ロシアNIS調査月報2014年2月号特集◆ロシアの有望地域を |
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特集◆ロシアの有望地域を発掘する |
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調査レポート |
新プーチン体制下のロシアの地域経済政策 |
調査レポート |
ロシアの地方首長の新潮流 ―直接選挙の復活とその意義― |
ビジネス最前線 |
ロシアビジネスと地域アプローチの極意 |
ビジネス最前線 |
ウラル地域で始まった日ロ共同の鉄鋼事業 |
データバンク |
2012〜2013年版ロシア地域別投資環境ランキング |
データバンク |
2013年版ロシア極東大企業ランキング |
ミニ・レポート |
農業再生にかけるアムール州 |
ミニ・レポート |
第三の首都カザンとタタルスタン共和国 |
ミニ・レポート |
サハリン州ビジネスの新トレンドを探る |
ミニ・レポート |
サンクトペテルブルグで進むスマートシティ |
イベント・レポート |
ヴォロネジ州投資プレゼンテーション開催 |
イベント・レポート |
カルーガ州プレゼンテーション開催 |
INSIDE RUSSIA |
ロシアの新制度「特例開発区域」 |
モスクワ便り |
サラトフ:ヴォルガ・ドイツ人の故郷 |
ロシア極東羅針盤 |
ガルシカ構想にプーチン支持 |
ロシア首長ファイル |
リャザン州コヴァリョフ知事 |
エネルギー産業の話題 |
ハンティ・マンシ自治管区の石油 |
ユーラシア産業紀行 |
ウリヤノフスクの日航機 |
ドーム・クニーギ |
岡本信広著『中国の地域経済 ―空間構造と相互依存』 |
キーパーソンに訊く |
キルギス:「創建の五カ年計画」で年7%成長めざす |
研究所長随想 |
乃木とステッセルの友情 |
研究所長随想 |
乃木とステッセルの友情 |
ウクライナ情報交差点 |
2013年のウクライナ経済を回顧する |
自動車産業時評 |
アジア系自動車メーカーとロシア市場 |
ロジスティクス・ナビ |
北極海航路と資源開発 |
日ロ異文化遭遇の日々 |
どちらが困る? 寒さと暑さ |
出張・駐在の達人 |
日露査証簡素化協定が発効 |
業界トピックス |
2013年12月の動き ◆ロシアの地方に拡販するサントリーウイスキー |
通関統計 |
2013年1〜11月の通関実績 |
新プーチン体制下のロシアの地域経済政策
ロシア科学アカデミー・システム分析研究所 主任研究員
O.クズネツォヴァ
V.プーチン氏が2012年5月に大統領に復帰して以降の、ロシアの地域経済政策および連邦関係を分析するには、連邦社会経済政策の基本となるプログラム文書を検討することから始めなければならない。このような文書としては、プーチンが2012年に大統領に復帰する前の時期では、2008年11月17日付ロシア連邦政府指令第1662-r号によって承認された「2020年までの期間におけるロシア連邦の長期的社会経済発展構想」があった。
ロシアの地方首長の新潮流
―直接選挙の復活とその意義―
ロシアNIS経済研究所 研究員
中馬瑞貴
はじめに
第二次プーチン政権(2000〜2008年を第一次、2012年〜現在を第二次とする)が発足してまもなく2年が経過する。大統領就任直後、2012年5月7日にプーチンが発表した大統領令に基づいて様々な国家政策が進められている。これらの矢継ぎ早に出された政策よりもさらに前にプーチンの発言から実現した連邦構成主体の首長の住民による直接選挙の復活も現政権の重要な政策の1つだ。
ビジネス最前線
ロシアビジネスと地域アプローチの極意
三井物産モスクワ去ミ長 CIS総代表
目黒祐志さん
はじめに
