沿海地方のツーリズムを見る上で、非常に貴重な資料である。日本は観光産業を21世紀の重要な輸出産業と考えている。一方、極東地域は、地域経済の発展策として、観光産業発展に大きな期待を示している。そこで、今回入手したデータにもとづき、沿海地方の観光について報告する。

 

 その他の記事

プーチン大統領、カシヤノフ内閣を更迭(速報)

グルジアで新内閣発足

キルギスの政府再編の動き

メンバーズ・ブリーフ「ロシア消費市場の最前線」

『ロシア技術ニュースレター』No.4発行のお知らせ

ロ東貿ホームページのデザインを一新

 


 

No.1288 2004年3月5日号

原燃料資源への依存を強めるロシア財政

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

プーチン政権の4年間の成果として、徴税率の向上および税収の増大がある。これには税制度を簡素化し(所得税を3段階の累進課税から税率を一律13%に統一)、税率を引き下げた(利潤税を35%から24%へ引き下げ)ことが寄与していることが指摘される。と同時に、国際市場での高値安定的状況を背景にした鉱物・燃料資源の採掘および輸出の増大に負うところが大きいことも、明らかである。この傾向は今後強まることはあっても弱まることはないと考えられる。今日の税制改革はこの方向を指向しており、ロシアの国家財政はますますエネルギー生産と国際市況に左右されつつある。

以下では、近年のロシアにおける税収の増大の動向とその要因をフォローし、2004年に予定されている税制改革の中身を検討し、今後、ロシアがますます、税収を石油・ガスを中心とした原燃料資源に依存せざるを得ない事情を明らかにしたい。

 

 その他の記事

◎プーチン大統領、フラトコフ氏を首相に指名

◎2003年のCIS諸国の経済実績(速報)

◎『ロシア技術ニュースレター』No.5発行のお知らせ

 


 

No.1289 2004年3月15日号

ロシアの行政機構再編と新内閣

ロシア東欧経済研究所 調査役

服部倫卓

はじめに

 ロシア下院は3月5日、先にプーチン大統領が首相に指名したフラトコフ氏を新首相に承認した。承認投票の結果は、賛成352、反対58、棄権24という圧倒的なものであり、プーチン政権と下院多数派との蜜月振りを改めて印象付けた。これを受けプーチン大統領は3月9日、「連邦執行権力諸機構の体系と構造について」と題する大統領令を公布し、連邦政府の大がかりな再編の骨格を打ち出した。同日にはフラトコフ新内閣の閣僚も任命されている。

 そこで今回の速報では、プーチン政権が示した行政機構再編について解説するとともに、当会の人事データベースを駆使して、新内閣の閣僚のバイオグラフィーをどこよりも詳しく紹介することにしよう。

 

 その他の記事

◎ロシアの新しい駐日大使にロシュコフ外務次官

◎メンバーズ・ブリーフ「タジキスタンの経済と投資環境」

◎ロシア語版日本ガイド「ヤポーニヤ」第4版のお知らせ

 


 

No.1290 2004年3月25日号

2003年の日ロ貿易

−ソ連解体後の最高額を記録−

 

はじめに

 当会では、財務省発表の貿易統計にもとづいて、2003年の日本とロシア間の貿易の輸出入商品構成をまとめた。今回の速報では、早速この資料をお届けする。統計速報のコーナーでは、2003年の日本の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入額の一覧表を掲載しているので、あわせて参照していただきたい。なお、日ロ貿易のより詳しいデータと解説は、当会『調査月報』の4月号(4月15日発行)に掲載する予定である。ロシア以外のCIS諸国および中東欧諸国との貿易データも、『調査月報』の5月号以降に順次掲載していく。

 財務省発表の貿易統計を当会で独自にドル換算したところ、2003年の日ロ貿易は総額で598,190万ドルとなり、前年比41.8%増という大幅な伸びを示した。60億ドルの大台にはわずかに届かなかったものの、遅ればせながら、ソ連解体後の最高額を記録した形だ。とくに輸出の伸びが目覚しく、2003年の日本の対ロ輸出は176,395万ドル(前年比87.2%増)で、これも新生ロシアになってからの最高額を塗り替えた。一方、輸入は421,795万ドル(同28.7%増)であった。

 

 その他の記事

◎2003年の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入通関実績

◎ロシア大統領選の公式結果

◎『調査月報』2004年3月号のご案内

◎メンバーズ・ブリーフ「プーチン再選後のロシアはどう動いていくか」

◎タジキスタンの投資プロジェクト

◎新刊案内『CIS:旧ソ連空間の再構成』

 


 

No.1291 2004年4月5日号

ロシア・CIS諸国の自動車分野の基礎データ

 

