ロシアNIS調査月報2013年9-10月号特集◆曲がり角にきた? |
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特集◆曲がり角にきた? ロシアの貿易と投資 |
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調査レポート |
2012年のロシアの貿易統計 |
データバンク |
2012年のロシア極東の貿易 |
データバンク |
2012年のロシアの外国投資受入統計 |
データバンク |
2013年1〜6月の日ロ貿易 ―日本の対ロ輸出が減少に転じる― |
データバンク |
2013年1〜6月のロシアの貿易 |
資料 |
シリーズ◆ロシアの産業政策(5) 国家プログラム「対外経済活動の発展」 |
ビジネス最前線 |
ロシアでの生産を通して医療機器のニーズを把握 |
調査レポート |
近代化に挑むロシアの石油化学産業 |
調査レポート |
モンゴル経済、急成長とその岐路 |
ミニ・レポート |
ロシア向け静岡茶輸出プロジェクト |
研究所長随想 |
冷戦下で「赤い石油」に手を出した男の言い分 |
INSIDE RUSSIA |
2018年サッカー・ワールドカップの財政学 |
モスクワ便り |
「カルーガの奇跡」を再考する |
ロシア極東羅針盤 |
ウラジオ環境学者との対話 |
ロシア首長ファイル |
トゥヴァ共和国カラ・オール首相 |
日ロ異文化遭遇の日々 |
パンダとコアラの比較文化論 |
エネルギー産業の話題 |
ロシアの重質石油をめぐる状況 |
自動車産業時評 |
ロシアの中古商用車市場 |
ロジスティクス・ナビ |
ロシアの完成車輸送の最新事情 |
ドーム・クニーギ |
黒瀬雅志編著『ロシア知的財産制度と実務』 |
業界トピックス |
2013年7月の動き ◆ロシアに浸透するサンギの高機能歯みがき |
通関統計 |
2013年1〜6月の通関実績 |
2012年のロシアの貿易統計
ロシアNIS経済研究所 次長
服部倫卓
はじめに
ロシア連邦関税局が発行する『ロシア連邦外国貿易通関統計』の2012年年報が刊行され、2012年の同国の貿易動向に関する詳しいデータが明らかになった。そこで本稿では恒例により、『ロシア通関統計』およびその他の資料を駆使し、同国の最新の貿易統計を図表にまとめて極力詳細に紹介するとともに、データに関する解説をお届けする。
ロシア・ベラルーシ・カザフスタン3国による関税同盟が発足したことに伴い、関税同盟域内の貿易取引がロシアの通関統計に記録されないという状況がしばらく続いていた。しかし、ロシア関税局は2012年分の資料から、基本的に対ベラルーシおよびカザフスタン取引も含めた形で統計を発表するようになった。本レポートでは、その点に関しても論及したい。
データバンク
2012年のロシア極東の貿易
極東税関の通関統計によると、2012年のロシア極東地域の貿易高は、輸出が258億ドル、輸入が106億ドル、輸出入の総額は364億ドルとなった。収支は152億ドルの黒字であった。前年比では、輸出が3.3%、輸入が15.9%、総額では6.6%の増加となった。(大森祥子)
データバンク
2012年のロシアの外国投資受入統計
はじめに
筆者は例年、ロシア連邦国家統計局が発表する同国の外国投資受入状況に関する統計をとりまとめ、本月報でレポートを発表している。他方、最近になって、ロシア統計局が外国投資統計をデータベース化してウェブサイト上で公開するようになったため、「ロシアの外国投資DBと日本の対ロ投資」と題するレポートを月報の2013年2月号に掲載し、データベース利用法や注意点について解説するとともに、2011年までの統計をあわせて紹介した。
その後、統計局より2012年の外国投資統計が発表になり、データベースにもそれが反映されたので、本稿ではそれらに依拠して、最新の2012年までの数字を網羅する形で統計を集大成し、解説も交えてお届けすることにする。(服部倫卓)
データバンク
2013年1〜6月の日ロ貿易
―日本の対ロ輸出が減少に転じる―
はじめに
日本財務省から、2013年上半期(1〜6月期)の貿易統計が発表されたことを受け、当会では上半期の日本とロシア間の貿易に関し、輸出入商品構成をまとめたので、早速これを紹介したい。すでに『ロシアNIS経済速報』(2013年8月号5日号、No.1602)に掲載済みだが、ここに再録する。なお、今号の巻末に、ロシア以外のNIS諸国との輸出入動向も掲載しているので、あわせてご参照いただきたい。