「満を持して」と言うべきでしょうか。三井物産モスクワ汲フ目黒社長に、インタビューに応じていただきました。三井物産は、日本の総合商社としては先駆的に、モスクワの拠点を、従来の駐在員事務所から、現地法人へと移行させました。それのみならず、ロシアに数多くの事業会社を設立し、積極果敢にビジネスを拡大しています。その先頭に立っている目黒さんは、当代の日ロ業界切っての論客であり、ロシアおよび日ロ関係について明確な持論をお持ちです。インタビューでは、三井のロシアビジネスの体制、事業の概要に加え、今号の特集テーマであるロシアの地域に関連した談義も披露していただきました。(服部倫卓)
ビジネス最前線
ウラル地域で始まった日ロ共同の鉄鋼事業
三島光産梶@機工事業本部
顧問 西室健さん
営業部長 大庭敏明さん
はじめに
北九州市に本社を構える三島光産は、スヴェルドロフスク州において現地の製鉄エンジニアリング会社マシプロムとの合弁企業を設立しました。鉄鋼分野での日ロ合弁は初めてのこと。三島光産にとっても初のロシアでの事業がウラル地方で始まったのです。世界で最も製鉄の歴史が長いロシア、そしてその中心地であるスヴェルドロフスク州では、高品質で長寿命の鋳型鍍金技術を有する同社に大きな期待が寄せられています。日本側の責任者である西室さん、大庭さんは、現地のスタッフに技術を習得してもらうべく、Skypeによる会議を頻繁に行っているとのこと。今号ではお2人から合弁事業の概要を中心にお話を伺いました。(芳地隆之)
データバンク
2012〜2013年版ロシア地域別投資環境ランキング
はじめに
ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』(2013. 12.16-22, No.50)が、毎年恒例のロシアの地域別投資環境ランキングの最新版(2012〜2013年版)を発表したので、この資料を抜粋して紹介する。
データバンク
2013年版ロシア極東大企業ランキング
はじめに
ウラジオストクのザラトイ・ログ出版社が発行する『ダリネヴォストーチヌィ・カピタル(極東資本)』誌の2013年11月号に、2013年版のロシア極東の100大企業ランキングが掲載されているので、恒例によりこの資料を抜粋して紹介する。2012年の売上高にもとづく2013年版のランキングという意味なので、ご注意願いたい。
農業再生にかけるアムール州
はじめに
アムール州では、日本の農業投資への期待がかつてなく高まっている。昨年、北海道銀行が大豆とソバの生産を試験的に始めた。商社は地元農家と大豆や小麦の契約栽培を結び、日本への輸出を目指す。肥料や農業機械など生産資材の販売でビジネスチャンスを探る動きもある。日本政府も、経済協力の新しい分野の1つとして農業を掲げる。「衰退産業から成長産業へ」。生産性向上の余地拡大、手つかずのままの肥沃な大地、日本や中国への近さなど、日本企業関係者はそのポテンシャルに注目する。かつてないほどの追い風が吹いているアムール州。与えられたこのチャンスをどう生かすのか。どう農業再生にチャレンジするのか。州の変化に期待が高まる。そこで、にわかに注目を浴びるロシア極東最大の農業県・アムール州の農業について、現地調査や現地で入手した資料をもとにまとめた。(齋藤大輔)
第三の首都カザンとタタルスタン共和国
はじめに
2011年から2013年にかけて4回ほどタタルスタン共和国の行政中心都市カザンを訪問する機会に恵まれた。カザンはモスクワ、サンクトペテルブルクに次ぐ「第三の首都」として正式に登録された町だ。2013年に学生のスポーツの祭典、ユニバーシアードが開催され、これを機に町は大きく発展したと、住民が口をそろえて語る。実際、道路やスポーツ施設の建設が進み、ホテルの数が増え、町が整備されたという印象は受ける。
また、タタルスタンではロシアの有力な地方リーダーの一人、ミンチメル・シャイミエフから、現在のルスタム・ミンニハノフ大統領に交代し、政策の重点が政治から経済に移り、石油、石油化学、機械製造などを軸とした経済発展の勢いは地方の中でもトップクラスである。
