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ロシアNIS調査月報2025年12月号特集◆新しい局面に立つ |
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特集◆新しい局面に立つコーカサスの国々 |
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イントロダクション |
コーカサスの政治・経済概況 |
調査レポート |
アゼルバイジャン=アルメニア和平の現段階 ―米国外交の存在感と残された問題― |
調査レポート |
トルコの対コーカサス政策とテュルク世界構想 ―アゼルバイジャン連携とタジク外交の展開― |
イベントレポート |
開かれるアルメニアの経済ポテンシャル |
キーパーソンに訊く |
域内初の女性大使としてアルメニアの認知度向上へ |
イベントレポート |
第12回日本アゼルバイジャン経済合同会議 |
ミニレポート |
現地専門家が見る日本とコーカサスの関係 |
コーカサス情報フォーカス |
現政権下でジョージアはどこへ向かうのか |
おいしい生活 |
東欧ワインフェアにアルメニア・ジョージア産 |
講演録 |
インドの対ロシア政策 ―2国間パートナーシップの堅持と多国間連携の強化― |
INSIDE RUSSIA |
ロシア鉱工業生産と鉄鋼業の動向 |
データリテラシー |
日ロ間の人流不均衡 |
エネルギー産業の話題 |
ロシアのガソリン問題の背景 |
ロシア極東羅針盤 |
ロ朝国境経済協力の再始動 |
ロシア政財界人物録 |
シルアノフ財務相の発言に見る財政の方向性 |
ロシアメディア最新事情 |
芸術の秋はモスクワで日本文化イベントラッシュ |
ドーム・クニーギ |
石川知仁著『誰も知らないロシア 若手外交官が見た隣国の素顔』 |
ウクライナ情報交差点 |
EUがウクライナ産農産物・食品に一層の市場開放 |
中央アジア情報バザール |
カザフスタンが目指すAI・デジタル発展 |
ロシア音楽の世界 |
中央アジアでの文化交流プロジェクト |
シネマで見るユーラシア |
『スターリンの狂騒葬送曲』 |
業界トピックス |
2025年10月の動き |
通関統計 |
2025年1〜9月のロシア・NIS輸出入通関実績 |
記者の「取写選択」 |
レーニンとスターリンの乾杯 |
イントロダクション
コーカサスの政治・経済概況
(一社)ROTOBO ロシアNIS経済研究所 主任
中馬瑞貴
カスピ海と黒海に挟まれて東西に連なるコーカサス山脈とその周辺を取り囲む低地を指すコーカサス(ロシア語読みで「カフカス」ともいう)地域。一般的に、山脈を分水嶺として、北側を北コーカサス、南側を南コーカサスと呼び、北コーカサスはロシア連邦の一部を成す共和国が広がるのに対して、南コーカサスはアゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア(2015年まではロシア語読みのグルジアが主流であった)の3カ国を指す。
本誌は後者の南コーカサスに焦点を当てた特集となっている。そこでまずは冒頭の本稿でこれら3カ国の政治・経済について概観し、各国が抱える課題と展望について考察する。また、コーカサスとの関係において無視することのできないロシアおよび近年この地域でプレゼンスを急拡大させている中国との関係についても触れ、そこから日本との関係の可能性についても展望してみることにしたい。
調査レポート
アゼルバイジャン=アルメニア和平合意の現段階
―米国外交の存在感と残された問題―
慶應義塾大学総合政策学部 教授
廣瀬陽子
長年、アゼルバイジャンとアルメニア両国は緊張関係にあったが、その元凶はカラバフ(ナゴルノ・カラバフ)をめぐるナゴルノ・カラバフ紛争(戦争)やそれに絡む諸問題であった。(中略)
アゼルバイジャンの同地域の完全奪還後、和平は主にアゼルバイジャン、アルメニア両国の直接交渉で進められた。そして、2025年8月にまだ多くの問題が残っているとはいえ、一応の和平が達成された。本稿では現時点での和平の状況を分析するとともに、今後の課題を検討する。
調査レポート
トルコの対コーカサス政策とテュルク世界構想
―アゼルバイジャン連携とタジク外交の展開
(公財)中東調査会 主任研究員
金子真由
コーカサスは、長らくトルコ外交において「周縁地域」と見なされてきたが、近年その位置づけは急速に変化している。とりわけ、エルドアン政権下で顕著となった「戦略的自律性」の追求は、同地域を中東政策の延長線上ではなく、欧亜接続の要衝として再定義する契機となった。ロシアの影響力が相対的に後退し、欧米の関与が限定される中、トルコはコーカサスを通じて自国の外交的・経済的空間を拡張しようとしている。
本稿は、こうしたトルコの対コーカサス戦略を、@アゼルバイジャンとの二国間関係、A地域秩序の形成過程、Bテュルク諸国家機構(OTS)を軸とする制度化の動き、という3つの視点から検討することを目的とする。