資料 シリーズ◆ロシアの産業政策(5)
国家プログラム「対外経済活動の発展」
はじめに
「シリーズ◆ロシアの産業政策」と題し、最近プーチン政権/メドヴェージェフ内閣が採択した産業関連の政策文書を順次紹介している。今回は、狭義の産業政策という範疇からはやや外れるが、広い意味ではそれにかかわる文書として、2013年3月18日に採択されたロシア連邦国家プログラム「対外経済活動の発展」をご紹介する。ただし、編集部ではこの国家プログラムの主要部分を翻訳したものの(重要性が低いと思われる箇所は割愛)、今回も紙幅の制約により、翻訳テキストを雑誌に掲載することは断念せざるをえなかった。翻訳テキストは当会ウェブサイトに掲載した。
ビジネス最前線
ロシアでの生産を通して医療機器のニーズを把握
ARKRAY Ltd. CEO
兵藤寛さん
はじめに
臨床検査機器・試薬の開発、製造、販売ならびに保守サービスなどを行うアークレイ鰍フロシア新工場がモスクワ州ドゥブナ市に設立され、7月から稼働を開始しました。同月16日に開催された出荷式では、松田猛社長が「ロシアでの開発・生産・供給が可能となることで、これまで以上にお客様のニーズに即した対応ができるようになる」と挨拶されています。ロシアでは日本企業による医療機器販売子会社は設立されていたものの、現地生産を開始したケースはほとんどなく、アークレイの同国への進出は注目を集めています。今号では同社の現地法人ARKRAY Ltd.のCEO 兵藤さんより、ロシアの生産拠点が設立された背景やこれから目指していくところなどについて話を伺いました。(芳地隆之)
近代化に挑むロシアの石油化学産業
ロシアNIS経済研究所 部長
坂口泉
はじめに
近代化の推進という国家が掲げるスローガンに急き立てられるかのように、ロシアの石油ガス関連産業分野では最近、高付加価値製品の生産促進を視野に入れた動きが活発となっている。たとえば、石油下流部門では、大手石油会社が、傘下の製油所の近代化の実施義務を引き受ける協定(いわゆる4者間協定)を、政府側を代表する3機関(連邦反独占局、連邦技術調整・度量衡局、連邦環境・技術・原子力監督局)との間で2011年夏に締結している。協定では、それぞれの製油所の2020年までの近代化計画が具体的に規定されており、各社は品質の高い白油の生産量を大幅に増加させるためのプロジェクトに取り組んでいる。
さらに、本稿で取り上げる石油ガス化学分野でも、2011年にロシア連邦エネルギー省が策定した「2030年までのロシアのガスおよび石油化学の発展計画(以下、「発展計画」)」に基づき、今後、高付加価値製品の増産に主眼を置いた投資が活発化すると見られている。
「発展計画」では、ロシアの6地域に石油ガス化学の生産拠点(クラスター)を構築し、それらを軸として産業全体の近代化を達成することが目標として掲げられているが、本稿では、高付加価値製品生産のための資源基盤の状況、ロシア側が考える高付加価値製品の代表的存在である5大汎用樹脂の需給動向、近代化の拠点になると目されている6地域の石油ガス化学産業の特性などを踏まえた上で、当該の目標の実現可能性についての評価を試みる。
モンゴル経済、急成長とその岐路
(公社)北海道国際交流・協力総合センター研究員
吉村慎司
はじめに
旧ソビエト連邦影響下の社会主義国だったモンゴルが民主化して20年余り。日本のビジネス界におけるモンゴルへの関心が高まっている。安倍晋三首相が首都ウランバートルを今春訪問したことも一つのきっかけとなり、大相撲の力士の出身地としてだけでなく、有力な資源国として認知され始めている。市場経済に移行した1990年代は混乱し、一時は貧困国と位置づけられてきたが、ここ数年の経済成長は世界トップクラス。本稿では筆者が昨秋・今春と現地を訪問した際の雑感を交えて、直近のモンゴル経済概況を整理してみたい。
ミニ・レポート
ロシア向け静岡茶輸出プロジェクト
はじめに
7月9日、静岡県庁において同県藤枝市の大井川JAと総合商社のイービストレード鰍ェロシア向けに共同開発した「生静岡茶」を輸出することを発表した。これまでロシア向けの日本茶輸出はほとんどなく、市場規模を見込んだ輸出は初の試みとなる。ロシア市場における日本茶の可能性については、日本の茶業界も2000年代から注目していたが、商流を確立するまでには至らなかった。本稿では、ロシア向け静岡茶輸出プロジェクトを主導したイービストレードの取締役・トラストレード事業部長の山田康夫氏へのヒアリング、ならびに同社からご提供いただいた資料を基に、ロシアにおけるお茶市場、同プロジェクトの概要、今後の展開について報告する。(芳地隆之)