一方でロシア南部のカフカス地方を中心に活動を広げるイスラム過激派がタタルスタンに浸透し、これまで比較的社会が安定していた同共和国に不穏な情勢も見え隠れする。
本稿では安定した経済発展や投資誘致を実現し、ロシアの地方の中でも重要な地位を維持するタタルスタンの現状について紹介し、投資先としての同共和国の魅力を改めて考える。(中馬瑞貴)
サハリン州ビジネスの新トレンドを探る
はじめに
平成25年度の公益財団法人JKAの競輪の補助事業を当会が受け、2013年10月1日〜5日にサハリン州を訪問した。訪問したのは筆者の当会ロシアNIS経済研究所の高橋浩副所長、宮城県石巻市に本社がある東日本フーズ株式会社の遠藤修武社長、ロシアビジネスのコンサルタントである鐡尾安夫氏の3名である。
本補助事業の目的は、東日本大震災の被災地域企業支援することであり、具体的にはこれら企業のロシアCIS諸国でのビジネスプレゼンテーション支援である。東日本フーズはすしネタ、刺し身をすし店や流通に卸す会社であり、石巻の工場の他に中国、ベトナムで委託加工を行っている。プレゼンテーションは10月3日にユジノサハリンスク市のサンタ・ホテルで実施した。また、前日2日にも、今回のサポート団体であるサハリン水産業者協会にてプレゼンを実施した。
本事業に関するビジネスプレゼンテーションについては、個別企業の事がからむので詳細を書くことは控え、また、サハリンの水産業の詳細についても書くだけの材料もない。したがって,ここでは今回のサハリン州訪問からみえるロシアと日本の水産業の姿の一端、また、サハリン州と日本の貿易経済関係を中心に書くことにする。(高橋浩)
サンクトペテルブルグで進むスマートシティ
はじめに
資源大国であるロシアにとって、エネルギーの効率的な利用、環境規制などはあまり先進的な分野ではなく、従来、人々の関心も決して高くはなかった。しかし今日、世界的には省エネや環境問題への関心は高まっており、ロシアでも次第にそれらへの関心が高まりつつある。
そのような流れを受け、2012年10月10日、モスクワの在ロシア日本大使館にて開催された展示フォーラム「次世代のためのスマートシティ」にて日建設計とサンクトペテルブルグの企業Severo-Zapad Invest(SZI)との間でスマートシティ実現のための協力をうたった覚書が調印された。(同フォーラムについては『ロシアNIS調査月報』2013年1月号を参照いただきたい)。スマートシティの開発はサンクトペテルブルグ市では初の試みであり、また、日本企業の日建設計がスマートシティのマスタープランを設計するなど内外からの関心を集めている。
本稿ではそのスマートシティ「ノーヴィ・ベーレグ」の概要との開発現状について簡単にご紹介したい。(鳴沢政志)
イベント・レポート
ヴォロネジ州投資プレゼンテーション開催
はじめに
11月12日、東京のメルパルク TOKYOにおいて、「ヴォロネジ州投資プレゼンテーション」が開催された(ロシアNIS貿易会とヴォロネジ州行政府の共催)。以下では、同州のA.ベスプロズバンヌィフ副知事の冒頭挨拶をはじめ、同プレゼンテーションの模様を簡略に紹介する。(芳地隆之)
イベント・レポート
カルーガ州プレゼンテーション開催
はじめに
ロシアNIS貿易会では、カルーガ州行政府と共に、11月18日、東京のホテルニューオータニにおいて、「カルーガ州プレゼンテーション ―効果的経済のカルーガ・モデル」を開催した。
同プレゼンテーションでは、当会の西岡喬会長、E.アファナシエフ駐日ロシア大使(A.ファブリチニコフ参事官代読)、N.リュビモフ・カルーガ州副知事による開会挨拶の後、カルーガ州地域発展庁ならびに三菱自動車工業株式会社のプレゼンテーションが行われた。以下では、その模様を紹介する。(山本靖子)
INSIDE RUSSIA