イベントレポート
開かれるアルメニアの経済ポテンシャル
2025年9月4日(木)、ROTOBOは在日アルメニア大使館およびアルメニア国営投資振興機構「エンタープライズ・アルメニア」との共催で、大阪・関西万博のアルメニア・ナショナルデーに合わせて訪日した同国代表団によるプレゼンテーション「開かれるアルメニアの経済ポテンシャル〜投資機会と日本とのビジネス対話の可能性〜」を開催した。
コーカサスの小国であるアルメニアは、近年、IT先進国として国際的に高い評価を受けており、特にソフトウェア開発分野における人材の豊富さや、国内の発達したスタートアップ・エコシステムが世界のビジネス界の注目を集めている。こうした中、本イベントは、日本ではまだ情報の乏しいアルメニアについて、同国の経済政策、主要産業、投資環境・誘致政策、企業情報等を広く紹介する貴重な機会となった。
本イベントの様子はオンラインでも配信され、当日の来場者と併せて総勢106人が参加・視聴した。以下、概要をご報告する。(構成:大隅優香)
キーパーソンに訊く
域内初の女性大使としてアルメニアの認知度向上へ
駐日アルメニア共和国特命全権大使
モニカ・シモニャン
今回は本年5月に着任されたシモニャン駐日アルメニア共和国特命全権大使のインタビューをお届けします。ROTOBO事業対象国の中では初の女性大使であるシモニャン大使。インタビュー直後の10月19日には、東京都が主催する「第7回女性首長によるびじょんネットワーク」に登壇され、外交官になること、そして大使になることが昔からの夢だったと語られていました。今でこそ、女性大使は世界中でそれほど珍しくなくなりましたが、たくさんの努力を重ねられて夢を実現されたのはとても素敵なことです。そんなシモニャン大使にアルメニアの魅力や外交方針、周辺国との関係などについてお話を聞かせていただきましたので、以下でご紹介します。(聞き手:中馬瑞貴)
イベントレポート
第12回日本アゼルバイジャン経済合同会議
日本アゼルバイジャン経済委員会は、両国間の貿易・投資振興と経済等協力関係の発展を目的に1998年に設立された。現地カウンターパートはアゼルバイジャン日本経済協力国家委員会で、本年4月に、ロフシャン・ナジャフ・アゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)総裁が新議長に任命された。これまで現地側議長は政府閣僚が務めており、企業人が就任するのは初めてのことである。アゼルバイジャン側新体制のもとで、今回の第12回合同会議は前回から3年ぶり、日本では約6年ぶりの開催となった。
日本側からは山田哲也日本アゼルバイジャン経済委員会会長/伊藤忠商事(株)執行役員 エネルギー・化学品カンパニー エネルギー部門長を筆頭に経済委員会会員企業8社、経済産業省、外務省、政府関係機関、企業代表者88名、アゼルバイジャン側からはナジャフ・アゼルバイジャン日本経済協力国家委員会議長/SOCAR総裁をはじめ省庁および企業代表者ら24名が参加し、活発な議論が行われた。また会議の枠内で行われた署名式では、合同会議議定書とともに、日本とアゼルバイジャンの間で複数の文書が署名された。以下、合同会議の概要についてご報告する。(構成:中馬瑞貴)
ミニレポート
現地専門家が見る日本とコーカサスの関係
日本では、まだまだ知名度の低いコーカサス地域。コーカサス全体はもちろん、対象国であるアゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア3カ国と日本の個別の関係も含めてまとまった分析がなされることは非常にまれである。一方、現地では日本との関係がどう評価されているのだろうか。今回、「南コーカサス」政治学者クラブの代表を務めるアゼルバイジャンの政治学者イリガル・ヴェリザデ氏がまとめた日本とコーカサスの関係に関する分析記事を入手し、本人から掲載許可をいただいたので、以下では、その抄訳をご紹介する。(中馬瑞貴)
コーカサス情報フォーカス
現政権下でジョージアはどこへ向かうのか
ジョージアで10月4日、統一地方選挙が実施された。3,061の選挙区で投票が行われた地方自治体議会選挙では現与党の「ジョージアの夢(GD)」が全体で8割を超える支持を獲得し、全自治体で議会の過半数を確保したほか、主要な市長職も同党の候補者が獲得した。(齋藤竜太)
講演録
インドの対ロシア政策
―2国間パートナーシップの堅持と多国間連携の強化―
岐阜女子大学南アジア研究センター 特別客員准教授
笠井亮平
9月19日(火)、ROTOBOは「インドの対ロシア政策―2国間パートナーシップの堅持と多国間での連携強化」と題する報告会をリモートで開催した。今回の報告会では、岐阜女子大学南アジア研究センターの笠井亮平特別客員准教授を講師としてお招きし、インドにとってのロシアの重要性、「陸」と「海」で異なる外交の重点、インド国内におけるロシアのプレゼンス、「トランプ関税」の発動が印ロ関係にもたらす影響、BRICSやSCO、RICにおける連携などについてご報告いただいた。以下では、今回の報告要旨をご紹介する。