はじめに

 CIS統計委員会の刊行する『統計通報』(2003, No.23)に、CIS諸国の自動車分野に関する特集記事が掲載された。自動車の生産、普及、輸出入に関するデータが載録されている。ロシアはともかく、それ以外のCIS諸国の自動車関連の統計データがこのようにまとまった形で紹介されることは稀であり、貴重なデータと言える。そこで今回の速報では、この『統計通報』の情報を中心に、その他の出所からも情報を補いつつ、ロシア・CIS諸国の自動車分野の基礎データを図表にまとめてお届けすることにする。

 

 その他の記事

◎ロシアの一連の首長選挙結果

◎シベリア・ウラル訪問団参加者募集のご案内

 


 

No.1292 2004年4月15日号

2003年のCIS諸国の経済(上)

 

はじめに

 CIS諸国の2003年の経済データがほぼ出揃ったので、本誌では今回と次回の2回に分けて、CIS統計委員会発表の経済統計データを紹介しつつ、これらのデータを踏まえながら各国の最新の経済情勢についてレビューを行うこととする。本号では、全12カ国の主要経済指標を表にまとめて掲載するとともに、CIS全般、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバについての解説をお届けする。中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン)および南コーカサス諸国(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)のレビューは次号で扱う予定である。

 

 CIS全般:成長に力強さが戻る

 ロシア:石油に依存した高成長、遅れる構造転換

 ウクライナ:経済の拡大続き「過熱」の様相も

 ベラルーシ:数字とは裏腹に深まる閉塞感

 モルドバ:パフォーマンスは好調、構造的問題は未解決

 

 その他の記事

◎キルギスタン・ビジネス・セミナー開催のご案内

◎世銀のレポートがロシア経済における「集中」を批判

◎新刊案内『不思議の国ベラルーシ』

 


 

No.1293 2004年4月25日号

2003年のCIS諸国の経済(下)

はじめに

 前回に引き続き、CIS統計委員会発表の統計データにもとづき、同諸国の最新の経済情勢についてのレビューを行う。本号では中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン)および南コーカサス諸国(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)を扱う。

 

 カザフスタン:原油依存を強める経済

 キルギス:相変わらずクムトール金鉱が浮沈を握る

 ウズベキスタン:為替自由化も効果は限定的

 トルクメニスタン:堅調な天然ガス輸出で「ニヤゾフ王国」は依然安泰

 タジキスタン:産業多角化とエネルギー自給が当面の課題

 アゼルバイジャン:大統領交代、しかし石油依存発展路線に変化はなし

 アルメニア:加速するロシア資本の進出と反体制運動の高まり

 グルジア:2003年は「革命」の年

 

 その他の記事

◎『調査月報』2004年4月号のご案内

◎キルギス大使館の開設

◎ロシア向け製品輸出認証制度セミナー

 


 

No.1294 2004年5月15日号

ロシア極東の外国投資受入に関する最新データ

 

はじめに

 本誌では昨年の6月25日号(No.1264)で、ロシア極東連邦管区の外国投資受入状況に関する詳しいデータを紹介した。このほど我々は、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所(P.ミナキル所長)より、2003年までの最新データを新たに入手した。今回の資料は、各州ごとの産業部門別内訳に関する数字も含んでおり、前回よりもさらに踏み込んだものとなっている。むろん、ロシアの一般の統計集にも出ていない貴重な情報だ。そこで本速報では、早速このデータを表にまとめてお届けする。

 本資料をどう読むべきかということに関しては、昨年の記事のなかで解説しているので、それを参照していただきたい。ここでは簡単な留意点のみ述べる。以下ではロシア極東管区全体と各州について、(1)外国投資受入高の推移、(2)20012003年の投資国別内訳、(3)20012003年の産業部門別内訳を表にして示す。その際に、(1)がロシア統計国家委員会の各種刊行物を出典とするのに対し、(2)と(3)は各州の行政府および統計局のデータにもとづき極東支部経済研究所が独自にとりまとめたものである。両者の間に、小額ながらデータの不整合も散見されるが、そのまま掲載する。表に記載されているデータは各年ごとの流入額であり、累積の受入残高ではないので、ご注意願いたい。なお、ユダヤ自治州、チュコト自治管区、コリャーク自治管区のデータは割愛した。

 

 その他の記事

◎『調査月報』2004年5月号のご案内

◎EBRDとのビジネス促進のためのワークショップ

◎『アジ研 ワールド・トレンド』がCISを特集

 


 

No.1295 2004年5月25日号

ロシアにおける企業幹部の肩書きに関する考察

ロシア東欧貿易会 モスクワ事務所副所長

D.ヴォロンツォフ

はじめに

 過去10年強、ロシア経済で様々な改革が進むなかで、物事の「呼称」という、一見すると単純に思われるものの分野でも大きな変化が生じている。このことはとりわけ、企業幹部の肩書きについて当てはまる。

