ロシアNIS調査月報2013年12月号特集◆ロシア自動車産業と |
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特集◆ロシア自動車産業とサプライチェーン |
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調査レポート |
ロシアで外資メーカーが直面する現調化の難問 |
ビジネス最前線 |
トリヤッチの地で系列を超えサプライチェーンを構築 |
ビジネス最前線 |
ロシア現法設立でスパークプラグの販売強化 |
ビジネス最前線 |
現法設立でロシア自動車塗装市場に浸透 |
特別寄稿 |
ロシア自動車産業の実情と進出上の留意点 |
特別寄稿 |
ウラジオストク自動車産業見聞記 ―雙龍自動車、マツダ、トヨタのSKD― |
データバンク |
2013年1〜9月のロシアの乗用車市場 |
ミニ・レポート |
極東中古車ビジネス2013 |
ミニ・レポート |
インターオート2013視察報告 |
ミニ・レポート |
ロシアの地場サプライヤー結集の動き |
ミニ・レポート |
ロシアにおけるマグナ社のコンポーネント事業 |
ドーム・クニーギ |
石川雄一著『ラダ・ニーヴァ』 |
データバンク |
2013年版ロシア大企業ランキング |
データバンク |
2013年1〜9月の日ロ貿易 ―輸出の前年割れが続く― |
研究所長随想 |
ドストエフスキーの肖像画 |
INSIDE RUSSIA |
ロシアの消費市場保護とオニシチェンコ長官退任 |
モスクワ便り |
トルクメニスタン:独裁と開発の狭間で |
ロシア極東羅針盤 |
ロシア極東ブーム再来? |
ロシア首長ファイル |
ダゲスタン共和国アブドゥラティポフ大統領 |
日ロ異文化遭遇の日々 |
方角に弱いロシア人 |
エネルギー産業の話題 |
2013年上半期のロシアの石油ガス分野 |
ロジスティクス・ナビ |
ロシア版新幹線建設計画 |
出張・駐在の達人 |
ロシア極東への空の旅 |
業界トピックス |
2013年10月の動き ◆モスクワ工作機械展の主催者に聞く |
通関統計 |
2013年1〜9月の通関実績 |
ロシアで外資メーカーが直面する現調化の難問
ロシアNIS経済研究所 部長
坂口泉
はじめに
ロシアでは2000年代に入り日本メーカーを含む多くの外資系完成車メーカーが次々と現地生産を開始したが、その生産量は最近になり急増しており、いまやロシアで生産される乗用車の7割以上が外国ブランド車となっている。ただ、そのような表面的な数字の好調さとは裏腹に、現地生産に踏み切った外資系メーカーの多くがある共通の問題に遭遇している。それは、現地調達率(ローカルコンテンツ)をなかなか伸ばすことができないという問題である。一部の外資系完成車メーカーにおいては、ローカルコンテンツを伸ばすことが生産コストを下げるための手段ではなく、それ自体が目的と化しているとの印象を受ける。そこに、この問題の根の深さがあるような気がする。
本稿では、当該の問題の背景にある事情や主要メーカーの現地工場のローカルコンテンツをめぐる状況などを紹介する。
ビジネス最前線
トリヤッチの地で系列を超えサプライチェーンを構築
豊田通商
モスクワ事務所第2ビジネス開発部長兼、トリヤッチ支店長
冨田武志さん
はじめに
商社の豊田通商鰍ヘ、浜松市に本社がある潟Aツミテックと合弁企業「Atsumitec Toyota Tsusho Rus LLC」を設立し、ロシア・ヴォルガ管区のサマラ州トリヤッチで、自動車トランスミッション・シフターシステムを生産することを先頃発表しました。本件は、「系列を超えた協業」として、業界関係者の注目を集めています。
そして、豊通モスクワ事務所で自動車コンポーネント事業のリーダーを務め、またトリヤッチ支店長も兼務しておられるのが、今回お話をうかがった冨田武志さんです。インタビューでは、Atsumitec Toyota Tsusho Rusの概要に加えて、トリヤッチ経済特区の近況、さらにロシアにおける自動車サプライチェーンの展望などについても語っていただきました。(服部倫卓)
ビジネス最前線
ロシア現法設立でスパークプラグの販売強化
日本特殊陶業
自動車関連事業部 営業本部 副営業本部長
執行役員 中西寿さん
