観光分科会  

 

 

佐藤・ロシア東欧貿易会部長:今回、キルギス側から国家観光委員会議長が来日する予定でしたが急遽取りやめになった関係で、本日の観光分科会についてはセントラル・アジア・ツーリズム・コーポレーション(CAT Corporation)のカザコフ社長よりプレゼンテーションをお願いします。その前にキルギス側よりご出席いただいている方々の自己紹介をお願いします。

 

Mr. DUISHEYEV (Chairman of JSC “Ak-Kerben”):ドゥイシェエフと申します。我々の「アク・ケルベン」社は山岳リゾート会社です。狩猟も我が社の業務内容に含まれています

 

Mr. TOKTOGAZIEV (Director of JSC “Alesha”):トクトガジエフです。建設会社「アリョーシャ」の社長です。

 

Mr. KEREKSIZOV (Chairman of Center):私は「世界諸民族精神センター」という名の民間センターを運営しています。そこには日本の寺院もあります。

 

佐藤部長:では、カザコフ社長よりプレゼンテーションをお願いします。(関連資料:「キルギス共和国の観光情報」「キルギス側提供観光スライド」参照のこと)

 

カザコフ社長:観光産業は我が国にとって将来性のある分野と考えられています。現在キルギス政府と民間セクターが一緒になり観光産業の発展に大きな力を注いでいます。キルギス共和国は観光産業発展のための大きな可能性を有しています。現在優先案件として、リゾート・レクリエーション、アドベンチャーツアー、シルクロード観光、エコロジーツアー、ビジネスツアーを考えています。

 リゾート・レクリエーションツアーでは、まずイシククリ湖があります。イシククリ湖は素晴らしい砂浜と綺麗な水、鉱泉、山と海の気候が組み合わさり、泥治療や熱・鉱泉治療ができる素晴らしいリゾート地になっています。湖畔には123の近代的なインフラ設備を備えた保養所があり、健康増進、娯楽、アドベンチャーを目的としたバカンスをとることができます。

 アドベンチャーツアーでは我が国にはアルペン・ツーリストセンターが19、キャンプサイトが4つ、登山用ルートが51あります。2003年6月にキルギス大統領と政府の支援のもとで「Raid Gauloises」マルチスポーツ世界大会が行われ、日本を含め13ヵ国39チームが参加しました。キルギス国土の93%以上が1,000m以上の高地にあり、ヒマラヤ、パミールに次ぐ高い頂きがあります。ポベダ山7,439m、レーニン山7,134m、カンテングリ山7,010mです。イニルチェック氷河は世界最長の名所です。山岳地形であるため山スキーや登山等の山岳スポーツを行うことができます。

 皆様ご存知の通り、キルギス共和国の領土内にはシルクロードが通っており、昔のキルギスの領土と民はシルクロードの形成の中心にありました。貿易路として有利な地理的場所を占め東西文化を吸収し西と東を結ぶ橋となりました。領土内には昔のキャラバン隊の3ルート−パミール〜アライルート、南ルート、北ルートが通っていました。シルクロードは貿易の発展だけでなく、何百年にもわたりキルギスの人々とその他の国の人々との精神的価値観の交流を促しました。

 昨年キルギスは建国2,200年を祝いました。20021220日の第57回国連総会で、キルギスの提唱により「キルギス建国の年に関する決議」が採択されました。歴史家の資料をもとに、キルギスの学者たちが「キルギス」という国ができたのは紀元前3世紀末、すなわち22世紀前であったことを明らかにしました。

 次にエコロジーツアーについてお話しします。キルギスの自然は多様な豊かさを持っており、国内には多くの国立公園や自然保護地区があります。キルギスの植物は多様で、高原植物だけでも4,000種以上に及びます。市内の通りには林檎や杏、さくらんぼなどが目を楽しませてくれます。国の南部には樹齢3,000年を超える太古の胡桃の木があり、その実はアレクサンダー大王の兵士たちが食べていたものと同じです。国の北部にはきれいで健康に良い天山樅の森林、ねずの木、ピスタチオ、アーモンドなど薬効を持つ木が自生する森があります。また、黒うめもどき、野生のばら、すいかずらなどが自生している世界で一番広い野生植物林があります。生物学者によって自生している200種類以上の薬用植物、100種類以上のきのこが確認されています。キルギス共和国は世界でも数少ないユキヒョウとマルコポーロヤギが生息している地域です。山高く飛び上がる白鳥やサギの美しい姿を見ることができます。キルギスだけで、山岳七面鳥、白鷹、雉、雷鳥、鷲、鳶などの様々な鳥を見ることができます。人が足を踏み入れていない未開の場所がたくさんあり、手付かずの自然を保護するために多くの自然公園、国立公園等が国家により保護されています。

