ロシアNIS調査月報
2024年2月号
特集◆中央アジアで
ビジネス機会を切り拓く
 
特集◆中央アジアでビジネス機会を切り拓く
イベントレポート
ウズベキスタン・キルギス経済ミッション
イベントレポート
第8回日本カザフスタン経済官民合同協議会
ビジネス最前線
カザフスタンでのリユースチェーンの展開
イベントレポート
キルギスIT企業ビジネスマッチング
ビジネス最前線
愛媛発IT企業のキルギス進出
―「日本品質」提供に至る舞台裏―
キーパーソンに訊く
ウズベキスタン農業州スルハンダリの若きリーダー
―日本訪問の成果を語る―
ビジネス最前線
ウズベキスタン女性のデザイン道
―私たちは広く美しい世界に生きている―
中央アジア情報バザール
2023年タジキスタンの重大ニュース
ロシアメディア最新事情
ウズベキスタンのテレビ局記者と懇談

調査レポート
ロシア経済の「非友好国」離れと制裁適応の現状
調査レポート
ウクライナ戦争後のロシア採金分野
―回避された致命傷―
ドーム・クニーギ
原田大輔著『エネルギー危機の深層―ロシア・ウクライナ戦争と石油ガス資源の未来―』
INSIDE RUSSIA
ロシア金融市場を脅かす住宅ローンの官製バブル
エネルギー産業の話題
ロシア産石油輸出の最新動向
データリテラシー
悩みの種としてのロシア発着フライト問題
ロシア極東羅針盤
極東地域に中国のための特区
シベリア・北極圏便り
経済発展をめぐる連邦と地方間の齟齬
ウクライナ情報交差点
ウクライナ経済はどこまで耐えられるか
コーカサス情報フォーカス
アルメニア外交の多角化は実現するか
ロシア音楽の世界
R.コルサコフ 歌劇「雪娘」組曲
シネマで見るユーラシア
クナシリ
業界トピックス
2023年12月の動き
ロシアを測るバロメーター
2023年末までの社会・経済の動向
通関統計
2023年1〜11月の輸出入通関実績
おいしい生活
ウズベキスタンの色鮮やかで美味しいおもてなし
記者の「取写選択」
民間人抑留者は死ねない


イベントレポート
ウズベキスタン・キルギス経済ミッション

 2023年11月24日〜27日、ロシアNIS貿易会は、中央アジアのウズベキスタン共和国とキルギス共和国へ飯島彰己会長を団長とするROTOBOミッションを派遣した。ROTOBO経済ミッションは、当会対象国(ロシアNIS諸国及びモンゴル)の経済の実情やビジネスの可能性を実地に視察・確認するために、当会会長を団長として2〜3年に1回の頻度で実施するものである。今回のミッションは、コロナ禍を挟んだため、2018年10月にベラルーシとロシア・サンクトペテルブルグに派遣して以来の5年ぶりの実施となった。また、飯島会長(2021年6月にROTOBO会長就任)を団長として派遣する初めてのミッションでもあった。以下では、今回の経済ミッションの結果概要を紹介する。


イベントレポート
第8回日本カザフスタン経済官民合同協議会

 2023年11月1日、東京のグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールにて、ロシアNIS貿易会(ROTOBO)、日本カザフスタン経済委員会および経済省、外務省、カザフスタン側関係機関が主催する第8回日本カザフスタン経済官民合同協議会が開催されました。日本カザフスタン経済官民合同協議会は、両国間の互恵的な経済関係の発展を図ることを目的に、従来の日本・カザフスタン二国間経済委員会を基盤として2009年に設立された枠組みです。コロナ禍を含む諸般の事情により、現地開催であった2018年6月の第7回以来、実に5年以上にわたり開催が見合されていましたが、この度ついに、日本とカザフスタン両国から総勢約275名の参加を得て、開催が実現しました。テーマは「国際環境の変化に対応した日本・カザフスタン経済関係の新展開−新たな優先分野選定への具体的アプローチ」で、全体会合と4つのテーマ別分科会が行われました。また、昨今経済関係が深まる日本とカザフスタンの企業および政府関係機関との間で文書署名・交換式も行われました。以下、協議会の概要についてご報告致します。