はじめに
愛知県名古屋市に本社をおく日本特殊陶業は、スパークプラグを中心とする自動車部品メーカーであり、海外では「NGK」のブランドで知られています。同社は本年7月、モスクワに現地法人「NGKスパークプラグユーラシア」を設立し、ロシアの補修市場(アフターマーケット)に本格的な参入を果たしました。これまでロシアの当該市場は偽物が出回るなど、なかなか整備がなされず、外国企業は様子見という態度を示していましたが、今般の日本特殊陶業の現法設立は、ロシアのアフターマーケットが発展している証左といえるのではないでしょうか。そこで今号では日本特殊陶業におけるロシア事業の責任者である中西さんより、現法設立の背景から今後についてお話を伺いました。(芳地隆之)
ビジネス最前線
現法設立でロシア自動車塗装市場に浸透
ANEST IWATA RUS LLC
社長 脇野 豊さん
はじめに
アネスト岩田鰍ヘ、自動車塗装用のスプレーガンやエアブラシで知られる会社で、同社の脇野さんには4年前にも本コーナーに登場していただいたことがあります(「ロシア塗装市場に広がる大きな可能性」『ロシアNIS調査月報』2009年12月号)。当時、脇野さんはモスクワ事務所長でしたが、その後アネスト岩田は現地法人ANEST IWATA RUSを設立し、脇野さんが同社の社長に就任されました。その後の4年間で、アネスト岩田のロシア事業と、ロシアの自動車補修市場は、どのように進展したのでしょうか? モスクワにある現法の事務所にお邪魔し、脇野社長に再インタビューに応じていただきました。(服部倫卓)
特別寄稿
ロシア自動車産業の実情と進出上の留意点
MCファクタリング・ルス社 経営企画管理本部長
尾高健司
はじめに
ロシアに精通したスタッフを抱える大手商社や完成車メーカーならともかく、日本の部品メーカー等の関係者にとっては、ロシアは「未知の国」であり、不安感を覚えてしまうかもしれない。そこで、この分野での経験が豊富な尾高健司さん(三菱商事よりMCファクタリング・ルス社に出向中)に、ロシア自動車産業の実情と進出上の留意点につき、ご寄稿いただいた。(編集部)
特別寄稿
ウラジオストク自動車産業見聞記
―雙龍自動車、マツダ、トヨタのSKD―
事業創造大学院大学 教授
富山栄子
はじめに
ロシア極東のウラジオストクで、韓国の雙龍(そうりゅう)自動車、日本のマツダ、トヨタの自動車の組立生産が行われている。筆者は2012年9月ウラジオストクのソラーズ広報部、2012年8月韓国の雙龍自動車本社、2012年12月ウラジオストクのマツダ・ソラーズ、2013年5月トヨタ自動車本社、同7月ウラジオストクのソラーズ・ブッサン社でお話を伺う機会に恵まれ、雙龍自とマツダ車の組立は現地で見学させていただくことができた。そこで、簡単にウラジオストクにおける雙龍車、マツダ車、トヨタ車の組立事業について現状と課題について報告する。
データバンク
2013年1〜9月のロシアの乗用車市場
はじめに
リーマンショックの影響を受け、ロシアの乗用車(小型商用車<LCV>を含む)の市場規模は2009年に約147万台にまで縮小したが、その後、好調な回復ぶりを示し、2012年の販売台数は過去最高であった2008年を上回る約294万台に達した。しかし、2013年に入り、市況が再び悪化している。2012年秋ごろから前年同月比の販売台数の伸びの鈍化傾向が顕著になり、2013年3月には月間販売台数が前年同月の数字を下回ったのである。その後も前年同月割れの状態が9月まで続き、通年の販売台数が前年を下回るのはほぼ確実とみられている。
本稿では、販売不振の原因やロシア政府が導入した販売促進策などに注目しながら、2013年1〜9月期のロシアの乗用車市場の状況をご紹介する。(坂口泉)
ミニ・レポート
極東中古車ビジネス2013
2013年10月、ウラジオストクの中古車青空市場「グリーンコーナー」。丘の広大な斜面に中古車約5,000台がずらりと並ぶ。市場の中を貫く道路を、売り物の車がひっきりなしに出入りする。1年ぶりに訪れた青空市場は再び大きくなっていた。休日で天気が良かったせいもあり、車を物色して歩く人が多かった。規制は強まる一方だが、業者の表情は明るかった。 昨年まで目に付いた左ハンドル車が少なくなっていた。コーナーの一画にしか置かれていなかった。空いた場所を日本製中古車が占領、勢力を回復していた。やっぱり日本製が良いのであろうか。(齋藤大輔)