INSIDE RUSSIA
ロシア鉱工業生産と鉄鋼業の動向
本コーナーではロシア統計局発表の鉱工業生産統計を四半期に一度図表にまとめて紹介するのが恒例化している。今般2025年1〜9月の統計が発表されたので、いつものようにお目にかけたい。なお、今般2024年のデータも改定されたので、ご注意願いたい。ただ、不振の色は次第に濃くなっているものの、鉱工業生産の全体的なトレンドに、それほど大きな変化はない。毎度同じような総論ばかり述べていても仕方がないので、今回は鉱工業生産の中でも基幹部門の一つである鉄鋼業について触れることにする。(服部倫卓)
データリテラシー
日露間の人流不均衡
急増する日本へのロシア人観光客に関する報道がたびたび話題になりますが、その中でも在ロシア日本大使館がロシア人向け査証業務を民間委託するべく、モスクワとサンクトペテルブルグにビザセンターを開設する準備を進めているとのニュースは重要な動きの1つでしょう。(長谷直哉)
エネルギー産業の話題
ロシアのガソリン問題の背景
ロシアでは供給不足を背景とするガソリン価格の高騰が続いており大問題になっています。ただ、ロシアでそのような状況が生じるのは今回が初めてではなく、ほぼ毎年、どこかの地域で問題が生じています。今年は、ウクライナのドローン攻撃を受け操業を停止する製油所が続出したため、問題がより深刻化したものと推測されます。今回は、ロシアのガソリン問題の背景にある根本的原因、過去に生じたガソリン問題の事例、現在のロシアの石油製品市場の状況等についてご説明します。(坂口泉)
ロシア極東羅針盤
ロ朝国境経済協力の再始動
ロシアと北朝鮮の国境を流れる豆満江に、自動車専用橋を建設するプロジェクトが始動した。この計画は、両国の緊密な関係を象徴する協力事業であり、プーチン大統領は2025年9月の東方経済フォーラムで「来年(2026年末)までに完成させる」と明言している。(齋藤大輔)
ロシア政財界人物録
シルアノフ財務相の発言に見る財政の方向性
今回は、2025年9月9日付RBC紙に掲載されたシルアノフ財務相へのインタビュー記事を基に、関連する他報道の情報も統合しつつ、同氏から発せられるロシア財政政策の基本方針やその他関連事項に関し、整理しておきます。なお、以下のセクションでは文体を変えて記載します。(長谷直哉)
ロシアメディア最新事情
芸術の秋はモスクワで日本文化イベントラッシュ
10月はここ数年で稀に見る数の日本の文化人がロシアを訪れ、毎週末、日本に関連したイベントの取材で忙しくしておりました。在ロシア日本大使館の見解として、「人道目的や、ビジネス、芸術、教育、研究、留学を目的としたロシア渡航・滞在」を、「真にやむを得ない事情」とみなしたことも影響しているのかもしれません。取材した中で、特に印象に残った2つのイベントをご紹介します。(徳山あすか)
ウクライナ情報交差点
EUがウクライナ産農産物・食品に一層の市場開放
このほど、EUとウクライナの貿易協定が改定され、EU側がウクライナ産農産物・食品に設定していた「関税割当」が更新された。これまでの経緯を整理するとともに、今般の改定につき報告する。(服部倫卓)
中央アジア情報バザール
カザフスタンが目指すAI・デジタル発展
2025年9月8日、トカエフ・カザフスタン大統領は毎年恒例の教書演説を行った。今年は「AI時代のカザフスタン:デジタル・トランスフォーメーション(DX)による今日的課題とその解決」と題する演説で、カザフスタン経済の競争力強化に向けて、大規模なデジタル化とAI技術の導入を実現し、さらなる経済発展を進めていくという意向が表明された。(中馬瑞貴)
ロシア音楽の世界
中央アジアでの文化交流プロジェクト
昨年2024年、一昨年2023年に引き続き、中央アジアの国々との文化交流イベントが開催された。本年は、カザフスタンとウズベキスタンの両共和国を訪問。開催都市は、カザフスタンの旧都アルマトィ、ウズベキスタンの首都タシケント。企画主催は、筆者も参画している国際文化交流プロジェクト委員会であった。(ヒロ・ミヒャエル小倉)
シネマで見るユーラシア
『スターリンの狂騒葬送曲』
閉じられた世界で繰り広げられる、滑稽だが、これを単に笑い飛ばせるだろうか、と考えさせられる群像劇である。(芳地隆之)
記者の「取写選択」
レーニンとスターリンの乾杯
「ご存じですか?1905年にヴラジーミル・レーニンはこの部屋の陰謀者時計(conspirators’ clock)の下でヨシフ・スターリンと会っていたのです」。ロンドン中心部に近い閑静な住宅街にたたずむ歴史あるパブCrown Tavernの奥まった小部屋に、チョークでこう書かれた黒板がある。(小熊宏尚)