ビジネス最前線
カザフスタンでのリユースチェーンの展開

ブックオフコーポレーション(株)海外事業支援部 チーフマネージャー
小野沢孝治

 今回は2023年9月、カザフスタンのアルマトィに2号店をオープンされたばかりのブックオフコーポレーション滑C外事業支援部の小野沢さんにインタビューをしました。同社は日本とカザフスタンの協業において前例の少ない小売部門の事業を展開しています。「日本・カザフスタンビジネスにおける新分野」の1つとして、第8回日本カザフスタン経済官民合同協議会(別稿)でもご報告いただきました。カザフスタンで出店に至る経緯や国・国民の印象など、協議会では聞ききれなかったことを詳しく伺いました。(中馬瑞貴)


イベントレポート
キルギスIT企業ビジネスマッチング

 2023年10月25日(水)〜27日(金)にかけて幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されたIT企業向けの展示会「Japan IT Week」への参加および日本企業とのビジネスマッチングのため、キルギスのIT企業4社を招聘した。展示会会期中にわたって4社は「キルギスITグループ」として展示ブースを設置し、自社及び自社製品のアピール活動を行った。また、展示会参加に先立って、10月12日(木)にオンラインにて「キルギスIT企業ピッチイベント」を実施した。当会会員を中心とした日本企業に対し、キルギスIT企業の可能性についてプレゼンテーションが行われた。本稿では、キルギスIT企業と日本企業とのビジネスマッチングのために当会が実施した活動の概要について報告する。


ビジネス最前線
愛媛発IT企業のキルギス進出
―「日本品質」提供に至る舞台裏―

プライサービシュケク 代表
小松由弥

 今回は2019年よりキルギスに進出しているIT企業「プライサー」(松山市)の子会社「プライサービシュケク」代表の小松由弥さんにインタビューをしました。同社は数少ない日系企業のキルギスへの進出事例であり、キルギス政府が主導するIT産業振興事業「ハイテクノロジーパーク」に参画し、またキルギス商工会議所にも加盟するなど、現地への定着を進めております。今回は小松代表に、キルギス進出のいきさつや、IT産業を巡るキルギスの現状、キルギスIT産業と日本企業とのマッチングの可能性などについてお話を伺いました。(齋藤竜太)


キーパーソンに訊く
ウズベキスタン農業州スルハンダリの若きリーダー
―日本訪問の成果を語る―

ウズベキスタン・スルハンダリ州 知事
ウルグベク・コシモフ

 ウズベキスタン南部に位置し、アフガニスタンと国境を接するスルハンダリ州コシモフ知事とのインタビューをお届けします。コシモフ氏はサマルカンド大学を卒業後、スルハンダリ州、フェルガナ州およびタシケント市で検察官としてのキャリアを積み上げてきました。ミルジヨエフ大統領の推薦により政界に進出することになり、2022年12月にスルハンダリ州知事代行、2023年3月に正式に知事に就任しました。インタビューは、筆者がスルハンダリ州の州都テルメズを訪問した2023年11月(対面)と、コシモフ氏が日本を訪問した直後の2023年12月(遠隔)の2回に分けて行いました。(徳山あすか)


ビジネス最前線
ウズベキスタン女性のデザイン道
―私たちは広く美しい世界に生きている―

アパレルブランド「MARU」 創業者
マルハト・ウマロヴァ

 今回は2023年10月に当会が実施したウズベキスタン繊維・アパレルグループ招へい事業で訪日したアパレルブランド「MARU」の創業者マルハマト・ウマロヴァさんにインタビューしました。伝統的に、ウズベキスタンにおける女性の役割というのは、かつての日本と似ています。まず父親に従い、次に夫に従います。女性たちの主な関心事といえば、家族です。我々のヒロイン、マルハマトさんの運命もかつては同じでした。幼少期からファッションデザイナーを夢見てきましたが、父親に従って大学の経済学部に進学し、夫に従って働きに出ずに家庭に尽くしました。夢が現実となり始めた頃、彼女は既に3人の子を持つ母親でした。しかし今の彼女はファッションデザイナーで、伝統的な生地を現代のファッションに取り入れ、自国の若い女性たちの指導者となっています。(ストノーギナ・ユーリア)


