ロシアNIS調査月報2009年9-10月号特集◆ロシアの貿易と家電市場 |
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特集◆ロシアの貿易と家電市場 |
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調査レポート |
2008年のロシアの貿易統計 |
調査レポート |
ロシアの白物家電市場 ―日系メーカーの巻き返しは可能か― |
調査レポート |
ロシアのAV家電市場と日系企業 |
ビジネス最前線 |
ロシア白物家電市場に必要な欧州の視点 |
ビジネス最前線 |
今は我慢のロシア家電ビジネス |
ミニレポート |
ベラルーシの対ロシア家電輸出 |
調査レポート |
動き出すロシアのアジア・太平洋向け石油輸出 |
ミニレポート |
ロシアは穀物輸出大国になれるか |
ミニレポート |
ロシア南部クラスノダル地方の経済 |
データバンク |
2009年上半期の日ロ貿易 ―自動車輸出の低迷が響く― |
ドーム・クニーギ |
塩原俊彦著『「軍事大国」ロシアの虚実』 |
研究所長日誌 |
1956年の日ソ共同宣言とその時代 |
クレムリン・ウォッチ |
大国の地位をかけた米ロ戦略核交渉 |
エネルギー産業の話題 |
ウズベキスタン・ガス産業の近況 |
自動車産業時評
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地域別データに見るロシア乗用車市場の現況 |
ロシアビジネスQ&A |
◎ロシアにアイスクリームを輸出 |
業界トピックス
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2009年7月の動き ◆広告大手ADKのロシア事業 2009年1〜6月の通関統計 |
2008年のロシアの貿易統計
ロシアNIS経済研究所 次長
服部倫卓
はじめに
ロシア連邦関税局が発行する『ロシア連邦外国貿易通関統計』の2008年年報が刊行され、2008年の同国の貿易動向に関する詳しいデータが明らかになった。そこで以下では恒例により、ロシア通関統計およびその他の資料を駆使し、同国の最新の貿易統計を詳細に紹介するとともに、データに関する解説をお届けすることにする。
その際に、2008年の貿易を語るうえでは、やはり経済危機の要因を避けて通れないので、若干ながらその問題にも言及することにする。また、今号では貿易に関連付けて家電セクターをピックアップする特集を組んでいるので、家電の貿易データに関しても焦点をあてる。
ロシアの白物家電市場
―日系メーカーの巻き返しは可能か―
ロシアNIS経済研究所 次長
坂口泉
はじめに
1.冷蔵庫
2.洗濯機
3.冷蔵庫・洗濯機を生産する外資メーカー
4.エアコン
おわりに
はじめに
ロシアの白物家電市場には多くの外国メーカーが参入しており、現地工場を保有しているところも少なくない。とくに欧州、トルコ、韓国のメーカーの動きの活発さが目立つ。日本メーカーのプレゼンスは全般的に高いとはいいがたいが、エアコンに代表されるいくつかのセグメントでは比較的プレゼンスが高くなっている。本稿では、白物家電市場の核を形成する冷蔵庫および洗濯機市場のほか、日本メーカーのプレゼンスが高いエアコン市場の状況も紹介する。
ロシアのAV家電市場と日系企業
ロシアNIS経済研究所 調査役
芳地隆之
はじめに
1.AV家電の市場規模
2.日系家電メーカーの動き
はじめに
日本製家電製品は自動車と並ぶロシア市場における有力商品である。なかでもAV家電は2000年代後半以降、市場規模を拡大しており、家電製品全体における比重を高めている。そうした流れに合わせて、日系家電メーカーはロシアに現地法人を設立し、これまで主流であったオフショア取引から、自社輸入・自社販売への移行を進めていった。同時に、多くの外資企業が活用していたカリーニングラード州経済特区の現地企業にテレビの生産を委託するスキームに変化が生じ、複数の日本または韓国のメーカーは、カリーニングラードのテレバルト、バルトミクス、ラジオインポルト等での委託生産を中止している。
