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ロシアNIS調査月報2024年6月号特集◆脱・ロシア依存に向かう |
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特集◆脱・ロシア依存に向かうNIS経済 |
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調査レポート |
2023〜2024年のロシア・NIS諸国の経済トレンド |
調査レポート |
経済の脱ロシア依存を進めるモルドバ |
ビジネス最前線 |
ラオスからモルドバへ日本製日用品の展開 |
調査レポート |
ウクライナ金属産業概観 ―戦後復興の可能性― |
ミニレポート |
旧ソ連諸国の2023年乗用車市場の状況 |
データバンク |
2023年の日本の対NIS諸国貿易統計 |
キーパーソンに訊く |
ソ連崩壊後のジョージアの困難な歩みとともに |
ロシアメディア最新事情 |
ジョージアでデモと柔道教室を取材 |
コーカサス情報フォーカス |
秋の議会選挙に向けてジョージア政府刷新 |
ウクライナ情報交差点 |
ウクライナのレミッタンス受入に生じている変調 |
データリテラシー |
ロシアの貿易決済通貨における変化と現状 |
INSIDE RUSSIA |
ロシア農業の現場からの声 |
ロシア極東羅針盤 |
急ピッチで建設進む太平洋鉄道 |
シベリア・北極圏便り |
北極海域港湾におけるコンテナ取扱いの現状 |
シネマで見るユーラシア |
オリバーストーン オン プーチン |
ロシア音楽の世界 |
チャイコフスキー「感傷的なワルツ」 |
業界トピックス |
2024年4月の動き |
ロシアを測るバロメーター |
2024年4月末までの社会・経済の動向 |
通関統計 |
2024年1〜2月の対ロシア・NIS諸国輸出入通関実績 |
おいしい生活 |
ベシュバルマックいろいろ |
記者の「取写選択」 |
ロシアチョコの店 |
調査レポート
2023〜2024年のロシア・NIS諸国の経済トレンド
(一社)ロシアNIS貿易会ロシアNIS経済研究所
本誌では毎年6月号において、前年のロシア・NIS諸国の経済実績を踏まえつつ、各国の最新の経済動向について論評するという企画をお届けしている。本年も2023年のデータがほぼ出揃ったので、早速それを試みたい(『ロシアNIS経済速報』2024年4月15日および4月25日号より再録)。なお、モンゴルは一般的にはNISの範疇に入らないが、モンゴルも本レポートの対象に加えている。
調査レポート
経済の脱ロシア依存を進めるモルドバ
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 教授
服部倫卓
モルドバは、ウクライナ、ベラルーシ、ジョージア、アルメニアなどと同様、欧米(とりわけ欧州連合=EU)とロシアの間で揺れ動いてきた国である。個人的にも常に関心を寄せてきたが、2006年に一度現地調査を行い本月報でレポートを発表した程度で、充分なフォローはできていなかった。
そうした中、2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始すると、ウクライナと地理的に隣接する上に、国情も共通点の多いモルドバに、注目が集まった。「プーチンの次の標的」になってしまうのではないかという危機感が広がり、個人的にも過去2年間気が気でなかった。念願叶い、このほど筆者はモルドバで現地調査を実施する機会に恵まれ、またその予習・復習として集中的に情報収集・分析に取り組んだ。
モルドバは小国とはいえ、東欧の国際秩序の行方を左右する試金石となるはずなので、今回得た知見を様々な形で発信していきたいと考えている。本稿ではその一環として、まずは対外経済関係に絞り、主に貿易統計の整理を通じて、近年のモルドバの変容を確認することとする。モルドバの対外パートナーがロシアからEUにシフトしている現実が明らかになろう。付随して、沿ドニエストル共和国の貿易事情も取り上げる。
ビジネス最前線
ラオスからモルドバへ日本製日用品の展開
PTP EURO Company Managing Director