中央アジア情報バザール
2023年タジキスタンの重大ニュース

 2023年12月、日本外務省の招へいで訪日したタジキスタンの独立系メディアグループ「ASIA-Plus」の創設者で編集長を務めるウメド・ババハノフ氏が当会を訪問し、面談する機会を得た。ASIA-Plusは、同名の通信社、出版社、テレビ局を運営する企業グループで、1995年の創設以来、タジク語、ロシア語、英語の3カ国語で情報発信を続けている。日本ではほとんど知られていないメディアだが、筆者はROTOBOで勤務するようになった約15年前から定期的にチェックしているなじみのメディアだ。当時の中央アジアについてはネットメディアが未発達で情報収集がまだ難しい中、ASIA-PLUSは非常に有益であった。そんなASIA-Plusでは、毎月1日に前月の重大ニュースをまとめて発表している。そして、2024年1月3日には、2023年の重大ニュースが発表された。そこで本稿ではその概要を紹介することにしたい。(中馬瑞貴)


ロシアメディア最新事情
ウズベキスタンのテレビ局記者と懇談

 今回はウズベキスタンのメディアを取り上げます。ここ数年で大きな発展を遂げようとしているウズベキスタン。国がオープンになるにつれ、国内外への情報発信の需要も高まっているはずですが、ミルジヨエフ政権下で、ウズベキスタンのメディアはどのように変わったのでしょうか。筆者は11月下旬にウズベキスタン・スルハンダリ州のテルメズ市を訪問し、テレビ局関係者と話をする機会に恵まれたので、その内容をご紹介します。(徳山あすか)


調査レポート
ロシア経済の「非友好国」離れと制裁適応の現状

(一社)ロシアNIS貿易会モスクワ事務所 所長
長谷直哉

 ウクライナ戦争開始後のロシア経済の評価については、利用できる統計の制限もあり、かなりの困難を伴う。見通しの難しさを補うべく、筆者が2023年の1年間で各所から聞き取った経済分析や所感を総合すると、第1に指摘できることは、2022年夏頃を底としてロシア経済は回復基調に入り、対ロ制裁への適応も進展、物価高は懸念されるが一見では問題なく経済が回っているように見えることである。第2に、国防部門への財政支出が伸びていることに象徴されるように、緩やかな戦時経済化が進行し、軍需が成長の核となりつつあるとの見解である。第3に労働力不足が深刻である点と、そして第4に2024年3月17日に予定されているロシア大統領選挙が終わるまでは、長期的な意味でロシア経済政策の先行き分析が難しいとの指摘がポイントとなる。このうち、第2の戦時経済化については検証が難しく、傍証として一部ロシア地域にて製造業部門に大きな伸びが確認されるが、現状として論じるには限界がある。第4の大統領選挙後の見通しについても予想以上のことは述べられない。
 であるならば、検証すべきは第1と第3のポイントとなる。ロシア国家統計局による四半期ごとのGDP成長率を見る限り、2022年第2四半期の4.5%減を底として、落ち込み幅は縮減し続け、2023年第2四半期に4.9%増とプラスに転換、さらに同第3四半期は5.5%増と公表された。この数字を信頼する限りにおいて、ロシアは対ロ制裁環境に適応しつつあると仮定することができよう。本稿では、この適応がどのような性質のものであるのか、「非友好国」あるいは「友好国」というキーワードを手がかりに、ロシア産業界の認識の変化、貿易における「非友好国」離れ、中ロ貿易の実態、貿易の変化に伴う物流や金融への影響について論じ、その上でボトルネックとしての労働力不足問題について説明を加えることとする。


