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ロシアNIS調査月報2016年7月号特集◆出張・旅行の諸問題と |
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特集◆出張・旅行の諸問題と航空業界 |
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調査レポート |
ロシアの航空会社と空港の業界地図 |
調査レポート |
ロシア出張の渡航・宿泊事情 |
ビジネス最前線 |
おもてなしの心で顧客開拓、7月から週5便体制へ |
蹴球よもやま話 |
ワールドカップ開催都市とその観光スポット |
ミニ・レポート |
ロシア国民の最新国外旅行事情 ―様々な要因に翻弄される― |
ミニ・レポート |
NIS諸国の査証制度は千差万別 |
INSIDE RUSSIA |
スホーイ・スーパージェットのトップセールス |
地域クローズアップ |
世界遺産の宝庫「黄金の環」 |
ウクライナ情報交差点 |
ウクライナの航空会社と空港 |
中央アジア情報バザール |
中央アジアの空港コード推理クイズ!? |
デジタルITラボ |
ロシアのローミング事情あれこれ |
データバンク |
ロシアの観光地トップ20 |
調査レポート |
難しい舵取りを強いられるロシアの石炭産業 |
研究所長随想 |
1970年代に電炉鋼材大量買付の背景 ―日ソ貿易外史(8)― |
モスクワ便り |
欧州勢が掲げるロシアビジネスの課題(1) |
ロシア極東羅針盤 |
新型特区コムソモリスクの現在 |
産業・技術トレンド |
ロシアの非金属資源はビジネスの種になるか? |
エネルギー産業の話題 |
石油ガス開発と北極海航路 |
自動車産業時評 |
最新のロシア自動車登録状況 |
ロジスティクス・ナビ |
日ロ貿易を担う物流 |
データの迷い道 |
ロシア金融部門の人員過剰 |
駐在員のロシア語 |
マージン |
シネマ見比べ隊!! |
異星への誘い |
業界トピックス |
2016年5月の動き |
通関統計 |
2016年1〜4月の輸出入通関実績 |
記者の「取写選択」 |
米原万里さん 没後10年 |
調査レポート
ロシアの航空会社と空港の業界地図
ロシアNIS経済研究所 調査部長
服部倫卓
本稿では、ロシアの航空会社および空港の業界地図を、鳥瞰図的に描くことを試みる。各航空会社および空港の概要、データ等を、なるべく網羅的に紹介することに主眼を置く。
ロシアの航空業界にとって、2015年は「暗黒の1年」であったと言っても、決して大袈裟ではなかろう。経済全体が景気後退に見舞われた上に、航空・旅行業界では、トランスアエロの経営破綻、コガルィムアヴィア機の墜落事件、ウクライナとの間での旅客機相互乗り入れの停止、トルコによるロシア軍機撃墜を受けた両国間の対立など、激震が相次いだ。
調査レポート
ロシア出張の渡航・宿泊事情
ロシアNIS経済研究所 研究員
鳴沢政志
大渡耕三
本稿では日本からロシアへの旅行・出張に欠かせない、日本とロシアの間の航空事情、ロシアへの入国にかかる各種手続き、また、日本人が訪れる主要都市、モスクワ、サンクトペテルブルグ、ウラジオストクのホテル事情を紹介する。なお、本稿で取り上げる情報は、2016年6月時点の情報であり、流動的に変化することが多いということにつきご理解いただければ幸甚である。
ビジネス最前線
おもてなしの心で顧客開拓、7月から週5便体制へ
日本航空 モスクワ支店支店長
浜田亮さん
2016年初め、日本航空はモスクワ線の便数を年初の週3便から4月には週4便、そして7月には週5便に拡大することを発表しました。対ロ経済制裁やルーブル安などロシア経済を巡る環境が厳しくなる中でロシアから外国への渡航者数も大幅に減少しています。このような状況下で、あえて積極策に出る背景には何があるのか、そうした事情を含めて、今回は、日本航空モスクワ支店の浜田亮支店長にお話をお聞きしました。(中居孝文)
蹴球よもやま話
ワールドカップ開催都市とその観光スポット
早いもので、2018年のFIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会まで、2年ほどとなった。直近のロシアの経済・財政難、ウクライナ危機、ロシア・スポーツ界のドーピング問題など心配事は尽きないが、よほどのことがない限り、2年後にロシアには世界のサッカーファンの熱い視線が注がれているはずである。