 この分野では、ソ連時代の遺制もまだ若干残っているが、それとともに、新生ロシアの時代になって取り入れられた新しい方式も見られる。今日でも、新たな形態の企業の登場、そしてロシア語の進化に伴い、常に新しい呼称が誕生している。

 最近は、明確な法的規定がないのをいいことに、企業はしばしば、独自の判断で、自分たちの気に入った肩書きを使うようになっている。中小企業のトップが大企業にふさわしいような立派な肩書きをつけているケースも少なくない。

 しかも、法律によって規定されている肩書きと、恣意的または言葉の進化の成り行きで使われるようになったものとがある。前者には、民法典第103条によって規定されているdirektorgeneral'ny direktorpredsedatel' soveta direktorovがあり、後者としてはprezidentが挙げられる。なお、企業長の呼び名に関しては、産業部門ごと、地域ごとの傾向性というものはとくに見受けられない。

 以下本稿では、ロシアにおける企業幹部の肩書きに関し、考察を試みる。

 

 その他の記事

◎カザフスタンの閣僚人事

 


 

No.1296 2004年6月5日号

ロシア極東の最新の外国貿易統計

 

はじめに

 本誌では5月15日号(No.1294)において、ロシア極東管区の外国投資受入に関する最新データを詳しくお伝えした。本号ではその続編として、ロシア極東の外国貿易に関する統計をお届けすることにする。今回の資料も、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所(P.ミナキル所長)から入手したもので、ロシアの一般の統計集には出ていない貴重な情報である。

 以下では、ロシア極東管区全体と各州の20002003年の貿易について、(1)相手国別貿易高、(2)輸出商品構成、(3)輸入商品構成をそれぞれ表にまとめてお届けする。なお、ユダヤ自治州、チュコト自治管区、コリャーク自治管区は割愛した。

 

 その他の記事

◎『エコノミックトレンド』廃刊のお知らせ

◎極東税関内に日本担当部署

◎ロシアで開催される経済フォーラム

 


 

No.1297 2004年6月15日号

CIS諸国のエネルギー生産・輸出入量

 

はじめに

 CIS統計委員会の刊行する『統計通報』(2004, No.7)に、CIS諸国のエネルギー生産、輸出入、消費量に関する統計データが特集で掲載されている。これらのデータがこのようにまとまった形で発表されるのは、きわめて珍しい。周知のように、ロシアをはじめとして、CISにはエネルギー産業が基幹産業になっている国が少なくなく、そうでない国にとってもエネルギーの需給は経済の浮沈を握る重要な要因である。そこで今回の速報では、『統計通報』に掲載された統計データを当会独自に再編集してお届けすることにする。

 CISはバルト3国を除く旧ソ連12カ国によって構成されているが、今回の資料ではウズベキスタンを除く11カ国の数字が示されている。常日頃データを出し渋る2国のうち、トルクメニスタンの数字が(不完全ながら)出ているのが、本資料の特徴だ。扱われている品目は、@電力、A天然ガス、B原油、Cガソリン、D軽油、E重油、F石炭である。それぞれの品目について、20002003年の各国の生産量、輸出量、輸入量、国内消費量が示されている。

 

 その他の記事

◎『調査月報』2004年6月号のご案内

◎最新の特別報告書のご案内

◎ポーランド経済・投資セミナー

 


 

No.1298 2004年6月25日号

ロシアの新為替管理法のポイント

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

6月18日より、ロシアの新為替管理法(20031210日付連邦法173号「通貨規制および通貨管理について」)が発効した。旧為替管理法は1992年に制定されたが、1998年8月の通貨・金融危機を経て何度か補足・変更され、さらに時々のロシア中銀の通達などで具体化されてきた。主にロシアのWTO加盟を念頭に、ここにきて大幅な改正が行われることになった。

 そこで、本号ではロシアの新為替管理法の要点を紹介するとともに、同法の意義と今後の課題についてまとめてみた。

 なお、当会では現在、新為替管理法を日本語に翻訳する作業を進めている。完成次第、当会のホームページにアップする予定なので、ご利用いただければ幸いである。

 

 その他の記事

◎日露貿易投資促進機構の日本側機構が活動を開始

◎カザフスタンの建設資材投資プロジェクト

◎『ジェトロセンサー』がロシアの生産財市場を特集

 


 

No.1299 2004年7月5日号

ユコス事件の周辺

−ロシアの石油最大手はどこへ行くのか−

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 昨年夏から秋にかけユコスの大株主であるプラトン・レベジェフとミハイル・ホドルコフスキーが逮捕されたことに端を発するユコス事件は、その後、政権サイドが次々とユコス・サイドに対し攻撃をしかけるという形で進展し、ユコスへの狭義の破産措置(清算、資産の競売)の適用、あるいは、国家によるユコスの資産の没収の可能性が懸念される状況が生じている。