日系メーカーとしては、今後も完成品を輸入・販売しながら、カリーニングラードに限らず、ロシア全体でElectronics Manufacturing Service(EMS)の形での生産委託を検討するというのが当面の展開だと思われる。その先には自社工場の建設の可能性も考えられるが、本稿では転機を迎えているロシア家電市場、とりわけ日系企業のプレゼンスの大きいAV家電を中心に、当外市場の発展を振り返るとともに、今後の動きについて考えてみたい。
ビジネス最前線
ロシア白物家電市場に必要な欧州の視点
東芝コンシューマ マーケティングシンガポール社
モスクワ事務所長 森孝二さん
はじめに
テレビを中心とした日本製AV家電の人気は周知のとおり。モスクワの街中には大きな広告がいたるところに出され、家電量販店に行けば、日本の名だたるブランドがずらりと並んでいます。一方、冷蔵庫や洗濯機といった日常生活に密着した家電製品となると、まだまだ市場に浸透していないのが現状です。今回は、東芝のモスクワ事務所で、高級冷蔵庫の販売を中心にロシアビジネスに携われている森さんより、同市場の現状から今後の予測、市場戦略などについて、ご意見を寄せていただきました。
ビジネス最前線
今は我慢のロシア家電ビジネス
株式会社インターアクト
代表取締役 関田啓司さん
はじめに
1970年代初めに(社)日ロ貿易協会に入り、主にロシアでの見本市事業に携わってこられた関田さんが、インターアクトを設立したのは1996年のこと。木材の輸入事業を手始めに、その後は自動車、発動機、フォークリフトなど、様々な日本製品の輸出にも携わり、現在のインターアクトのロシア向け輸出は家電製品、釣具、陶器、化粧品が四本柱となっています。今回は、そのなかの家電(電気ポット)について、ロシアの量販店との関係もあわせてお聞きしました。
ミニレポート
ベラルーシの対ロシア家電輸出
はじめに
今号掲載のレポート「2008年のロシアの貿易統計」で論じているように、ロシアの通関統計の難点として、ベラルーシとの貿易データが記録されないという問題がある。この問題は、ロシアの家電市場を分析する際に、とりわけ障害となる。なぜなら、ベラルーシは小国ながら製造業立国として一目置かれる存在であり、ロシア市場に大量の家電品を輸出しているからだ。とりわけ、冷蔵庫とテレビについて、このことが当てはまる。
そこで、以下この小レポートでは、ベラルーシ側の統計にもとづいて同国の対ロシア家電輸出のデータを整理し、もってロシア通関統計の欠落を補う作業を試みることにする。(服部倫卓)
動き出すロシアのアジア・太平洋向け石油輸出
ロシアNIS経済研究所 研究員
齋藤大輔
はじめに
1.積み出しターミナル
2.製油所計画
最後に
はじめに
太平洋沿岸から石油を輸出する。ロシアの数十年越しの悲願がいよいよ実現する。2009年末、極東の沿海地方南部からアジア・太平洋市場に石油輸出が開始される。ロシアの石油輸出は、日本のエネルギー調達にも影響を与える。製油所の計画も進行中で、日本企業の関心も高い。そこで本稿では、太平洋パイプライン・プロジェクトのうち、沿海地方で進行中の積み出しターミナル建設と製油所計画について報告する。
ミニレポート
ロシアは穀物輸出大国になれるか
はじめに
2001/2002の穀物年(7月1日から翌年の6月30日までの1年間)にネットの輸出国に転じて以降、ロシアは年々穀物の輸出量を増やしており、2008/2009の穀物年にはついに輸出量が2,000万tを突破した。穀物輸出大国として自信をつけつつあるロシアは現在、輸出先の多様化を志向し始めており、日本市場もその視野に入りつつある。ただ、その一方で、穀物の輸送および保管用のインフラの不足といった弱点も最近になり露呈し始めている。(坂口泉)