W杯ロシア大会では、11都市の12のスタジアムが会場となる(モスクワのみ2会場)。多くの外国人旅行者がこれらの街を訪れることになるだろう。そこで本蹴球コーナーでも、特集に合わせて、W杯開催都市の概要と、各都市の観光スポットについて語ってみたい。ただ、モスクワとサンクトペテルブルグについては、他でいくらでも情報が得られると思うので割愛し、残りの9つの地方都市を対象とする。人口が大きい順に取り上げていくことにしよう。(服部倫卓)
ミニ・レポート
ロシア国民の最新国外旅行事情
―様々な要因に翻弄される―
欧米諸国の対ロシア経済制裁、2014年後半から大きく下落したルーブル・レート、ロシア人に人気の観光地であるエジプトで起きたロシア民間航空機の墜落事故、トルコ空軍によるロシア軍機撃墜を受けた両国の対立など、2014〜15年にロシアでは様々な経済・国際問題が発生した。そこで本稿では、近年のロシア人の国外旅行者数の推移を統計的に追いながら、上述のような出来事がロシア人の国外旅行にどのように影響したのかについて概観する。(鳴沢政志)
ミニ・レポート
NIS諸国の査証制度は千差万別
本稿ではNIS諸国を日本人が訪れるために知っておくと便利な各国の査証制度についてまとめてみたい。なお、査証制度については頻繁に国の制度が変更となることもあり、以下の内容は2016年5月末時点の情報である。また一言で「査証」と言っても種類が多いが、今回は「観光査証」を中心に取り上げえる。なお、ロシアの査証制度については別の章で触れているのでここでは割愛させていただく。(中馬瑞貴)
INSIDE RUSSIA
スホーイ・スーパージェットのトップセールス
地域ジェット旅客機(リージョナルジェット)「スホーイ・スーパージェット(SSJ)100」は、ロシアの産業政策にとって象徴的な存在になっている。産業構造の高度化、輸入代替といった現下ロシアの課題に、直接的に関連してくるからだ。むろん、輸入代替といっても、現実にはSSJの生産が多くの外国製部材に依存していることは良く知られている。ただ、愛国派のD.ロゴジン副首相が、現在はフランス製となっているSSJのエンジンをペルミ・エンジン工場の国産品で置き換えるべきだと唱えるなど、やはりSSJは輸入代替政策の焦点となっている。
SSJは一定程度市場に浸透しつつあるものの、ここに来て販売で苦戦している(当然、生産も伸び悩む)様子がうかがえる。こうした状況から、SSJの販売拡大に向けたロシア政府の懸命な取り組みが目立つようになってきた。(服部倫卓)
地域クローズアップ
世界遺産の宝庫「黄金の環」
ロシアで観光というと、首都モスクワや第2の都市サンクトペテルブルグを訪れるのが一般的だ。しかし、旅行上級者になると、大都市以外も訪れてみたいと考えることも多いだろう。モスクワ、サンクトペテルブルグ以外の旅行先でお勧めは?と聞かれたら、1つのオプションとしてロシアの歴史・文化遺産を数多く堪能することのできる「黄金の環」をお勧めしたい。
「黄金の環」とはモスクワ近郊の歴史的都市群を指す。8都市すべてを結ぶとリング状になることからこの名前がつけられており、地理的にはモスクワ州、ヤロスラヴリ州、コストロマ州、イヴァノヴォ州、ウラジーミル州の5州に広がる。モスクワから近いという地理的条件から、ソ連時代にロシアの観光資源の1つとして注目され、ソ連崩壊後は外国人も手軽に行くことのできる場所となっている。
従来、このコーナーでは1つの連邦構成主体を取り上げているが、今回は「黄金の環」に含まれる街についてまとめて紹介する。(中馬瑞貴)
ウクライナ情報交差点
ウクライナの航空会社と空港
今回は、図表を駆使しながら、ウクライナの民間航空部門と空港の基礎データを紹介することにする。
ウクライナの民間航空部門における2015年の運航数は6万6,300回で、前年比11.4%低下した。旅客数も2015年には2.7%減となった。やはり、厳しい経済難が続いている上に、2015年10月には政治的に対立するロシアとの間で相互乗り入れが停止されるという事件も起き、低調な実績に終わった。(服部倫卓)
中央アジア情報バザール
中央アジアの空港コード推理クイズ!?