 破産措置の適用が回避される可能性も残っているが、仮に破産を免れても、ユコスが今後財政的に厳しい状況に置かれるのは確実で、同社の投資戦略に支障が生じるのは避けられないであろう。より具体的に言えば、当座の生産を維持できる可能性は残っているが、投資案件に関しては当面は資金調達の目処が立たず凍結されることになるであろう。

 本稿では、レベジェフとホドルコフスキー逮捕後のユコス事件の推移、ユコスが置かれている状況、今後、考えられうる事態進展のシナリオ等について考察したい。

 

 その他の記事

◎シベリア・ウラル訪問団報告会と懇親会のご案内

◎日本企業との取引を希望するハバロフスク企業のリスト

◎キルギスタン・ビジネスセミナー概要

 


 

No.1300 2004年7月15日号

2003年のロシアの貿易動向

 

はじめに

 ロシア国家関税委員会(現在は正式には連邦関税局)が発行する通関統計集の2003年年報がこのほど刊行され、これにより2003年の同国の貿易動向に関する詳しいデータが明らかになった。そこで今回の速報では、他の情報源からも適宜数字を補いつつ、ロシアの最新の貿易データを表にまとめてお伝えすることにする。

 ロシアの貿易統計には大別して2種類がある。ひとつは国際収支ベースのもの、もうひとつは通関統計ベースのものだ。マクロ経済的な分析を行ううえでは前者の方が有益だが、商品別や相手国別の中身を知ることができるのは後者である。今回の資料では、第1表が国際収支ベース、第2表以下はすべて通関統計ベースとなっている。

 国際収支統計によれば、2003年のロシアの商品輸出総額は1,359億ドル(前年比26.7%増)、輸入総額は754億ドル(同23.7%増)で、収支は605億ドルと過去最高の黒字であった。通関統計によれば、輸出の57.3%が鉱物製品であり、そのほとんどが燃料・エネルギー商品によって占められている(56.7%)。第6表に見るように、相手国別では日本は16位となっている。ただし、ロシアの通関統計には魚介類の輸出が一部しか反映されておらず、それによる漏れが10億ドル近くあると見られるので、日本の実際の順位はもう少し上であると考えられる。

 なお、当会『ロシア東欧貿易調査月報』では近く、2003年のロシアの通関統計をさらに詳しく紹介することを予定しているので、ご利用いただければ幸いである。

 

 その他の記事

◎『調査月報』2004年7月号のご案内

◎ロシア極東家電ミッション参加者募集のご案内

◎ベラルーシフェア開催のご案内

◎訃報 村上隆さん

 


 

No.1301 2004年7月25日号

ロシアにおけるM&A法制の現状と課題

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

 2003年のロシアにおけるM&A(合併・買収)に係わる取引総額は129億ドルに達したと言われている。これまで、ロシアでは問題の多い民営化に乗じての偽装倒産および株の希釈化を通じての資産買収が目立っていたが、ここにきて、海外の法律・会計事務所を巻き込んで合法的にM&Aを行おうとする投資家も現れてきた。今後、外国の投資家もロシア企業を対象にしたM&Aに本格的に参入することが予想される。

 そこで、本号では、ロシアにおけるM&Aに関する法律の整備状況を概観し、その内容を検討したい。

 

 その他の記事

◎大荒れのウラジオ市長選を制したのはニコラエフ氏

◎国連開発計画発表の2004年版「人間開発指数」

◎「CEEDS 経済統計データベース」リニューアルのお知らせ

 


 

No.1302 2004年8月5日号

特別寄稿

ロシア極東経済の戦略と現実

ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所所長  P. ミナキル

同研究書記 O.プロカパロ

はじめに

 2002年3月19日付のロシア連邦政府決定により、「19962005年および2010年までの極東・ザバイカル経済・社会発展連邦プログラム」が承認された(以下本稿では単に「プログラム」と呼ぶ)。これは、1996年4月15日に採択された19962005年の大統領プログラムに修正を加え、期限を2010年にまで延長したものである(「ザバイカル」というのは「バイカル湖の向こう側」という意味で、具体的にはブリヤート共和国とチタ州を指す。両地域は行政区分上はシベリア管区に属すが、地理的・経済的に極東とのつながりが深いため、経済政策上は極東管区と一体で扱われている)。

 1998年の経済危機以降、ロシア経済は回復に転じたが、極東地域の経済指標は総じて全国平均を下回った(第1〜4図)。19962005年の極東経済プログラムが発効していたにもかかわらずである。2000年には早くも、プーチン大統領、連邦政府の閣僚、極東の各知事が参加した会合で、プログラムを修正する必要性が指摘された。その結果、2002年3月にプログラムが修正・延長されたのである。しかし、その後も極東経済は期待されたようなパフォーマンスを示していない。

 本稿では、プログラム修正後の極東・ザバイカル地域の経済実績とプログラムの実施状況を検証し、極東の経済戦略のあり方を改めて問い直すことにする。

 

