JKA機械工業振興事業(平成20年度)

2009年6月

平成20年度 ロシア・CIS諸国との貿易経済交流補助事業

1.補助事業の概要

()事業の目的

 当該補助事業においては、特別報告書等の媒体を通じた情報提供活動を政府関係者および企業関係者に行うとともに、セミナー開催を行うことにより、日本とロシア・CIS諸国との貿易経済交流活発化に資する活動を行うことを目的とする。特に、平成20年度においては、ロシア・CIS諸国の政治経済の安定化および世界経済への統合化の過程が進み、日本からの貿易・投資の機会が増していることを踏まえ、機械産業を中心とする具体的な日本企業のビジネスチャンスの拡大を見越した情報の収集および提供、ビジネスチャンスの機会拡大を行うことを最も重要な課題のひとつとしている。

 本事業は、貿易関係者は言うに及ばず、政府諸官庁および調査機関、大学等に非常に高く評価されており、更に事業の継続と一層の発展を期待されている。事業対象国の経済ビジネス情報の総合的な提供元としては日本で唯一の組織であり、特にロシアとの関係では、2003年末に日露貿易投資促進機構の設立が決定されたこともあり、ロシア・CIS諸国との貿易投資関係がこれまで薄かった企業の当該諸国との貿易投資関係を強化することを促し、機械工業関係等の日本企業の市場拡大に貢献することが期待され、事業の存在意義は大きい。

 

(2)実施内容

ア.日本企業のグローバル経済化におけるロシアCIS諸国との機械産業の貿易投資可能性調査

 「ロシアの家電・流通市場の発展と日本企業の進出状況」の調査・研究

 近年の原油価格の高騰に伴い、ロシア経済が好調を持続しているなか、とりわけ消費市場の活況が顕著であり、日本製品では自動車とならんで家電製品の販売が急激に伸びている。しかしながら、ロシアの通関はグレーな部分が多く、日系企業のロシア現地法人が自ら輸入を行っているケースは少ないのが現状である。そこで本事業では、ロシア市場をどのように評価し、どこからコントロールするかという問題意識をベースとして、当会職員ならびに外部専門家をロシアおよびドイツに派遣し、ロシアに進出している、もしくは欧州に拠点を構えてロシアビジネスを展開している日本の家電メーカー担当者へのヒアリングを行うことで、日系家電製品のロシア市場におけるプレゼンスのさらなら強化に資する情報収集を行い、調査テーマ「ロシアの家電・流通市場の発展と日本企業の進出状況」についての調査を実施した。

  

「ロシア家電量販店で販売されている液晶テレビ」(平成2010月、現地調査)

 

イ.ロシア・CISの地域開発と機械設備需要調査

 ロシア・CIS諸国のいくつかの国では、過去数年、資源・素材産業の活況や消費ブームが生じ、経済が急成長を遂げてきた。これらの国々では、経済発展を次のステージに進めるべく、製造業の育成、基礎インフラの近代化と刷新、科学技術・イノベーションの促進などが課題として意識されるようになっている。これに伴い、我が国の企業にとっても機械設備を輸出する可能性が、従来にも増して高まってきた。ただ、我が国においてはロシア・CIS諸国の産業動向に関する基礎情報が不足しているだけに、輸出のビジネスチャンスを充分に活かしきれていない現実がある。

 そこで、本事業においては、「ロシア・ウクライナの基幹産業と機械設備需要」についての調査を実施した。CIS諸国のなかでもとりわけ機械設備需要が大きいと考えられるロシアとウクライナを対象に、その基幹産業の動向と機械設備需要について調査し、その成果をもとに報告書を取りまとめた。

 

見本市「ロシア工業週間」を視察(平成2011月、現地調査)

 

ウ.日本とロシア・CISとの地域を基盤とする産業貿易投資促進

(ア)日本の地方とのビジネスミーティング・セミナー実施

 日ロの経済関係発展の機運が高まるなか、これまで、ロシアになじみのない日本の企業もロシアへの関心を高めつつある。しかしながら、特に地方でのロシア企業とのコンタクトは難しく、手探りの企業も多い。日本の地方とのビジネスミーティング・セミナー実施は、ファーストコンタクトおよび具体的ビジネスミーティングに繋がるように、地方の日本企業とロシア企業の貿易投資の促進を目的に実施された事業である。米子、函館、浜松、鹿児島で、ロシア人講師を招聘し、ロシア極東ビジネスセミナー(米子)、函館港セミナー(函館)、ロシア極東ビジネスセミナー(浜松)、ロシア・ビジネスセミナー(鹿児島)の4回のセミナーを実施し、日本企業に対してロシアのビジネス環境、産業の状況、具体的なコンタクト方法の説明を行い、日本企業とロシア企業の橋渡しを行った。