空港コードというのをご存知だろうか?世界の主要な空港には国際航空運送協会(IATA)が定めたアルファベット3文字のコードがつけられている。空港で預けたトランクに貼り付けられているラベルを見ると、出発地と目的地を示すアルファベット3文字が書かれているのを見たことがある人は多いと思う。例えば、成田空港はNRT、羽田空港はHND、ロシアのシェレメチェヴォ空港はSVO、ドモジェドヴォ空港はDMEなど、主に空港名(アルファベット)の頭文字で、コードから空港名を連想することができる。
中央アジアの主要な空港にもコードがつけられおり、ウズベキスタンのタシケント空港はTAS、トルクメニスタンのアシハバード空港はASBだ。では、TSEやFRUはどこの空港を指すか連想できるだろうか? 前者はカザフスタンのアスタナ空港、後者はキルギスのビシケク空港だ。このように、どこの空港か想像するのが難しいコードもある。特にカザフスタンには空港名から想像し難いコードがいくつも存在する。そこで本稿では、ちょっと変わった空港コードとその由来について紹介する。(中馬瑞貴)
デジタルITラボ
ロシアのローミング事情あれこれ
さあ、月日が経つのは早く、もうすぐ夏休み。読者の皆様も、もう旅行の計画など立てられているだろうか。今回は、本誌の旅行特集に便乗し、ロシア人が外国へ行く際のローミング事情について簡単にご紹介いたしたい。(大渡耕三)
データバンク
ロシアの観光地トップ20
このほど編集部では、Astons Travel Guidesという出版社から発行された Top 20 Russia Travel Guide: Top 20 Places to Visit in Russia と題するガイドブックを入手した。本コーナーでは、このガイドブックで取り上げられているロシアの観光地トップ20の一覧を、下表のとおり紹介する。世界遺産情報は当編集部で付記した。
調査レポート
難しい舵取りを強いられるロシアの石炭産業
ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉
2015年は、前年の時点で最大の輸出相手国であった中国が石炭の輸入を制限する方針を打ち出したことなどもあって輸出量こそ前年の数字を若干下回ったものの、水力発電部門の不振を受け国内の電力分野での消費量が増加した関係で採炭量の方は前年を上回った。さらに、年後半にはルーブル安の進行に伴う輸出効率の改善という追い風も観察された。しかし、その一方で、3〜4年ほど前から続く石炭の国際価格の低迷傾向はロシアの石炭会社から確実に体力を奪いつつあり、大手の中にも事実上の破綻状態に追い込まれるところが出始めている。また、比較的健全な財務状況を維持している会社の多くも、設備投資額の縮小や採算性の悪い炭鉱の閉鎖などの危機対応策を打ち出すことを余儀なくされている。
本稿では、中国市場の縮小と石炭価格低迷という厳しい経営環境の中で難しい舵取りを強いられている大手石炭会社の実情に着目しながら、2015年のロシア石炭分野を回顧する。
研究所長随想
1970年代に電炉鋼材大量買付の背景
―日ソ貿易外史(8)―
1971年4月に、5年のモスクワ駐在生活を終えて帰国した私は、三菱商事の鉄鋼輸出部に配属になり、この3月に新規契約に成功した型鋼契約をフォローすることになった。ソ連向け鉄鋼製品は、伝統的に高炉メーカーの鋼鈑類が主流で高級品種が主体であった。当時鋼管取引はまだ大きくはなかったが、その後これは逆転し対ソ鉄鋼輸出は各種鋼管の一大市場に発展する。(遠藤寿一)
モスクワ便り
欧州勢が掲げるロシアビジネスの課題(1)
欧州ビジネス協会(略称AEB)は、ロシアにおいて欧州企業の利益を代表する組織で、ロシア最強の圧力団体と言われている(本誌2016年2月号を参照)。AEBは、毎年「ポジション・ペーパー」といわれる年次報告書を発表し、そこでロシアにおける各産業部門や各種制度の課題や改善策を指摘している。そうした課題や提案は、外国企業の視点で取り上げられているため、欧州企業に限らず、日本勢にとってもたいへん有益な内容を含んでいる。本コーナーでは、2015/16年版の「ポジション・ペーパー」の要旨を数回に分けて紹介する。今回は、日本企業の活動とも関係の深い自動車製造と建設機械の事例を取り上げることにしたい。(中居孝文)
ロシア極東羅針盤
新型特区コムソモリスクの現在
ロシア連邦極東発展省はハバロフスクやコムソモリスクを新型特区(先進社会経済発展区)のモデルケースにしようと、電気や水道などインフラの整備をいち早く進めるとしている。しかし、整備されたのは一部だけで、コムソモリスクでは、計画を見直す会社もでてきた。できるだけ早くインフラを整備したい考えだが、関係機関との調整に手間取っている。(齋藤大輔)
産業・技術トレンド
ロシアの非金属資源はビジネスの種になるか?