ミニ・レポート
インターオート2013視察報告
はじめに
8月末に、モスクワのクロックス・エクスポにおいて、自動車コンポーネント、アフターマーケット、関連サービス等の見本市「インターオート」が開催された。筆者はこの見本市を視察することができたので、見本市の概要と見学した雑感をご報告申し上げたい。(服部倫卓)
ミニ・レポート
ロシアの地場サプライヤー結集の動き
はじめに
別稿で報告しているとおり、8月末にモスクワのクロックス・エクスポにおいて開催された見本市「インターオート」を視察する機会があった。この見本市を視察してみて、個人的に強い興味を抱いたのが、「合同自動車技術(OAT)」というロシアの地場サプライヤーを束ねる企業グループの展示であった。他方、サマラ州においては、州行政府の主導により、「沿ヴォルガ自動車産業クラスター」の形成が試みられている。本稿では、この2つを通じて、ロシア自動車産業における地場サプライヤー結集の動きを探ることにする。(服部倫卓)
ミニ・レポート
ロシアにおけるマグナ社のコンポーネント事業
はじめに
小誌でも既報のとおり、ロシアNIS貿易会は2013年6月に西岡会長を団長とするロシア経済ミッションを派遣した(「ROTOBOロシア経済ミッション ―モスクワ・カルーガ・ヤロスラヴリ―」『ロシアNIS調査月報』2013年8月号参照)。その一環として、6月4日にカナダ系の自動車およびコンポーネント企業として知られるマグナ社のカルーガ工場を訪問・視察することができた。本稿では、主にその際の先方配布資料および聞き取りにもとづき、ロシアにおけるマグナのコンポーネント事業の概要をお伝えする。(服部倫卓)
データバンク
2013年版ロシア大企業ランキング
はじめに
ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』(2013年10月7〜13日号、No.40)に、毎年恒例のロシア大企業ランキングが掲載されているので、本誌でもこれを抜粋して紹介するとともに、解説をお届けする。
データバンク
2013年1〜9月の日ロ貿易
―輸出の前年割れが続く―
はじめに
日本財務省から、2013年1〜9月期の貿易統計が発表されたことを受け、当会では1〜9月の日本とロシア間の貿易に関し、輸出入商品構成をまとめたので、早速これを紹介したい。すでに『ロシアNIS経済速報』(2013年11月5日号、No.1610)に掲載済みだが、ここに再録する。なお、今号の巻末に、ロシア以外のNIS諸国との輸出入動向も掲載しているので、あわせてご参照いただきたい。
INSIDE RUSSIA
ロシアの消費市場保護とオニシチェンコ長官退任
はじめに
ロシアにRospotrebnadzorという行政機関がある。そのフルネームを直訳すると、「連邦消費者権利保護分野監督局」ということになる。以下では「消費監督局」と略記することにしよう。
一見すると、日本の消費者庁に似ているようにも思える。しかし、日本の消費者庁が商品の表示、取引関係など、幅広い分野を扱っているのに対し、ロシアの消費監督局の役割は食品など国民の健康にかかわる消費分野にほぼ限定される。したがって、守備範囲はそれほど広くないはずなのだが、その割には同局はロシア内外のマスコミに頻繁に登場する。
この10月に、消費監督局の名物的な長官だったG.オニシチェンコ氏が、退任するという動きがあった。以下では、当該分野の過去数年の歩みとあわせ、概観してみる。(服部倫卓)
モスクワ便り
トルクメニスタン:独裁と開発の狭間で
はじめに
2か月前になるが、8月末にモスクワ・ジャパンクラブが、原田駐露大使に同行する形でトルクメニスタンにミッションを派遣し、それに私も参加した。今回の訪問は、その2週間後に控えたベルディムハメドフ大統領の訪日の準備を兼ねるものだった(訪日の際に開催された「日本・トルクメニスタンフォーラム」については本誌前号を参照)。
私自身、久しぶりのトルクメニスタン訪問であり、話には聞いていたが、街の変貌ぶりには、たいへん驚いた。そこで今回は、トルクメニスタンで受けた印象を中心に雑感を述べてみよう。
(中居孝文)
ロシア極東羅針盤
ロシア極東ブーム再来?