調査レポート
ウクライナ戦争後のロシア採金分野
―回避された致命傷―

(一社)ロシアNIS貿易会ロシアNIS経済研究所 名誉研究員
坂口泉

 ロシアは世界有数の金の生産国で輸出量も多くなっているが、ウクライナ戦争開始後に他のロシアの主要輸出品目同様に金も制裁の対象となり、2022年3月にロシア産の金地金(インゴット)はLBMA(ロンドン貴金属市場協会)の基準を満たしていることを証明するグッドデリバリー(受渡適合品)の認定を取り消された。その結果、世界最大の金の取引所であるLBMA経由でロシア産の金地金を販売することが困難となった(その後、念には念を入れるような形で6〜8月にかけて米国、EU、スイスなどもロシア製の金地金を禁輸措置の対象にすることを発表)。それまでロシア産の金地金の大半が英国のLBMA経由で販売されていたので、グッドデリバリーの認定取り消しはロシアの採金分野に壊滅的な打撃を与えるのではないかとみられていたが、ロシアの採金企業は比較的スムーズに代替の販売ルートを確立し、一定のダメージは受けたものの致命傷を回避することには成功した。さらに、2023年に入ってからは金の国際価格の回復という追い風を受け、ロシアの複数の大手採金企業において業績の改善傾向が見受けられるようになっている。本稿では、ウクライナ戦争開始後の金の国際価格の変化、ロシアの大手採金企業が対ロ制裁から受けた影響、M&Aの動きなどに着目しながら、ロシアの採金分野の現状をご紹介する。


ドーム・クニーギ
原田大輔著『エネルギー危機の深層―ロシア・ウクライナ戦争と石油ガス資源の未来―」

 書の著者はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)調査課長の原田大輔氏で、本誌や当会のセミナーでも度々ご登場いただいており、またロシア・ウクライナ戦争勃発後は各種メディアでエネルギー問題について鋭い分析やコメントを発表しているので、本誌読者にはご存じの方も多いだろう。(中居孝文)


INSIDE RUSSIA
ロシア金融市場を脅かす住宅ローンの官製バブル

 昨今、ロシア経済に関する論評を読んでいて、しばしば出くわすのが、経済の「加熱」という表現である。国際的な制裁網で包囲され、「不況」なのかと思いきや、「加熱」というのだから、日本などで抱かれているイメージとは、かなりかけ離れている。ただし、今のロシア経済が、持続可能な成長を自律的に遂げているのかといえば、もちろんそうではない。無理を重ねて経済と社会を回している形であり、それによるひずみが蓄積されている。今回取り上げる住宅ローンの分野は、その最たるものであり、国の補助による優遇住宅ローンが危ういバブルを生み出している。(服部倫卓)


エネルギー産業の話題
ロシア産石油輸出の最新動向

 ロシアの石油輸出の数字は公表されなくなりましたが、ロシアのマスコミに断片的な情報が紹介されることがあります。今回は、それらの中からESPO原油の輸出に関する情報とドルージバPLに関する情報をご紹介したいと思います。その他、以前も言及したことがありますが、ロシアから輸出されている石油の種類についての説明も改めて行います。(坂口泉)


データリテラシー
悩みの種としてのロシア発着フライト問題

 ロシアに駐在している、またはロシアへ出張する必要のある企業関係者を悩ませている問題の1つに、ロシア発着の国際フライトの取り扱いがあります。ロシア国内移動についてはアエロフロートやS7航空といったロシア主要航空会社を使用せざるを得ませんが、国際フライトに関しては各社社内規定によって、ロシア航空会社の利用を自主的に取り止めているところも多いかと思います。さらに、ロシア航空会社が2022年にセイバー社の予約管理システムから排除されたことにより、日本の旅行代理店が直接ロシア航空会社のフライトを手配することも困難になってきています。(長谷直哉)