田宮東
今回はモルドバやジョージアで日本食品などの小売卸業を行っているPTPグループについて紹介します。同社は、ラオスでの事業を皮切りに、Phin Tokyo Plazaという名称の小売店舗を展開し、日本食品、化粧品、その他日用品の販売を行っています。旧ソ連地域では、モルドバおよびジョージアですでに店舗を開設しており、今後はアゼルバイジャンへの展開も検討しているとのことです。
調査レポート
ウクライナ金属産業概観
―戦後復興の可能性―
(一社)ロシアNIS貿易会ロシアNIS経済研究所
研究員 渡邊光太郎
ウクライナにとっては、金属産業は存在感が大きいものだろう。ロシアが金属生産大国なので、ウクライナも同様と誤解されやすい。しかし、ノリリスク・ニッケル社のように生産する金属の市場に影響力がある企業は存在しない。確かに、付加価値の低い品目では、ウクライナの金属製品に価格競争力があったものが存在した。しかし、ウクライナは資源国と呼べるほどの資源に恵まれておらず、金属製造業も技術力が高いとは言い難い。ロシア、カザフスタン、ウズベキスタンの金属産業が持つような強みを見出しにくい。
金属産業はウクライナの産業の中では比較的規模が大きい。低付加価値品ながら輸出品目も持っていた。戦後のウクライナとしては、何とか金属産業を復活させたいと願うだろう。しかし、仮に2014年のウクライナの金属産業を再現できたとして、持続可能性があるか要検討であろう。復興は単純に元に戻すだけでは無理で、高度なグランドデザインが必要となる。グランドデザインを練るだけで年単位の仕事となるだろう。
ウクライナ金属産業復興のグランドデザインなどとても無理なので、本稿はウクライナの金属産業について、概略を描き出すことを目指す。現状、ウクライナの金属産業は戦争で大きな被害を受け、生産が停止している企業も少なくない。しかし、生産停止と書くのみでは、可能性や平時の能力はまったく分からない。本稿では破壊された現状とともに、開戦前の生産量等を総合して産業的実力を描き出す。
ミニレポート
旧ソ連諸国の2023年乗用車市場の状況
(一社)ロシアNIS貿易会ロシアNIS経済研究所
名誉研究員 坂口泉
本稿では旧ソ連諸国のうちウクライナ、カザフスタン、ベラルーシの3カ国をとりあげ、それぞれの国の2023年の乗用車市場の状況をご紹介する。その他、ウズベキスタンの自動車生産の現状もご紹介する。
データバンク
2023年の日本の対NIS諸国貿易統計
恒例により、日本財務省発表の貿易統計にもとづいて、2023年の日本とNIS諸国との貿易に関し、データをとりまとめて紹介する。日本とロシアの貿易については、すでに5月号に掲載済みである。日本とNISとの貿易に加え、モンゴルとの貿易データも取り上げている。
キーパーソンに訊く
ソ連崩壊後のジョージアの困難な歩みとともに
ジョージア発展基金監査役会会長
ダヴィド・サガネリーゼ
ソ連崩壊後のジョージア経済のあゆみを体現する、ジョージア発展基金監査役会・ダヴィド・サガネリーゼ会長のインタビューをお届けします。サガネリーゼ氏の人生は波瀾万丈でした。エリート外科医として活躍した後、ジョージア初の私立病院経営を経て、国会議員へと転身を果たし、ビジネスの発展を目指して政党を設立しました。経営、金融、経済、ヘルスケア分野のスペシャリストであり、2015年からジョージア発展基金の前身であるパートナー基金の総裁を務め、2023年11月に現職に就任しました。インタビューはトビリシにある発展基金のオフィスで行いました。
ロシアメディア最新事情
ジョージアでデモと柔道教室を取材
4月中旬にジョージアを訪問する機会があったので、今回はロシアではなくジョージアについて取り上げます。トビリシは春でも日差しが強烈で、モスクワから行った私にとって、驚くほどの暑さでした。街を歩くと壁にはウクライナとイスラエルの国旗の絵が描いてあり、両国を支持するメッセージが添えられていました。私の滞在中は毎日、議事堂前で1万人規模のデモが行われていました。デモ推進派・反対派の意見をそれぞれお伝えするとともに、日本とジョージアを繋ぐスポーツ、柔道に対する取り組みについてもご紹介します。(徳山あすか)
コーカサス情報フォーカス
秋の議会選挙に向けてジョージア政府刷新