ロシアの資源と言うとエネルギー資源や金属資源を思い浮かべる方が多いと思われるが、国土が広いロシアであれば非金属資源も数多くあることが推察される。非金属資源は後述するように、種類が多く、個別の品質が利用価値に影響するので、金属のようなコモディティとして扱い難いのであり、今回紹介できるものも極限られた部分に留まる。しかし、現在のロシア経済の現状を考えると、ロシアにとっては有用な輸出産品であり、日本にとっては廉価な輸入対象となり得る。今回は、非金属資源の可能性とどのような品目があるのかの一端を紹介する。(渡邊光太郎)
エネルギー産業の話題
石油ガス開発と北極海航路
ロシアの北極圏エリアでは、ヤマルLNG、アルクチクLNG、ノヴォポルトフスコエ石油鉱床開発といった複数の石油ガス関連プロジェクトが動いていますが、それらのプロジェクトにとって北極海航路は非常に重要な意味を持ちます。そのいずれもが、生産物の輸送を北極海航路経由で行うことを想定しているからです。
列挙したプロジェクトの中で最も注目されているヤマルLNGが2017年の生産開始を目指し着々と歩を進めていることを踏まえ、今回は、『石油ガス垂直統合』誌(2016.9)の情報をベースにして北極海航路の現状と展望をご紹介することにします。(坂口泉)
自動車産業時評
最新のロシア自動車登録状況
2016年に入り、ロシアの自動車の登録状況に関する詳細な情報がロシアの『Autostat』社のHPなどで紹介されることが多くなっています。ロシアの部品のアフターマーケットへの進出を検討している日本企業などにとって参考になると思われますので、それらの情報の一部をご紹介することとします。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
日ロ貿易を担う物流
広大なロシアとの貿易では物流ルートの制約という課題が待っています。本稿では2015年の貿易データを用い、利用されている物流モードとルートを品目別に紹介し、今後の可能性を考えます。(辻久子)
データの迷い道
ロシア金融部門の人員過剰
今回はロシア企業・組織、とくに金融関係の巨大さに着目したい。ロシアの巨大企業というと、ガスプロム、ロシア鉄道、ズベルバンク、これが3横綱であろう。ガスプロムグループ全体の従業員数は2015年末時点で46万2,400人。ロシア鉄道のそれは2014年末で83万5,800人と、前年比6万6,900人減。ズベルバンクグループ全体の従業員数は2015年末で33万700人である(いずれも年次報告書からデータを入手)。(高橋浩)
駐在員のロシア語
マージン
ある日、ロシア人スタッフがつぶやいた。≪Нам удалось продать товар с маржой в 120%≫ 「商品がマージン120%で売れた」- それを聞いた筆者は「??」。商売に従事する者が心得ていなければならない基本中の基本のマージンの意味について、駐在員は理解していてもロシア人従業員が理解しているとは限らない(もっとも逆のケースもあるかもしれないが…)。 ならば彼らにロシア語で説明し、しっかり身につけてもらわねばなるまい。 筆者が見聞きした限り、現場はかなり混乱しているように思える。マークアップの意味でマージンが使われていることもよくある。(新井滋)
シネマ見比べ隊!!
異星への誘い
『アエリータ』VS『プリズナー・オブ・パワー』
1890年代という早い時期から宇宙ロケットの理論を打ち出し、「宇宙開発の父」と呼ばれる、かのコンスタンチン・ツィオルコフスキー(1857〜1935)の存在があったためでしょうか。宇宙開発に向けて人工衛星やロケットの打ち上げで先陣を切ったことは言うまでもなく、ロシアは、文学において宇宙や異星を舞台としたSF小説の層が厚いように思われます(ツィオルコフスキー自身も啓蒙的要素の強いSF小説『月世界到着』を残しています)。今回は、そんな異星を舞台としたSF小説を映像化した2つの作品をご紹介しましょう。(佐藤千登勢)
記者の「取写選択」
米原万里さん 没後10年
作家でロシア語通訳だった米原万里さんが2006年に56歳で亡くなられてから、ちょうど10年になる。命日の5月25日朝、鎌倉にある墓は洗い清められ、みずみずしいアジサイが供えられていた。
20世紀の終わり頃、当時は東京・馬込にあった米原さん宅を2回訪ね、インタビューと称して長話をしたことがある。途中で近所のパトロールに出かけた飼い猫を呼びに出たり、犬にえさをやったり、彼女の生活も垣間見える楽しい時間だった。(小熊宏尚)