ロシア極東羅針盤
極東地域に中国のための特区

 ロシア政府は2023年12月22日、極東地域の投資を加速させるため、中国やインドなど「友好国」企業の参入を促すことを目的に、現行の特区よりも優遇措置を拡大する新しいタイプの特区を創設することを正式に決め、関連法案を下院に提出した。(齋藤大輔)


シベリア・北極圏便り
経済発展をめぐる連邦と地方間の齟齬

 今回は、2023年10月にロシア政府により承認された「2035年までのシベリア連邦管区社会経済発展戦略実施計画」(以下、発展戦略実施計画)に関し、連邦政府とシベリア連邦管区構成主体間の調整状況について、地域経済協議体である「シベリア協定」執行委員長のグセリニコフ氏の興味深いインタビュー記事が現地報道(2023年12月21日付ロシア新聞)に掲載されましたので、概要を整理して紹介します。現下経済情勢において、連邦政府がシベリアに何を求め、またシベリア側がどのように応じているのか、把握の一助になるかと考えます。(長谷直哉)


ウクライナ情報交差点
ウクライナ経済はどこまで耐えられるか

 キーウ国民経済大学のB.ダニリシン氏は、年初に発表した論考において、ウクライナ経済の2023年の成果と、2024年の課題について論じている。同氏によると、2023年のポジティブな成果は、以下の10点であるという。(服部倫卓)


コーカサス情報フォーカス
アルメニア外交の多角化は実現するか

 本誌2023年12月号の本連載「コーカサスとプーチン・ロシアの外交関係の変化」で紹介した通り、コーカサス諸国とロシアとの関係はここ数年で大きく変化している。そんな中で関係悪化が日本でも度々注目されているのがアルメニアだ。一方で今の状況は、これまでほぼロシア一辺倒だったアルメニアの外交が大きな転換期を迎えているということを意味するとも考えられる。そこで本稿では、2023年のアルメニア(パシニャン首相)の外交を「多角化」という観点で見てみることにした。(中馬瑞貴)


ロシア音楽の世界
R.コルサコフ 歌劇「雪娘」組曲

 ロシア5人組の1人。交響組曲「シェヘラザード」「スペイン奇想曲」など、多彩なオーケストレーションの作品や「熊ん蜂の飛行」で有名な彼であるが、実は海軍兵学校卒で海軍士官でもあった。1895年にリムスキー=コルサコフは、オペラの中の曲をもとに管弦楽組曲をまとめ上げた。4つの楽曲から成る。演奏時間は13〜15分程度である。大作の物語のあらすじだけでも読んでから聴いてみると、様々な自然の情景も浮かんで来るだろう。(ヒロ・ミヒャエル小倉)


シネマで見るユーラシア
クナシリ

 殺風景な原っぱでせっせと土を掘り起こしている男性がいる。そこから拾い上げられるのは醤油の小瓶や茶碗のかけらだ。彼は「日本人が使っていたものだ」と捨てる。茶碗のかけらを「これは雪舟(焼き)だ」などと言うが、何か高価なものを物色しているのだろうか。建物の土台だけが残された寺の跡地に立って、「しっかりした建築だ」と感心したあとに、「破壊は野蛮人がすることだ」とつぶやいたりもする。(芳地隆之)


おいしい生活
ウズベキスタンの色鮮やかで美味しいおもてなし

 写真はウズベキスタン・キルギス経済ミッションの際にウズベキスタンならではのおもてなしを受けたフェルガナ州知事主催の夕食会の様子。(斉藤いづみ)


記者の「取写選択」
民間人抑留者は死ねない

 12月の雨の中、2人の女性が墓に手を合わせた。ともに同姓同名のイリーナ・アヒコさん。1人は少年だった大戦後の1948年、引き揚げられずに暮らしていた樺太(サハリン)で反ソ活動の嫌疑で逮捕された後、旧ソ連カザフ共和国で抑留され、現地で2020年に89歳で死去した阿彦哲郎さんの娘。もう一人はそのイリーナさんの息子、つまり阿彦さんの孫の妻である。山形県酒田市にあるその墓には、哲郎さんの両親が眠る。(小熊宏尚)