 観光の関心を高めるもののひとつが伝統的スポーツで大変魅力あるものとなっています。ただ見るだけでなく皆様も参加して技量を試してみることも大変楽しいことだと考えます。最も人気があるのは馬術競技で、昔からキルギスの人々は素晴らしい馬の乗り手でした。

 次に民族料理について簡単に触れたいと思います。キルギスの民族料理は海外から来るゲストにとって特に目を引くものであり旅の魅力を大きくするものです。キルギスの民族料理の特徴は、素材本来の形と味を残した、自然食品からほとんど作られていることです。特に素材として使われているのが、肉、牛乳、野菜、フルーツ、小麦製品等です。この中でも特にキルギスの民族料理として特徴的なのものが馬肉からできたサラミソーセージです。馬乳から美味しい薬効のある馬乳酒(クムィス)が作られます。馬乳酒はビタミンを多く含んでいます。

 キルギスの観光商品を世界にどのように広めていくか、マーケティングについてお話しします。世界の観光市場にキルギスの観光商品を広め観光国としての良いイメージを作るため、キルギスは活発な広告宣伝活動を展開しています。我が国は毎年世界の大きな国際観光取引会、見本市等に参加しています。例えばベルリン観光取引会、ロンドン観光取引会、アムステルダムやシカゴの観光見本市等です。また、毎年開催されているイシククリ国際観光フェアはキルギスの観光商品の売り込みに重要な役割を果たしています。

 ここで簡単に査証(ビザ)制度についてお話しします。現在一般的にはビザ取得は義務となっていますが、ウズベキスタンとトルクメニスタンを除くCIS諸国は例外でビザ取得は必要ではありません。トルコ、マレーシア、日本からの旅行客もビザ取得は不要です。ただし期間は限界があり一ヶ月まではビザなしで滞在できますが、一ヶ月以上の場合はビジネスビザを取得していただく必要があります。

 ここで私が社長をしているセントラル・アジア・ツーリズム・コーポレーション(CAT Corporation)の概要をお話します。我が社は中央アジア、キルギスにおいて活躍している観光会社で、ビジネスマンや旅行者に対して専門的な質の高いサービスを提供しています。CAT社は3つの支社をキルギスに持っており、カザフスタン国内に11の支社、タジキスタンの首都ドゥシャンベに1つ支社を持っています。CAT社はすでにビジネス・観光において10年間活動しています。我が社は国際航空運送協会(IATA)、日本旅行業協会(JATA)といった国際的な組織のメンバーとなっています。また、キルギスにおいてアメリカン・エクスプレスの旅行サービスを行っています。その他多くの国際組織のメンバーになっています。

 

〈質疑応答〉

問(日本側):日本とビシュケクの間に直行便ができることを本当に望んでいますか?

 

答(カザコフ社長):確かに直行便はありませんが、日本から毎年観光客が訪れており我が社がその受け入れをしています。日本から見えられるお客様は主にシルクロード観光を目的としており、週一便運航している大阪〜タシケント便を利用してまずサマルカンド、ヒヴァを訪れ、その後にキルギスを訪問するという短期間に3〜4ヵ国を巡る観光客が多数を占めています。もちろんモスクワ経由もあります。二国間協力が拡大したあかつきには東京〜ビシュケク間の直行便ができるようになると思います。私自身としては直行便の実現を願っています。

 

問(日本側):日本人旅行者が行き先を選ぶときに、ユネスコの世界遺産がポイントになることがあります。キルギスには世界遺産に登録されているものがありますか?

 

答(カザコフ社長):世界遺産として指定されているのはイシククリ湖、それからスライマン・トゥ山の岩絵博物館です。ここではひとつの場所に一万個の岩があり、その岩に50個くらいずつ紀元前から数世紀にわたり絵が描かれています。岩絵がある場所は海抜4,000mの高所で訪れることができるのは一年のうち二ヶ月間と限られています。その他にウズゲンの建築物、ブラナの塔も世界遺産に登録されています。世界遺産への登録を申請している場所も6ヵ所あります。

 

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