 その他の記事

◎新しい駐ウズベキスタン大使に楠本氏

◎プーチン大統領の腹心がロスネフチ会長に

◎メンバーズ・ブリーフ「プーチン政権下のロシア・エネルギー戦略」

◎ハバロフスクにおける工業団地計画(テクノセンター)について

◎新刊案内『北樺太石油コンセッション 1925−1944』

 


 

No.1303 2004年8月15日号

最近の対ロ中古車ビジネス事情

ロシア東欧経済研究所 調査役

芳地隆之 

はじめに

 当会『ロシア東欧貿易調査月報』2004年4月号で報告したとおり、2003年の日ロ貿易はソ連解体後、最高額を記録した。なかでも日本の対ロ輸出の伸び(前年比87.2%増)は目覚しく、これをもたらしているのが自動車輸出の急増である。10年落ちの中古車でも日本製なら他国の新車以上に走る――こうした評価がロシア極東に瞬く間に広がって、多種多様な日本車が同地域の自動車市場を席巻するにいたったのは周知のとおり。日本の港に資材を荷揚げしたロシアの大型貨物船が代わりに大量の中古車を積んで帰っていく光景も、めずらしいものではなくなった。当会にもロシアへの中古車輸出に関する実務的な問い合わせが寄せられている。そこで今回は、ロシア極東における中古車ビジネスの現状について報告する。なお、本文を書くに当たっては、富山県貿易・投資アドバイザーである野村允氏のリポート「対ロ貿易の変化と北陸―富山県の対ロ中古車輸出を中心に―」(『環日本海ジャーナル』2004年5月号)、ならびに旧ソ連時代より中古車ビジネスに携わっておられる「株式会社もり」の森善二社長のご説明を参考にさせていただいた。

 

 その他の記事

◎『調査月報』2004年8−9月号のご案内

◎新刊案内『現代中央アジア論 −変貌する政治・経済の深層−』

◎EBRD/JICA/慶応大学共催の国際ICT政策セミナー

 


 

No.1304 2004年8月25日号

活況が続く2004年上半期のロシアの乗用車市場

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

2004年に入ってからも、ロシアの乗用車市場は外国新車部門を中心に引き続き好調で、日本メーカーは軒並み大幅に販売台数を増加、ロシアの純国産メーカーも堅調な生産を維持している。本稿では活況に沸いた2004年上半期のロシア市場の概況を数字を中心に紹介するほか、2004年初頭時点のロシアの乗用車の登録台数とその内訳に関する情報、今後のロシアの乗用車市場に大きな影響を及ぼす可能性のある様々なファクターをめぐる最新の動きも紹介する。

 

 その他の記事

◎ロシア、カザフスタン商業銀行向け輸出クレジットライン

◎トルクメニスタンの政権人事

 


 

No.1305 2004年9月5日

ロシアにおける知的所有権保護の現状

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

2004年7月29日、プーチン大統領は「営業秘密」法案に署名し、ここに営業秘密法が制定された。通常、知的所有権法は、工業所有権四法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)、著作権法(国によっては、コンピュータ用プログラムとデータベースの著作権も含む)、不公正競争防止法、半導体集積回路法、および種苗法によって構成されるとされるが、今回の営業秘密法は、不公正競争防止法に相当するもので、その実効性には疑問が残るものの、これで一応、ロシアでも形の上では、知的所有権関連の法律が出揃ったことになる。

 ロシアは早期のWTO加盟を目指していることもあり、今後知的所有権法をめぐって、内外で議論が活発化することが予想される。そこで、本号ではロシアにおける知的所有権保護の現状を紹介する。

 

 その他の記事

◎第7回極東ロシア・マイクロビジネス支援ミッション

◎チェチェン共和国で大統領選挙

◎2004年上半期のロシア経済

 


 

No.1306 2004年9月15日

プーチン政権下のロシア・エネルギー戦略

ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所 所長

ノダリ・シモニヤ

はじめに

 当会は8月18日、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所のノダリ・シモニヤ所長の来日を機に「プーチン政権下のロシア・エネルギー戦略」と題する会員向けメンバーズ・ブリーフを行った。世界経済国際関係研究所はソ連時代からの伝統を誇る名門のシンクタンクである。シモニヤ氏は2000年に同研究所の所長に就任し、ロシアの外交史、ソ連・ロシアと第三世界との関係、現下ロシアの社会・経済情勢など、幅広い研究を手がけ、現政権の政策立案にも積極的に関与している。本号では、同氏がインサイダーとしての視点も織り交ぜながら、プーチン政権のエネルギー戦略について語った講演の概要を報告する。

 

 その他の記事

◎2004年上半期のロシアの外国投資受入状況

◎ロシア政権人事

◎『調査月報』2004年10月号のご案内

◎「日本ポーランド経済合同会議−2004」開催のご案内

◎大阪・サンクトペテルブルグ姉妹都市提携25周年記念講演会

 