INSIDE RUSSIA
2018年サッカー・ワールドカップの財政学
2018年FIFAワールドカップ・ロシア大会の開催まで、あと5年と迫った。ここに来て、プーチン政権/メドヴェージェフ内閣による準備作業も本格化してきた。
本年6月11日には、プーチン大統領の署名により、ワールドカップの準備作業および大会実行に関するロシア連邦法が成立した。それを受け、メドヴェージェフ内閣は6月20日付の政府決定で、「2018年にロシア連邦でサッカー・ワールドカップを開催するための準備プログラム」を採択した。このプログラムは、W杯開催に向け講じる措置や、スタジアム・宿泊施設・交通インフラなどの整備事業の一覧を示している。(服部倫卓)
モスクワ便り
「カルーガの奇跡」を再考する
はじめに
7月25日、ロシア工業団地協会主催の「国際投資フォーラム」に参加してきた。ロシアの工業団地(経済特区を含む)の振興に向けて日独を含む関係者や専門家が様々な角度から提案や意見を述べ合うというのが趣旨であった。
同協会によると、現在、ロシアには500近くの工業団地が存在するという。ロシアでもグリーンフィールド型の投資が増え、その受け皿として工業団地に対する需要が高まってきたのだ。
そして、工業団地という制度を先駆的に導入し、発展の梃子としたのがカルーガ州であり、成功の度合いも同州が一頭地を抜いている。
カルーガ州については、本誌でもたびたび取り上げているが、「カルーガの奇跡」は、何度でも強調したい話題だ。というわけで、今回は、カルーガ州の成功の要因に関し、同州との交流を通じて体験的に感じた私なりの見方を述べてみたい。(中居孝文)
ロシア極東羅針盤
ウラジオ環境学者との対話
6月号の本欄で、「彼らとの対話を10年ぶりに再開しようと思う」と書いた。で、さっそく7月、プレオブレジェンスキーロシア科学アカデミー太平洋地理学研究所主任研究員(教授)と会ってきた。彼は私のことを覚えていてくれた。10年前のことなので忘れていてもいいのに。話を聞いているうちに、その時の論争の記憶が甦ってきた。妙なところで、昔の仕事は役立つものである。(齋藤大輔)
ロシア極東羅針盤
トゥヴァ共和国カラ・オール首相
はじめに
83もあるロシアの連邦構成主体はそれぞれユニークな文化や歴史を持つ地域が多い。近年、新たなエネルギー生産地として注目を集めるロシアの東シベリアに位置するトゥヴァ共和国はユニークな歴史を持つ連邦構成主体と言える。トゥヴァはかつて独立国家であったのだ。ソ連崩壊前後、主権や独立を求める地域は多く、その中で最も有名なのはチェチェンであり、タタルスタンもロシア連邦と同等の地位を要求した。しかし、それらの地域の独立はソ連もロシア連邦も認めていなかった。
しかしトゥヴァについては、ソ連やモンゴルが独立国家としての地位を公式に認めており、トゥヴァ人民共和国(当時の名称)は公式に認められた独立国家として存在していたのである。
今月はそんなユニークな歴史を持つトゥヴァ共和国に注目し、共和国について紹介するとともに、トゥヴァ生まれトゥヴァ民族の2人の歴代首長を紹介する。(中馬瑞貴)
エネルギー産業の話題
ロシアの重質石油をめぐる状況
ロシアでは埋蔵量ならびに生産量に占める重質石油の割合が増加傾向にあり、ブレンド油であるUralsの品質の維持が難しくなりつつあります。また、ヤマロ・ネネツ北部や北極海大陸棚には重質石油の未開発鉱床が数多く存在し、今後、さらに重質石油の割合が増える可能性があります。その関係で、ロシアでは重質石油に対する関心が最近になり急激に高まっています。そこで、今回は、ロシアの重質石油の生産の現状を紹介します。(坂口泉)
自動車産業時評
ロシアの中古商用車市場
ロシアの自動車専門誌『アフトビジネス』(2013年第2号)に2012年のロシアの中古商用車市場に関する記事が掲載されましたので、今回は、その概要をご紹介します。なお、ここでいう中古商用車には、輸入中古車だけでなくロシア国内で発生した中古車も含まれるのでご注意ください。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
ロシアの完成車輸送の最新事情
完成車(新車)は日本の対ロシア輸出の最大品目です。近年、輸出ルートが多様化し、また日系メーカーが海外で生産した車をロシアへ投入するケースも見られます。ロシア国内の輸送も含めて最近の動きを紹介します。(辻久子)