ミニレポート
ロシア南部クラスノダル地方の経済
はじめに
ロシアの南連邦管区はこれまで、日本人にとって最も馴染みの薄い地域だったと言えるのではないか。日本とは地理的・交通的に隔絶されているうえに、我々にとって関心の対象となるような産業も未発達であると見られていたからである。従来は、チェチェン戦争のような否定的な話題の方が多かった。
しかし、ここに来て、南連邦管区が存在感を増してきている印象が強い。なかでも、ロシア南部の最重要地域と目されているのが、クラスノダル地方である。何と言っても、2014年ソチ冬季オリンピックの開催決定が、最大のトピックである。また、ロシアが穀物輸出国として台頭してくるなかで、大穀倉地帯としてのクラスノダル地方が脚光を浴びつつあるという側面もある。
そこで本稿では、このように注目度の高まるクラスノダル地方に焦点をあて、その経済に関する基礎情報をとりまとめてお伝えすることにする。ロシアNIS貿易会では、本年2月にクラスノダル地方に当会職員および外部専門家を派遣し現地調査を行っているので、その際に収集した情報や資料を適宜紹介することに努めたい。
以下、まず前半では、統計や企業ランキングといった資料を手がかりに、クラスノダル地方経済の概況を整理する(統計の出所はすべて、ロシア連邦国家統計局および同クラスノダル地方支部)。後半では、2月の現地調査の際にクラスノダル地方行政府の対外経済活動局で行った聞き取り調査の結果を披露する。(服部倫卓)
データバンク
2009年上半期の日ロ貿易
―自動車輸出の低迷が響く―
はじめに
日本財務省発表の貿易統計により、2009年上半期(1〜6月期)の日本とロシアの貿易動向が明らかになったので、当会では早速それをドル換算するとともに、表にまとめた。以下でその資料をお届けする。
クレムリン・ウォッチ
大国の地位をかけた米ロ戦略核交渉
7月上旬にオバマ大統領が初のモスクワ訪問をし、米ロ関係のリセットがいよいよ具体化してきました。首脳会談の中心は、戦略攻撃兵器削減に関する新たな条約を締結する問題でした。「戦略」とは米ロが互いに自国領土から発進して相手国領土を攻撃する能力をもつものという意味です。兵器には発射装置と弾頭を含みます。
1994年に結ばれたSTART-1条約が今年12月初に期限切れになるのに対応して、これを単純に期間延長するのではなく、あらたな条約を結ぼうということで、すでに予備交渉が始まっています。今回の首脳会談では、新条約の骨子になる主要項目の一部について合意が発表されました。(月出皎司)
エネルギー産業の話題
ウズベキスタン・ガス産業の近況
ロシアの石油ガス専門誌『石油ガス垂直統合』(2009.No.10)に2008年のウズベキスタンの石油ガス分野を総括するレポートが掲載されています。そこで今回は、同レポートの情報をベースに、ウズベキスタン・ガス分野の最新事情についてお伝えします。
自動車産業時評
地域別データに見るロシア乗用車市場の現況
今回は、アフトスタト社の情報をベースに2009年第1四半期のロシアの地域別外国新車市場を概観し、とくにウラルおよびシベリア地域とサンクトペテルブルグ市の状況を詳しくご紹介いたします。
ロシアビジネスQ&A
ロシアにアイスクリームを輸出
ロシアではアイスクリームはマロージェナエといい、街のいたるところのスタンドで売っていて、老若男女を問わず、春夏秋冬と問わず、ロシアの人たちは歩きながら食べています。スーパーマーケットではホームサイズのアイスクリームも豊富に取りそろえられています。
これまで、ロシアのアイスクリームは乳脂肪分が高く、味が濃くて美味しいとされてきましたが、輸入品との競争が激化するのに伴い、コスト削減のため植物性油脂で補われた製品も多く登場しています。このため、新たな規制が検討されています。
今回はロシアのアイスクリーム市場についての質問にお答えします。