ロシアの新制度「特例開発区域」
はじめに
ロシアでは、2011年12月3日付の連邦法で、「特例開発区域」という新制度が導入された。原語は「領域的発展区域(зона территориального развития)」となっているが、それだと伝わりにくいので、「特例開発区域」と、やや意訳している次第である。この制度は、明らかに辺境・不況地域の救済を目的としたものなので、「特例」という語感が合うのではないかと考えたわけだ。
この特例開発区域は、従来の経済特区とも、2013年後半にプーチン政権が打ち出した極東の新特区とも、異なるものである。ロシアの中央政界や日本の関係業界ではあまり話題になっていないが、筆者が2013年9月にカムチャッカ地方を訪問して行政府幹部と面談した際には、先方から同制度への期待が表明される場面があり、やはり無視できない動きだと感じた(ただし、先方は「まだ制度的に良く分からない」とも言っていたが)。マガダン州知事も、以前に観たテレビ・インタビューの中で、本件について言及していたと記憶する。
そこで今回は、この特例開発区域という新制度の概要について解説する。(服部倫卓)
モスクワ便り
サラトフ:ヴォルガ・ドイツ人の故郷
はじめに
かつて旧ソ連には、約200万人のドイツ人が住んでいたことをご存じだろうか。サラトフ州を南北に縦断するヴォルガ川の沿岸部に、ドイツから移住してきたヴォルガ・ドイツ人と言われる民族集団の一大居住地があり、かつては「ヴォルガ・ドイツ人自治共和国」が設置されていたこともある。しかし、第2次大戦時にヴォルガ・ドイツ人は忽然と姿を消し、現在、同地域にはドイツ人はほとんどいない。ヴォルガ・ドイツ人にいったい何が起こったのか。今回は、歴史の激流に翻弄されたヴォルガ・ドイツ人の運命をご紹介しよう。(中居孝文)
ロシア極東羅針盤
ガルシカ構想にプーチン支持
前回の続きである。プーチン大統領は2013年12月12日の年次教書演説の中で、アジア太平洋市場への輸出拡大を通じてアジア太平洋の成長を取り込み、極東地域の発展につなげるという新しい発展モデルに支持を表明した。
ガルシカ極東発展大臣が10月にコムソモリスクナアムーレの会合で提案していたもので、輸出に特化した新型特区を極東の複数の都市に設ける。現在、特区の場所や優遇税制の内容など具体的な制度設計に取り掛かっている。
極東地域に豊富にある石油やガスなどのエネルギー資源や農林水産資源を使った加工製造業を後押しし、アジア太平洋市場への輸出拡大を通じて経済成長に結びつける輸出型特区網構想は、プーチン政権の極東開発の柱の1つになった。(齋藤大輔)
ロシア首長ファイル
リャザン州コヴァリョフ知事
はじめに
近年ロシアの地方では、社会・経済発展のために、豊富な天然資源、質の高い人材、伝統的な産業基盤など、それぞれの特徴や魅力を前面に出して投資誘致を積極的に行っている。中でも、中央連邦管区に属する地域は、ロシア最大の人口を誇る首都モスクワに近いという地理的メリットを強調することが多い。モスクワへのアクセスのよさや周辺地域を合わせた潜在的な消費者の多さから、生産拠点としても、市場としても魅力が高い。実際、モスクワ周辺のカルーガやヤロスラヴリなどは投資誘致の成功例として国内外で高く評価されており、日本を含め、外国企業の進出が顕著だ。
モスクワから南東約180qに位置するリャザン州もそんな魅力を持つ地域だ。2008年に知事に就任したオレグ・コヴァリョフは当初から、リャザンの地理的優位性を強調し、投資誘致を積極的に呼びかけてきた。本稿では彼の経歴とリャザン州について紹介する。(中馬瑞貴)
エネルギー産業の話題
ハンティ・マンシ自治管区の石油
ロシアの石油生産量の約半分を占めるチュメニ州ハンティ・マンシ自治管区では最近になり減産傾向が観察され始めています。もし今後その減産幅が大きくなるようなことがあれば、ロシア全体の石油生産量も減少に転じる可能性が高いとみられています。同自治管区が、ロシアの石油分野全体の命運を握っていると言っても過言ではないのです。そこで、今回は、同自治管区の石油生産の現状と展望をご紹介します。(坂口泉)
