ロシアNIS調査月報2012年1月号特集◆ロシアの「食」に迫る |
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12月20日発行 |
特集◆ロシアの「食」に迫る |
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INTRODUCTION |
社会調査に見るロシアの食のあれこれ |
調査レポート |
ロシア・スーパーマーケット業界は競争が激化 |
ビジネス最前線 |
「食」を通しロシアで日本を盛り上げたい |
データバンク |
数字で見るロシア・ビール市場の低迷 |
ミニ・レポート |
外資チェーンが牽引するロシア外食産業 |
ロシア首長ファイル |
クラスノダル地方トカチョフ知事 |
データバンク |
ウクライナの食品スーパー・ランキング |
ドーム・クニーギ |
丹野大著『青森リンゴが開拓したロシア市場』 |
ビジネス最前線 |
ユーラシアの中継大国カザフスタンの消費市場 |
データバンク |
2011年版ロシア大企業ランキング |
研究所長随想 |
東西デタントは何をもたらしたか |
INSIDE RUSSIA |
ユーラシア経済委員会の裏側 |
ロシア極東羅針盤 |
トーンダウンする極東港湾特区 |
エネルギー産業の話題 |
マガダン沖大陸棚鉱区の開発 |
自動車産業時評 |
ロシア中古車市場の特徴と現況 |
ロジスティクス・ナビ |
北朝鮮とシベリア鉄道を繋ぐ |
出張・駐在の達人 |
利用者に優しくなってきたシェレメチェヴォ空港 |
業界トピックス |
2011年11月の動き ◆経済産業省がロシア経済発展省と覚書締結 |
通関統計 |
2011年1〜10月の通関実績 日本の対ロシア月別輸出入通関実績 日本の対ロシア月別乗用車輸出動向 |
INTRODUCTON
社会調査に見るロシアの食のあれこれ
ロシアNIS経済研究所 次長
服部倫卓
はじめに
月報の今号では、「ロシアの『食』に迫る」と題する特集をお届けする。成長著しいロシアの消費市場のなかでも、食生活の分野にフォーカスしてみようという企画である。
ただ、一口で「ロシアの『食』」と言っても、その間口はあまりに広く、限られた紙幅のなかで語り尽くせるものではない。また、公式統計の類でロシアの食生活の特徴を描き出そうとしても、限界がありそうである。
そこで、特集の導入編として、本稿においては、ロシアで最近実施されたいくつかの社会調査の結果を紹介しながら、ロシアの食生活の様々な側面に光を当てることを試みたい。具体的には、「レヴァダ・センター」と、「Romir」という2つの調査機関のデータを利用する。
もとより、これらの社会調査は決して体系的なものではなく、そこから得られる情報はきわめて断片的かつランダムなものである。それでも、多様で個性豊かなロシアの食文化を読み解くための、若干のヒントだけでも提供できれば幸いである。
ロシア・スーパーマーケット業界は競争が激化
ロシアNIS経済研究所 部長
坂口泉
はじめに
ロシアに近代的なスーパーチェーンが登場したのは1990年代の半ば頃であるが、その後、急速にプレゼンスを強化し、店舗の形態も多様化している。しかし、年々チェーン間の競争が激化しており、弱者が淘汰され強者に吸収合併されるというケースが目立つようになっている。たとえば、2011年に入り、かつて隆盛を誇ったモスマルトというチェーンが市場から姿を消した。
欧州の信用不安問題の影響もあってか、2011年後半に入ってから商品小売市場の一部で景気減退の兆しが見え始めており、いくつかの大手スーパーチェーンにおいても来客数の減少や客単価の伸び悩みといった事象が生じている。このような傾向が長期的に続くようなことがあれば、市場から姿を消すチェーンの数がさらに増加する可能性も否定できない。
以上の状況を踏まえ、本稿では、商品小売市場における状況の変化やM&Aの動き等に注目しながら、ロシアの主要なスーパーチェーンの現状をご紹介する。
ビジネス最前線
「食」を通しロシアで日本を盛り上げたい
泣Iウエンス 代表取締役
山内秀人さん
はじめに
ソ連解体する4カ月前に初めてモスクワを訪れた山内さんは、経済の停滞と混乱が続く1990年代のロシアを体感した後、日ロのビジネスをサポートする仕事を始めました。昨年には中小企業のロシア進出に当たって、様々な側面支援をするための会社「オウエンス」を設立。日本の加工食品、生鮮野菜・果物など、他の工業製品とは違う難しさのある商品のロシア市場への導入に携わっています。今号では、日本食ブームといわれて久しいモスクワの外食産業の実態など、ロシアにおける「食」全般について、山内さんから具体的なビジネスの現場での経験に基づいたお話をしていただきました。
データバンク
数字で見るロシア・ビール市場の低迷
はじめに
ロシアでは、1990年代の後半ごろからビールの消費量が急増し、ピーク時の2007年には人口1人当たりの消費量が80?を超えた。しかし、この数字は100?を超えているドイツなどと比較するとまだ小さく、2008年の前半時点ではロシアのビール市場の拡大フェーズは当分続くとの見方が大勢を占めていた。ところが、2008年秋のリーマンショック以降ビールの消費量は低迷し始め、その傾向は今も続いている。
本稿では、ロシアのビール市場に関する統計および各種データを紹介し、あわせて解説をお届けする。(坂口泉)
ミニ・レポート
外資チェーンが牽引するロシア外食産業
はじめに
この小レポートでは、外資チェーンが牽引する形で成長著しいロシアの外食産業の概況につき、報告する。なお、本稿は『ロシアNIS経済速報』2011年9月25日号(No.1540)に掲載した同名のレポートに、その後入手した資料を利用して若干加筆したものであることを、お断りしておく。