 

「函館港セミナー」(平成201226日)

「ロシア・ビジネスセミナー(鹿児島)」(平成2124日) 

() ロシア及びCISの地方との機械産業ビジネス交流促進事業

 現地で開催されるフォーラム、会議に出席して、ロシア、CIS諸国との人的交流を行い、企業訪問、関係地域への訪問調査等を実施することにより、通常では入手困難な情報を収集し、日本企業のロシアおよびCIS諸国に対する関心に応え、ビジネスチャンスの拡大に貢献した。また、在モスクワに日本企業の責任者(事務所長、現地法人社長等)と頻繁にコンタクトし、業界の現状を把握した。さらに、「Moscow Business News (Eメール配信)9回発行し、会員、関係機関等にロシアの産業、経済、科学技術等に関する情報を提供した。

Moscow Business News No83 (平成201226日発行)

 

2.予想される事業実施効果

ア.日本企業のグローバル経済化におけるロシアCIS諸国との機械産業の貿易投資可能性調査

 ロシアでの家電製品輸出の強化や現地生産の可能性を検討している日本企業が数多く存在するが、前者の場合はロシアの通関の現状、後者ではロシアの飛び地であるカリーニングラード州の経済特区の現地企業への生産委託システムに関する情報不足が企業の戦略を定める際のネックになっている。そのような状況の中で、ロシアの家電市場に関する具体的な情報と既進出企業のロシア市場に関する評価を提供することは大きな意義がある。

 

イ.ロシア・CISの地域開発と機械設備需要調査

 ロシアとウクライナは、ロシア・CIS地域のなかでも機械設備需要が大きい国であるが、両国の経済に関しては通俗的な情報が氾濫している半面、ベーシックで信頼するに足る経済・産業情報が欠落しており、これが輸出振興の妨げになっていた。こうしたことから、今回の調査事業により、その欠落を補うことができたのはきわめて有意義であり、日本から両国への機械輸出の促進に大いに資するものと考えられる。また、平成20年度の半ばに世界的な金融・経済危機が発生し、今回の報告書にはその影響に関する分析を最大限盛り込んだので、この点も同地域への輸出を検討する日本企業の関心に直接的に応えるものであったと考えられる。

 

ウ.日本とロシア・CISとの地域を基盤とする産業貿易投資促進

() 日本の地方とのビジネスミーティング・セミナー実施

 米子、函館、浜松、鹿児島においてのセミナーで、ロシア極東地域における農産物や水産物、中古車ビジネス等の具体的なビジネスの可能性が提示されるとともに、日本企業と具体的なビジネス交流の場も設けられ、ロシアビジネスに関心のある地方企業が、ロシアビジネスに参加できる効果が期待される。

 

() ロシア及びCISの地方との機械産業ビジネス交流促進

 ロシアおよびCIS諸国の動向は予断を許さないので、的確な情報源を発掘し、接触することが緊要である。特に、市場経済化が進み、政府関係以外の民間部門の動向が重要な役割を占め、他方、日本側のこれら諸国への関心も高まっており、ビジネスチャンスを逃さないためにも、ロシアおよびCIS諸国に関する各種情報の収集並びに人的交流の必要性はますます重視されることになると期待される。

 

3.本事業により作成した印刷物等

ア.日本企業のグローバル経済化におけるロシア・CIS諸国との機械産業の貿易投資可能性調査

報告書「ロシアの家電・流通市場の発展と日本企業の進出状況」

 

イ.ロシア・CISの地域開発と機械設備需要調査

報告書「ロシア・ウクライナの基幹産業と機械設備需要」

 

ウ.日本とロシア・CISとの地域を基盤とする産業貿易投資促進

() 日本の地方とのビジネスミーティング・セミナー実施

報告書「日本の地方とのビジネスミーティング・セミナー資料集(米子、函館、浜松、鹿児島)」

() ロシア及びCISの地方との機械産業ビジネス交流促進

報告書「Moscow Business News ダイジェスト」

 

4.事業内容についての問い合わせ先

団体名 : 社団法人 ロシアNIS貿易会(ロシアエヌアイエスボウエキカイ)
住所 : 104-0033  東京都中央区新川1-2-12 金山ビル
代表者 :  会長 西岡 喬(ニシオカ タカシ)
担当部署 : 総務部(ソウムブ) 
担当者名 : 調査役 井上 美佐子(イノウエ ミサコ)
電話番号 : 03-3551-6215
FAX 番号 : 03-3555-1052
E-mail webmaster@rotobo.or.jp U R L http://www.rotobo.or.jp