 

No.1307 2004年9月25日号

2004年上半期の日ロ貿易

−拡大傾向が加速−

 

はじめに

 財務省から2004年1〜6月期の貿易統計が発表された。当会ではこれにもとづいて、日ロ貿易の輸出入商品構成を表にまとめたので、今回の速報ではこのデータを紹介する。なお、ロシア以外のCIS・中東欧諸国およびモンゴルについても、同期の日本との輸出入額を「統計速報」のコーナーで紹介しているので(5ページ)、あわせて参照いただきたい。

 第2〜3表(当会が独自にドル換算)によると、2004年1〜6月期の日ロ貿易総額は約39億ドルで、対前年同期比46%増を記録した。ソ連解体以降で最高額を記録した前年を大幅に上回るペースである。なかでも日本の対ロ輸出の増大は目覚しく、輸出額は約14億ドルと前年同期の2倍強であった。

 

 その他の記事

◎2004年1〜6月の対CIS・中東欧・モンゴル輸出入通関実績

◎CIS・中東欧諸国の最新GNP

◎新しい駐アゼルバイジャン大使に安部氏

 


 

No.1308 2004年10月5日号

ビジネス環境に関する国際比較

 

はじめに

 世界銀行とその姉妹機関である国際金融公社(IFC)はこのほど、Doing Business in 2005 と題するレポートを発表した。これは、世界145カ国の企業活動環境を共通の基準にもとづいて数値化し、国際的な比較・分析を試みたものであり、昨年に引き続き今回が2度目の調査となる。そこで速報の本号では、CIS・中東欧諸国のデータを中心に、この資料を抜粋してお届けすることにする。なお、残念ながら、CIS・中東欧諸国のうち、トルクメニスタンとタジキスタンは調査の対象となっていない。

  本プロジェクトでは、各国の専門家、コンサルタント、法律家、会計士、官僚、学者など計3,000人以上を動員し、統一の基準に則って世界145カ国のビジネス環境を比較している。基本的に、国内の企業家がビジネスを行ううえでの制度を調べたものであり、外資にとっての投資環境という観点からの調査ではない。しかし、中東欧諸国やロシアをはじめ、ほとんどの国は制度上、国内資本と外国資本を同等に扱っているので、外国人が同諸国への投資を検討するうえでも、見ておいて損のない資料ということになろう。

 

 その他の記事

◎2004年1〜6月のCIS諸国の主要経済指標

◎ハバロフスク市長選挙でソコロフ現職市長が再選

◎ハバロフスク国際見本市「PromTechnoExpo Far-Eastern region-2004」のご案内

 


 

No.1309 2004年10月15日号

プーチンの「9月革命」

−ロシアにおける中央・地方関係の新展開−

 

はじめに

 9月13日、プーチン大統領は、連邦構成主体の首長も参加した拡大政府閣議の中で、連邦構成主体首長の選出方法を住民による直接選挙から大統領による任命制(大統領推薦にもとづく地方議会選出)に変更すると発表した。大統領による知事任命制は、プーチン政権が発足当初から進めてきた地方統制政策の集大成となるもの。旅客機墜落から北オセチア共和国での学校占拠事件の一連のテロ事件を受けてのテロ対策を口実として、一気に着手した形だ。

 こうした強権政策に対し、反テロリズムを標榜するブッシュ米大統領は、「民主主義を妨害する決断」との憂慮の念を表明。欧米諸国も、プーチン政権の「テロとの戦い」には理解を示す一方、強権発動に対しては懸念を強めている。一方、国内はというと、与党や現職知事がいっせいに支持を表明(野党の共産党、ヤブロコ、右派勢力連合は憲法違反だとして非難)、一般市民も概ね今回の措置を歓迎しているように見える(ただし、今回の措置を、テロ廃絶と直接関係があると考えている国民は少数で、またこれによってテロが廃絶されると考えている者は皆無である)。学校占拠事件で子供を人質にとり、多くの命を奪った武装勢力側の惨忍な犯行への国民の憤りが、プーチン政権のテロ対策の不十分さに対する批判を覆い隠し、強権支持へとつながるという構図が見える。

 本号では、ロシアの有力マスコミが9月革命と形容した今回の強権政策の意味とプーチン政権が発足後進めてきた地方政策について検討してみる。

 

 その他の記事

◎マガダン市長選挙でペチョーヌィ第1副市長が当選

◎『調査月報』2004年11月号のお知らせ

◎『ビジネスガイド ロシア』刊行のお知らせ

◎冬期のフライトスケジュール

◎第5回日露国際シンポジウムのお知らせ

 


 