ロシア首長ファイル
クラスノダル地方トカチョフ知事
はじめに
今月は「食」の特集号ということで、本稿ではロシア第1位の農業地域であるクラスノダル地方を取り上げる。総面積約750万haのうち390万haが耕作地であり、その肥沃な土地で農業が盛んに行われている。特に穀物、ビーツ、果実の生産で連邦第1位、はちみつ、卵の生産で第2位、牛乳の生産で第3位を占めている(2010年)。
南部連邦管区に位置する同地方は黒海およびアゾフ海に面しており、ノヴォロシースク港はロシア最大の貨物量を誇る港である。2014年に冬季オリンピックが開催されるソチ市は比較的温暖な気候に恵まれ、ロシア最大の保養地として国内外から多くの観光客が訪れる有名な都市である。
モスクワ市、モスクワ州に次ぐ連邦第3位の人口を誇るクラスノダル地方で2000年から現在まで知事を務めるのがアレクサンドル・トカチョフ氏であり、「ヨーロッパ最大の土地所有者」と称される。(中馬瑞貴)
データバンク
ウクライナの食品スーパー・ランキング
はじめに
以下に示したウェブサイトに、ウクライナの食品スーパーチェーンの店舗数ランキングが掲載されている。ロシア食特集に関連して、この資料を紹介してみたい。GT Partners Ukraineという調査会社が、「2010年のウクライナFMCGチェーン店トップ75ランキング」という調査結果を発表した由であり、それを抜粋したのがこの資料である。厳密に言えば、チェーン店というよりも、運営会社のランキングである。
ビジネス最前線
ユーラシアの中継大国カザフスタンの消費市場
センコー 社長室 経営企画グループ
中村善彦さん
はじめに
貨物を陸・海・空の輸送手段を組み合わせ、世界のあらゆる地域へ責任をもって輸送することをモットーとする国際物流業者、センコー株式会社は、ユーラシアにおける現代のシルクロードの構築を目指すべく、その中央に位置するカザフスタンに注目しました。同社は合弁物流会社を設立し、カザフスタンの国家プロジェクトに参画しているほか、アルマトィ市で物品販売店を展開し、メイドインジャパンの普及に努めています。いずれも日系企業として初めての試みであり、カザフスタン側も高く注目する事業です。そこで今号ではセンコー本社の中村さんより、カザフにおける物流と消費財の2つのテーマでお話を伺いました。
データバンク
2011年版ロシア大企業ランキング
はじめに
ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』(2011年10月3-9日号、No.39)に、毎年恒例のロシア大企業ランキングが掲載されているので、本誌でもこれを抜粋して紹介するとともに、解説をお届けする。
INSIDE RUSSIA
ユーラシア経済委員会の裏側
はじめに
前回このコーナーで、プーチン・ロシア首相が10月に発表した「ユーラシア連合」の構想についてお伝えした。11月に入ってからも、それをめぐり注目すべき進展があったので、今号でも前回に続きユーラシア統合をめぐる動きについてレポートしたい。(服部倫卓)
ロシア極東羅針盤
トーンダウンする極東港湾特区
ロシアが2年前に指定したロシア極東の「ソフガワニ港湾特区」構想を、当のロシアがトーンダウンさせている。ロシア最初の港湾特区であるが、鉄道や電力などのインフラ整備の遅れと政府の組織再編から、本格的な始動は2014年以降と大幅な遅れを見込む。(齋藤大輔)
エネルギー産業の話題
マガダン沖大陸棚鉱区の開発
2011年11月に、マガダン沖大陸棚のマガダン1、2、3、および、リシャンスキー、カシェヴァロフスキーの5鉱区(最後の2鉱区は、マガダン4と呼ばれていた鉱区だと推測される)が、連邦的意義を有する鉱区に認定され、国営企業であるロスネフチに探査・開発ライセンスが供与される可能性が高くなったとの情報が出ました。これらの鉱区には、日本の企業も関心を示しているといわれていますので、今回はその概要をご紹介します。なお、今回ご紹介する情報は、2009年にロシアの調査会社『石油と資本』から入手したデータをベースにしており、現時点では数字および状況が変化している可能性がありますので、その点、お含み置きくださるようお願いいたします。(坂口泉)
自動車産業時評
ロシア中古車市場の特徴と現況
本誌の2011年11月号でロシアの中古車市場の現状に言及しましたが、ご紹介しきれなかった情報も存在するので、今回、あらためて同じテーマを取り上げることにしました。具体的には、ロシアの中古車市場の概況、2010年の主要都市別の中古車の販売状況、2011年に入ってからの市場の状況等についてご紹介します。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
北朝鮮とシベリア鉄道を繋ぐ
2011年10月13日、ロシアのハサンと北朝鮮の羅津を結ぶ鉄道の混合軌での改修が完了し、試験運行が行われました。次は羅津港を整備し、ロシア産石炭の輸出や韓国発コンテナの輸入港として活用する青写真が描かれています。同プロジェクトの経緯を紹介し、今後の展望を考えます。(辻久子)
出張・駐在の達人
利用者に優しくなってきたシェレメチェヴォ空港
はじめに
今号から始まった新コーナー「出張・駐在の達人」。ロシア・NIS諸国への出張にまつわるエトセトラ、こだわりや裏技、トラブル体験、そして現地駐在生活に関するあれこれを、披露し合うコーナーとしていきたいと思う。
第1回の執筆者は「達人」には程遠いが、コーナーを考案した者の責任として、シェレメチェヴォ空港に関する談義を披露し、先陣を切らせていただきたい。(服部倫卓)