新連載◆ユーラシア産業紀行
ウリヤノフスクの日航機
はじめに
ウリヤノフスクは、レーニンが生まれた都市として、ロシアとなじみの深い人には、ある程度知名度がある場所であると思うが、決して、日本と関係の深い場所ではない。もちろん、日本から直行便が飛んでいたなんてこともない。そのような場所になぜ日航機が出てくるのか不思議であろうかと思う。実は、ウリヤノフスクは航空機との関係が深い都市で、ロシア最大級の航空博物館がある。ここに展示されている旅客機は、アエロフロートとの共同運航便としてではあるが、日本航空の鶴のマークを付けて東京とモスクワを結んでいたのだった。(渡邊光太郎)
キーパーソンに訊く
キルギス:「創建の五カ年計画」で年7%成長めざす
キルギス経済・独占禁止政策大臣
T.サリエフ
はじめに
キルギス経済は、2012年、前年比0.9%のマイナス成長を記録しました。クムトール金鉱の生産減が主な要因で、キルギスのモノカルチャー経済の弱点が如実に表れた結果です。しかし、およそ10年振りに訪れた首都ビシケクでは、いたるところで新しいビルの建設が進み、立派なホテルやデパート、そして小奇麗なレストランには、たくさんの客が訪れ、ソ連時代とは隔世の感がありました。今回、サリエフ経済大臣には、キルギス経済の現状と展望、政府の投資環境改善への取り組み、注力する産業分野、そして、キルギスを巡る国際関係などについてお話いただきました。(岡田邦生)
ウクライナ情報交差点
2013年のウクライナ経済を回顧する
はじめに
月報の前号ではウクライナの特集をお届けしたが、ウクライナのような重要国は3年に一度特集で取り上げればいいというものではあるまい。そこで、同国に関してなるべくこまめに情報を発信していくべく、「ウクライナ情報交差点」という新コーナーを開設することにした。
第1回目の今回は、年末から年初にかけて報じられたニュースなどを手掛かりに、2013年のウクライナ経済を簡単に回顧してみたい。(服部倫卓)
自動車産業時評
アジア系自動車メーカーとロシア市場
ロシアの乗用車市場ではもともと韓国メーカーの人気が高いのですが、最近になり中国メーカーの存在感も強まってきています。また、2013年夏には、台湾の裕隆汽車がロシア市場への参入の意向を表明し、今後の動向に注目が集まっています。今回は、それらアジア系メーカーのロシア市場での最新の動きをご紹介します。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
北極海航路と資源開発
北極海航路の稼働カレンダーは6月中旬から11月中旬までの5カ月間です。2013年12月に公表された同年の輸送実績及び、同航路のベースカーゴとして期待されているヤマルLNG開発関連プロジェクトの動向を取り上げます。(辻久子)
出張・駐在の達人
日露査証簡素化協定が発効
ロシアの査証を取得するための手続きがもう少し早くなれば――ロシアで事業をされている企業の方々からよく聞かれる言葉である。日本側の技術者が急遽、現地へ飛んで指導する必要が生じても、査証が発行されるまでに数週間を要するのでは、ビジネスのスピードが求められる現在、少なからぬマイナスとなってしまう。それゆえに日露査証簡素化協定(日本国及びロシア連邦の国民に対する査証の発給手続の簡素化に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定)が10月30日より効力が生じることとなったのは朗報であった。発効直後はロシア連邦内務省や在日ロシア大使館など当該機関の対応が間に合わないケースもあったが、ようやく情報システムも更新されたようだ。本欄では同協定の概要を紹介する。(芳地隆之)