No.1310 2004年10月25日号

2004年1〜9月期のロシア乗用車市場

―外資の動きが活発化―

ロシア東欧経済研究所 調査部次長

坂口泉

はじめに

 最近、ロシアの乗用車市場の好調さはさらに加速しており、2004年9月以降、複数の外国メーカーがロシアでの現地生産の可能性を検討していることを明らかにした。本稿では、外資の動きを中心に2004年1〜9月期のロシアの乗用車部門の状況を報告する。

 

 その他の記事

◎2004年1〜6月のロシアの連邦管区別が異国投資受入状況

◎ロシア金・外貨準備高1,000億ドル突破

◎世界経済フォーラムの国際競争力報告

 


 

No.1311 2004年11月5日号

ハバロフスク地方の林業の現状と展望

ハバロフスク地方林業省次官

V.グリエフ

はじめに

 当会は平成16年度国庫補助事業「ロシア地域経済改革支援専門家派遣」事業の一環として、2004年9月13日〜16日、ハバロフスクにおいて「ハバロフスク地方の林業・製材業・木材加工業のための技術・機械セミナー」を開催した。同セミナーの目的は、日本の専門家をハバロフスク地方に派遣し、日本の製材および木材加工の最新技術・設備の状況を紹介することにより、ハバロフスク地方企業における製材・木材製品の品質向上、高付加価値化を支援することにある。13日にハバロフスク地方行政府で開かれたセミナーでは高垣・当会会長、古田・在ハバロフスク日本国総領事館総領事代理、レベンターリ・ハバロフスク地方経済発展対外関係大臣、シハリョフ・ハバロフスク地方林業大臣が挨拶し、グリエフ・ハバロフスク地方林業省次官、シクトコ・ハバロフスク工科大学教授、雨宮・全国木工機械工業会理事、龍見・ワニノ大陸社長、佐藤・双日(株)木材部門木材製品部長、梅宮(株)トライアード社長がそれぞれ報告を行った。本号では、グリエフ次官による報告の概要を紹介する。なお、梅宮社長の報告「日ロ木材貿易の現状と課題」を当会『調査月報』200412月号に掲載予定である。
 

 その他の記事

2004年のTransparency Internationalによる汚職認知指標

第1回シベリア・エネルギー会議開催のご案内

 


 

No.1312 2004年11月15日号

ロシア大企業ランキングから見えてくるもの

 

はじめに

 ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』(2004.10.4-10, No.37)に、毎年恒例のロシア大企業ランキングの最新版が掲載された。当会では、『ロシア東欧貿易調査月報』200412月号(1115日発行)の「データバンク」のコーナーにおいて、この企業ランキングを特集で詳しく紹介している。ぜひご利用いただければ幸いである。

 今回の速報では、この月報の特集記事につきご案内申し上げるとともに、月報に掲載しきれなかった情報を補足する形でお届けすることにする。

 

 その他の記事

◎『調査月報』2004年12月号のご案内

◎「ロシアIT・ハイテクセミナー」開催のご案内

◎『外交フォーラム』が中央アジアを特集

 


 

No.1313 2004年11月25日号

ウクライナを動かす新興財閥

 

はじめに

 ウクライナで、1121日に大統領選の決選投票が行われた。24日に中央選挙管理委員会が発表した最終開票結果によると、現首相のヤヌコヴィチ氏が49.5%を得票し、46.6%にとどまった野党候補のユーシチェンコ氏を抑え、当選を果たしたことになっている。しかし、野党側は投票および開票の過程で不正があったとして公式結果を承服しておらず、首都キエフでは野党勢力による大規模な抗議行動が続いている。クチマ現大統領は、両候補に対話を呼びかけて混乱の収拾を図っているが、今後果たして事態がどのように展開していくのか、まったく予断を許さない。

 今回の選挙は、ウクライナにおける伝統的な東西対立の構図を、くっきりと映し出すこととなった。決選投票における両候補の得票率を見ると、東ウクライナにおいてはヤヌコヴィチ氏がドネツク州の96%、ルガンスク州の93%をはじめ軒並み勝利を収めているのに対し、西ウクライナにおいてはユーシチェンコ氏がイヴァノ・フランコフスク州の93%、リヴォフ州の92%など圧倒的優位に立っているのだ。そして一般的には、東ウクライナを地盤とするヤヌコヴィチ氏は親ロシア的で穏健改革路線、西ウクライナを地盤とするユーシチェンコ氏は親欧米派で急進改革主義ととらえられることが多い。

 しかし、ヤヌコヴィチとユーシチェンコの対立軸は、単に親ロシアVS親欧米、穏健VS急進といった理念的・路線的なものにとどまるのではない。その下部構造たる経済利権の要因を見逃してはならないだろう。先日、ロシアの『エクスペルト』誌(2004.10.11-17, No.38)に、この問題を考えるうえで格好の特集記事が掲載された。そこで今回の『経済速報』では、この特集記事「ウクライナの金融産業グループ:ガスと鉄鋼の子供たち」の骨子を紹介することにより、現在ウクライナで起きていることを理解する一助としたい。