世界的な選挙ラッシュといわれる2024年。大統領選挙が注目されるが、議院内閣制の国にとっては議会選挙が重要であり、コーカサスのジョージアもその1つだ。秋に控える選挙を前に、2024年1月29日、ガリバシヴィリ首相が辞任を表明し、親首相には与党「ジョージアの夢」の党首を務めるコバヒゼが就任。代わりにガリバシヴィリが「ジョージアの夢」党首に就任するという交代劇が起きた。加えて、同党の「影のリーダー」と言われる創設者のイヴァニシヴィリが政界に復帰。議会選挙を前に、なぜ体制を整える必要があるのか。(中馬瑞貴)
ウクライナ情報交差点
ウクライナのレミッタンス受入に生じている変調
国内で良い働き口が乏しいウクライナでは、働き盛りの市民がEU圏等の外国に働きに出る現象が拡大していた。そして、彼らが本国にもたらす送金、いわゆる「レミッタンス」が経済を支える度合いが年々強まり、国外出稼ぎがいわば「影の基幹産業」のようになっていた。ウクライナ中央銀行が最新の2023年の受入データを発表したので、今回はこれを取り上げることとしたい。(服部倫卓)
データリテラシー
ロシアの貿易決済通貨における変化と現状
米国が2023年12月22日に実施した対ロ追加制裁の影響が深刻化していると報じられています。この追加制裁では、米国外の外国金融機関がロシア軍需産業やその他制裁対象に関連する送金や決済を取り扱った場合に二次制裁を科すことが明確化されました。これを契機に、中央アジアなどのロシア周辺国、トルコ、UAE、中国などの多くの国々の金融機関でロシア向け決済の遅延や停止が相次いでいます。特に、ロシアによるウクライナへの全面侵攻以降に対ロ貿易額が急拡大した中国の動きがロシアでも注目されています。(長谷直哉)
INSIDE RUSSIA
ロシア農業の現場からの声
このほどロシアの「ヤコフ・イ・パルトニョールィ」という調査機関が、農業生産企業へのアンケート調査を実施し、その結果をレポートとして発表した。この調査は、2023年12月から2024年1月にかけ、ロシアの大手農業企業のマネージャークラス98名を対象に実施された。1年前にも同様の調査を行っており、前回の結果とも対比しつつ、今回の調査結果が示されている。ロシア農業の現状に関し、現場の生の声を伝えるものとして興味深いので、以下このレポートを紹介したRIAノーヴォスチの記事を抄訳する形でお伝えする。(服部倫卓)
ロシア極東羅針盤
急ピッチで建設進む太平洋鉄道
ロシア最大級の石炭採掘地帯が広がるサハ共和国南部。この場所からオホーツク海沿岸を最短で結ぶ500km以上の鉄道の建設がいま急ピッチで進んでいる。バム鉄道以来の大規模な鉄道の建設は、大手採炭会社主導で進められる一大プロジェクトである。鉄道の開通はバム鉄道とシベリア鉄道に限られてきたロシア東部のモノの流れを変えることになり、両線の混雑緩和も期待されている。(齋藤大輔)
シベリア・北極圏便り
北極海域港湾におけるコンテナ取扱いの現状
今回はロシアの北極海域港湾におけるコンテナ取扱い状況というややマイナーなテーマに焦点をあてます。(長谷直哉)
シネマで見るユーラシア
オリバーストーン オン プーチン
2015年7月から2017年2月までの間、複数回にわたって行った映画監督・オリバー・ストーンによるロングインタビューである。この作品が、米国のテレビで放映された際、プーチンに迎合しているという批判が強かった。(芳地隆之)
ロシア音楽の世界
チャイコフスキー「感傷的なワルツ」
月22日、紀尾井ホールで、今年も文化フェスティバルのオープニングが開催された。冒頭、両国代表の挨拶として、3月に着任したばかりの駐日ロシア連邦大使のノズドレフ閣下とフェスティバル日本組織委員会の栗原小巻・副代表がスピーチされた。栗原小巻女史は俳優座の新人の頃、戯曲「森は生きている」に出演したことは昨年このコラムでも書いたが、日ソ共同制作の映画「モスクワわが愛」にも主演している。(ヒロ・ミヒャエル小倉)
記者の「取写選択」
ロシアチョコの店
伝統的なロシアチョコレートを製造販売する洋菓子店が新潟市にある。JR新潟駅から15分ほど西へ歩くとРусский Шоколад Мацуя с 1930 года(ロシアチョコレート マツヤ1930年創業)と壁に書かれた一軒家が目に入る。(小熊宏尚)