ロシア極東の調査研究をやっていると、しばしば聞かれる。
「ロシア極東にビジネスチャンスはあるのか」「ビジネスはどうやってみつけるのか」
こっちが教えてほしい。ビジネスチャンスがあるかないかなんて各企業の判断だし、ビジネスをどうやってみつけるかも本人のやる気次第だ。
それさえわかれば、北極圏に近い村に資源調査に出かけたり、中国との国境沿いを警備兵に睨まれながら歩いたり、半ば決死の行軍のような出張をしなくてもすむだろう。
残念ながら、ロシア極東は近年注目度が高まっているとはいえ、世界の成長センターといわれる東南アジアや最後の巨大市場といわれるアフリカと比べるとインパクトが弱い。
多くの日本企業で、ロシアビジネスの優先度はそれほど高くない。低いといったほうが近いだろうか。ましてやロシア極東となると、さらに低い。だからロシア極東について検討してみるのは、時間に余裕ができた時やマスコミで騒がしいから少し調べてみようというのが、普通ではないだろうか。ブームといった感じではなく、時間をかけてゆっくりと関心が高まっているといた方が近いだろう。(齋藤大輔)
ロシア首長ファイル
ダゲスタン共和国アブドゥラティポフ大統領
はじめに
2013年9月にロシアでは統一地方選挙が行われ、モスクワ市やモスクワ州など8つの連邦構成主体では首長選挙が行われた(結果の詳細はロシアNIS経済速報2013年9月25日号No.1606参照)。ちょうど1年前に復活した首長選挙だが、2013年4月、連邦議会は住民の直接選挙だけではなく、地方議会の間接選挙による首長選挙も認めるという法律改正を行った。その結果、今年の選挙ではイングーシ共和国とダゲスタン共和国で共和国議会による間接選挙が行われた。
本稿で取り上げるダゲスタンのラマザン・アブドゥラティポフは2013年1月から大統領代行を務めていた。アブドゥラティポフと言えば、エリツィン政権期にさまざまな要職に就き、連邦の政策決定過程に大きく関与した。1993年の連邦憲法制定にもかかわったロシアの著名な政治家の1人である。本稿では、アブドゥラティポフの連邦および地方さらには外国での活躍を追うことにする。(中馬瑞貴)
エネルギー産業の話題
2013年上半期のロシアの石油ガス分野
ロシアの石油ガス専門誌『石油ガス垂直統合』の2013年第18号に、2013年上半期のロシアの石油ガス分野の状況を紹介する記事が掲載されましたので、今回はその要旨をご紹介することにします。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
ロシア版新幹線建設計画
2009年にモスクワ〜サンクトペテルブルグ間の在来線に導入された高速列車サプサン号は、切符の入手が困難なほどの人気となっています。ロシア鉄道は本格的高速専用線の建設を決め、モスクワ〜カザン間が優先建設区間に選ばれました。その計画概要を紹介します。(辻久子)
出張・駐在の達人
ロシア極東への空の便
アエロフロート・ロシア航空はウラジオストク航空と共同運航している成田・ウラジオストク間、成田・ハバロフスク間の両路線(各週3便)について、10月末から運休することを決定した。これによって、ロシア極東の大陸部と日本を結ぶ路線は、シベリア航空(S7)と日本航空との共同運航便である成田・ウラジオストク間、成田・ハバロフスク間の両路線(各週2便)のみとなった。そこで今号では、その背景、日本とロシア極東を結ぶ直行便の新しい時刻表、ならびに日本のビジネスマンも利用する韓国経由のルートについて紹介する。(芳地隆之)