 

 その他の記事

◎ヤヌコヴィチ氏のバイオグラフィー

◎ロシアの批准で京都議定書発効へ

◎「ロシアビジネス環境セミナー」開催のご案内

◎『ロシア技術ニュースレター』2004年No.1の発行

◎『平成16年度ロシア東欧貿易会サハ共和国訪問団報告書』

 


 

No.1314 2004年12月5日号

ロシアの関税をめぐる最近の動き

ロシア東欧経済研究所 次長

音羽周

はじめに

 最近、ロシアでは相次いで重要な関税関連の法令が発効した。これらは、形式的には@通関手続きの一層の簡素化、その前提条件の厳密化を目的とするもの、A輸入関税率の引き下げと統一化を加速させることを目的とするもの、以上2つに分類できるが、実質的には互いに補完しあう関係にある。今回の動きは間近に迫っているといわれるロシアのWTO加盟を念頭に入れつつ、ロシア産業のスクラップ・アンド・ビルドを関税制度の側からも支援するという、基本的な流れの中で位置づけられるべきものであろう。

 本速報では、この最近のロシア関税をめぐる動きを概観する。

 

 その他の記事

◎2004年1〜9月のCIS諸国の主要経済指標

◎CIS・中東欧諸国の市場経済移行進展度

◎メンバーズ・ブリーフ「ウズベキスタン・アゼルバイジャン経済の現状」

◎当会HPのリンク集を拡充

◎ロシアの自動車部品産業に関するレポート

 


 

No.1315 2004年12月15日号

特別寄稿

ウクライナ大統領選挙

―誤解を解く幾つかの視角―

北海道大学スラブ研究センター 21世紀COE研究員

藤森信吉

はじめに

 内外の関心を集めたウクライナ大統領選挙は、1121日の決選投票の結果、現職首相のヴィクトル・ヤヌコヴィッチ候補が49.46%を獲得し、「当選」した。ヤヌコヴィッチは、1031日の投票で、ヴィクトル・ユーシチェンコ候補に0.5ポイント差の2位に甘んじたが、体制側が持つ資源を総動員し、逆転に成功した。

 多くの者を驚かせたのは、選挙結果ではなく、選挙後の混乱である。首都キエフの独立広場には、投票日翌朝に早くもユーシチェンコ陣営による大規模な抗議行動が始まり、現在に至るまで続いている。キエフで高揚した抗議集会に、ある者は、グルジアの薔薇革命の再現を、ある者は東欧での民主化革命の再現を見る。また、欧米が選挙結果の見直しを求める一方で、プーチンがヤヌコヴィッチ当選を早々と認める光景は、かつて冷戦時代に見てきた欧米とロシアとの対立が、今まさにウクライナを舞台に展開されているようにも見える。

 本稿では、紙幅の都合上、わが国のメディア報道との重複を避け、上記以外の部分で今回の大統領選挙を見る上で重要な事柄について記述する。混乱に目を奪われがちだが、今回の選挙過程・候補者、得票パターンの東西ウクライナ分裂傾向といったことは、過去の選挙と多くの共通性がある。

 

 その他の記事

◎2004年1〜9月期のロシアの外国投資受入状況

◎2004年1〜9月のCIS諸国のエネルギー生産

 


 

No.1316 2004年12月25日号

ウズベキスタン・アゼルバイジャン経済の現状

―企業支援事業の現場から―

ロシア東欧経済研究所 調査役

輪島実樹

はじめに

 ロシア東欧貿易会では12月9日、「ウズベキスタン・アゼルバイジャン経済の現状 ―企業支援事業の現場から―」と題し、会員向けのメンバーズ・ブリーフを開催した。当会では、中央アジア・コーカサス地域の企業に対するコンサルティングを通じ、同地域の産業育成を促進する事業を手がけており、本年度はウズベキスタンおよびアゼルバイジャンがその対象となっている。これらの事業は、現地企業に密着する形の仕事であるだけに、普段外部からはうかがい知れない経済の現実を把握する良い機会でもある。今回のメンバーズ・ブリーフでは、本事業の担当者である輪島実樹調査役が、企業支援事業の現場で見えてくる様々な現実を紹介することを中心に、ウズベキスタン・アゼルバイジャン経済の最新事情について報告した。今回の速報では、この報告要旨をお伝えする。

 

 その他の記事

◎2004年1〜9月の日本の対CIS・中東欧輸出入通関実績

◎2004年1〜9月の日ロ貿易 ―輸出入合計で60億ドルを突破―

◎『調査月報』2005年1月号のご案内

◎ロシアの地方行政府のリンク集

◎ロシア東欧経済速報 2004年(平成16年)掲載記事一覧

 


 

速報 HOME

 

ROTOBO HOME